【日付】2020年2月21日(金)
【山域】湖北/武奈ヶ嶽
【ルート】石田ダム~赤岩山~武奈ヶ嶽~ワサ谷左岸尾根~ワサ谷橋~石田ダム
【天候】晴れ
【メンバー】単独
週末は所用で詰まっている。偶然にも空いているこの日の天候は晴れマーク。さて、どこにするか? 前夜、悩んだあげくの選択がここだった。
5時起きで6時前に自宅を出る。R161からR303に入り県境のトンネル手前から石田ダムへ。朝ぼらけの集落は立ち込める霧に包まれている。昨日の温るい雨が放射冷却の地表の空気と触れて霧になり、幽玄の世界をつくりあげているのだろう。
村を過ぎると凍った雪が道路を埋めている。せいぜい数cmだが、ギアを4駆に切り替え、ガリガリ音を立てながら轍を外さないように進む。
ダム擁壁手前の九十九折れを注意して登ると管理棟のある広場。人も車も皆無の静まり返った駐車場の端っこに車を止めて仕度にかかる。
地図を覗けばここからでも斜面に取り付けそうだが、見上げると傾斜はきつそうだ。上流に続く林道を少し進むと、ダム湖に半島のように突き出した尾根を乗越してしまう。ん?行き過ぎたか…! 引き返すとすぐ登山口を発見。地形図に引かれた破線の入り口だ。標柱まであるのに、なんで見落とすのか、自分の目を疑いたくなる。
残雪は5~10cmほど。登山路ではあるのだが、連続する倒木のバリケードを乗り越えたり潜ったりが堪える。破線路は右の植林帯へ迂回しているが、尾根芯を直登する。登りきったところにブナの大木1本。標高点・588の手前で、先の破線路が合流してきている。登山口から1時間。大汗を拭って一休み。
木立の向こうに聳える山は、三重嶽だろうか? あそこまで行けるかどうか確信はないが、拘りもないので、油断も落胆もない。体力と時間、天気に合わせて進退を考えよう。
雪が深くなってきたのでここでスノーシューを履く。足が重くなった分、背中が軽くなった。重くなったのはシューの重みだけじゃない。まだ午前中というのに日射で融け始めた雪がブレーキとなって足を引っ張る。
それでも三重嶽や近づいてくる武奈ヶ嶽が手招きして励ましてくれる。広い植林帯の尾根は踏み跡はないが少し低くなった夏道を探りながらの登行。
赤岩山△740.1mに10時半。杉林の中の山頂は見晴らしゼロ。角川集落からのルートとのJCT。ここからは稜線伝いなのでピッチも上がるだろう。
少し下り気味に進むとまた分岐ピークに出る。赤岩山西峰だ。高島トレイルは赤岩山本峰は通らず、この西峰から南下して水坂トンネルを越える。古い木製板に「光明寺」の文字。その時は分らなかったが角川ルート起点の寺院のようだ。
JCTの南のピークへ行ってみた。ほんの20mくらいなので。南側の眺望が開け、北部比良、琵琶湖が視野に入る。
さあ、武奈ヶ嶽はすぐそこだ! この調子なら三重嶽までも行けそうだな…と歩きだすが、これがなかなか(@_@。
標高差はたったの120m、ヤブもないのにテンポが上がらない。
そのもう一つの理由は眺望の良さ! 左には若狭湾、右手は伊吹山の左右に湖北、鈴鹿の山々が連なる。何度も足休めしながら見とれていると、時間は冷厳に経過していく。武奈ヶ嶽まで30分もあれば…との考えは甘かった。結果、山頂には12時前になってしまった。
目の前に三重嶽がどっしりとした山容をみせている。「どうや、ここまで来れるか?」と挑発しているのか? お誘いには載りたいけれど、もう針は「撤退」へ90%振れている。(>_<)
とにかくメシだ。幸い快晴に近い陽射しが暖かい。風も微風。こんな好コンディションは今季初めてだ。遠く白山の純白ドレス姿も拝ませてもらいながら、まずはアワワのプルタブを開ける。いつもは寒さと時間の制約で、開封を躊躇させられるのだが、(ここで撤退と決めた以上)今日は心配することは何もない。
カレー味ヌードルに保温ボトルの湯を入れて昼食。朝もカレーパンだったなあ…。華麗なる食生活(^^♪
西側の若狭湾は雪のない周りの山とともに黒々と横たわり、真冬というよりすっかり春の装い。この山頂も吹きだまりで50~60cm、風の強い稜線は10cmほどしか雪がない。
北尾根を少し進み、・812手前のピークから南東に伸びるワサ谷左岸尾根を下る。北尾根は両サイドの眺望と併せ、大小のブナが雄姿、奇形、異種コラボの楽しさを堪能させてくれる。ただ見とれていると、下る尾根を間違えそうになるので、GPSで確認を忘れない。
分岐には案内板や目印があって、間違えようもなかった。「わさ谷橋3.8
K」の表示を横目に北尾根と別れ、右へ折れる。ハッキリとした道型が尾根芯に付いていて、傾斜も緩いため歩きやすい尾根である。ただ、ほとんどが植林の中で眺望はないのが残念。調子に乗り過ぎて、一回だけコースアウトしそうになるがすぐ気付いて復帰。
ラストの九十九折れではショートカットに失敗して崖っぷちに出てしまい、泣く泣く登り返すアトラクションもあったが、ワサ谷橋に15時半。林道を「半島」を越えて下ればダム駐車場はすぐ。
三重嶽は宿題となったが、現在の自分の体力を確認できた山行だった。あと何回雪のフィールドを歩けるか…?、マイペースを忘れず、好奇心を旺盛に安全登山を楽しんでいきたい。
~びわ爺