元越谷は鈴鹿山脈南部の鎌尾根から宮指路岳あたりの稜線の西面(滋賀県側)を水源とする谷である。花崗岩でできたエメラルドグリーンの淵と渓谷は美しく、鈴鹿の宝石箱と称されることもある。遡行難度は高くないので、沢初心者の訓練の場ともなっている。ちなみにここは私の沢デビューの地でもある。ここを初めて歩いて沢好きにならなければ沢登りは諦めた方が良いかもしれない。梅雨の晴れ間の木曜日、久しぶりに元越谷を一人でのんびり遡行しようかと思い立った。
【 日 付 】2019年6月13日(木)
【 山 域 】鈴鹿・西面
【メンバー】単独
【 天 候 】薄曇りのち晴れ
【 ルート 駐車地 8:05 --- 8:35 入渓地 --- 9:05 元越大滝 --- 9:41右俣分岐 10:18 --- 左俣 --- 12:18 鎌尾根P1028 13:29 --- 左俣右谷 --- 14:12 左谷出合 --- 14:31 林道 --- 15:30 駐車地
大河原橋を渡ってすぐの路肩に駐車する。林業作業のため林道は通行禁止の立て札があるが、ここなら支障になることはあるまい。8時過ぎ出発。今日はのんびり沢散歩の予定なので,ハーネスもロープもなし。ハーネス代わりのスリングと補助ロープ20mを持っていく。周りの植林は綺麗に間伐され,明るくなっている。林道も整備されたようだ。
- 満開のウツギの花
車止めのゲートを越えると,相変わらずの清流が。ウツギがちょうど満開のようで,白い花が目を楽しませてくれる。写真を撮りながらのんびりの林道歩き。30分ほど歩いて入渓口へ。堰堤を三つ越えると最初の淵。昔は足がつかないほど深かったが,今は土砂の流入で歩いても渡れそう。でも濡れるのが嫌なので,左岸をへつる。綺麗なエメラルドグリーンは今も健在だ。
- エメラルドグリーンの淵
淵を越えるとすぐに元越大滝15m。相変わらず水量が多く豪快だ。源流域が広いせいだろう。ここの釜も昔は泳がなけらばならないほど深かったが,土砂の流入でいまは簡単に渡ることができる。左岸ルンゼから巻き登る。人が多いので巻き道ははっきりしている。詰めの虎ロープはいまも健在だ。
元越大滝の上流部しばらくがこの谷のハイライトだ。去年行った時に目立った倒木がなくなり,淵に堆積した土砂もなくなりつつある。かつてのエメラルドグリーンが復活しつつあるようだ。あるいは天気の具合もあるのかもしれない。いずれにしてもまた美しい元越谷を見ることができた。雰囲気を全身で感じながらのんびりと歩いてく。
- 元越大滝
おやっ,アカハライモリがいる。アカハライモリは水の綺麗な渓流にしか住まないという両生類だ。繁殖期なのかつがいになっている。日当たりのいい,右俣との分岐の岩の上で一休み。アカハライモリたちは流れのない水の中でのんびり動いている。こんなのんびり生活もいいなと,アカハライモリの動きを目で追う。今日はこのままここで停滞するのもいいかと思ったりする。
「さあ,そろそろ行こうか。」ザックを背負い進行方向の左俣を見るとヒノキの枝に綿飴のような白い塊が二つ。「モリアオガエルだ!」。写真に撮ろうと近づくと青いカエルが2匹下の水溜りに飛び降りた。産卵途中だったのかな?あるいは巣を守っていたのか。無粋なことをしてしまった。今はモリアオガエルの卵など見る機会も少ないが,子供の頃は少し山に入るとどこにでもあったものだ。
堰堤を越えるとそこは水越峠から下りてきている廃林道だ。林道を横切って左俣に入っていく。しばらく行くと左俣大滝4段20mだ。取り付きが滑っていていやらしいが,一旦取り付いて仕舞えばフリクションもよく,快適に直登できる。
左俣大滝を越えるとあとは本当に癒しの空間だ。岩質は花崗岩から赤茶けた岩に変わるがフリクションは相変わらずいい。右俣本流には見られないナメが断続的に出てくる。本流の方は針葉樹の植林帯だが,こちらは広葉樹の二次林だ。ところどころに古い炭焼き窯あとがある。昔は山人の生活の場だったのだろう。鈴鹿の三重県側は急峻だが,西面の滋賀県側は山ふところが深く,昔の人たちの生活の匂いがプンプンする。びわ爺やSHIGEKIさんが滋賀県側にこだわるのはこのような昔の人々の雰囲気を受け継いでいるのかもしれない。
- アカハライモリ
なめや小滝を楽しみながらブラブラ歩き,水が枯れたあたりから50mほども登ると鎌尾根の1028m標高点にひょっこり飛び出した。ここで昼寝付きの昼食休憩。
1時間余りものんびりしたあと,1028m標高点をそのまま南西に下りていく。1028m標高点から西に降りる尾根が左谷と右谷の分水嶺になっているので,ここを降りていけばすぐ右谷になるのだ。5分ほども降りるとすぐに水流が出てくる。登山道はしばらく右谷に平行に降りているので,鞍部から降りれば2,3分で水が得られるだろう。この辺の稜線でのんびりテント泊も悪くない。
左谷と合流し,左俣大滝を左岸から巻き降りようとすると踏み跡があり,その踏み跡を辿るとすぐに水越峠から下りてきている廃林道に出た。あとは林道を1時間あまり歩いて駐車地に戻った。
元越谷は鈴鹿山脈南部の鎌尾根から宮指路岳あたりの稜線の西面(滋賀県側)を水源とする谷である。花崗岩でできたエメラルドグリーンの淵と渓谷は美しく、鈴鹿の宝石箱と称されることもある。遡行難度は高くないので、沢初心者の訓練の場ともなっている。ちなみにここは私の沢デビューの地でもある。ここを初めて歩いて沢好きにならなければ沢登りは諦めた方が良いかもしれない。梅雨の晴れ間の木曜日、久しぶりに元越谷を一人でのんびり遡行しようかと思い立った。
