大杉谷森林鉄道の存在を知ってからずいぶん経つ。それは幽玄と思っていた大杉谷から私を引き離すきっかけにもなってしまった。時を経て、そうしたイニシエの山の生活遺産にも興味津々に。(鉄っちゃん)+(廃墟マニア)≒(廃鉄フェチ)。不動谷を訪れる時が来た。大台ケ原山系集中山行<その③>です。
【日付】2018年11月30日~12月1日(金土)
【山域】台高(大台ケ原山系)
【メンバー】あめちゃん(単独)
【天候】晴れ
【ルート】1日目:大杉谷登山口駐車場(9:30)~中井高(14:20)~不動谷森林鉄道跡(15:40)~不動谷森林作業所(ロクダイ)(16:30)
2日目:ロクダイ(8:30)~鯎谷高支尾根分岐(10:30)~鯎谷高(12:00)~無人小屋(14:20)~林道(15:30)~駐車場(16:10)
大杉谷登山口に駐車。初冬の平日、さすがに誰もいない。不動谷(林鉄跡)への到達方法はいくつかあるが、安全な尾根越えを選択、いきなりの急登から始まる。ヒーヒー言いながらCo1143に到着。今回目指すは不動谷林業所跡、通称ロクダイだ。ここから不動谷へ降りて林鉄跡をたどってもいいのだが、情報では当時の林鉄の桟橋はことごとく崩壊しており、各所の谷を渡るのが危険らしい。そこでもう少し尾根を辿り、ロクダイ近くへ直接降りている支尾根まで進むことに。この辺の尾根も時代は不明ながらイニシエの遺物が点々と。こんな高所に不似合いなU字溝が尾根を辿るように設置されているが、これはかつてあった有線を保護するものなんだろう。次の目標地点の「中井高」が近づくと、右手にはピラミッドのような「鯎谷高」へと続く支尾根が現れた。そして左手斜面は驚いたことにすぐ近くまで植林だ、こんな上まで。「中井高」(Co1233)着(現在山名板はありません)。台高ルートがお隣さん、日出ヶ岳から池木屋山まで見える。あの特徴がある山は迷岳だ、ヤッホー。さあ、先を急ごう。支尾根はこのピークから不動谷へ向かって降りていくが、入り口はナカナカ急、飛び込むのは躊躇する。地理院の地図の点線は昔の仕事道なんだろう、少し戻った、さっきの「鯎谷高」の支尾根が交わるあたりからトラバースして不動谷への尾根に合流している。急がば回れ、道らしいものは跡形も無いが真似てみる。倒木等で荒れているがじき尾根に乗る。ここからは忠実に辿れば問題なし、多少複雑なところあるものの、林鉄跡に軟着陸、感動。約50年前に廃止されたレールのない、枕木の上をノンビリと歩く。気分はスタンドバイミーだ(♪When the night has come にゃにゃにゃにゃあ♪) 。
- ♫枕木は続く~よ~、どーこまでーもー♫
谷を越えるところは崩壊しているが、それ以外は石垣でしっかり、ドッシリと作られている。小尾根を越えるところは岩を砕き(切通しといいます)突き進む。唐突にイロイロなものが転がる場所に。
- まあ、林鉄も安全第一ですから
ロクダイ近い気配。うろうろするもタイムアップ、暗くなる前にテントをと思いそのまま不動谷河原に降りると、不意に目の前に倒壊した建物が、不動谷林業所(ロクダイ)跡だ。見学したいのはやまやまだが、暗くなる前にテントも張らないと。・・・張り終えたころにはすでに手元しか見えない明るさに。
- 唐突な御対面でした
その夜はテントにいろんな人が来た・・・・
『どこから来たんや』
『名古屋かぁ、都会やなぁ』
『この前、京都大学の人らも来たぞ』
(それは今西錦司という有名な人ですよ)
『ここももうすぐ冬や、これでも雪が積もることがあるんやにぃ、さぶいぞぉ』
モチロン全部夢の中での出来事・・・・。
- 少しでも当時を感じたくて、素敵な色のテントはすぐそばに
翌日、散歩をするとそこかしこにイチョウの葉が。ここ作業所のシンボルツリーはイチョウだったんですね。
- 全体が見えないのがザンネン
名残惜しいが、帰路へ。昨日の尾根を中井高まで登り返す。そこから昨日見ていた鯎谷高への尾根へ。するとまわりの風景が一変し、ブナ・ヒメシャラの自然林に。気持ちのいいスカイライン。
- ヒメシャラも気持ちよさそう
