【日 付】 2014年3月15日(土)
【天 候】 曇り(一時雪)後晴れ
【山 域】 奥美濃
【メンバー】クロオ、kitayama-walk
【コース】 6:35神岳ダム(駐車地)-7:20尾根取付点-9:00P1114-9:35JCTピーク1-10:15▲高丸11:30-11:55JCTピーク1-12:40JCTピーク2
-13:00▲烏帽子山14:15-14:30JCTピーク2-15:30P932-17:10林道出合-17:30神岳ダム(駐車地)
- GPS軌跡図
高丸(1316.3m)は、越美国境稜線から東に外れている山であるが、地形図には山名が載っていない。奥美濃の国境稜線近くにある山としては、
伊吹山(1377m)に次ぐ高峰である。しかし、調べてみると登山道がない。無雪期には鳥ヶ東谷や大岩谷を詰めて登るヤブ山である。しかし、積雪
期には夜叉ヶ池から三周ヶ岳への稜線から辿るルートとイビデン神岳ダム上流の椀戸谷から朽ヶ洞尾根を辿るルートがある。
烏帽子山(1242.2m)は、南(湧谷山)や東(蕎麦粒山、上谷山)から眺めるとピラミダルな山容が目立つ山であり、蕎麦粒山と同様に登ってみた
いと思っていた。 もちろん、この山もヤブ山なので無雪期にはそう簡単には登れない。そこで、積雪期の登山となるが、高丸と烏帽子山は稜線で
繋がっているので、椀戸谷出合から朽ヶ洞尾根を辿り、JCTピークから2つのピークを攻めることにした。
吉川幸一著「岐阜の山旅100コース」(美濃上)に残雪期の山として、土蔵岳、大ダワ、上谷山、笹ヶ峰とともに、椀戸谷出合から朽ヶ洞尾根を辿
る高丸・烏帽子山が紹介されている。すでに高丸・烏帽子山以外は踏破していることから、次はこの2つを狙っていた。そうした折り、山日和さんが
3/9にこの2座を登ったという山レポが上がった。 ようし俺も登るぞ!と登行意欲満々。 次週3/15が天気がよさそうなのでクロオさんに声を掛けて
一緒に登ることにした。
午前6時に坂内川上の夜叉龍神社でクロオさんと待ち合わせて林道を進むと、林道には全く雪がなく、多少の落石があったものの、ハンドルで交
わし、あっという間にイビデン神岳ダム先の椀戸谷出合の橋手前の駐車地まで車が入った。この日、奥美濃(揖斐川町)の天気予報は晴れだった
が、福井の方は曇り後晴れ。空を見上げると、雲が多く時折うっすら青くなるものの、ここは福井に近いのでちょっと天気を心配しながらの出発だ。
身支度をしていると、単独行の男性が到着したので、今日の予定を尋ねると私たちと全く同じだった。先に私たちが出発し(6:35)、椀戸谷右岸につ
いている林道を歩き始めるとすぐに雪があり、スノーシューを履くことにした。 林道には先週のものと思われるトレースがあった。 これを追いかける
ように快適に進むことができる。林道が大きく右にカーブし再び左にカーブするあたりが朽ヶ洞(941.6m)へ登る尾根の取付点だ。ここも通過して進
むとやがて林道は一旦に左岸に渡り再び右岸に渡り返して、大きくUターンしている。この右岸に渡った橋のたもとから取り付くことにした(7:20)。
すぐに右手に谷があったが、この左側の尾根に取り付いたのが失敗だった。少し登ると支谷の右側の尾根に取り付くべきことに気づいたので、途中
から支谷に下って渡渉し右側尾根に取り付いた。しかし、ここがヤブの急斜面となっていて難儀する。途中で引き返して尾根末端から取り付けばよ
かったと後悔するが、仕方がない。強引にヤブの斜面を突破するように登って行き、やっと尾根芯に出た。植林帯であるが、ヤブではないので歩き
やすい。
尾根芯の植林は疎らになっていて、その間を縫うように登っていくと、やがてブナ林に変わってきた。いい感じだが、空はどんよりと曇り小雪もちら
ついてきた。当然ながらテンションが下がる。この尾根も結構傾斜が急であり、喘ぎながら登っていく。 雪面の固いところには1週間前のものと思わ
