クロオさん こんばんは。
平ヶ岳、ついに登りましたね。やったね。拍手!
というのは、私も2007/8/18に雨の中、往復10時間の行程をこなしたからです。かなり辛かったことを思い出します。
> 【天候】曇り一時霧雨
> 【ルート】鷹ノ巣登山口5:25---8:15下台倉山---9:15台倉山---9:30台倉清水---10:15白沢清水---11:45池ノ岳---12:05玉子石---12:30テントサイト---12:50平ヶ岳---13:35池ノ岳---14:30白沢清水---15:10台倉清水---15:35台倉山---16:40下台倉山---18:10鷹ノ巣登山口
私が登ったときのコースタイムは、次のとおりでした。
5:00鷹ノ巣登山口-7:15下台倉山-8:20▲台倉山-8:30台倉清水-9:10白沢清水-10:25池ノ岳-11:00▲平ケ岳(昼食)11:30-12:15玉子石-12:40池ノ岳-13:25白沢清水-14:00台倉清水-14:15▲台倉山-15:10下台倉山-16:45鷹ノ巣登山口
> 新潟・群馬の県境にある平ヶ岳に登りたいが、群馬側の天気予報は雨、それもかなり降るらしい。鷹ノ巣登山口からだと距離が長いので早朝出発しないといけない。
> 早朝、5時ごろ鷹ノ巣登山口に着く。来る途中は雨が降っていた。今は止んでいる。既に、駐車場は満車に近い。
2007年当時、私は平ヶ岳という山名を今まで聞いたことがありませんでした。これが何と百名山で、山仲間がその年中に百名山を完登するというので(この平ヶ岳で96座目)お付き合いすることにしました。
早速調べてみると、結構興味をそそられる山であることが分かりました。まず、深田久弥の「日本百名山」には、こう書かれています。「平ヶ岳は、日本百名山を志した最初から私の念頭にあった。あまり人に知られていないが、十分にその資格がある。」その理由のひとつとして、その独自な山容であることを挙げています。曰く「長く平らな頂上は甚だ個性的である。遠くから望んでも一目でわかる。苗場山も平らではあるが、少し傾いている。平ヶ岳はほとんど水平である。会津駒から、燧から、至仏から、武尊から、この平らな頂上を眺めて、私はいつかはその上に立ちたいと願っていた。」
登山道には避難小屋もないため、テント泊を除けば、日帰り登山としては、登り6時間、下り4時間の約10時間、標高差1300mのロングハードコースとなります。しかし、山頂付近には無数の池塘を散りばめた広大な高層湿原が広がり、越後三山(越後駒ヶ岳、中の岳、八海山)や尾瀬の燧ヶ岳などの大展望が楽しめるということで期待しました。
- 小雨の中を登ります
> 最初は少々傾斜はあるが何でもない普通の樹林の間の尾根。ガス気味なので遠望は無いが、それでも隣の尾根くらいは見える。それだけ登ったら、尾根は樹林が無くなり岩だけの痩せ尾根になる。少し慎重に歩く。先は長いと思いゆっくり歩いていると、どんどん抜かれる。単独者が多い。何人かに抜かれる。今日もまた霧のような細かい雨が降り出す。もう汗でびっしょりなので、カッパを着る気はさらさらない。
ますは脇の林道に入り、ブナの樹間を抜けて少し行くと、下台倉沢に出合い、渡渉して進むと、すぐに右手に取付口の標識がありますよね。杉の植林帯の中を緩やかに登って行きます。やが
て尾根に出て視界が開けてきて、尾根歩きが始まります。岩礫のヤセ尾根でかなりの急登となっています。一つのピークを越えると次のピークというふうに急な登りが続きます。ロープの設けてある箇所もいくつかあります。五葉松の樹木のある前坂付近が特に険しい坂となっていました。天候さえよければ、左手に燧ヶ岳や会津駒を望みながら歩けるところ、憎雨の中、ガスっていることから、その展望もありませんでした。これはクロオさんと同じでした。小雨の中、傘を出しての急坂の登りはちょっと堪えましたね。赤土のむき出し、えぐられた道は濡れて滑りやすく難儀しました。おまけに湿度が高く蒸し暑く、汗がどっと噴き出してきます。2時間ほど喘ぎながら登ると、やっと平坦な場所に出ましたが、ここが下台倉山(1610m)です。
- 下台倉山(1604m)
> 急登が続き3時間近く掛かって下台倉山に着く。ここからは下降や平坦な道が続く。ぬかるみが多く、半分くらい木道になっている。
> 白沢清水というポイントを過ぎると再び登りが続き、ガスが少し晴れてきて展望が多少見えて来たころ池ノ岳に着いた。
> 正面に平たい姫ノ池という池塘があり、なだらかな草原の中を木道が繋がっている。
