【 日 付 】2019年9月30日(月)
【 山 域 】 御岳
【メンバー】単独
【 天 候 】晴れ
【 ルート 】開田登山口6:10>三ノ池8:52>開田頂上>継子岳10:56>飛騨頂上>三ノ池>登山口14:43
5年前のあの日、私は御岳を目指してひと気のない開田道を登っていました。7合目の避難小屋跡でランチ休憩を取っていると晴れていた空が急に雲って黒い雨が降ってきました。最初は何が起こったのか分かりませんでしたが、周りがすべて黒く覆われていくのを見て確信しました。「御岳が噴火したのだ!」と。登山を諦め下山する外ありませんでした。
今、開田道はどうなっているのだろうとヤマレコを検索したら今年の夏のレコが一件出てきました。ルートは噴火後に手を入れられた跡があり何とか使えるようです。5年前の続きをやり直してみましょう。今回はお天気や日程の都合で日帰りになるので剣が峰は諦め継子岳を目指します。
9月29日(日)午後5時に鈴鹿の自宅を出発。三岳道の駅で車中泊をしました。翌朝5時15分に出発し登山口に向かいました。マイアスキー場の手前にある大きな登山地図の看板のところから林道に入りました。別荘地を過ぎると未舗装路になりますが、普通車でも入っていけます。小さな駐車スペースに他車はいません。
6時10分、登山口を出発。立派な看板や標識が出ていますが、このルートの利用者は殆どいません。心配なのは熊です。熊鈴や撃退スプレーもあった方がいいでしょう。どちらも用意しなかった私は前方に気を配りながら進みます。
薄暗い樹海の中には噴火後にかけ替えられた木道が沢山設置されています。以前の丸太を組み合わせたものよりはましですが、濡れていると滑りやすく注意が必要です。
半時間ほどで樹海の中にある5合目を通過。
苔むした樹海を抜けだし明るくすっきりした尾根筋に出ました。6合目までフラットで歩きやすい尾根が続きます。
6合目を過ぎると多少傾斜が増しますが、普通の登山道です。
出発して2時間で7合目の避難小屋跡に着きました。小屋は取り壊され広場だけが残っています。
広場には白玉ダンゴみたいな花が沢山咲いていました。その名はずばりシラタマノキだそうです。
ゴゼンタチバナは赤い実を付けています。
針葉樹ばかりだったルートには広葉樹が増えてきて黄葉を輝かせていました。7合目を過ぎるとルートは怪しくなってきます。細いガレ谷やその脇道を登るのですが、谷を塞ぐ枝を跨いだり潜ったりして登っていきます。
藪っぽいルートに辟易しそうな時、前から賑やかな人の声が聞こえてきました。老々男女10人ばかりのグループが降りてきました。週末でも人に出会うことはめったにない所なのでびっくりしました。聞けば前日五ノ池小屋に泊まって今日は麓の木曽温泉まで歩いてタクシーを呼ぶということです。8合目付近はヤブっぽいと書きましたが、実は下山の時慎重に下ったらガレ谷の左右どちらかにほとんど脇道が付いていて枝をかき分けたりする必要はありませんでした。
高度が上がると徐々に紅葉が深まってきます。
振り返ると下のゴンドラ駅も見えてきました。
紅葉具合はどんどん良くなってきます。
赤と黄が入り混じって正に錦秋の眺めです。
9合目に着きました。開田道は三の池が終点10合目なのでぬか喜びはできませんが、ここまで来れば後は適当に引き返してもオーケーです。
殆ど人の入ってないルートですが、紅葉見物に関しては一番いいところではないかと思います。
ガレ混じりの斜面を登っていくのですが、噴火後にもペンキマーカーが書き加えられたせいかマーカーだらけでした。草付き斜面は一般道のように深く掘れておらず細い踏み跡があるだけなので夏場に草が伸びると不明瞭になるかもしれません。
三ノ池が近づき御岳ワールドが迫ってきました。正面に見えるのは賽の河原東のアルマヤ天です。奥には剣が峰も見えています。
8時52分、三ノ池に着きました。避難小屋の様子を確認すると入口扉が撤去され中はロープや資材で一杯でした。板張りの部分は一人が横になるのが精一杯です。以前のように緊急避難させていただくのは難しそうです。
一休みしたら東周りで開田頂上へ進みます。
東から眺める三ノ池も綺麗ですが、西から見下ろす方が天空に浮かんでいる感じがしていいですね。草紅葉の赤もアクセントを添えています。
開田頂上に登ると四ノ池の巨大なすり鉢となだらかな継子岳が見渡せます。
継子岳2峰は岩場もあって男性的な姿です。四の池も東周りで巡りましょう。
四の池に集まる水は全部東の滝から落ちていきます。日本最高所の滝は賽の河原の西斜面にあるそうですが、この滝も同じくらい標高が高いし四ノ池から直接落ちていく姿はギアナ高地のエンジェルフォールみたいで面白いです。大サービスで落口まで行ってみましたが、危険なので真似しないでください。
継子岳2峰の岩場はかなり険しいところですが、ペンキマーカーがいっぱいあって、その通り進めば安全に登れます。
2峰にも小さな祠が設置されています。
継子岳にはゆるゆる登っていくだけですぐに着きます。
10時56分、継子岳に到着。乗鞍岳の頭が雲間に見え隠れする以外は雲海に沈んでいて北アルプスも中央アも見えませんでした。おにぎりとハンバーガーでランチにしました。
ランチを済ませたら五ノ池小屋に向けて出発しました。正面に見える摩利支天山に登る時間はないので眺めるだけにしましょう。
五ノ池小屋はテラスも新調されて賑わっているようでした。
ハイマツの松かさが固まって落ちているのはホシガラスが集めたものでしょうか。松かさのすき間を啄んで中の実を食べ寒い冬に備えて脂肪を蓄えるのです。
さぁ、紅葉も見たし継子岳にも登った。往路を引き返して下山しましょう。
14時43分、登山口に戻りました。
噴火から5年を経て御岳の登山者はかつてのように増えてきたようです。紅葉時期などは人をかき分けて登る必要があるかもしれませんが、開田道ならその心配はまったくありません。ただし熊さんだけは気を付けてください。