けれどさすがに大杉谷近辺、父ヶ谷(左側)も目を少し下に向けるとかなり植林で整備されている。遠くの尾根下にはトンネルまで見える!鯎谷高に近づくと、ホントに風景がパノラマのようになってくる。それはただの山、ではなく、少しでも知ってる山をつなげていくと途端に親近感がわいてくる。もう、「俺の山」シリーズだ。ただ、今日は西風が強い。尾根筋はドンドン体温が奪われる、少し降りてポカポカの南斜面で昼メシ。
ここからは尾根を忠実に辿ればいい。途中で尾根線が水平に近いところに出る。ふと足元を見ると、枕木のようなものが等間隔で自然に帰ろうとしている。これは?・・・この上を切った木を滑らしたのだろうか。
- 枕木?まあ、普通のヒトにはどうでもいいことですが
上部から索道で下ろし、この尾根線は水平移動、その先から再び索道につけたのだろうか?・・・あとでオジヤンに現場状況の説明をしたところ、『そこの親方の考え方次第で、ひょっとしたらトロッコ跡かもしれない。そういうのが好きな親方(考え方が先進的な人)がいると、割とその現場ではトロッコが多用されていたもんや』らしい。距離的には数十メートルも無いですが、地面の均しかたから、簡単な横引きトロッコがあったのでしょう、タブン。そしてその先には不思議な無人小屋が唐突に。今までで見たことないような不思議な小屋。金属類は何も残っていませんが、昔鉄道の踏切の横にポツンとあった、見張り番がいるような感じの小屋。信号所のような働きだったのだろうか?何も調べず歩いたので頭の中は『?』。西丸震哉さんが建てるには見晴らし等々合格点ではありませんな。
- 無人小屋。手前の骨組みは、トロッコ部分の巻き上げ機か?
植林が目立つようになってくると送電用鉄塔の巡視路にのる。それを使って道路に軟着陸。
楽しい楽しいタイムスリップの旅が終わった。
あめちゃん
※余談ですが、2日目は我が名古屋グランパス(サッカー)が負けると(あるいは引き分けでも場合によっては)J2落ちという大事な最終戦。下りではラジオの特別実況放送聞いてましたが受信状況悪くとぎれとぎれ、結局試合は引き分け、アナウンサーも混乱して「グランパス、J2降格!」と誤情報絶叫するし、ナカナカ珍しい放送でした(結局J1残留でした・・・)。
大杉谷森林鉄道の存在を知ってからずいぶん経つ。それは幽玄と思っていた大杉谷から私を引き離すきっかけにもなってしまった。時を経て、そうしたイニシエの山の生活遺産にも興味津々に。(鉄っちゃん)+(廃墟マニア)≒(廃鉄フェチ)。不動谷を訪れる時が来た。大台ケ原山系集中山行<その③>です。
【日付】2018年11月30日~12月1日(金土)
【山域】台高(大台ケ原山系)
【メンバー】あめちゃん(単独)
【天候】晴れ
【ルート】1日目:大杉谷登山口駐車場(9:30)~中井高(14:20)~不動谷森林鉄道跡(15:40)~不動谷森林作業所(ロクダイ)(16:30)
2日目:ロクダイ(8:30)~鯎谷高支尾根分岐(10:30)~鯎谷高(12:00)~無人小屋(14:20)~林道(15:30)~駐車場(16:10)
大杉谷登山口に駐車。初冬の平日、さすがに誰もいない。不動谷(林鉄跡)への到達方法はいくつかあるが、安全な尾根越えを選択、いきなりの急登から始まる。ヒーヒー言いながらCo1143に到着。今回目指すは不動谷林業所跡、通称ロクダイだ。ここから不動谷へ降りて林鉄跡をたどってもいいのだが、情報では当時の林鉄の桟橋はことごとく崩壊しており、各所の谷を渡るのが危険らしい。そこでもう少し尾根を辿り、ロクダイ近くへ直接降りている支尾根まで進むことに。この辺の尾根も時代は不明ながらイニシエの遺物が点々と。こんな高所に不似合いなU字溝が尾根を辿るように設置されているが、これはかつてあった有線を保護するものなんだろう。次の目標地点の「中井高」が近づくと、右手にはピラミッドのような「鯎谷高」へと続く支尾根が現れた。そして左手斜面は驚いたことにすぐ近くまで植林だ、こんな上まで。「中井高」(Co1233)着(現在山名板はありません)。台高ルートがお隣さん、日出ヶ岳から池木屋山まで見える。あの特徴がある山は迷岳だ、ヤッホー。さあ、先を急ごう。支尾根はこのピークから不動谷へ向かって降りていくが、入り口はナカナカ急、飛び込むのは躊躇する。地理院の地図の点線は昔の仕事道なんだろう、少し戻った、さっきの「鯎谷高」の支尾根が交わるあたりからトラバースして不動谷への尾根に合流している。急がば回れ、道らしいものは跡形も無いが真似てみる。倒木等で荒れているがじき尾根に乗る。ここからは忠実に辿れば問題なし、多少複雑なところあるものの、林鉄跡に軟着陸、感動。約50年前に廃止されたレールのない、枕木の上をノンビリと歩く。気分はスタンドバイミーだ(♪When the night has come にゃにゃにゃにゃあ♪) 。
