【山行日】2020年12月27日(日)
【山域】湖西・大谷山(△813.9)
【天候】晴れ時々くもり
【メンバー】タイラ、アオバ*ト
【ルート】ピックランド駐車場7:15、石庭登山口ゲート7:50、
第一展望台11:00、第二展望台11:45、第三展望台12:20、
大谷山山頂12:45、カレンフェルトの丘13:20、尾根合流点14:00、
ゲート15:20、駐車場15:50
冬型気圧配置がいったん緩んだ今年最後の日曜日、マキノの石庭集落の端から、
スノーシューをはいて、大谷山を目指しました。雪が積もったら、真っ先に気になる
マキノの大好きな山、大谷山。標高1,000mにも満たない里山ですが、雪が積もると、
山頂の真っ白なドームと琵琶湖の大絶景のセットが、絶叫せずにはいられません。
でも、果たして今日は山頂に届くだろうか、そんな気持ちで駐車場を後にしました。
まだ薄暗いマキノピックランドの駐車場に着いたのは7時前。
一台だけ軽のバンが止まっていた。どうやら山ヤさんではなさそうだ。ヤッタ!いちばん乗りだ。
上機嫌で冬靴に足を入れてゲイターを巻く。メタセコイヤの並木道に出て振り返ると朝陽が登ってきた。
農業公園の中を通り、石庭の集落の端の登山口に向かう。集落の女性の方が庭先で声を掛けて下さる。
たくさん積もったけど、水分の多い濡れ雪で、ずいぶん解けてしまった。気をつけて。
それでも、シカ避け柵沿いの農道に出合うところで除雪は途切れて、早速スノーシューをはいた。
降雪後、暖かい日が何日か続いていたから、確かに雪のコンディションはあまり良いとは言えない。
農道の雪は目が粗くてザラメが凍ったようだった。これじゃ、山頂はやっぱり無理かなぁと、少し落胆する。
シカ避け柵のゲートは下部が雪に埋もれていた。雪が積もったらゲートが埋もれて開かなくなることをすっかり忘れていた。
でもランチ場設営用にスコップを持ってきていたので、雪かきして中に入れた。お寺の奥の尾根から上がることにならなくて良かった。
登山口付近のジメジメした植林帯は、雪が解けて地面が露出していたが、50mも歩かないうちに雪はなんとか繋がった。
やっぱりスノーシューは楽しい。山頂に届くかどうかわからないけど、白い雪をミシミシ踏んで無心に登る。
何よりも誰のトレースも無いっていうのがすばらしい。雪は50センチかそこらだろうか。掘割の道がまだはっきりと分かる。
だんだん雪質は良くなってきて、掘割の中ならそれほど沈まずとも歩ける。
掘割を歩いたり、埋もれながら掘割の上を歩いたり、ショートカットしたりして高度を上げていく。
登るにつれて樹林の合間から、雪化粧したマキノの町並みと朝陽に光る琵琶湖の湖面が見えた。湖北の山々は少しかすんでいた。
標高680付近、尾根は広くなってイモジャ谷の源流とからみ合い、えもいわれぬ美しい地形を作り出す。
そしてやっと最初の展望台。距離にしたらまだ半分だけど、ここからが楽しい。
嬉々として、たおやかにカーブを描く雪のブナの森をさまよう。
谷へ下って行くルートと分かれて第二展望台。
そしていちばん大絶景の第三展望台。見慣れた眺めなのに、やっぱり今日も絶叫せずにいられなかった。
ここで店開きして、ゆっくり日向ぼっこしながらランチタイムしたい、もう頂上に行かなくたってかまわない、
そんな風に思えてしまうほど、極上の展望台だ。でも、こんなにすばらしいスノーシュー日和、次はいつやってくるかわからない。
写真を撮ってひと休みしたら、先へ進む。距離にしたらもう少しなのに、疲れて来たのか遠く感じる。
少しの間植林帯を潜り抜けるところで、右太腿が攣ってきてチンタラとしか登れなくなった。あとちょっとなのになぁ。
やっとこさ植林帯を抜け出ると、右手木々の枝の間から真っ白なドームが目に入ってきた。一瞬言葉を失ってしまった。
今まででいちばんすごいかもしれない。登るにつれて、目の前いっぱいにドームが迫る。いったい写真をどう撮ったらいいのかわからなかった。
ケモノの足跡も、風の痕跡も、雨の雫も、なんの穢れもない真っ白な雪のドーム。ただ、誰かがすぐ後ろに付いて来ているのがわかった。
このまま先頭で、真っ白な雪原を踏んで汚してしまうのを一瞬躊躇する。立ち止まって振り返る。
「踏む前に写真、どうぞ。」「大丈夫ですよ。僕たちは地元で、いつでも来れるから。」と返されて、ありがたくいちばん乗りで山頂標にタッチ。
ぐるりを眺めて、静かに感動に浸る。360度のパノラマ。マキノの町並みと琵琶湖が美し過ぎた。
一言二言、彼らと言葉を交わす。高島トレイルの整備をされていらっしゃるとのこと。雪が積もったので下見に来られたと。
下りはどちらからと聞かれて、このまま来た道帰りますと言うと、
「白庭平(正式名称よくわかりません、わたしはカレンフェルトの丘と呼んでました)から降りるのもいいですよと勧められて、
お二人が山頂ランチされているうちに先行させて頂いた。
貸し切り大雪原の雪稜。あきらめなくて良かったねと、タイラさんとしみじみと語り合う。
雪の時のカレンフェルトの丘は初めてだ。もちろんカレンフェルトも、道標も、道型もすっかり埋もれていた。
ここから下る小尾根は、ブナ林がとても美しい。沢に降りて渡渉してトラバースして乗越してまた下りて登って合流点。
雪の時は、この一連の作業が難しいような気がして、いままで使ったことがなかった。
整備のお二人は、わたしたちが下った登山道の小尾根よりひとつ西の広い尾根を下って来られたようで、
トラバースしているときに、早くも姿が見えた。
わたしたちが、モタモタしていると、道はもう少し上に付いていますよとアドバイスして下さった。
あとは、来た道を戻るだけだ。まだ2時だし、ゆっくり下ればいいのだけど、
今日はどうしても早く帰りたい理由があった。休みもそこそこに、半分滑りながら下る。
暖かいのはいいけど、スノーシューの歯が役に立たない残雪期の雪みたいだった。
今日は、もうこれ以上はないっていうくらいすばらしい光景に出会えた。
でも、ゆっくりランチもお茶会もできなかった。そのかわり、最後のご褒美。
帰り道、函館山の「鴫野」に寄って、おいしいお蕎麦を頂くことができました。
いつもは闇下のくせに、今日は闇下になりたくなかった理由はこれでした。
アオバ*ト