- マユミ
今年は台高の渓を歩こうと思った.春先から歩いた渓を数えてみると、三重県側だけでヌタハラ谷(5月)、中ノ谷(6月)、セウス谷(6月)、木梶川とその周辺の渓(6月)、唐谷川(6月)、奥ノ平谷(7月)、木屋谷川(8月)、東俣谷(10月)となった。我ながらよく歩いたものだ。蓮界隈で残っているメジャーな渓は絵馬小屋谷。7月に下見を済ませ、後は本番あるのみなのだが、わりばしさん、ゆるやまさんと3人パーティーで企画した8月は前日の大雨のため断念。絵馬小屋谷へ行きたいと訴え続けていたらたろーさんが声をかけてくれた。
【 日 付 】2015年10月18日(日)
【 山 域 】台高 櫛田川水系 蓮川
【メンバー】たろー、シュークリーム
【 天 候 】快晴
【 ルート 】絵馬小屋林道入り口駐車地 6:50 --- 7:07 絵馬小屋谷出会い --- 7:20 行合 --- 7:47 観音滝 --- 8:15 五所ヶ滝下 --- 8:50 釜跡のある二俣 9:17 --- 9:45 3段20m滝 --- 10:50 石谷滝 --- 11:28 白倉滝 --- 12:22 稜線 --- 12:33 昼食休憩 --- 14:15 P1226 --- 15:50 絵馬小屋谷出会い --- 16:08 駐車地
林道終点まで行けるかと絵馬小屋林道を少し入ってみたのだが、相変わらず荒れていて私のFF車では無理そう。林道入り口まで戻って歩くことにする。たろーさんと二人でパーティーを組むのは久しぶりだ。会うのも3カ月ぶり。快晴が約束された日曜日。満を持しての遡行だ。
林道終点まで来ると三河ナンバーの4WD車が停まっている。4WDだとここまで来れるんだねえ。先行グループが居るのだろうか。あるいは普通の山登りか。ここから入渓し、すぐに行合に着く。2回目なのでこういうものという感じ。水中の石がぬめっていて、ときどきつるっとくる。水が少ないせいだろう。
観音滝。雨子庵さんに置物があるはずなので見てきてほしいと頼まれていたので、滝下へ見に行くと観音様の置物があった。これが雨子庵さんが言っていたものだろうか?
- 観音滝の観音様
観音滝の少し上で面白い造形の岩を発見(写真)。「千と千尋の神隠し」に出てきそうな悲しげな妖怪か、何かの動物の顔に見えるけど。
- 何に見える?
五所ヶ滝下で単独の遡行者に出会う。ヘルメットとロープは持っているが、気軽な感じ。三河ナンバーの車の主Sさんだった。自分も単独で歩く癖に単独者を見ると心配になる自分。コースを聞くと自分たちと同じだった。また会いましょうと言って別れる。
- 五所ヶ滝下
五所ヶ滝ゴルジュは左岸巻き。五所ヶ滝の全貌を見るために右岸巻きをする人もいるが、二俣から5分も下れば見ることができるので、わざわざ難しい右岸巻きをする必要は全然ないと思うのだが。ゴルジュを少し戻って,登れそうなところを登るとすぐに巻き道に出た.遊歩道というわけにはいかないが,ゴルジュのすぐ上を歩くことができる.前回はちょっと戻りすぎたようだ.
巻き終わった二俣にザックをデポし五所ヶ滝見物に出かける。五所ヶ滝の造形美は一見の価値ありだ。どのようにしてこんな奇妙な形状の滝ができたものだろうか。
二俣に戻り、遡行を続ける。この上は一気に源流の雰囲気になる。渓のところどころに炭焼き釜跡があり、昔はこのあたりが人々の生活の場であったことが分かる。杣道もところどころに見られる。明るい二次林の森。「もっと暗い渓だと思っていたけど」とたろーさん。この上に大滝が何本もかかるとは想像できない。
と思っていると3段20m滝の登場。ここは左岸のクラックをカムをかませて登るのだが。このクラックが想像していたよりも狭くて、手の指がよくやく入るくらいだ。壁が立っていてホールドがなさそう。ほんの数メートルなのだが、想像以上にきびしそうな感じ。たろーさんトップで挑戦するも苦労している。一度降り、ザックを降ろして空身で再挑戦する。残置と自前のカム計3個を使い,上の小さい木の根際をつかみなんとかあがる。次は私の番。2番手なので、いざとなれば引っ張り上げてもらえばいいので気が楽だ。なんとかクリア。
- 3段20m滝
単独のSさんもここを越えたのだろうか.後で聞いてみると流心左横の倒木から上がったという.きわどさではいい勝負だろう.
この上は陽もあたりだし,明るくいい感じ.石谷滝15mはもう水量も少なく,おとなしい滝.釜も浅く,夏ならばちょっと泳いで遊びたい感じだ.ここは少し戻った左岸ルンゼを上がり,リッジを乗り越して向こう側のルンゼを降りるとピタリと落ち口にでた.
- 石谷滝15m
この上は一旦伏流になり,ゴーロ帯を進むと白倉滝35mだ.水量はもう少なくなり,高さの割に迫力はない.
- 白倉滝35m
ここは右岸支谷を少し登り,適当なところで右へ上がると簡単に抜けることができた.この上の多段50m滝はフリクションを効かせて快適に直登.
- 多段50m滝
ここを抜けるともうあとは詰めのみ.たろーさんに残りの標高差を聞くとあと200mほどだという.登りが嫌いな自分にとってこの詰めが一番の核心部かも.それでも,気持ちのいい源流部を上がり,やぶこぎもなく稜線に飛び出した.稜線は紅葉しているがいまいちな感じ。強い風が吹いたのだろうか。
稜線で短い昼食休憩をとったあと,P1226に向けてちょっと歩くと単独のSさんが休んでいた.下山方向は同じなので,この後一緒に歩くことになる.歩きながら話をしているとこの人の経歴がすごかった.あらゆる谷をほとんど単独で遡行している。我々が苦労した奥の平谷を単独で1日で抜け,サスケ滝も単独登攀したという.4級沢の岩井谷も単独で遡行している.岩井谷は私など下から見ただけでとても自分が登れる谷ではないとはなから諦めたのに.なんの木平のミズナラ大王にご挨拶だけして,下山する.
今年の懸案だった絵馬小屋谷の遡行を無事に終えることができてよかった.この谷の核心は3段20m滝の突破だろう.今回はクラックを登ったが,ルートは複数あり,もう少し楽に登ることができるルートもあるように思った.今度行くことがあったら試してみたい.これ以外には難しいところもなく,全体的には癒し系の溪と言っていいだろう.五所ヶ滝は一見の価値があるので,是非行ってみられるといいと思う.
快晴の秋晴れの1日を使って快適遡行できた快心の沢登りだった.たろーさん,おつきあいいただきありがとうございました.