れるトレースがあった。やがてP1114の肩に出てきて(8:50)、ここから左に曲がるが、さらに登りが続く。ここは我慢して黙々とスノーシューを蹴って
登ると、傾斜が緩くなり平坦なところにやってきた。比較的大きなブナの木が数本立っている。ここがP1114地点だ(9:00)。小雪が舞う向こうに吊尾
根や烏帽子山がうっすらと見える。ここで最初の休憩を取る。テルモスに入れてきたコーヒーが温かくてうまい。
P1114からは高丸と烏帽子山をつなぐ吊尾根のJCTピークをめざす。傾斜が緩やかで、ブナが林立しているので気持ちよい。歩くにつれて少しず
つ青空も見えてきて天気が回復する兆候だ。右手に吊尾根と烏帽子山の姿がはっきりと見えてきたので、少しテンションが上がってきた。このあた
りまでやってくると、トレースは全くなくなった。1週間前のトレースはもうかき消されているのだ。 ブナを見上げると青空をバックに樹氷もそれなりに
ついている。なかなかいいぞ!これからだと内心ほくそ笑む。JCTピークに近づくと、高丸への稜線には小さいながらも雪庇ができている。ここで小
休止だ(9:35)。
- JCTピークから高丸に続く尾根
さて、JCTピークから高丸を眺めると、まだまだ距離がありそうだ。天候が回復しそうだったが、高丸方面はまだ灰色のままだ。ここからは一旦下っ
てから登り返しとなる。鞍部への下りの途中で体が宙に浮いた。一体何が起こったのか。雪庇が崩れたのだ。体が雪の急斜面を落ちていく。必死
になって足を下にし両手を雪面に突き立てると滑るのが止まった。稜線から20mほどの地点だ。体はどうか。大したことはなさそうだ。見上げると2
本のストックが雪面にある。これを拾い上げて稜線に這い上がるとクロオさんが待っていた。鞍部からは高丸への登り返しは急登になっている。山
頂直下の傾斜が特に急だ。喘ぎながら登っていくと、やがて傾斜が緩くなり、平坦な場所にやってきた。GPSで確認すると高丸山頂であった(10:15)。
山頂には雪で埋まった灌木の上部だけが出ていた。雲の動きが速く時々青空も出てくるが、やはり雲が多く好天とは言えない。しかし、風は微風な
のでそう寒くはない。クロオさんの到着するのを待って、山頂から少し北に歩いたところで天候の回復を待ちながら早いランチタイムにした。出発時
に出会った単独行の男性も山頂にやってきた(10:30)。
- 高丸山頂
今日も得正のカレーうどんだ。持ってきたのはアルミ鍋の方だ。鍋にお湯を沸かし、野菜、豚バラ肉、天ぷらを入れて、少し煮立ってくるとうどん玉
を投入する。うどんが柔らかくなると粉末カレー粉を入れて煮る。 カレーの香ばしい匂いが立ちこめる。今日も奮発してスーパードライのプレミアム
(ロング缶)だ!寒くてもやっぱりビールは欠かせない。 向こうにうっすらと見える烏帽子山とこれに続く吊尾根を眺めながら甘辛の熱いうどんを食
べると体が温まる。待つこと1時間。しかしまだ天候がぱっと回復しない。 これ以上待つこともできないのでJCTピークに戻って烏帽子山に向かうこ
とにした(11:30)。
- 高丸山頂でランチタイム
高丸からの下りは急降下になっているので、スノーシューを外してアイゼンに変えた。キックステップを切りながらどんどんと下っていく。鞍部から
はもちろん登り返しだ。 雪庇の崩れた跡を確認しながらJCTピークまで戻った(11:55)。ここから吊尾根を下って烏帽子山に向かう。先行する単独
行の男性のトレースがあるが、アイゼンを付けたツボ足のようだ。 烏帽子山への吊尾根にも雪庇ができており、 踏み抜かないように注意しなけれ
ばならない。単独行の男性は注意するあまりに灌木の中に入ってトレースを刻んでいた。私たちは眺望が得られる灌木の端を歩くようにした。
P1161を通過したあたりで先行の男性に追いついた。ここからは先頭に立ってトレースを刻んで行くことになった。
- 烏帽子山に向かう
P1161からは少し下り、次のJCTピークに登り返していく。するとピークには今日のものと思われるワカンのトレースがあった(12:40)。このトレース
