【 日 付 】2022年7月24日(日)
【 山 域 】 御岳山
【メンバー】単独
【 天 候 】晴れ
【 ルート 】開田登山口5:50>7合目>三ノ池>四ノ池>継子Ⅱ峰>継子岳>五ノ池>14:00三ノ池避難小屋
しつこく長引いていた戻り梅雨もようやく明けたみたいで7月24日(日)から一泊で御嶽の継子岳などに登りました。
前夜泊のため土曜日の午後から木曽に向かい大桑村のスポーツ公園で車中泊しました。ここは国道から少し離れていて夜間の車の出入りも少なく静かに夜を過ごせるので前夜伯によく利用します。夜8時ごろに着いてしまい睡眠剤を飲んで早く寝付こうとしますが、昼間の熱気が収まらず暑くてなかなか眠れません。夜半過ぎてから少し眠りましたが、寝不足のまま朝を迎えました。
4時ごろに出発して開田登山口に向かいました。1時間半ほどで登山口の駐車場に着くと一台の車も止まっていません。相変わらずの人気ぶりだ。
5時48分、荷物を整えて登山口まで50mほど歩くと奇妙な形のオダマキの花が見送ってくれます。
登山道に入ると斜面を大きく切り返しながら登っていきます。斜面の笹が刈り払ってあって気持ちよく登れました。開田高原キャンプ場の人が刈ってくれたのでしょうか。キャンプ場の利用者がこの登山道を使うとも思えませんが。
標識や木道類は噴火後に整備されたものが多く立派なものが付いていますが、利用者は全く増えていないようです。
笹斜面が終わると広い苔の森に入ります。しっとりした森は苔フェチの人にはいいかもしれませんが、私はジメジメしたところは山ビルを連想するせいか気が落ち着きません。
薄暗い林床にもゴゼンタチバナや多少の花は咲いていました。トトロの森のニョロニョロみたいなギンリョウソウはこの森にお似合いです。
苔の森を抜けさっぱりしたシラビソの尾根筋に出ました。緩やかな尾根は7合目まで続いていく。
鎮座する巨岩は帰りの目印にもなりそうです。
足元に咲くトランペット型に花は何だろう。
5合目と6合目がともに0.8kmの標識が足元に落ちている。
間もなく6合目の標識も現れた。
ご丁寧に6合目半の標識も付けられていた。
7合目の避難小屋跡に着きました。小屋は跡形もなく片付けられて広場だけが残っています。御嶽噴火の時もここでお弁当を食べていたら火山灰混じりの黒い雨が降ってきてようやく噴火に気づいて引き返したのです。今日は何事もなく穏やかな天気です。
7合目からは小さなガレ谷に沿って登っていきます。ルートの大半は右岸につけられていますが、途中2回左岸に渡ります。左岸と言っても谷のすぐ横で気分的には谷中を登る感じです。最後に右岸に渡り返すところに8合目の標識が立っています。
2輪づつ花を付けるスイカズラは同じ仲間でもオオヒョウタンボクです。
ガレ谷ルートも終わりが近づいた。
キバナシャクナゲも出てきて夏山らしくなってきた。
9合目に出て谷ルートが終わったかと思うと、すぐ左に短いガレ谷があってそこを登る。開田道の終点開田頂上は三ノ池なので9合目と言ってもぬか喜びしてはいけない。
バラ科特有の三つ葉に黄花を付けているのはミヤマキンバイだ。
谷はさらに開けてガレのカール地形に出た。岩の上にはこれでもかというくらい白のペンキマーカーが付けられている。適当に登ってもいいかもしれないが、やはりマーカーを辿った方が浮石も少なく安全で楽だ。
コイワカガミやアオノツガザクラが咲きまくって夏山を盛り立てる。
ガレのカールが終わると草付き斜面を折り返しながら登る。
最後の折り返しからハイマツ帯をトラバースしてザレ地が出てくると開田頂上だ。ふと足元をみるとコマクサが一株だけ咲いていた。鳥か小動物が継子岳から種をはこんできたのだろうが、ここに根付いてもコマクサの成長はきわめて緩慢だから群落になるには百年くらいかかるかもしれない。
10時半、開田頂上の三ノ池に着いた。避難小屋を覗いてみると入口ドアが新調されて中を占領していた大量の工事資材がなくなっていた。今日は四ノ池にテン泊するつもりでテントを担いできたが、予定変更でここに泊まらせてもらおう。避難小屋は賽の河原小屋とも白竜協会の所有で緊急避難以外の宿泊はお断りとなっているが、大きな賽の河原小屋と違ってここは休憩する人さえほとんどいないから大目にみてもらおう。
