kasayaさんに御池奥の平に上がるルートを教えてもらった。けど、機会を逃していた。そこへあきんちょが『青のドリーネ、見てみたくね?』『御意、渡りに舟でやんす』
♫一本でぇ~もニンジン(ニンジン!)♫二人でぇ~もスノーしゅう(スノー衆!)♫(by トシチャン&©山日和)
【日付】2019年2月2~3日(土日)
【山域】鈴鹿・御池岳&奥の平
【メンバー】あきんちょ・あめちゃん
【天候】晴れ のち 快晴 のち 晴れ のち 小雨
【ルート】<1日目>ゲート前駐車場(6:50)~コグルミ谷右岸尾根取りつき(9:00)~御池岳(13:00)~ボタンブチ(13:30)~横のウバーレ(ランチ)(13:45~15:00)~泊地設営作業(16:30~17:00)~散歩(17:00~17:40くらい)
<2日目>泊地発(11:30)~奥の平峰(12:10)~カタクリ峠?(白船峠との分岐)(14:00)~駐車場(16:15)
朝6:30国道306号ゲート前。ヘッドライトを点けて準備している人がチラホラ、気合入ってるなぁ。
『鼻垂れ隊 隊長、行きますか』
『うむ、鼻垂れ隊 副隊長 行くぞ!』
ただ、予想に反して道路には全く雪が無い。取りつきまでは8割がたアスファルト歩きでした。コグルミ谷登山口まで行ってしまい途中で出会った猟師に道を教えてもらい(kasayaさんゴメンナサイ、言われたとおりに歩けば正解でしたのに・・・)スタート。
しばらくは雪も無く、左からの尾根合流辺りも雪は所々。明瞭な尾根を歩いてしばらくでしっかり雪が。ただ、こんな荷物担いでスノーシューで歩いたことが無かったのでチト不安。後ろからあきんちょが
『そんなに心配しなくても平気平気』
勇気をもらってスノーシュー装着。確かにバランスさえ崩さなければ問題なし、背中の荷物もその分軽くなったし。後発組が汗流しながら追い越していく。我々(俺?)はとてもそんなに早くありません。汗をかかない程度でノンビリ行くのだ。登るにつれ白い世界に。雪も深くなるがトレースが。
『みなさま、みなさまのトレースのおかげで歩けるのでございまぁす』
あきんちょ、選挙カーのウグイス嬢みたいに連呼する。
空気中の水分が枝に付きながら凍ったのだろう、理科の実験のように枝に氷の結晶がまるで砂鉄のようにビシビシと。まさに霧氷の赤ちゃんだ。フロストフラワーもこんな感じなんだろうな。
上からの下山者もすれ違うように。
『どうでした?』
『ウーン、御池岳では何とか視界効いたけど、奥の平方面のガスは待っても全く。危険だから止めました』と、異口同音・・・アリャリャ、天気予報、頼むよ・・お願い・・
滋賀県側が見える乗越、左右分岐着。御池岳頂上はどちらでもよかったけどあきんちょが初、ということで荷物を置いて右へお散歩。あれ?この頂上こんなに展望が良かったっけ?堪能する。目の前でドンドンガスが飛び始めた。奥の平もクッキリ見える。天気予報ありがとう。次なる本題、奥の平へ。荷物を拾い、スグの小ピークからトレースが無い雪原を天狗岩めがけてスイスイ一直線だ。
下に見えるは『俺の』T字尾根(秋の歩いたレポあげてないのにスイマセン。個人的には奥の平、♪後から前から♪(©葉子)・・・じゃなくて表から裏からの完結)。ヒョイと隣のボタンブチ。いつもの場所からこんな風景が見えるなんて・・・。鼻垂れ隊隊長に感謝感謝、と隊長を見ると、
『おなかすいたぁ』
そうでした。ヒルメシは食べないと。ボタンブチから東南の窪地(沢の源頭みたいな雰囲気のウバーレ地形(ドリーネとドリーネがくっついた窪地))で風を避けてキムチチゲ。温かい料理でカラダもココロもポカポカ。
さあ、念願の雪の奥の平をまったり散歩しよう。無雪期でも草原で気持ちのいいところだが、それを雪の絵の具が純白に染める。ドリーネやらすべてを包み込んだ雪はこれは得も言われぬカーブを描き、そこは白だけで表現された波打つ曲線の世界だ。「青のドリーネ」と思しき場所に到着。けれど、ああ、無残にもたくさんのトレースで傷だらけに、何たる姿、血は出てないけど・・・。ドンマイベイべー、今日の俺たちには金も色気もないが時間はある。さらに奥の平を奥へ。ドリーネを右へ左へ見送りながらT字尾根の降り口ヘ。本日トレースは、無し。ソロソロ散歩兼泊適地も合わせて探索しないと。地図上では、そこから東に見える丘の東南側が風を避けられそうだったのでそこに張るつもりだった。あの辺・・・と見ていると、なんとテントが張ってある。物好きがいるもんだ(トーゼン自分たちは棚に上げます)。
ならば方針変更とドリーネ物件を探索。見た目はすり鉢状だし、風よけにもってこいに見える。ただ、私はドリーネの底にテントを張るのは一抹の不安はあった。そもそもドリーネは地上の雨水の浸食でできた雨水の吸い込み穴だ。その昔軍隊の訓練をカルスト地形で行い、夕方になっても帰ってこなかった兵士がいて、彼らはおそらくドリーネに墜落そして行方不明ということはまことしやかに言われていることだ。まあ、今回はこれだけ雪があれば底が抜けることも無いだろう。いくつか物色、深いモノは降りるのも大変そうだし、上部の雪庇も怖い。黒のドリーネ?は少々吹きさらし、T字尾根降り口の近くのは浅い・・・少しボタンぶち方向に戻ったところの物件がお目にかかる。北西側が盛り上がり、うまい具合に風を防いでいてくれる、ここだ。テント設営。
