前回は千秋方面でブナの晩秋の森を歩いたな。
今回はもう少し季節を巻き戻して・・・
気になっていた若丹(みなさん知ってました?「じゃくたん」と読みます)国境を偵察に行くか。アプローチも古道歩いて(鯖街道ならいいなと思っていたら鯖街道でした)。
【日付】2019年11月21日(木)
【山域】若丹国境
【メンバー】あめちゃん(単独)
【天候】曇り~晴れ
【ルート】堂本登山口9:05~上部登山口10:50~水舟11:21~知井坂11:32~八ガ峰11:51~染ガ谷分岐(ランチ)(12:15~12:50)~Co708(引き返す)13:30~家族旅行村15:10~登山口(車)16:00
名古屋から名神で小浜に向かう。
途中で電光掲示板が『関ヶ原~米原工事通行止め』と。
『んっ?どういうこと?』
どうも昨日と今日、夜間通行止め(20時~6時)。養老SAで時間をつぶす。関ヶ原手前も工事渋滞・・・かなり遅くなるなぁ、まあ、いいか。
こちらはさっきまで雨が降っていたらしく、路面が濡れている。
登山口近くで、場所がわからなくて車でウロウロ。散歩をしている妙齢のご婦人に聞いてみる。
「あんた、さっきからグルグルしてるね(目立ちますからこの車)。登山口?もう一つ上の集落だよ。ケドあんたはさらにその先の家族旅行村から登ったほうがいいよ、手前はキツイよ。まあ、私は昔登ったけど」
何とか無事堂本登山口へ。いきなり味がある古道の尾根歩き。雨は止んでいるが梢からときどきポタポタ。濡れている足元の落ち葉のじゅうたんは、サ行とカ行の軽快な『シャクッ、シャクッ』からザ行とカ行の少し重めの『ザクッ、ザクッ』に変わっている。登山道と違って、楽に楽に作られています。しかもそれだけ歩かれているのか、深くえぐれてV字谷のよう。深いところだと3mくらいか。ヒトが歩くだけでこんなになるのかなぁ?
やがて林道と交差すると、その先の登山道は林道化されていて少々興ざめ。その先で車止めがあり正真正銘の登山口になる。相変わらず道は快適に進む。視界が開けてきた。Co400m当たりが紅葉がなかなか良い。徐々に高度を上げるとブナが増えてきて、落葉しているがよさげな雰囲気。展望が効くところは大体その視界に電線鉄塔が入る。
- 紅葉あるところに鉄塔あり。もう鉄塔込みで構図考えます(福井側の鉄塔は、環境調和で茶色とのこと)
発電王国福井、しかもここはおおい町。仕方ないのかな。しばらく行くと、前からクマ鈴の音が、一人降りてきた。
「こんにちは、お仕事ですか?」
「こんにちは、お仕事です、関西電力です」(たしかにヘルメットのマークが)
「何やってるんですか?」
「この上の鉄塔にペンキ塗ったり。車から鉄塔まで1時間20分かかりました」
みると、ディパック1個。こんな軽装でペンキ塗り?筆でタッチアップ程度なのか?