【 日 付 】2019年6月13日(木)
【 山 域 】鈴鹿・西面
【メンバー】単独
【 天 候 】薄曇りのち晴れ
【 ルート 駐車地 8:05 --- 8:35 入渓地 --- 9:05 元越大滝 --- 9:41右俣分岐 10:18 --- 左俣 --- 12:18 鎌尾根P1028 13:29 --- 左俣右谷 --- 14:12 左谷出合 --- 14:31 林道 --- 15:30 駐車地
大河原橋を渡ってすぐの路肩に駐車する。林業作業のため林道は通行禁止の立て札があるが、ここなら支障になることはあるまい。8時過ぎ出発。今日はのんびり沢散歩の予定なので,ハーネスもロープもなし。ハーネス代わりのスリングと補助ロープ20mを持っていく。周りの植林は綺麗に間伐され,明るくなっている。林道も整備されたようだ。
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車止めのゲートを越えると,相変わらずの清流が。ウツギがちょうど満開のようで,白い花が目を楽しませてくれる。写真を撮りながらのんびりの林道歩き。30分ほど歩いて入渓口へ。堰堤を三つ越えると最初の淵。昔は足がつかないほど深かったが,今は土砂の流入で歩いても渡れそう。でも濡れるのが嫌なので,左岸をへつる。綺麗なエメラルドグリーンは今も健在だ。
[attachment=6]P6130024.jpg[/attachment]
淵を越えるとすぐに元越大滝15m。相変わらず水量が多く豪快だ。源流域が広いせいだろう。ここの釜も昔は泳がなけらばならないほど深かったが,土砂の流入でいまは簡単に渡ることができる。左岸ルンゼから巻き登る。人が多いので巻き道ははっきりしている。詰めの虎ロープはいまも健在だ。
[attachment=5]P6130029.jpg[/attachment]
元越大滝の上流部しばらくがこの谷のハイライトだ。去年行った時に目立った倒木がなくなり,淵に堆積した土砂もなくなりつつある。かつてのエメラルドグリーンが復活しつつあるようだ。あるいは天気の具合もあるのかもしれない。いずれにしてもまた美しい元越谷を見ることができた。雰囲気を全身で感じながらのんびりと歩いてく。
[attachment=4]P6130040.jpg[/attachment]
[attachment=3]P6130049.jpg[/attachment]
[attachment=2]P6130067.jpg[/attachment]
おやっ,アカハライモリがいる。アカハライモリは水の綺麗な渓流にしか住まないという両生類だ。繁殖期なのかつがいになっている。日当たりのいい,右俣との分岐の岩の上で一休み。アカハライモリたちは流れのない水の中でのんびり動いている。こんなのんびり生活もいいなと,アカハライモリの動きを目で追う。今日はこのままここで停滞するのもいいかと思ったりする。
[attachment=1]P6130070.jpg[/attachment]
「さあ,そろそろ行こうか。」ザックを背負い進行方向の左俣を見るとヒノキの枝に綿飴のような白い塊が二つ。「モリアオガエルだ!」。写真に撮ろうと近づくと青いカエルが2匹下の水溜りに飛び降りた。産卵途中だったのかな?あるいは巣を守っていたのか。無粋なことをしてしまった。今はモリアオガエルの卵など見る機会も少ないが,子供の頃は少し山に入るとどこにでもあったものだ。
堰堤を越えるとそこは水越峠から下りてきている廃林道だ。林道を横切って左俣に入っていく。しばらく行くと左俣大滝4段20mだ。取り付きが滑っていていやらしいが,一旦取り付いて仕舞えばフリクションもよく,快適に直登できる。
左俣大滝を越えるとあとは本当に癒しの空間だ。岩質は花崗岩から赤茶けた岩に変わるがフリクションは相変わらずいい。右俣本流には見られないナメが断続的に出てくる。本流の方は針葉樹の植林帯だが,こちらは広葉樹の二次林だ。ところどころに古い炭焼き窯あとがある。昔は山人の生活の場だったのだろう。鈴鹿の三重県側は急峻だが,西面の滋賀県側は山ふところが深く,昔の人たちの生活の匂いがプンプンする。びわ爺やSHIGEKIさんが滋賀県側にこだわるのはこのような昔の人々の雰囲気を受け継いでいるのかもしれない。
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なめや小滝を楽しみながらブラブラ歩き,水が枯れたあたりから50mほども登ると鎌尾根の1028m標高点にひょっこり飛び出した。ここで昼寝付きの昼食休憩。
1時間余りものんびりしたあと,1028m標高点をそのまま南西に下りていく。1028m標高点から西に降りる尾根が左谷と右谷の分水嶺になっているので,ここを降りていけばすぐ右谷になるのだ。5分ほども降りるとすぐに水流が出てくる。登山道はしばらく右谷に平行に降りているので,鞍部から降りれば2,3分で水が得られるだろう。この辺の稜線でのんびりテント泊も悪くない。
左谷と合流し,左俣大滝を左岸から巻き降りようとすると踏み跡があり,その踏み跡を辿るとすぐに水越峠から下りてきている廃林道に出た。あとは林道を1時間あまり歩いて駐車地に戻った。