【日付】2020年1月3日
【山域】東紀州・尾鷲 天狗倉山
【メンバー】Tさん、アオバ*ト
【天候】晴れ
【ルート】道の駅海山8:30、猪鼻、狼煙場、オチョボ岩、天狗倉山、馬越峠、道の駅海山14:30
お正月、尾鷲に行きました。
いつの頃からか、グーさんと同じ、スノーシューの合間にぽかぽか暖かい南の国の海岸沿いの山歩きを覚えて、
お正月は、そんな「海は山の恋人」シリーズの中でもいちばんのお気に入り、尾鷲の天狗倉山に行くって決めていました。Tさんにはまた行くのとあきれられましたが、お正月はここに行かなくちゃ気が済まないアオバ*トです。
あまりにも有名な熊野参詣道伊勢路の馬越峠。伊勢から歩いてきた旅人は海山の集落からこの峠を越えて尾鷲へ下り尾鷲神社でこの先の旅の祈願をして熊野へ向かった。
ハイキングのガイドブックに書かれてあるようなこと書き記すまでもないけれど、これを書かなきゃ始まらないのでお許しくだされ。
天狗倉山は、この馬越峠から稜線を東へ登ったところにある、町から見上げるとてっぺんに岩の冠をちょこんと被ったように見える美しいかたちの山。ネットには、「山頂は二重の岩場で中央の花を外縁の葉が取り囲むハスの花にたとえられ」と大変興味深い記述があった。岩に囲まれた真ん中に役行者の祠があって、海側の岩に登ると尾鷲湾と尾鷲の町並みが、鉄梯子で反対側の大岩に登るとそこがいちばんのてっぺんで360度のパノラマが開ける。
きょうは、海山の道の駅に車を置いて、海山側の水平道から歩きます。この水平道も海山と尾鷲をつなぐ道で、こちらは明治時代に作られ大八車が行き交っていたと。海山側はあまり展望開けないけれど、よく手入れされた檜の植林と羊歯の林床の中を清々しい朝の木漏れ日を浴びて、朝のお散歩をされている地元の方にご挨拶したり、あれやこれやとおしゃべりしながら、のんびりと猪鼻(岬)に到着。
さてここからは一仕事ですよ。尾鷲道を整備してくださっているNTRCさんが、ここも整備してくださっているようで、白地に青い文字の「尾鷲トレイル」の道標。
ふと気が付いたけれど、この白に青って、あの旧火力発電所の塔の白と青なんだろうか。役目を終えたあの塔もそのうち解体されてしまうのだろうかと思うとなんだか切ない。それにしてもこの岬の末端からの登りはなかなかハードです。額から汗がポタポタ落ちてくる。真冬だっていうのに。ヒートテックなんか着てくるんじゃなかった。ところでここら辺の樹林は何だろう。葉っぱがツルツルした照葉樹。ウバメガシかなと考える余裕が出てきた頃、やっとこさ「小山浦の狼煙場跡」。日頃耳にしないコトバに触れるとなんか楽しくなりますね。今はここは展望はよくないのだけど、昔はここの櫓の上で「異国船がきたぞ~」って叫んでいたのかなぁ。所々で海が見え隠れして峠に下りたら、フィックスロープ掴んでまたまた激登り。見上げると樹林の中に大きな岩が見えてきました。
着いたよ~!先着のご夫婦さんにご挨拶して岩の上に立ちます。尾鷲湾の沖合に広がる紺碧の海!もう絶叫せずにはいられない超絶すばらしい眺めのここは「オチョボ岩」と呼ばれているviewpoint。私たちのあとからやって来た二人組の若者たちと先ほどのご夫婦と譲り合って写真を撮って、きょうはここでお昼です。
ポカポカ暖かくて、もうこれ以上はないっていうくらいの大絶景。お正月からなんて幸せなことか。
いつまでもここにすわって海をながめていたい気持ちをリュックに仕舞って、いよいよ天狗倉山のピークへ向かいます。ここからは標高差のほとんどない気持ちの良い「尾鷲トレイル」。
またまた大きな岩が現れてきたかと思うといよいよ天狗倉山の山頂です。ハスの葉の外側を行ったり来たり。あれ、祠はどこだっけ。あったあった。手を合わせて海側の岩に登る。やっぱりお正月、ここは老若男女でにぎわっています。岩の上から尾鷲湾と町並みを眺めてうっとりしたら、鉄梯子でてっぺんの岩に登る。
役目を終えても海と町の境界に清々しく立つ白と青の塔、尾鷲駅の駅舎、幹線道路、スーパーマーケット、庁舎、斜面の夏みかん畑、魚の養殖場、etc、etc。そして湾の沖合にどこまでも続く紺碧の海。山手には大台ケ原の山々、遥か彼方には聖なる熊野に続く山並み。
たった標高522m。
標高の高さと眺めのすばらしさがけっして比例しないこと、ここに立つと納得します。
そしてここに立って天狗倉山を好きにならないひとはきっといないと思う。
海と山と、それだけじゃなくて。
ここに暮らしてきた人たちが自然と対峙して作り上げてきた美しくて、あたたかな町の景観。
天狗倉山の岩のてっぺんに登るとそんな眺めがパノラマとなって心に迫る。
見えない糸に引かれるように、ある日、わたしは天狗倉山にやって来た。
信仰心なんかちっともなかったけれど、何かをお祈りしたくて祈りの道を歩き始めた。祈りの道から美しい熊野灘を眺めて、異国のような風光明媚な南の町に憧れた。小さな「縁」が少しずつ絡み合って、今ここで海と山と町を眺めている。今年はどんなことに出会うのだろう。出会うことひとつひとつ大切に、歩きたいと思います。
きょうは、海山の道の駅発着で、海山側から周回しましたが、
尾鷲神社発着で尾鷲側の水平道からアプローチして、下りに岩屋堂へ下りる道を使うコース取りもとってもすばらしいです。
なんだか、ガイドブックのようなレポになってしましましたが、皆さま、ことしもよろしくお願いします。
帰りにこんなところにも寄り道しました。
まだぜんぜん渡れそうでしたが、残念ながら通行止めのロープが張ってありました。
こんなのは初めて見ました。
アオバ*ト