小屋で一休みしたら四ノ池を巡って継子岳に向かった。四ノ池は渇水期には枯れてしまうが、梅雨明け後なので大きな流れが見下ろせた。
コルの方に下るとミヤマダイコンソウが沢山咲いていた。
コルを流れる小川は幻の滝となって大岩壁から落ちてゆくのだが、水量が多くて川を下れないので落口に行くのは諦めた。
その代わり左岸の岸壁の上に立って見おろしてみた。幻の滝の下部が見えた。半分だけだが、水量が多くて迫力ある姿が見られた。
継子Ⅱ峰が近づくと岩稜帯にチシマギキョウが出てきた。下向きに咲く花弁のなかには産毛も生えていたので間違いない。でも横向きに咲く他の花をみても産毛を確認できるものは少なかった。横向きに咲いていてもチシマギキョウとは限らずイワギキョウの方が多いようだ。
Ⅱ峰の登りは今回のコースでは一番アルペンチックな岩場だ。かつてはペンキマーカーも少なくて四の池巡りをする人は少なかったように思うが、今日は10人くらいの人とすれ違った。
Ⅱ峰山頂のステンレス社の横には「アルマヤ天」の石柱が立っている。「摩利支天」の石柱も立っているらしいが見つからなかった。ともにインド仏教の守護神で修験道では重要な神として祀られている。
緩やかなザレ地を下って継子岳に向かうとミヤマダイコンソウとイワギキョウが咲き乱れ、その下の平坦地はコマクサの群落になっていた。ルートはロープで区切られ中へは入れないが、足元まで群落が広がっているので間近に観察できる。それにしてもこんなに沢山咲いていたかな。嬉しい誤算だ。水も栄養も殆どないザレ地に深く根を張り毎年目に着かないくらいのスピードでも確実に成長を続けているのだろう。その根は地表部よりずっと長く1m近くあるそうで近づいて直接踏みつけなくても根を痛めて成長を妨げるそうだ。
12時42分、継子岳に到着。平坦な継子岳にもコマクサは咲いているが、数が少ないのでロープは張らず石で周りを囲んでいるだけだ。
五ノ池へ歩いていくとチングルマの風花が残っていた。花はもう終わってしまったのか。
心配なかった花もちゃんと残っていた。
オンタデは御嶽に生えるタデの意味だそうで元祖オンタデはそこら中に咲いていた。
五ノ池まで半分ほど進んだところで四ノ池の斜面に大きな白い花が見えたので降りてみるとハクサンイチゲだった。
その下にはチングルマの群落も広がっていて思わず得した気分。
五ノ池の手前にもコマクサの群落があり密度的にはここが一番のようだ。惜しむらくはピンクに染まって見えるあたりがロープで区切った登山道から離れていることだ。足元に咲いている花も多少あるので我慢してください。
ヨーロッパ風のテラスが人気の五ノ池山荘では多くの登山者がやすんでいました。五ノ池では毎年雷鳥が営巣するようで親子連れをよく見かけるのですが、この日は見れませんでした。
三ノ池は上から見下ろした方が、空中浮遊感が出て映えます。
四ノ池と三ノ池の間の吊り尾根を下るとハクサンイチゲやミヤマダイコンソウに混じってオトギリソウも咲いていました。
14時丁度に避難小屋に戻りました。出発して8時間の殆んどを歩いているので今日のノルマは達成です。後はゆっくり休みましょう。
女人堂へ向かうトラバース道は昨年復旧したはずですが、再度崩落したようで分岐にはロープが張られて立ち入り禁止の看板が出ていました。摩利支天山のトラバース道から降りてきたグループ二組が文句を言いながら引き返していきました。途中に注意看板は出ていなかったのでしょうか。
ビールを飲み、夕食を作って食べてしまうとすることがない。避難小屋貸し切りもいいが、一人くらい話し相手がいてもいいかもしれない。早めに睡眠薬飲んでシュラフに潜ってもやはり眠れない。夜半には風音が大きくなった。テントだったら煽られて眠るどころではないだろう。簡素な避難小屋でも雨や風に対する安心感は全然違う。「緊急避難」出来てよかった。今日はコマクサもたっぷり見られて満足できた。明日は早めに下山しよう。