鈴鹿・竜ヶ岳
2015.11.01 (SUN) 晴れ 7名
コース:石榑峠=重ね岩=竜ヶ岳=遠足尾根=宇賀渓
- R421を見下ろす
鈴鹿山脈の麓、A小学校の同級生は百余人ほどであるが、私の住む地区では男性11人で同年会を結成している。割と付き合いのいい同年で、一泊旅行と新年会は毎年行う。その他ゴルフ、外食など有志でよく集まる。それが今度は登山に行きたいと言い出した。昭和30年生まれ、今年で還暦。もう早期退職した者や、誕生日で退職と言うのもいる。しかし、いくら暇を持て余してきても登山なんて利口な者のやることではない。もちろんそんなしんどいことは御免だというまともな奴もいる。それでも参加希望は11名中8名に達した。クレイジーだ。
その中で、山をやっていると言えるのは私とT山岳会のSだけ。もう一人最近私と同行して鈴鹿セブンを達成したH。その他は全員ズブの素人である。最初はなるべく標高差の少ない所からということで、石榑峠から竜に決定。ザックやカッパは取りあえず家にあるものでいいとして、トレッキングシューズを買うことを勧めたら、皆で買いに行ったらしい。ついでにストックや山用ズボン、ウィンドブレーカを買ったのもいる。一回で懲りたらどうするんだろう。
山行を一番楽しみにしていたAが大腸検査で急遽ポリープを取ったため断念。7名で出発。クルマを一台宇賀渓に置いて、ワゴン車で全員石榑峠に向かう。滋賀県側の旧道が生きているのでトンネルを抜けてから入る。旧R421を通るのは久しぶりで風景が懐かしい。今日はもったいないほどの晴天で紅葉が眩しい。石榑峠へ着くともう満車で、一台分だけスペースがあって助かった。
9時ジャスト出発。5分も経たないうちに後方のMから泣きが入る。「休憩しよ~」。これには参った。その後も休憩しまくり。パーティーでは一番遅い者にペースを合わさざるを得ない。今日はMがボトルネックである。彼は最近まで小学校の教師だった。だから生徒と一緒に体育や遠足などやっているはずだ。それがどういう訳か滅法傾斜に弱い。退職して昼間から酒飲んでごろごろしているからだろう。途中から山岳会SにMのお守りを頼んで、それぞれのペースで登る。みな必死の形相で旅行の時のような軽口が出ない。気の毒やら面白いやら。
- 重ね岩でタバコタイム。ぐったりしているのがM君
重ね岩まで一時間かかった。またここで長い休憩と記念撮影。好展望に結構みんな満足そうである。峠にクルマがあるからリタイアも可能だが、Mも帰るとは言わない。それにしても山はいつもこんないい日ばかりじゃないぞ、と言いたくなるほど長閑な天気だ。ここからまた急登。Mは死にそうな形相をして度々座りこむ。このルートは久しぶりだが、枝道が増えたような気がする。掘割を嫌って溝の上を歩く人が多いので、そこが道になるのか、付け替えたのかは知らない。
最後の急登が終わると突然ササの平原が目に入る。滋賀県側の山並みや琵琶湖も見渡せて、皆感動しているようだ。人工的に刈り込まれたように短くなったササの中、景色を愛でながら緩々進む。東側ガレの淵を避けて西側に巻き道ができていた。割れ目が散見され、崩壊が進んでいるようだ。将来キレットが出現するのではないだろうか。
- 賑わう山頂
山頂が近付くと今まで見たことのないような賑わいだ。山ガールも多数。時刻は11:05。最低目標を5分オーバーだが、まあよしとしよう。往路を帰りたい者がいるかもしれないので、落ち着かないがここで昼食と決し風裏のササの上に展開する。私とSが湯を沸かして皆でカップ麺を食べる。待ち切れずにプシュプシュと缶ビールが開く。飲むことだけは一人前だ。まだ続々と登山者が北側から登ってくる。女性が多い。そのうち知った顔のあんちゃん。山の写真家、のりや君だ。そうか、今日が「いなべ山女子フェスタ(いなべ市主催)」の日であったか。
あとで引率者ののりや君に「狙って来たんじゃないの?」と冷やかされた。事前に彼からパンフレットを貰っていたからだ。冗談じゃないよ。わしももう枯れてきたから、そんなの目当てに登るほど元気ないわさ。別の山の予定を変更して、じじいどものお守りに来てバッタリ会ったというだけのこと。でも目の保養にはなりました。
- 熱唱する崖っぷちアイドル
そのうち山頂でミニライブが始まった。おねえちゃんがコンパクトなギターを抱えて歌い出した。雄大な伊勢平野をバックに、まるで空中に浮かんでいるようだ。うーん、絵になるねえ。これが本当の崖っぷちアイドル!このおねえちゃんはシンガーソングハイカー^^の何ちゃらいう人らしい。それにしても山ガの引率とじじいの引率では天と地ではないか。
- ええ天気。シロヤシオ紅葉はちょっと茶色
さてライブは続いているが、我が還暦隊は早めに発たないといけない。予測不可能な連中であるから、暗くなってしまうとマズい。遠足尾根は長いぞと脅かしても、Mは峠にひとり戻って迷子になるといけないから皆に着いていくという。案に相違して帰りは何も起こらなかった。下りや平坦な道ではMも生き生きとして、無駄口を叩きまくって上機嫌だ。植林の激下りでは膝にきて泣きが入ったRに「Sが登りは体力だけど、下りは技術って言うてたぞ。わしは技術があるんや」と図に乗りまくって、往路おいてきぼりの憂さを晴らしていた。
順調に下山して宇賀渓まできたら、案内所でひとりがつかまって、下山届を書いていけといわれた。「石榑峠から登ったので登山届は書いてないから」と言っても下山届を書いていってくれという。妙な話だが、下山してから200円払えとは、さすがに言われなかった。誰もリタイアしなかったお陰で峠のクルマを回収に行かねばならない。待っている時間は長かったが、こうなったらセブン制覇だとか次は釈迦だとか盛り上がっている。まだ一つ登っただけやがな。それも峠からという反則技で^^。でも誰も懲りたと言わなかったのは頼もしい限りだ。
ハリマオ