前回,野江股谷に行った記録を見ると2016年4月2日になっている。たろーさんとmichiさんの3人で行ったのだが,途中,冷たい雨が降り始め,山菜闇天会場に午後3時までに着かないといけないという制約もあり,途中の崩壊地でエスケープしたのだった。蓮周辺の主だった谷はほぼ歩いたのだが,野江股谷だけ中途半端な状態だったのでいつかは行かねばと思っていた。
8月24日から2週間ほどイランに出張で,帰国後数日置いて中国に2週間出張する予定なのだ。海外出張前に単独で沢などに行って,万が一事故でもあると多くの人たちに迷惑がかかることになるので,沢行きを躊躇していた。しかし,この日を逃すとあと2ヶ月ほどは山に行けないので,どこか簡単な癒し渓に行くことにしようか。絵馬小屋谷を五所ヶ滝を見学して引き返す。ヌタハラ谷。木屋谷川の前回の続き・・・など色々考えて,結局,野江股谷に行くことにした。野江股谷って,ぜんぜん癒し渓じゃないんだけど・・・「まあ,危ないことをしなければ大丈夫だよ」という悪魔のささやきに乗っかって行くことにする。考えていることと,実際にやっていることが違うというのが昔からの私流なのである。
【 日 付 】2019年8月21日(水)
【 山 域 】台高 櫛田川水系 蓮川
【メンバー】単独
【 天 候 】晴れ
【 ルート】 絵馬小屋林道終点 7:31 --- 7:51不動滝 --- 8:46 鶴小屋滝 --- 8:59 杣道交差 --- 9:53 崩壊地 10:28 --- 11:03 co 810m分岐(左俣へ)--- 11:38 CS12m滝(左俣へ)--- 12:06 昼食 12:44 --- 12:58 ナンノキ平 --- 14:24駐車地
先日の雨で絵馬小屋林道がどうなっているのか心配だったのだが,何事もなく林道終点まで来ることができた。水量はやや多めだが,遡行に支障になるほどではない。ロープを使わなければ登れないような滝が出てきたら,回避するという硬い決断の元,基本的にロープは使わないことにするが,何が出てくるかわからないので,ロープやカムなど一通りの装備は持っていく。最近の単独行では,ハーネスもカムもないお気楽沢行だったのだが。
大岩が積み重なる沢をしばらく歩いて行くと右に屈曲したゴルジュの奥に不動滝15m。この滝は泳がないと見ることができない。単独でこんな深い淵を泳ぐのは怖いので即却下。右岸の岩を上ってみると不動滝の一部が見えた。その上流にはイガミ滝12mが見えている。
- 不動滝とイガミ滝
前回はここからロープを出して危険なトラバースをしたのだが,今日はそんな危険なことはしない。岩から降りて下流に少し戻り,ゴルジュの切れ目から上に登っていく。沢屋の巻道になっているのだろう,人が歩いた痕跡がある。岩嵓に上に上に追い上げられて行くと杣道に出た。絵馬小屋林道から滝見尾根に上がっている登山道だろう。
杣道に導かれ,イガミ滝の落ち口を過ぎたあたりで,谷に戻ることにする。谷の上6mほどがハングした壁になっているので,懸垂で降りることにする。斜め懸垂になっていたらしく,ハングの部分にでてフリーになった途端にロープが横に振られた。「いけない!壁に激突する!!」と覚悟したが,幸い背中のザックがクッションになって何事もなかった。「やれやれ,気をつけないと!」。
- イガミ滝落ち口
これですっかり弱気になる。なにせ降りたところがハングした岩壁の底である。登り返すことはできないし,この先に登ることができない滝が出てきたら万事休すである。万が一の時のために右岸の杣道へのエスケープルートを確認しながら進んでいくが,幸いなことに登れない滝は出てこなかった。
しばらく行くと鶴小屋滝8m。トイ状になった岩壁を水が螺旋状に落ちている。絵馬小屋谷の五所ヶ滝のミニチュア版みたいなもんである・・・と書いては鶴小屋滝に失礼かもしれない。これはこれで立派な造形の滝である。
- 鶴小屋滝
鶴小屋滝を左岸から巻くとすぐに鶴小屋滝のミニチュア版のような滝。この滝はまだ螺旋状にはなっていない。5m滝を越えると右岸から杣道が横切っている。横切った先の左岸側にはトラロープ。そのうち,この杣道がどうつながっているのか歩いてみたいものだ。
- 崩壊地手前の美しい10m滝