さあ奥の平貸切り散歩をしよう。
- どこでも行こう、好きなところへ
太陽は薄雲がかかり、フィルターを通したような明るさ、「赤の世界」が広がる。
- 「赤の世界」が始まった
- ボタンブチもほの赤く
太陽の光が弱まるとそこには、「青のドリーネ」ならぬ「青の世界」が広がっている。
- 舞台は「青の世界」へと転換、なんてゼイタク
どこを切り取っても今までに見たこともない風景が。高気圧の中心に入ったのだろう、風も感じない。歩みを止めるとあきんちょのスノーシューの音がリズミカルに聞こえてくる。時を忘れての雪上散歩、テントに戻ったときはすっかり暗くなっていた。雪の上なのでペグ類が一切打てなくて心配したが、テントがバタつくことは一切無かった・・と思う、爆睡だったので・・・。相変わらずモンベルのダウンハガー#4ですが、暑くなり顔を外に出すくらいでした、そのせいで顔の周りが凍り冷たかったけど・・・。
翌朝、あきんちょがモゾモゾ起きだして散歩に行こうとしていた。せっかくなんで寒いけど気合一発、テントから出る。薄くガスがかかったり青空が広がったり目まぐるしく舞台が展開されていく。歩く度、右を向く度、左を向く度、振り返る度、上を向く度、想像を超える色や模様やレイアウトで楽しませてくれる。
- 太陽に向かって歩きます
- 「青のドリーネ」でもなく「赤のドリーネ」でもなく「アホのドリーネ」『♫ドリーネ音頭だヨヨイノヨイ♫』
- 奥の平東南端の大好きな古木。今日も迎えてくれました
- 古木1.jpg (83.97 KiB) 閲覧された回数 2566 回
東南の稜線に出たあきんちょが大声で呼んでいる。なになにっ?おおっ!伊吹から白山から御岳から、みんなみんな浮かび上がっている。正直上まで担いでくるものは肩にずっしりこたえたけれど、それに余りあるものを脳みそにそして五感に与えられた気がする。奥の平のテン泊なんて初めてだったけれど、こんな近い場所でこんな体験ができるなんて・・・。
- ガスがかかると太陽大きくなります
マッタリ散歩の後はマッタリと朝ごはん。どうせ昼近くにならないと奥の平までヒトは来ないだろうし、来たとしてもキホン一般ルートは奥の平の外周を歩くイメージなので我々のテントは見えるわけがない。
ノンビリ撤収し、せっかくなので奥の平ピークから派生する「北東尾根を真の谷へ」を下山ルート候補とし奥の平ピークを目指す。その頃になるとボタンブチやらそこかしこにヒトがわらわらしだした。中にはボタンブチから少し降りたところで大勢でテーブル作って昼飯中のところも、ケドあれは風が当たって寒いだろうなぁ。奥の平の頂上。最後になるのであきんちょが地図を出して山座同定を。手を離すと、見えなくなるくらいまで地図が飛んでいきそうなくらいの烈風が吹いている。
多少躊躇するが、展望もしっかり効いているので、真の谷へ向かってトレースの無い尾根に入る。最初はルートテープがあったがじき無くなった。尾根を忠実に降りるつもりだったが、それだと真の谷に降りてからの登り返しがあるので隊長指示で左左にトラバースしながら降りることに。こちらは風裏で無風状態。けっこう雪は深く、スノーシューも雪によくかかり、谷の傾斜も心配していたほどきつくないので希望通りのルートを選ぶことができた。
この約200mの下り斜面が今回の核心部だったのかもしれない。全くのノートレースのところにそれぞれがブナなどの灌木をぬいながら思い思いのルートをとる。雪の表面は滑らかな曲線。そこに俺たちのトレース。二人が作ったスノーボールがコロコロと俺たちより先に転がっていく。いつも口ずさんでる歌もこの時は忘れてスノーシュースキー?に没頭した。
最後に真の谷から派生した枝谷を一つ越さなければいけない。2mほどのV字でナカナカの高低差。
『キャッ』
先に行ってたあきんちょが声とともに目の前から消えた。あわてて駆け寄ると、簡単に言うとおしりで滑り降りていた、下でケラケラ笑ってる。
『ハイ、副隊長も早く』
・・・けっこう高いぞ・・覚悟してこちらもおしりで。雪が深く軟着陸。登り返したところから下りてきた斜面を見上げて小休止、もぐもぐタイム。ダンダンと一般ルートに近づいているので他の人の気配もなんとなく感じるように。しばしで6合目(白船峠への分岐)。きのうスノーシューを履いたあたりで今日ははずす。このころから雨を感じるようになる。最後の分岐をkasayaさんに教えていただいたもう一つのルート、犬返し谷左岸尾根へとる。
林道歩きはシブシブ雨の中となったが、そのまま阿下喜温泉で解凍作業。バンメシは温泉と同じ名前の近所の食堂で。おかずもモチロン、土鍋で炊いたご飯が美味しかった。トーゼン二人とも大盛です。
知っていた場所でも、いつもと違う季節、時間、瞬間瞬間であらたな一面を見せてくれる。自分の中のセンス・オブ・ワンダーに呼びかけ目覚めさせる。そんな大事なそして楽しい2daysでした。
あめちゃん
※『センス オブ ワンダ―』(The sense of wonder)はレイチェル・カーソンが書いた本のタイトルで、その著書の中でレイチェルは『センス オブ ワンダーとは神秘さや不思議さに目を見張る感性』であると説明しています。