【 日 付 】 5月4日~5日
【 山 域 】 頸城
【メンバー】たんぽぽ・ふ~さん
【 天 候 】 晴れ
【 ルート 】 笹倉温泉~アマナ平~焼山北面台地(BC)~昼闇山(ひるくらやま)往復~北面台地~アマナ平~笹倉温泉
<雪少なく計画みなおし>
予定は高松山からのルートだったけど、雪解けスピードが異常に速くて赤信号。雪渓が口を開け、急流がのぞいているのは確実だった。
いそぎ、ルートを引き直すたんぽぽさん。最短ではないけど、新潟焼山からの最新SNS画像を探ってたたき出した画期的なルート。さすが、クリエーターたんぽぽ。記録サイトにレコのないルートは、わくわく感が半端ない。
<笹倉温泉~アマナ平~北面台地>
笹倉温泉の登山口に届けを出して、堰堤前の駐車地へ。アマナ平で水を汲んで、BC予定地を目指す。
雪解け期の林道は歩きにくい。北面台地への直登ルートを選ぶ。雪が少なくて骨が折れる。どうにか北面台地。さっそくテントを設営。
いきなり餃子専門店『たんぽぽ』が開店する。ホワイトガソリンの強烈な熱量で、絶品餃子をこんがり焼き上げる。けれども、ギョーザは常に炭化の危機に見舞われ、絶え間なく救出作戦が繰り広げられた。
満月目前のお月さま。焼山と火打山が、その陰影をくっきり浮かび上がらせる。北面台地の月夜は、ロマンチストたちを、ますますロマンチストに磨き上げた(意味不明)。
冷気がおりてくると終宴となった。薄手のシュラフに潜り込む。前回は無謀にもツェルト泊。氷点下の冷え込みで眠れなかった。今回はさすがにテントを持ち上げた。しかし、重ね着する服や靴下もない。足を、えいやっとザックに突っ込んだ。お湯を入れたPETボトルを抱っこして就寝。
<北面台地~昼闇山>
翌朝。最初の課題は、焼山川の上流部の支流群を、どう渡るかだった。果たして「安全」で「効率的」なルート取りは?
大曲の手前で雪渓をつかみ、谷底に下りる。谷を渡る。右俣をさかのぼりながら、登り返すタイミングをさぐる。
登り返して雪原を西に渡り、1720に向かう谷の縁へ。う~ん、どうやって谷底に下るの? 悩んだ末、ヤブの急崖をひやひや下降する。で、どこから這い上がる?対岸の壁を値踏みして歩く。
目に留まったのが、3mほどの雪壁。左に斜上する薄いバンドがある。そこに活路を求める。ぽぽたんにピッケルを借り、ダブルアックスで、しぶとく這い上がった。そのアックスを下に降ろし、今度は彼の番。
一撃、二撃とアックスを打ち込むが、腐れ雪でうまく決まらない。ようやく安定したか、ぐいっと身体を持ち上げた瞬間、「ずりずりずりっ」と滑り落ちた。ぽぽたんの、なまめかしい絶望の悲鳴が「あ~れ~」と谷中に響いた。
名誉の負傷を負ったが、無事でよかった。それにしても、おてんとさまは、日頃の行いをよく見ているな、と合点した瞬間だった。
さて、お次が水無谷。ここは、悠々と渡れた。だが、悩んだのが、1722尾根に登り詰めるコース選び。崖マークを避け、1722北の鞍部の弱点を狙う。どこに取りついても地獄の激登りだ。
ぶつくさ悪態つきながら登りきり、ヒルタカ尾根(昼闇~高松)に立つ。ここからは待ちに待った絶景の雪稜。刻々と変化するコース上の景観と、見え隠れする本峰。じらされるほど燃え上がる恋慕の情とはこのことか。
気分の高揚に拍車をかけるのが、焼山と火打山の勇者たち。雨飾山や朝日・雪倉・白馬三山・唐松・五竜・鹿島槍・爺の北アルプス勢も応援に駆けつけた。
<昼闇山~北面台地~笹倉温泉>
その興奮は絶頂のまま、昼闇山の山頂に立った。雲ひとつない青空。さすが、ぽぽたん、見事なルート取りだったよ。
鯉のぼりを立てる。風なんてなかったのに、その刹那、そよと吹いてきた。とたんに鯉のぼりがうれしそうにひるがえった。
帰路は水無谷を辿る超ショートカット。落石頻発ルートなので雪の緩む時間帯は慎重に。見上げる両岸壁には巨岩が埋まり、足もとには落石のデブリもある。
当初の予定を一日前倒しした今回の山行だったが、この翌日、同時間には能都地方を震源とするマグニチュード6.5の地震が発生した。地震大国日本。心の備えは日頃から。
ベースキャンプに戻ってテント撤収。充実感と共に下山。温泉に癒やされたら、今度は飯の買い出しだ。
山の空気もうまいけど、シャバの空気もうまい。山の思い出話に、夜は更けていく。
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ふ~さん