はJCTピークの南尾根から上がってきて烏帽子山に向かっていた。 よく見ると2つのトレースがある。つまり、すでに山頂を往復しているのだ。JCT
ピークからは一旦鞍部に下り、烏帽子山に登り返す。向かう烏帽子山の上部には青空が増えてきた。青空をバックにまだ残っていた樹氷がきれい
だ。いい感じで登り返していくと、前に雪壁が立ちはだかった。ワカンのトレースはここで左に巻いている。ピッケルがあれば容易に登れるが、ストッ
クしかない。しかし、アイゼンの前爪で壁を蹴り込んで足場を作って行けば登ることができる。こうして雪壁も突破すると間もなく烏帽子山の山頂に
到達した(13:00)。
- 烏帽子山山頂に到達
烏帽子山の山頂に到達すると天気は回復傾向であるが、 今少し時間がかかりそうだ。 下山時間を考えると1時間程度は滞在できそうだ。烏帽子
山の山頂は長細い地形になっている。少し南に寄ると眺望がよい。時間が経つにつれて青空が広がってきた。待望の青空である。歩いてきた方向
(西)には吊尾根と高丸、右には三周ヶ岳が大きい。 高丸の左奥に見えるのは横山岳であろう。北西方向に目をやると、越美国境の山々-美濃俣
丸、大河内山、夏小屋丸、笹ヶ峰が白い。さらに右手には、不動山や千回沢山などが見えているのであろうが、はっきりと同定することができない。
東方向には薄く能郷白山が見える。 南には小蕎麦粒を従えた蕎麦粒山が大きい。 やはり蕎麦粒山はどこから見てもかっこいいのだ。しかし、もう
1時間以上経過した。そろそろ下山にかからなくてはならない(14:15)。
- 越美国境尾根の山々
- 高丸と三周ヶ岳
単独行の男性とともに烏帽子山の山頂から下り始めた。振り返ると空が真っ青だ。JCTピークまでやってきて、少し休憩して撮影タイムだ。天気が
回復したことから、ここでパノラマ写真をたくさん撮った。ここから南に延びる尾根(トガスに続いている)を下ることにする。もともと予定していたコー
スであったが、ワカントレースがあるので気が楽だ。これが後にしんどい思いをすることになる。この南に延びる尾根も快適に歩くことができる。振り
返ると、烏帽子山が大きくせり出して見える。 進行方向には小蕎麦粒、蕎麦粒山、トガスが見える。そして左手には、それまで薄かった能郷白山も
はっきりと姿を現してきた。今日は午後から天気が回復し、眺望も素晴らしくなり気持ちも軽い。しかし、それは最後まで続かなかった。
南に向かう尾根は次第に下っていくが、そろそろ右に下ると思いきや、トレースは相変わらず尾根を進んでいる。もうP932を通過し、次の小ピーク
に登り返している。どこまで行くのだろう?まさかトガスまで続いているのでは?などと思い始めた。しかし、小ピークを過ぎたところで右手の尾根を
下り始めた。地形図で確認すると、神岳ダムにダイレクトに下っている尾根である。高度を下げてくると雪が少なくなり、やがてヤブが出てきた。もう
登山道ではなくヤブ漕ぎしながら適当に下っていくしかない。かくしてようやく林道に降り立った。 この地点は椀戸谷の支谷を上がったところであっ
た。この支谷も大きく渡渉することが到底できない。 椀戸谷に近づいても谷が大きく渡渉は無理である。時刻はすでに午後5時である。日没まであ
とわずかである。少々焦ってきた。 しかし、よくみるとトレースが支谷の奥へと続いている。支谷を詰めて対岸に渡っているのだろうと推測した。トレ
ースを追って支谷を詰めて行くと、 予想どおり谷が詰まったところで渡渉することができた。ちょっと安心したせいか、渡渉し終わり対岸に登る途中
で雪穴に左足がはまり込んで転倒した。足首が抜けない。一人では脱出できない。クロオさんに引っ張り上げてもらい何とか抜け出ることができた。
後でこのとき左足首を捻挫したことがわかった。対岸のトレースを追いかけていくと神岳ダムの駐車地に無事戻ることができた(17:30)。