2019年6月9日(日)曇り時々雨
奥美濃 揖斐 白川支流殿又谷 単独
- DSCN8199.JPG (37.77 KiB) 閲覧された回数 927 回
殿又谷林道駐車地7:30ー大滝8:30ー県民の山(点名)10:20ー
881m標高点10:55〜11:35ー打谷(点名)12:00ー
棚田跡13:25ー殿又谷林道14:00ー駐車地14:25
日曜日が空いたのでどうしようかと思案しているとOSKのS氏から殿又谷から点名・打谷への山行記録が届いた。
打谷は沢登りの対象として考えていた場所だった。S氏は尾根から打谷へ向かったのだがその記録に興味を持った。
打谷は本来、東側に流れている谷の名らしい。その緩やかな谷にはかつて水田があり今でもその遺構があるのではないかという事だった。
正直言って地形図を見てこの谷は薮谷と思っていた。それゆえあまり感心がなかったのだがこうなると違ってくる。行ってみたくなった。ただそれだけでは面白みがやや欠ける。西側にある、かつて遡行した滝谷から点名・県民の山を経て点名・内谷へ縦走。その後、打谷を下降して水田跡を見ることにしよう。
どんよりとした空模様の下、揖斐坂内の白川支流、殿又谷へ向かう。林道に入って殿又谷の支谷、滝谷の出合付近に駐車。この辺りは伐採された斜面が目立ち、その上を鹿の群れが走っていった。
駐車地からすぐのところに殿又谷の流れに降りる作業道があった。それを伝っていくとちょうど滝谷の出合に降り立つ事ができた。
出合からしばらくは小川の様な流れが続く。左右には鬱蒼とした自然林が覆い被さり下には葉を延ばしたシダ類の緑が覆う。河床には真砂土がつもり足を置くとめり込む。
しばらくすると3mほどの滝が現われた。水量はほどほど。少し濡れながら越えていく。花崗岩の沢なのでフリクションはバッチリかと思えばそうでもなく、ヌメっていて気を抜くと滑りそうだ。
水は意外と冷たい。フルシャワーでなら登れそうな滝も今日は遠慮する。暑い時ならば次々と現われる小滝を全身濡れて越えていきたいところだ。結構な落差の滝も現われる。4m滑滝は直登はきつそうで巻いた。
途中、沢に垂れた木にビールの空き缶が吊るしてあった。釣り人の仕業だろうか。何の為に?銘柄は「一番搾り」
- DSCN8173.JPG (37.01 KiB) 閲覧された回数 927 回
一時間程で620m二俣に到着。右に進めば打谷西にある鞍部に突き上げる。入った事がないので興味があったが左俣に見える大滝がどうしても気になり前回と同じくそちらに入った。「百山百渓」では「かくれ滝」と書かれている。
- DSCN8194.JPG (44.24 KiB) 閲覧された回数 927 回
簡単に右岸から巻いていこうと思っていたが滝の前に立ったら一段目を登った過去の記憶が蘇った。どうやって登ったのかは覚えていないが過去に登れたのだから登れるだろうと色々ルートを探った。だがやはりどうやって登ったのかわからない。そのうち登れそうなルートを滝の右手に見つけた。そこに取り付いて上部で小木を掴んでよじ登り一段目を登る事ができた。登れて今の自分にもできる、とホッとした。過去の自分にライバル心があったようだ。自宅に帰って記録を確認してみると同じ様なところから登ったらしい。しかし、その時はフィックスロープがあった。
二段目は右岸の樹木を頼りに巻いて落口に立った。そこから上は樋状の斜瀑。斜度は緩いが慎重に登っていく。
大滝を登り終えると穏やかな沢に。緊張の後に弛緩があるこういう変化は好きだ。
700m二俣を左に進んでいく。以前進んだ右は、潜り岩や、洞のような岩屋があったが最後が雑然とした感じだった。はたしてこちらはどうだろう。
小滝を越えていくと滑床が現われた。スッキリとした滑ではないがいい感じだ。と、大きなおにぎりのような岩が行く手を阻む。でも、簡単に越えられた。
途中、落差1mにも満たなのに妙に低音が響く段差があった。多分、右の岩が被さった空間がバスレフスピーカーのような構造を作っているのだろう。
水流は細々としてきたが幾つか現われる小滝は直登できて楽しい。上部の渓相も意外とスッキリしている。最後は急斜面を登っていく。薮が考えていた程濃くなくて助かる。
- DSCN8242.JPG (51.13 KiB) 閲覧された回数 927 回
稜線に出て北に進むと点名「県民の山」。三度目の訪れ。変わった点名だがどういう由来があるのだろう。点の記を見ればわかるのかもしれないがそこまでマメではない。雑木林につつまれたピークはそれなりにいい感じだが今日は通過点。この前後からシトシトと霧雨が舞い始めた。
打谷へ向けて稜線を進む。北側は植林、南側は自然林、ときっちりわかれる。自然林にはブナが目立つ。
稜線上には獣道なのか、明瞭な踏み跡が続く。わかりにくいだろうと思われた881m標高点へのジャンクションも踏み跡があり迷う事がなかった。わずかに進むとブナの森が続くようになる。
881m標高点に近づいてビックリ。圧倒的なブナ林ではないが下草のないブナ広場といった面持ちのビークだった。こんな素敵なところがあるとは想像しなかった。ガスった中だがここで荷物を下ろして大休止。
- DSCN8286.JPG (49.28 KiB) 閲覧された回数 927 回
881m標高点よりわずかに進んだところには幹や枝が複雑に絡んだ変わったブナがあった。どうやってできたのだろう。
- DSCN8298.JPG (42.6 KiB) 閲覧された回数 927 回
内谷へ向かう尾根のジャンクション辺りもなかなかのブナ林。ただこちらは樹下を笹が覆う。
打谷まではブナが少なくなり雑木林といった感じ。一旦ピークに登りきりそこから下っていった先のこんもり高くなったところが点名・打谷の三角点。S氏が三角点を掘り出した痕がまだ新しい。
三角点を後にする頃から雨が本格的になり始めた。カッパを着てジャンクション下の鞍部まで戻り、急斜面を打谷へ下降していく。しばらく降りるとところどころに巨岩の姿が見られるようになった。現われる滝の多くは巨岩が重なったものだった。また重なった岩が大きな岩屋を作っているケースもあった。覗き込むとコウモリが飛出した。
- DSCN8321.JPG (39.96 KiB) 閲覧された回数 927 回
谷が北東から南東に向きが変わると斜度が緩んでくる。植林が目立ち始めて作業道の様な踏み跡があらわれた。辿ってみると比較的規模の大きな炭焼釜跡があった。
続く杉林は平坦地になって、その平坦地が段々に重なっている。どうやらここが水田跡のようだ。規模は想像していたより広い。中には沼のようになったところもあった。流れを挟んで対岸にも同じ様な水田跡があった。
標高でいうと450mから500mの間の緩やかな地形がここに当たるようだ。きれいな石垣も残っていた。
- DSCN8349.JPG (46.36 KiB) 閲覧された回数 927 回
水田跡を過ぎると谷が狭まり隘路となる。ここを耕作に向かったり収穫を運んだりするのはきつかったのではないだろうか。
下流部に至ると左岸に明瞭な作業道が現われて辿っていく。調子良く歩いていると知らぬ間に本流脇を歩いていた。慌てて流れを渉って対岸に上がると林道に出た。後はテクテクとアスファルトの敷かれた林道を駐車地に向かった。梅雨時の小規模な沢だったが意外と楽しい山行となった。