【 日 付 】2019年12月29日
【 山 域 】水沢岳東尾根
【メンバー】2名
【 天 候 】晴れ
【 ルート 】宮妻峡~水沢岳東尾根~水沢岳~水沢峠~宮妻峡
2019年のラストはどこかなと考えていた。数ある候補の中から、最近上がったわりばしさんのレポに触発されてほぼ5年ぶりの水沢岳東尾根に決めた。久しぶりの後追いレポ。
新東名はもう何回も使っているが、四日市JCを越えて少し走ると大好きな風景が現れる。御在所と鎌ヶ岳の間のグッと高度を落とした武平峠を正面に、まるでこのまま峠に吸い込まれるように車を走らせる。この道が開通したおかげで鈴鹿へのワクワク感が増すようになった。
ここ数日でやっと冷え込みが始まったようで、鈴鹿の山なみにもうっすらと白いものが見え始めた。はたしてこれが薄雪なのか霜なのかベルグラなのか遠目ではよくわからない。ベルグラであれば厄介な山行になるかなと思いながら、12本爪アイゼン。新調した軽量のピッケル、これまた新調したヘルメットをザックに装着した。
宮妻峡も久しぶり。すでに3台ほど停まっている下段の駐車場を横目にさらに車をカズラ谷登山口まで進める。釣り師が2名の車が1台。禁漁期じゃないのかな?漁協自体がつぶれているのだろうか。
さて、入道ヶ岳への林道を歩く。右手にジャリヶ谷を見ながら10年ほど前に整備されたはずのジャリヶ谷林道の荒れ具合に目を丸くする。沢登りで入った頃はこの林道の完成のために切り倒された杉ヒノキが、沢に放り込まれるような惨状を目にして嘆いたものだった。その林道も路面がえぐれて林道の用をなさないような情景だ。来シーズン蛭の少ないころに入ってみるか。
これまた沢登りの対象谷、中谷を越えたあたりで斜面に取りつき、独標760mを目指す。
杉の杣道をジグザグに歩き出すと立派な石垣が現れる。かなりの巨岩でしっかりと見た目も良く築かれている。労働力の力強さがその石垣から感じられる。水沢鉱山の作業場跡なのだろう。わきの斜面をジロジロ見渡してみるが坑道らしき後は見当たらない。水銀による鉱毒もあったとの記録をどこかで見た。
杣道のジグザグからやがて小尾根の直登となるころには息が切れてくる。かなりの斜度になってきた。
独標760mは伊勢湾側が開ける展望の良い場所だ。数日前に降ったのだろうかシャーベット状の雪の名残が点在していた。
だんだんと水沢岳の山頂がそそり立ってくる。雪もしっかり付いてきた。やがて鎌尾根の展望が良くなるあたりから花崗岩との格闘になってくる。
5mmほどの残地ロープを手掛かりに体を上げたり、岩と同化した錆びたハーケンを見つけて、使えないよなとか思いながら、残地の無いところは巻いてみたり、ルートファインディングしているうちに積雪で足元がやばくなってきたので、わずかに平坦になった場所で12本爪アイゼンを装着しハーネスを付けた。
大岩を回り込み一旦ルンゼに下降する。懸垂下降一発。そのあとは残地ロープを頼りにベルグラ気味のルンゼを登る。もっと積雪があればピッケルの出番となりそうなルンゼだ。
相変わらずのルートファインディングの連続で、あっち行ったりこっち行ったりとか、少ないとはいえテープにも導かれながら巨岩スラブの横断になってしまった。
最初は岩の上の出っ張りにシュリンゲをかけて振り子トラバースを試みるも、シュリンゲが回収できずにやり直し。
長めのセルフビレイを取って、横に走るクラックに前爪を突っ込んで対岸の木の枝をグイっとつかんで何とか越える。カムでも持ってくりゃA0大好き人間としてはもっと楽なのだろう。次回来るときは持参しよう。
次から次へと花崗岩の攻撃を受け、かわし高度を上げていくと、入道、雲母、鎌、鎌尾根、伊勢湾を見渡す空中登攀の感覚となってきた。
遠くには白く御嶽、乗鞍、恵那山が見える。
御在所に集中しがちな岩遊びも、ここ水沢岳東尾根ではマイナーであるがゆえに、未整備でルートファインディングの力がいる。それゆえに面白い隠れたビッグネームの尾根になっていくのだろう。
やがてわずかに台地上になって穏やかな地形になると水沢岳は目の前だ。
チリトマトのカップラーメンBIGと塩大福を食べて帰路につく。帰路はあっさりと水沢峠経由。
峠直下の氷瀑がすごく素晴らしいところがあるのでそれを見たかったのだが、氷は皆無。2月ごろ来てみようか。
2019年はいろいろあった。これでなんとか締めくくりの山行となった。
つう