古今東西、年末年始は何かと忙しいというのが定番。しかし、大掃除も、おせち料理作りも、家族旅行や帰省家族の世話にも、このところとんと縁遠くなった身を弄び状態で、なにもしないうちに三が日が終わってしまう。
いかん、いかん、初詣での替わりに初山詣でにでも出かけないと…と天気予報を確認すると、週末より月曜日が晴れマークだ。世間の現役世代のみなさんには申しわけないが、初出勤の日にこちらも始動することにしよう。
じつは心に秘めたるルートがあったのだ。対象は県下最高峰の伊吹山1377.3m。何度も登った山ながら、ほとんどが表参道かドライブウエーからで、東側からは2度目の挑戦。1度目は弥高からの尾根で、隣村の上平寺からは今回初めて。幾つになっても初めてというものには胸がトキメクものなのだ。
少し前、山日和さんのレポがあったはずなんだけど、探しても見つからない。ちょっとネット情報も覗いて頭にインプットしておく。
【日付】2020年1月6日(月)
【山域】湖北/伊吹山
【ルート】上平寺川戸谷林道~ドライブウエー尾根~co1170台地(撤退)
【天候】晴れのち曇り
【メンバー】単独
関ヶ原ICから上平寺へは15分ほどで着いた。公民館の前の駐車場に停めさせてもらい出発準備。道路にはマイナス表示も出ていたが一帯に雪は皆無だ。
- 河戸谷林道から伊吹山
藤古川(河戸谷)に沿う林道を歩き、2つ目の橋を渡った少し先に大きな堰堤がある。ここが地形図にある破線路の入り口だろう。
河原に降り、難なく渡渉して植林の斜面に取り付く。放置林気味で道跡ははっきりしない。「面倒くさい!」と直登を試みるがco450m辺りまでの100mはいきなりのモンクラを強いられてしまう。やはり地図通り枝沢沿いにすすめばよかったのかも?
真っすぐ西へ降りてくる尾根はヤブもなく歩きやすい。が、老体の上に初動のハードワークが祟ってテンポが上がらない。シカの警戒鳴に引きずられ、見上げた左手の伊吹山頂に励まされるように、尾根の分岐に10時過ぎ。まあ、想定内ではある。
小休止の後、15分でドライブウエーに出た。ここからは前方に聳える伊吹山、後方には霊仙^御池岳を眺めながらのハイウェーハイク。予報通りの好天で、琵琶湖方面も眺望できる。
車道が迂回している▲899.0mの尾根に入りピークを通過。また車道に出て、今度はco900mの分岐から北西の尾根に取り付く。
足元の雪が繋がってきたのでチェーンスパイクを装着。手袋も例の手むれない?「青いヤツ」に付け替えて万全の雪対策である。
ここも尾根芯に林道跡のような幅広い道型が続く。が、斜度がきつくなってくると、道型は雪の中に消え、モミの幼樹が花崗岩のガレ斜面にバリケードを張っている。仕方ないので弱点を探しながら直登気味に登って行くが、青息吐息、10歩に1回休みと遅々と進まないのもやむを得ないのか…? 我が身の体力不足に自信も喪失気味。
なんとかco1170mの台地に到着。ブナの樹間越しに山頂台地の東端から左に山頂が望める。純白のドレスでドレスアップして微笑んで手招きしてくれる…のだが。
時計を見ればとっくに正午を回り、足元の雪は膝まで沈む。スノーシューでも持ってくれば話は別だが、もう限界。周回してたら山頂でお泊り必至になるかも(@_@;)
キッパリ決断して、ランチに。汗で背中が冷たくて、せっかく持参したアワワも持ち帰ることに。ポリシーには合わないのだが、安全とは天秤にかけられない。(なら、始めからもってくるなよ…との声も聞こえてきそうだけど)
- 金糞岳(左)と白山
ブナに囲まれたこの台地からは、白山や乗鞍、御嶽などのラインナップも望める。昼を過ぎてやや霞んできたが、すぐ近くに金糞岳も白い。伊吹と金糞、湖北の双壁、両雄、ライバルである。
おっと、油断してたらもう13時半。いくらピストンでもリミットを越えている。雪の踏み跡を辿りながら下るのは早い。でも。あのモミヤブは通りたくないなあ…。右手に蛇行している道型に入ってみる。はっきりしないが地図上の破線と思われるルートかも。