さらにいくつか滝を越えていくと美しい10m滝。この滝は右岸の斜面を巻くが,滑りやすくていやらしかった。今回の遡行で一番怖かったかもしれない。この10m滝を越えると崩壊地。左岸の斜面が大きくえぐれ,谷が土砂で埋め尽くされている。過去の記録を見るとこの下に幾つかの美しい滝があったらしいが,すべて埋まってしまっている。これだけ大量の土砂に埋められては将来もとどおりになることはないだろう。ゴルジュの谷なので日はほとんど当たらないが,この崩壊地だけは日当たりがよく,日焼けしてしまいそう。
- 崩壊地
崩壊地が終わるとまたゴルジュが始まるが,滝自体は大人しくなる。ゴルジュ内の2m滝の前には泳がなければならない淵があると沢ナビに書いてあるが,埋まってしまったらしく泳がなけらばならない淵はなかった。
- 崩壊地上流のゴルジュ
co810m付近の二股を左俣に入る。ゴルジュ内の6m滝は左岸巻き。さらにco1010m付近の二股で左俣からCS12m滝が落ちるが,ここは一旦本谷を少し登り,岩壁が切れたあたりで折り返すと簡単に巻くことができた。
この後は谷はすっかり大人しくなり,幾つかの小滝を快適に登り,上にナンノキ平の稜線が見えるあたりで昼食にする。海外出張を目前に控えて,登り始めはナーバスになってしまったが,何事もなくここまで上がってくることができて幸いだった。目の前には,大岩の上に薄く積もった土に根を張った根性ブナが見えている。
- 根性ブナ
コンビニおにぎりだけの簡単な昼食を終え,ナンノキ平の大ミズナラにご挨拶。主幹は折れてしまっているが,側枝はまだ元気で葉を茂らせている。その後は歩き慣れた登山道を絵馬小屋林道終点まで降りる。高度が低くなるにつれて暑くなり,絵馬小屋谷出会いで全身を流れにつけてクールダウンする。
- ナンノキ平のミズナラ大木
歩き始めはかなりナーバスになっていた沢登りだったが,無事に登りきることができて達成感十分である。いい1日を過ごすことができて満足満足。翌日は珍しく太ももに筋肉痛がおきた。
前回,野江股谷に行った記録を見ると2016年4月2日になっている。たろーさんとmichiさんの3人で行ったのだが,途中,冷たい雨が降り始め,山菜闇天会場に午後3時までに着かないといけないという制約もあり,途中の崩壊地でエスケープしたのだった。蓮周辺の主だった谷はほぼ歩いたのだが,野江股谷だけ中途半端な状態だったのでいつかは行かねばと思っていた。
8月24日から2週間ほどイランに出張で,帰国後数日置いて中国に2週間出張する予定なのだ。海外出張前に単独で沢などに行って,万が一事故でもあると多くの人たちに迷惑がかかることになるので,沢行きを躊躇していた。しかし,この日を逃すとあと2ヶ月ほどは山に行けないので,どこか簡単な癒し渓に行くことにしようか。絵馬小屋谷を五所ヶ滝を見学して引き返す。ヌタハラ谷。木屋谷川の前回の続き・・・など色々考えて,結局,野江股谷に行くことにした。野江股谷って,ぜんぜん癒し渓じゃないんだけど・・・「まあ,危ないことをしなければ大丈夫だよ」という悪魔のささやきに乗っかって行くことにする。考えていることと,実際にやっていることが違うというのが昔からの私流なのである。
【 日 付 】2019年8月21日(水)
【 山 域 】台高 櫛田川水系 蓮川
【メンバー】単独
【 天 候 】晴れ
【 ルート】 絵馬小屋林道終点 7:31 --- 7:51不動滝 --- 8:46 鶴小屋滝 --- 8:59 杣道交差 --- 9:53 崩壊地 10:28 --- 11:03 co 810m分岐(左俣へ)--- 11:38 CS12m滝(左俣へ)--- 12:06 昼食 12:44 --- 12:58 ナンノキ平 --- 14:24駐車地
先日の雨で絵馬小屋林道がどうなっているのか心配だったのだが,何事もなく林道終点まで来ることができた。水量はやや多めだが,遡行に支障になるほどではない。ロープを使わなければ登れないような滝が出てきたら,回避するという硬い決断の元,基本的にロープは使わないことにするが,何が出てくるかわからないので,ロープやカムなど一通りの装備は持っていく。最近の単独行では,ハーネスもカムもないお気楽沢行だったのだが。
大岩が積み重なる沢をしばらく歩いて行くと右に屈曲したゴルジュの奥に不動滝15m。この滝は泳がないと見ることができない。単独でこんな深い淵を泳ぐのは怖いので即却下。右岸の岩を上ってみると不動滝の一部が見えた。その上流にはイガミ滝12mが見えている。