下台倉山からは池ノ岳直下までは、緩やかな尾根のアップダウンを繰り返すことになります。下台倉山から台倉山にかけては左手側が開けており、しばらくは気分も楽になり、やがて小さな展望のよい場所の中心に三等三角点が傾いて立っている台倉山(1695m)でした。台倉山からは進路が右に折れ、木道が現れてきます。このあたりからオオシラビソの樹林帯の中のぬかるみを歩くことになりますが、木道がかなり整備してあることから助かったでしょう。こんな奥まった山にどうしてこんな立派な木道が設置してあるのだろうかと考えると、やはり皇太子が登ったことが原因ではないでしょうか。台倉山を越えて、ぬかるんだ道の木道をどんどんと下っていくと、樹林帯の中の鞍部である台倉清水という水場に着きます。さらに、ぬかるみの続く樹林帯の中の登山道を小さなアップダウンを繰り返しながら進むと、次の水場である白沢清水に着きます。ところが、小さな水たまりがあるだけで、清水がわき出しているとは思えません。白沢清水を越えてさらに樹林帯の中を進むと、やがて視界が開けてきて、熊笹の中を登るようになります。ここが池ノ岳直下の急登になります。熊笹がなくなると左手にはお花畑も広がるようになり、頂に着きました。ここが池ノ岳(2080m)です。ここからハイマツの中を抜けるとすぐに池塘の広がる姫ノ池です。ここはたくさんの池塘がある湿原で、バックには平ヶ岳の山容が見えるはずのところ、ガスのため見えませんでした。姫ノ池の湖畔には板敷があり、ここにテントを張る登山者もいると聞きます。
- 三角点がぽつんとある台倉山(1695.3m)
- 姫ノ池分岐点
- 点在する池塘
- テントが張れます
> まず玉子石に向かう。木道を足早に歩く。とても気持ちがいい。草原のまわりのガスは晴れてくれている。ただ、思った以上に玉子石は遠い。なかなか着かない。なだらかな丘陵を登ったところに玉子石があった。玉子石の向こうには池塘が何個も点在している。のんびりしたいところだが時間がない。少しだけ休憩して今度は平ヶ岳へ向かう。来た道を戻り、途中で平ヶ岳に向かう分岐があるのでそちらを進む。水場があり、テントサイトらしい。
最初に玉子石に行ったのですね。私は、最初に平ヶ岳山頂に行ってから戻るときに玉子石に立ち寄りました。姫ノ池からは、途中玉子石への道を見送り、平ヶ岳山頂をめざしました。道は一旦下り、鞍部からツガの廊下と呼ばれるオオシラビソの樹林帯の中を再び登り返していくと、緩やかな湿原の登りとなり、間もなく山頂に着きました。平らなところなので山頂と分かりにくいが、標識があり、木道の右手の小さな広場の二等三角点(2141m)に導いてくれました。ちょうどその頃、雨が止み、何とか昼食を立ち食いせずに済みました。
お昼もそこそこに下山することになりましたが、奇岩・玉子石に立ち寄らなくてはなりません。ガイドブックの写真を見ると是非とも見てみたいという思いが強くなりました。木道を少し戻ると、玉子石への分岐があり、左に折れて、少し下ると鞍部に水場があり、ここから再び草原の中を登り返すのですが、あたりはハクサンフウロなどのお花畑となっていました。途中、姫ノ池からやってくる木道を合流し、やがて玉子石に着きました。玉子石は、写真で見たとおり、台座の岩の上に玉子のような岩が乗っかっていました。これは一続きの花崗岩からできていて、長い年月の風化により、花崗岩の真ん中が浸食されてできたと言われる、まさに自然の造形美となっていました。しかし、後ろから見ると、玉子に見えないからまた不思議です。最近土台石の崩壊が進んでいることから危険とされていました。
- これも玉子石(後ろから見たもの)
玉子石も十分に堪能した後は、引き返して下山しました。先ほどの姫ノ池まで戻る道に出て、姫ノ池からやってきた道を引き返しました。池ノ岳からは今度は急な下りとなります。滑らないように気をつけながら、熊笹の中の坂を下ります。それから、下台倉山までは、樹林帯の中のぬかるんだ道をアップダウンしながら進むことになりますが、これがちょっとしんどい。疲れも手伝って、下台倉山はまだかまだかという思いがこみ上げてきました。下台倉山からはヤセ尾根の下りとなりました。登ってきた尾根筋が左に回っているのがはっきりと見えます。振り返ると、下ってきた急坂が見えます。疲れのせいで足が思うように進まず、くたくたのヨレヨレ状態で、ペースが落ちてしまったものの、何とか怪我することなく下ってきました。下山したのは4:45で、玉子石に立ち寄った時間(30分)を差し引いても予定より遅れたことになります。全行程11時間45分、実質歩行時間11時間という超ロング山行となりました。
同行した仲間の一人曰く。「苦行でした。二度とこの山には登りたくありません。」確かに、この日の天候を考えるとそうかも知れません。山頂の絶景を見たくて登った平ヶ岳だけに、雨の中でガスに包まれてしまってはさすがにガッカリで、疲れも倍と言ったところでしょうか。しかし、よく晴れた日に、あの高層湿原と周囲の山々の絶景を見たかっただけに、それができるならばもう一度チャレンジしてみたいと思うのは私です。