[attachment=7]枕木.jpg[/attachment]
谷を越えるところは崩壊しているが、それ以外は石垣でしっかり、ドッシリと作られている。小尾根を越えるところは岩を砕き(切通しといいます)突き進む。唐突にイロイロなものが転がる場所に。
[attachment=6]イロイロ.jpg[/attachment]
ロクダイ近い気配。うろうろするもタイムアップ、暗くなる前にテントをと思いそのまま不動谷河原に降りると、不意に目の前に倒壊した建物が、不動谷林業所(ロクダイ)跡だ。見学したいのはやまやまだが、暗くなる前にテントも張らないと。・・・張り終えたころにはすでに手元しか見えない明るさに。
[attachment=5]ロクダイ.jpg[/attachment]
その夜はテントにいろんな人が来た・・・・
『どこから来たんや』
『名古屋かぁ、都会やなぁ』
『この前、京都大学の人らも来たぞ』
(それは今西錦司という有名な人ですよ)
『ここももうすぐ冬や、これでも雪が積もることがあるんやにぃ、さぶいぞぉ』
モチロン全部夢の中での出来事・・・・。
[attachment=4]テント.jpg[/attachment]
翌日、散歩をするとそこかしこにイチョウの葉が。ここ作業所のシンボルツリーはイチョウだったんですね。
[attachment=3]地図.jpg[/attachment]
名残惜しいが、帰路へ。昨日の尾根を中井高まで登り返す。そこから昨日見ていた鯎谷高への尾根へ。するとまわりの風景が一変し、ブナ・ヒメシャラの自然林に。気持ちのいいスカイライン。
[attachment=2]ヒメシャラ.jpg[/attachment]
けれどさすがに大杉谷近辺、父ヶ谷(左側)も目を少し下に向けるとかなり植林で整備されている。遠くの尾根下にはトンネルまで見える!鯎谷高に近づくと、ホントに風景がパノラマのようになってくる。それはただの山、ではなく、少しでも知ってる山をつなげていくと途端に親近感がわいてくる。もう、「俺の山」シリーズだ。ただ、今日は西風が強い。尾根筋はドンドン体温が奪われる、少し降りてポカポカの南斜面で昼メシ。
ここからは尾根を忠実に辿ればいい。途中で尾根線が水平に近いところに出る。ふと足元を見ると、枕木のようなものが等間隔で自然に帰ろうとしている。これは?・・・この上を切った木を滑らしたのだろうか。
[attachment=1]枕木②.jpg[/attachment]
上部から索道で下ろし、この尾根線は水平移動、その先から再び索道につけたのだろうか?・・・あとでオジヤンに現場状況の説明をしたところ、『そこの親方の考え方次第で、ひょっとしたらトロッコ跡かもしれない。そういうのが好きな親方(考え方が先進的な人)がいると、割とその現場ではトロッコが多用されていたもんや』らしい。距離的には数十メートルも無いですが、地面の均しかたから、簡単な横引きトロッコがあったのでしょう、タブン。そしてその先には不思議な無人小屋が唐突に。今までで見たことないような不思議な小屋。金属類は何も残っていませんが、昔鉄道の踏切の横にポツンとあった、見張り番がいるような感じの小屋。信号所のような働きだったのだろうか?何も調べず歩いたので頭の中は『?』。西丸震哉さんが建てるには見晴らし等々合格点ではありませんな。
[attachment=0]小屋.jpg[/attachment]
植林が目立つようになってくると送電用鉄塔の巡視路にのる。それを使って道路に軟着陸。
楽しい楽しいタイムスリップの旅が終わった。
あめちゃん
※余談ですが、2日目は我が名古屋グランパス(サッカー)が負けると(あるいは引き分けでも場合によっては)J2落ちという大事な最終戦。下りではラジオの特別実況放送聞いてましたが受信状況悪くとぎれとぎれ、結局試合は引き分け、アナウンサーも混乱して「グランパス、J2降格!」と誤情報絶叫するし、ナカナカ珍しい放送でした(結局J1残留でした・・・)。