[attachment=7]P8210012.jpg[/attachment]
前回はここからロープを出して危険なトラバースをしたのだが,今日はそんな危険なことはしない。岩から降りて下流に少し戻り,ゴルジュの切れ目から上に登っていく。沢屋の巻道になっているのだろう,人が歩いた痕跡がある。岩嵓に上に上に追い上げられて行くと杣道に出た。絵馬小屋林道から滝見尾根に上がっている登山道だろう。
杣道に導かれ,イガミ滝の落ち口を過ぎたあたりで,谷に戻ることにする。谷の上6mほどがハングした壁になっているので,懸垂で降りることにする。斜め懸垂になっていたらしく,ハングの部分にでてフリーになった途端にロープが横に振られた。「いけない!壁に激突する!!」と覚悟したが,幸い背中のザックがクッションになって何事もなかった。「やれやれ,気をつけないと!」。
[attachment=6]P8210018.jpg[/attachment]
これですっかり弱気になる。なにせ降りたところがハングした岩壁の底である。登り返すことはできないし,この先に登ることができない滝が出てきたら万事休すである。万が一の時のために右岸の杣道へのエスケープルートを確認しながら進んでいくが,幸いなことに登れない滝は出てこなかった。
しばらく行くと鶴小屋滝8m。トイ状になった岩壁を水が螺旋状に落ちている。絵馬小屋谷の五所ヶ滝のミニチュア版みたいなもんである・・・と書いては鶴小屋滝に失礼かもしれない。これはこれで立派な造形の滝である。
[attachment=1]P8210031.jpg[/attachment]
鶴小屋滝を左岸から巻くとすぐに鶴小屋滝のミニチュア版のような滝。この滝はまだ螺旋状にはなっていない。5m滝を越えると右岸から杣道が横切っている。横切った先の左岸側にはトラロープ。そのうち,この杣道がどうつながっているのか歩いてみたいものだ。
[attachment=5]P8210058.jpg[/attachment]
さらにいくつか滝を越えていくと美しい10m滝。この滝は右岸の斜面を巻くが,滑りやすくていやらしかった。今回の遡行で一番怖かったかもしれない。この10m滝を越えると崩壊地。左岸の斜面が大きくえぐれ,谷が土砂で埋め尽くされている。過去の記録を見るとこの下に幾つかの美しい滝があったらしいが,すべて埋まってしまっている。これだけ大量の土砂に埋められては将来もとどおりになることはないだろう。ゴルジュの谷なので日はほとんど当たらないが,この崩壊地だけは日当たりがよく,日焼けしてしまいそう。
[attachment=4]P8210064.jpg[/attachment]
崩壊地が終わるとまたゴルジュが始まるが,滝自体は大人しくなる。ゴルジュ内の2m滝の前には泳がなければならない淵があると沢ナビに書いてあるが,埋まってしまったらしく泳がなけらばならない淵はなかった。
[attachment=3]P8210071.jpg[/attachment]
co810m付近の二股を左俣に入る。ゴルジュ内の6m滝は左岸巻き。さらにco1010m付近の二股で左俣からCS12m滝が落ちるが,ここは一旦本谷を少し登り,岩壁が切れたあたりで折り返すと簡単に巻くことができた。
この後は谷はすっかり大人しくなり,幾つかの小滝を快適に登り,上にナンノキ平の稜線が見えるあたりで昼食にする。海外出張を目前に控えて,登り始めはナーバスになってしまったが,何事もなくここまで上がってくることができて幸いだった。目の前には,大岩の上に薄く積もった土に根を張った根性ブナが見えている。
[attachment=2]P8210099.jpg[/attachment]
コンビニおにぎりだけの簡単な昼食を終え,ナンノキ平の大ミズナラにご挨拶。主幹は折れてしまっているが,側枝はまだ元気で葉を茂らせている。その後は歩き慣れた登山道を絵馬小屋林道終点まで降りる。高度が低くなるにつれて暑くなり,絵馬小屋谷出会いで全身を流れにつけてクールダウンする。
[attachment=0]P8210103.jpg[/attachment]
歩き始めはかなりナーバスになっていた沢登りだったが,無事に登りきることができて達成感十分である。いい1日を過ごすことができて満足満足。翌日は珍しく太ももに筋肉痛がおきた。