別れて少し行く(しまったぁ、せっかくなんで電線がどこまで行くのかきけばよかった、長年気になっている疑問が)と、ポタポタ湧水が増えてきた。よしよし、これなら稜線でテントはれるな、調査順調と思い歩いていたら、その先の湧水のところに石でできた水舟が。よく見ると享和2年と彫ってある。ここまで担ぎ上げたんだ、スゲェー。
- いつまでも残ってほしいものです
じき知井坂へ。ここから先は京都だ。このさきに昔泊まった、美山の茅葺の家があるんだなぁ。今日は尾根歩き、きゅっと左に曲がって八が峰を目指す。途中で鉄塔に。その下で一人作業風の人が座っている。これはチャンス。
「こんにちは。この鉄塔の電線、どこからどこまでいくんですか?」
「この電線は実は長い。富山から大阪までです」
「えっ、じゃあ、黒部の水力発電の電気を大阪まで?」
「詳しくは知らないけど、黒部から大阪まで。だからこの鉄塔(電線)を通称大黒部線と呼んでます」
それで途中で鉄塔巡視路の看板にやたら手書きで「大黒」と書いていたのか。
- 巡視路には手書きで『大黒』と
あとで調べたら日本最長らしい。
そしてやたら上でカチンカチンと金属的な音がするので見上げたら、なんとはるか上でペンキを塗っている。しかも4人。思わず、
「これ、手作業でやるんですか?」
そりゃそうだろう。福井側にも京都側にも延々と鉄塔はつながっている。お疲れ様です・・・。
- 思わず真下から見上げてたら『危ないから早く行って』
頂上について展望はいいものの、残念ながら不勉強、海と白山しかわからない。
- 白山があるおかげで遠くまできた感じがします
風が強く寒い。この先の鞍部でヒルメシにしようと先を急ぐ。
と、登ってくる集団が。少々高齢の方たちだ。
「多いのですいませんね」
「大丈夫です、テキトーにかわします」
ホントに多かった、小規模な大名行列みたい。
鞍部で風をよけてヒルメシ。ここから先の尾根はなだらかな広がりが福井側に張出し気持ちのいいブナの森が続く。
- のっぺりとした落ち葉歩きは、ここまで来たご褒美
なるべく登山道を避けて避けて。フト左のブナの倒木に違和感を感じ目がすい寄せられる。おお、シイタケだしかも群生。ああ、ただチト高いところに。見るだけにするか。
- ニッポンの秋(©キンチョー)
それ以外に目立ったのはクリタケ。
- ホントに栗のようなかわいいキノコです
晩秋の里山歩きをキノコで体感する。
しばらく上下しながら歩くと植林が増えてきた。ホントは五波峠まで行って戻ってくるつもりだったが、やめよう。さっきの森をもっと堪能しよう。引き返すとじきさっきの集団の先頭が。
「集団先頭5人組女子です」こちらは少々寒いくらいだが彼女は汗でビッショリ。
「堂本からの道はどうでした?」
「よかったですよ、途中の林道はう~んだけど、鯖街道は歩いて楽しいですね」
「今度歩こうかしら」
「私はさっきの鞍部から家族旅行村に降ります」
「そこは昔歩きました、いいところですよ」
(ただそこから車までは5㎞の舗装道路歩きがある)
「もし途中で私を見つけたらバスに乗せてください」
先方の女性、無言でニッコリ笑って、手をグーパーグーパー
私には(『あいよ、まかせときぃ』)と聞こえました。
家族村へ降りる道も昔の生活道か、かなり歩きやすい。
傾斜を見ると、生活道と登山道は何となくわかりますよね。
最後は少々強引に斜面を下りると家族旅行村にドンぴしゃで軟着陸。こんなに素晴らしい施設なのに無人だ・・・。
顔を洗ったりしながらのんびり待つがなかなかやってこない。
まあ歩くか、と歩いたら車についてしまった。着替えて中でゴソゴソしてたら、すごいスピードでマイクロバス2台が下に降りて行った。
『ずいぶんゆっくりだったんだ。ケド、あのスピードじゃ、手をあげても止まってもらえんなぁ、キット』
小浜まで来たら鯖の塩焼き定食。行きつけの店に急ぎます。
ああ、なのに、ああ。店があったアーケードはまさに解体中。お店は更地に・・・。
ああ、オレの思い出の焼サバ定食が、ホントの思い出に・・・・
あきらめて有名店で鯖寿司購入。・・(まぁ、これもおいしかったけど)
小浜インターの道の駅にも寄ってサトイモ購入。あれ?ここは?スノー衆の秘密の会合場所ではないか。Kasayaさんが車の中で寝るのは寒い、とぼやいていたなぁ、あのときは。
福井を知る、パート・・・いくつだっけ。
一日で去るのはもったいないけど、いいとこどりで堪能できた一日でした。
さあ、米原インターが通行止めになる前に通過しないと。
あめちゃん