【日付】2019年6月18日(火)
【山域】両白山地/三周ヶ岳
【ルート】広野ダム~夜叉ヶ池~三周ヶ岳(ピストン)
【天候】晴れのち曇り
【メンバー】単独
梅雨の晴れ間も、そう何度もないだろう。(…って、近畿地方は梅雨入りしてたっけ?) そのうち、大雨の日ばかり続くだろうから、今のうちに山へ行っておこう…と思ってたら、以心伝心、今週半ばは好天になりそうや!
江越美3国のほぼ交点に位置する「三周ヶ岳」は、雨乞伝説の夜叉ヶ池北隣りのメジャーな山なのに、恥ずかしながら未踏なのだ。「夜叉ヶ池の周りにニッコウキスゲが…」とかのレポがあった気もする。行くなら今!
これまで何度か付近の山から稜線を眺めていたが、足を踏み入れる機会がなかった。なんだかヤブっぽい。岩場の急登も危険そう…(@_@。そんなイメージ。でも、一度くらい訪ねてみたいものだ。
広野ダムから夜叉ヶ池へは、登山道が整備されている。登山口の鳥居前広場に着くと、すでに車でいっぱい。「平日なのに…。リタイア族のツアー?」と思っていると、何だか様子がヘンだぞ? 白いヘルメット姿、ハーネスも付けた10数人集団。どっかの山岳会の沢登りか?
そっと、聞いてみたら、なんと行方不明者の捜索だって! よく見たらパトライトを屋根に乗せた警察車が停まっている。なんでも家族から要救があった不明者は2、3日前から帰ってこないらしい。
あ~あ、なんやら出鼻をくじかれたなあ~、上げた足元を掬われた感じで、ひっくり返りそうになる(@_@。
我が身への警告と受け止めて、忘れ物がないようゆっくり携行物を確認しながら仕度する。
9時過ぎ、捜索隊の出動を待って、あとに付く。
彼らはすぐ登山路から沢に懸垂下降していったが、後追いはできない。おとなしく登山路を進む。
渡渉点の橋が新しくなっていた。大トチの先から沢筋を離れ尾根に取り付くが、地形図の破線とは少し違っている。コアジサイやウツギの花をカメラに収めたり、池まで1500m、1000m、500m…の標示板を確認しながら、夜叉ヶ池に11時過ぎ。
先客は食事中の男女ペア、単独男性の3人。それとなく聞いてみるが、これ以上先へ行く人はいないようだ。返事はみんな、「だって、ヤブでしょう?」
だれか一人くらい三周ヶ岳まで行く人がいるんでは? との思いは甘かったのか。
- 天敵のイモリが集合中
木道から池を覗き込んでヤシャゲンゴロウ(絶滅危惧種)を探すが、いるのは天敵のイモリばかり。因みに、この池の3大生物はヤシャゲンゴロウ、イモリ、モリアオガエル。天敵イモリはヤシャゲンちゃんの幼虫を襲うのだが、同時期にモリアオちゃんのオタマが池に落ちてくるので、「こっちの方がウメーや!」と目移りして、ヤシャゲンちゃんは助かるのだと、案内説明板に書いてあった。しかも、大人のヤシャゲンちゃんは弱ったイモリに逆襲して食ってしまうというからコワイ!
う~ん、いずれにせよモリアオちゃんの「献身」で成り立つ生態系ってことか…。このバランスが崩れると、ヤシャヶ池はオシャカ池になってしまうのだろう(@_@。
- ニッコウキスゲとイブキトラノオ
池畔の木道から峠に出ると、美濃側の池ノ又谷を見下ろせる。登山道の脇にニッコウキスゲやアザミ、イブキトラノオなどの花が迎えてくれる。鬱蒼とした奥越側と日差しが明るい美濃側の対照的な陰陽が際立つ風景である。
さてと、ここからは初めて踏み入れるエリア。池から見えている最初のピークまではすぐだ。ヤブといっても道型の両サイドから雑木の枝葉が被さってくるくらいなので問題はない。
- 三周ヶ岳(左)~能郷白山(中央奥)~高丸(右)
二つ目の大きなピークco1230で一息。10mほどの広場になっていて眺望もよく、休憩の適地。三周ヶ岳への稜線がクッキリ見える。山名がないのがかわいそうなくらいだ。
進むほどにヤブは濃くなる。灌木、ササが交互に、時に混じって行く手を阻む…というと大袈裟だが、これだけ続くといい加減イヤになってくる。
co1250で県境尾根が左へ外れていくが、こちらは直進なので、いつの間にか通り過ぎていた。足元の道型さえ外さなければ迷うことはない。
- 山頂
いくつかのピークを越えて、最後の登りをこなすとササの中から山頂広場へ飛びだす。やっと着きました!という感じ。池を出たのが11時過ぎ。ネットで見たレポでは池から1時間程度のタイムが多かったので、「昼までには着けるかな?」と思っていたが、ちょうど2時間。なんとまあ、2倍もかかっている。これが今の私の実体力なんだろう。
この時期、日は長いから心配はない。周りに障害物は少ないのだが、あいにく空は雲が多く、遠くはやや霞んで眺望は良くない。ま、とりあえずはランチ休憩だ。
14時、帰路へ。登りは4時間だったので、下りは3時間くらい? あまり時間の余裕はない。
泳ぐようにヤブを分けて進む。「確かに下りは楽だなあ…♪」なんて言っておられるのは最初だけ。やがて、疲れた足が攣りそうになり、息が切れて小さな登り返しも四苦八苦である。
co1230ピークで一服した後、岩尾根を用心しながら下る。慌てちゃいけない、頼れる介護人がいない単独行は、とにかく慎重第一!
- 夜叉ヶ池
池に着くとさすがに静まり返っている。ヤシャゲンちゃんに挨拶する時間も残っていないので、給水だけしてスル―。ここからはヤブから解放された登山路だ。痛み出したヒザをかばいながら、無心でひたすら下るのみ。
神社の駐車場には自分の車1台だけ。想定通りとはいえ、もう17時を回っている。
汗だくのシャツを着替えて、大カツラに無事帰還の挨拶してから帰路に着く。
あの不明者、見つかったかなあ…。
~biwa爺