【日 付】 2013年3月30日(土)
【天 候】 曇り後晴れ
【山 域】 越美国境
【メンバー】 クロオ、kitayama-walk
【コース】 二ッ屋導水施設-尾根取付-P912-P1115-▲美濃俣丸-大河内山(ヨセン谷丸P1288)-ロボットピーク-夏小屋丸(P1294)-▲笹ヶ峰(焼小屋丸)-
県境JCT-▲天草山-P711-廃村大河内-二ッ屋導水施設
http://kitayamawa.exblog.jp/20032999/
- GPS軌跡図
今月は、三国岳・左千方、三周ヶ岳と立て続けに越美国境の山に登った。三周ヶ岳に登ったときに、国境稜線から美濃俣丸と笹ヶ峰がこっちに来いと
手招きしているようだった。美濃俣丸と笹ヶ峰は、biwacoさんが2009/4/5-6ツェルト・シュラフなしでビバークし、2011/4/3リベンジした山である。 当初、
biwacoさんがリベンジした源平谷山経由の周回コースで歩こうかと思っていたが、 山日和さんに相談したところ、 どうせ周回するなら天草山経由の方
が歩き甲斐があるとのことだった。どうせ歩くなら天気のよい日を選んで歩きたいという思いから、延ばし延ばしになっていた。今年は雪が少ないことか
ら、早くからヤブが露出している情報があったことから、 そろそろぎりぎり限界というところでのアタックとなった。 最終的に参考にしたのは、やはり山日
和さんの山レポ(2011/4/10)であった。
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当日は、天気は曇り後晴れという予報であったが、美濃俣丸までは曇りというよりはガスっていて、ほとんど眺望がなかった。 その代わり、前夜の低
温と強風のおかげで樹氷ができていた。美濃俣丸山頂では、早くも笹が出ていて三角点まで露出していたが、空が明るくなっていることから、 これから
晴れるという確信の下に稜線歩きを開始した。 予報どおり、大河内山あたりからガスが切れて晴れ上がり、その後は雪稜散歩を十分楽しむことができ
た。
集合は午前5時半に広野ダムということであったが、 午前5時に到着したところ、クロオさんは前夜泊していた。 そのままダム湖畔道路を二ツ屋導水
施設まで行くとワンボックス車が1台駐車していた。 車から出てきた男性から声をかけられたが、御池池守さんであった。 4人グループで車中泊してお
り、今日は廃村大河内から林道をつめて越美国境稜線から笹ヶ峰をめざし、雪の状態や天候がよければ美濃俣丸へ足を延ばすかも知れないとのこと。
私たちと反対回りであることから、 国境稜線上ですれ違うかも知れない。しばらく明るくなるのを待ちながら出発の準備をしていると、空を覆っていた雲
が幾分切れてきた。今日の天気予報では朝は曇っているが、午前10時頃から晴れてくるということであった。
身支度を整えてほぼ予定どおり午前6時に二ツ屋導水施設を出発した。右手にある導水施設の橋を渡り林道に入っていくが、雪はほとんどない。最
初のヘアピンカーブを通過すると、 小さな祠に不動明王が祀ってあった。その次の左のヘアピンカーブのところから山腹に取り付いた。もちろん、道は
なく木の枝や根をつかみながら急斜面を適当に登っていくと、もうイワウチワの花が咲いている。10分ほど頑張ると尾根に出た。まだ雪はなく、薄いや
ぶこぎが始まるが、すぐに林道の切り通しに出た。ここから先の尾根のヤブが濃密であった。 しばらくはやぶこぎがしんどいが、やがて植林のあるとこ
ろにやってくると、やぶがおとなしくなってくれた。 自然林の中を登っていくが、薄い踏み跡があり、 所々にテープがつけられている。やがてca750あた
りでようやく雪が出てきたので、スノーシューを装着することにした。1週間以上前のものと思われるトレースがあり、 その跡を追うように登っていくとい
つの間にかP912に到着した。曇り空であったのが、いつの間にかガスが出てきており、周囲の眺望が遮られている。早く晴れてこないかと待ち遠しい。
P912からはなだらかな尾根を登っていくことになるが、所々でヤブが出ていて、歩きにくい。 特にシャクナゲにスノーシューの足を取られてなかなか前