しばらく下ってGPSで確認すると西へ寄り過ぎている。トラバースして、来た尾根に合流し、ことなく車道へ出た。先ほどの尾根を下ると河戸谷の二股へ出るが斜度がキツそう。
ドライブウエーの蛇行地点はそのまま車道を歩く。養老、鈴鹿の山並を眺めながらの車道ハイクも捨てたもんじゃない。足元の凍結スリップに気をつけながらダラダラとco790mのヘアピンへ。
ガードレールを跨いで車道を離れ、尾根分岐までは15分間。右へ下れば往路の急斜面が待っている。と思うと、地図に破線が残る緩斜面を直進していた。広い疎林の尾根だ。道型はあるような無いような。
広い斜面の一画に石柱がある。△586.3mの四等三角点(上平寺)。周りに標柱も囲いも何もないなか、一軒家…ならぬポツンと三角点である。河戸谷右岸の尾根は上平寺城跡など京極氏の遺跡があり整備もされているのと比べ、点標名だけ「上平寺」を頂きながら、人に気づかれることもなく独りぼっちで佇む孤高の三角点に脱帽してお別れした。
この後、尾根の右端から堰堤へ出る枝尾根を下る。この尾根も滑る落ち葉さえ注意すれば問題はない。最後に尾根がふたつに分かれ、真ん中にあるポコへ出る。登ると下に堰堤が見えている。朝渡った堰堤の下流の堰堤だ。
さて、堰堤の上に下るか、下からも渡れそうだけど…と思案。先週の失敗を思い出す。地図には堰堤の上流はダム状の水溜りだが、実際は広い河原に幅1mほどの川が流れているだけ。ここなら確実に濡れずに渡渉できる。
すぐ河原に降り立つ。16時30分、なんとか闇下は免れた。
と、ザックを降ろしたとたん、「ストックが1本だけ!」
ちょっと戻ってあたりを探すが、姿がない。このストック、先日届いたばかりの新品なのだ。初山で初紛失、今年も前途多難ということだろうが、まあ「前途」があるだけありがたいことだろう。「上平寺」三角点への新年のお供え物ということで、お納めください。
駐車場に17時10分。
~びわ爺
古今東西、年末年始は何かと忙しいというのが定番。しかし、大掃除も、おせち料理作りも、家族旅行や帰省家族の世話にも、このところとんと縁遠くなった身を弄び状態で、なにもしないうちに三が日が終わってしまう。
いかん、いかん、初詣での替わりに初山詣でにでも出かけないと…と天気予報を確認すると、週末より月曜日が晴れマークだ。世間の現役世代のみなさんには申しわけないが、初出勤の日にこちらも始動することにしよう。
じつは心に秘めたるルートがあったのだ。対象は県下最高峰の伊吹山1377.3m。何度も登った山ながら、ほとんどが表参道かドライブウエーからで、東側からは2度目の挑戦。1度目は弥高からの尾根で、隣村の上平寺からは今回初めて。幾つになっても初めてというものには胸がトキメクものなのだ。
少し前、山日和さんのレポがあったはずなんだけど、探しても見つからない。ちょっとネット情報も覗いて頭にインプットしておく。
[color=#BF0000]【日付】2020年1月6日(月)
【山域】湖北/伊吹山
【ルート】上平寺川戸谷林道~ドライブウエー尾根~co1170台地(撤退)
【天候】晴れのち曇り
【メンバー】単独[/color]
関ヶ原ICから上平寺へは15分ほどで着いた。公民館の前の駐車場に停めさせてもらい出発準備。道路にはマイナス表示も出ていたが一帯に雪は皆無だ。
[attachment=6]P1062628.jpg[/attachment]
藤古川(河戸谷)に沿う林道を歩き、2つ目の橋を渡った少し先に大きな堰堤がある。ここが地形図にある破線路の入り口だろう。
河原に降り、難なく渡渉して植林の斜面に取り付く。放置林気味で道跡ははっきりしない。「面倒くさい!」と直登を試みるがco450m辺りまでの100mはいきなりのモンクラを強いられてしまう。やはり地図通り枝沢沿いにすすめばよかったのかも?