進できず苦労する。やがてヤセ尾根にやってきたが、ここがP1115であった。ここを通過すると傾斜が急になってきた。ブナの大きな木が所々にあるが、
ガスの中に立っていて何か幽玄さを感じさせてくれる。相変わらずガスは晴れないが、先ほどから樹氷が出てきて次第に大きくなってきた。まさか、今
日樹氷が見られるとは思いもしなかった。 最後の急登を登り切ると美濃俣丸の山頂(1253.8m)であったが、 そこはもう笹やぶが出ていて、何と三角
点も露出していた(9:25)。
美濃俣丸の山頂ではガスに覆われて眺望がなかった。もし晴れていれば、烏帽子山、高丸、三周ヶ岳、上谷山などが見られたであろう。しかし、幾
分空が明るくなってきているので、これから晴れてくるという予報を信じて、予定どおり笹ヶ峰をめざして越美国境稜線を歩くことにした。 今日は気温
が低く雪面も比較的固いのでスノーシューを外してアイゼンに履き替えることにした。美濃俣丸からは国境稜線を北上することになるので、ガスで稜
線が見えないため方向を間違わないように確認して山頂から下り始める。 美濃俣丸から次の大河内山(P1288)までは2つのピークを越えていくこと
になる。稜線上は比較的なだらかな傾斜で展望コースになっているところである。 2つめのピークに向かう頃からガスが切れ始め青空が見えてきた。
振り返ると南方向には、高丸から烏帽子山に続く山々が見えている。前方にはこれまで見えなかった大河内山もその姿を現してきた。自然とテンショ
ンが上がってくる。しかし、稜線上には笹やぶが出ているところがあり、右斜面の雪のあるところも崩れているところがあるので、慎重に足場を見極め
ながら雪上を歩いた。最後はかなりの傾斜がある斜面を登り切って大河内山の山頂に到着した(11:00)。
- 大河内山から南方向の眺望
大河内山はヨセン谷丸とも呼ばれている。この付近では、高丸(黒壁)、美濃俣丸、夏小屋丸、焼小屋丸(笹ヶ峰)のように、山を舟に例えて丸と呼
でいるのが特徴である。日野川(大河内川)の支流である前谷がさらに杉谷、ヨセン谷、源平谷と三分しているが、P1288はヨセン谷の源頭にある山
ということでヨセン谷丸と呼ばれているのであろう。ここからの眺望は素晴らしい。国境稜線上には、ロボットピークと夏小屋丸(P1294)が見え、笹ヶ
峰はまだ見えない。しかし、続く稜線には金草岳、冠山が見え、その右には部子山、銀杏峰が続いている。さらに向こうには白山と別山が白く光って
いる。東には姥ヶ岳、能郷白山、イソクラが並び、その手前には不動山と千回沢山が見える。南には烏帽子山、高丸、三周ヶ岳、美濃俣丸、上谷山
があり、その向こうには金糞岳と伊吹山も見えている。何とも贅沢な眺望ではなかろうか。
- ロボットピーク手前から見た北方向の眺望
しばらく大河内山での眺望を楽しんだ後は、すぐ向こうに見えているロボットピークに向かう。一旦下ってからは緩やかな登りとなる。ピークに近づ
くにつれてヤブが頭をもたげている。できるだけ安定した雪面を歩いたが、やはり最後は笹やぶこぎだ。山頂は笹原の切り開きのようになっていて、
少しだけ雪が残っていた。ここには自動雨量計測所(ロボット)があったことからロボットピーク(ca1290m)と呼ばれているが、いつまでもロボピーで
は可哀想である。何かふさわしい山名はないものであろうか。付近を見回すと使い古した電池がいくつも転がっていた。 ロボットピークをやや左(北
西)に直進すると、源平谷山に向かう尾根に入る。今日のエスケープルートである。 ロボットピークまでやってくると、ようやく笹ヶ峰の姿が見えてき
た。山頂付近は白く、ずんぐりした山容をしている。山頂付近をよく見ると人影が見える。御池池守さんたちのグループに違いないが、こちらに向か
って歩いてくるのであろうか。今日はまだ時間もあり、稜線は所々でヤブが出ているとはいえ、まだ歩ける状態なので、笹ヶ峰に向かうことにした。
次のピークは夏小屋丸(P1294)である。 ロボットピークからは右手45度(北東)に向けてゆっくりと下る。 鞍部からも緩やかな登りとなる。やがて尾