真っすぐ西へ降りてくる尾根はヤブもなく歩きやすい。が、老体の上に初動のハードワークが祟ってテンポが上がらない。シカの警戒鳴に引きずられ、見上げた左手の伊吹山頂に励まされるように、尾根の分岐に10時過ぎ。まあ、想定内ではある。
[attachment=5]P1062643.jpg[/attachment]
小休止の後、15分でドライブウエーに出た。ここからは前方に聳える伊吹山、後方には霊仙^御池岳を眺めながらのハイウェーハイク。予報通りの好天で、琵琶湖方面も眺望できる。
[attachment=4]P1062649.jpg[/attachment]
車道が迂回している▲899.0mの尾根に入りピークを通過。また車道に出て、今度はco900mの分岐から北西の尾根に取り付く。
足元の雪が繋がってきたのでチェーンスパイクを装着。手袋も例の手むれない?「青いヤツ」に付け替えて万全の雪対策である。
ここも尾根芯に林道跡のような幅広い道型が続く。が、斜度がきつくなってくると、道型は雪の中に消え、モミの幼樹が花崗岩のガレ斜面にバリケードを張っている。仕方ないので弱点を探しながら直登気味に登って行くが、青息吐息、10歩に1回休みと遅々と進まないのもやむを得ないのか…? 我が身の体力不足に自信も喪失気味。
[attachment=2]P1062702.jpg[/attachment]
なんとかco1170mの台地に到着。ブナの樹間越しに山頂台地の東端から左に山頂が望める。純白のドレスでドレスアップして微笑んで手招きしてくれる…のだが。
時計を見ればとっくに正午を回り、足元の雪は膝まで沈む。スノーシューでも持ってくれば話は別だが、もう限界。周回してたら山頂でお泊り必至になるかも(@_@;)
キッパリ決断して、ランチに。汗で背中が冷たくて、せっかく持参したアワワも持ち帰ることに。ポリシーには合わないのだが、安全とは天秤にかけられない。(なら、始めからもってくるなよ…との声も聞こえてきそうだけど)
[attachment=3]P1062687.jpg[/attachment]
ブナに囲まれたこの台地からは、白山や乗鞍、御嶽などのラインナップも望める。昼を過ぎてやや霞んできたが、すぐ近くに金糞岳も白い。伊吹と金糞、湖北の双壁、両雄、ライバルである。
[attachment=1]P1062726.jpg[/attachment]
おっと、油断してたらもう13時半。いくらピストンでもリミットを越えている。雪の踏み跡を辿りながら下るのは早い。でも。あのモミヤブは通りたくないなあ…。右手に蛇行している道型に入ってみる。はっきりしないが地図上の破線と思われるルートかも。
しばらく下ってGPSで確認すると西へ寄り過ぎている。トラバースして、来た尾根に合流し、ことなく車道へ出た。先ほどの尾根を下ると河戸谷の二股へ出るが斜度がキツそう。
ドライブウエーの蛇行地点はそのまま車道を歩く。養老、鈴鹿の山並を眺めながらの車道ハイクも捨てたもんじゃない。足元の凍結スリップに気をつけながらダラダラとco790mのヘアピンへ。
ガードレールを跨いで車道を離れ、尾根分岐までは15分間。右へ下れば往路の急斜面が待っている。と思うと、地図に破線が残る緩斜面を直進していた。広い疎林の尾根だ。道型はあるような無いような。
広い斜面の一画に石柱がある。△586.3mの四等三角点(上平寺)。周りに標柱も囲いも何もないなか、一軒家…ならぬポツンと三角点である。河戸谷右岸の尾根は上平寺城跡など京極氏の遺跡があり整備もされているのと比べ、点標名だけ「上平寺」を頂きながら、人に気づかれることもなく独りぼっちで佇む孤高の三角点に脱帽してお別れした。
[attachment=0]P1062753.jpg[/attachment]
この後、尾根の右端から堰堤へ出る枝尾根を下る。この尾根も滑る落ち葉さえ注意すれば問題はない。最後に尾根がふたつに分かれ、真ん中にあるポコへ出る。登ると下に堰堤が見えている。朝渡った堰堤の下流の堰堤だ。
さて、堰堤の上に下るか、下からも渡れそうだけど…と思案。先週の失敗を思い出す。地図には堰堤の上流はダム状の水溜りだが、実際は広い河原に幅1mほどの川が流れているだけ。ここなら確実に濡れずに渡渉できる。
すぐ河原に降り立つ。16時30分、なんとか闇下は免れた。
と、ザックを降ろしたとたん、「ストックが1本だけ!」
ちょっと戻ってあたりを探すが、姿がない。このストック、先日届いたばかりの新品なのだ。初山で初紛失、今年も前途多難ということだろうが、まあ「前途」があるだけありがたいことだろう。「上平寺」三角点への新年のお供え物ということで、お納めください。
駐車場に17時10分。
[color=#BF0000] ~びわ爺[/color]