根が広がってきて広い雪原状になると、左手に夏小屋丸の白いピークが近づいてきた。ここはヤブが出ておらず、右側に雪庇が出ていた。
- ロボットピーク手前から国境稜線を望む
- ロボットピークから振り返る
夏小屋丸の山頂までやってくると、笹ヶ峰が間近に見えてきた。手前にひとつピークがあるが、もう少しで着きそうに思える。相変わらず四囲の眺
望がよく、振り返ると美濃俣丸、三周ヶ岳、上谷山が並んでいる。 夏小屋丸はそのまま通過し、再び緩やかに下っていく。 小ピークを越えると広い
雪面のピークに到着した。 GPSでここが笹ヶ峰(1284.6m三角点峰)であることを確認した。 時刻は12:30と予定より30分遅れだが、ランチタイムに
することにした。山頂より少し西側には灌木が出ていたが、風はほとんどないので食事には助かる。 周囲の展望を楽しみながらの食事とビールは
うまいの一言に尽きる。小一時間のランチタイムを楽しんだ後、予定どおり先に進むことにした。御池池守さんのグループは、どうやら笹ヶ峰からピ
ストンして引き返したらしい。そのトレースを負うことにした。
笹ヶ峰には北峰があり、この北峰から次のピークP1169との間の鞍部までは約200mの下りだ。この下りはかなり急斜面になっているが、北斜面
であるため、まだ雪の状態もよく、キックステップでどんどんと走り降りる。途中に尻セードの跡があったが、誤って右側に滑り降りると転落してしま
う危険なところでもあった。鞍部からは再び登り返していくが、先行するトレースはP1169はヤブが出ているためか、左の山腹をトラバースしていた。
私たちもこれに続いた。 再び稜線に戻ると下ってきた笹ヶ峰が大きく見え、その北斜面が急であることがよくわかる。 国境稜線は次第に高度を下
げていき、やがて天草山との分岐点(960m)にやってきた。 そのまま稜線を進めば、高倉峠を経由して金草岳や冠山に続くことになる。 この分岐
点をGPSで確認し、左手(西)に直角に曲がって下っていく。すると、すぐに下れない壁の上に出てきた。ここが山日和さんのレポにあった岩壁のと
ころだとピンときた。 ここは右を巻いてトラバースするのだ。そう思って右手を見ると、先行者のトレースも見つかった。なるほど地形図では読み取
れない地形になっている。 このトラバースも急降下していくことになるが、ここもキックステップを効かせて降りれば問題なかった。下部から見上げ
ると岩壁に突き当たって難渋するところであろう。
岩壁を通過して、しばらく進むと、先行者のトレースは、案の定、左に向かって尾根を下っていた。廃村大河内から上がってくる林道をつめて、尾
根に登っていたのだから当然である。 ここで少し思案したが、まだ午後3時前であり、 天草山経由でも2時間あれば廃村大河内に下れるとの判断
から、予定どおり天草山(852.4m)に向かうことにした。 ここから先はトレースがない。心配なのは雪がどこまであるか、 またなくなったあとのヤブ
の状態がどうかである。 天草山までは緩やかなアップダウンを繰り返していくが、やはり所々ヤブが出ていて通過に苦労する。 県境JCTから天草
山までが意外と長く時間もかかった。 もう午後4時が近い。 これからが時間との勝負になる。 天草山からP711までは緩やかに下っていく尾根であ
るが、途中で尾根が広がったところがあり、ここでは右方向に下ることになる。 ここでルートミスすると「闇下」になりかねないので慎重にGPSとコン
パスで方向を確認して進む。P711までは所々雪が切れているが、何とか早く進むことができた。
いよいよ雪がなくなってきたので、P711でアイゼンを外した。これからヤブを予想していたが、意外とヤブが薄い。 しかも、踏み跡がある。 ラッキ
ーと思いながらブナ林の中を進む。やがて、やはりというか、笹やぶが出てきた。 でも、廃村大河内までそう距離はないので、 そう心配することも
ない。背丈ほどの笹ヤブこぎとなるが、所々にピンクのテープがつけてある。 これを追うようにして、笹をかき分けて下っていく。あと少しで林道に
出るという手前で右方向に寄ってしまい、 尾根芯を外してしまったが、 最後は笹や灌木の枝をつかみながら強引に下ると、廃村大河内から北に
分岐する沢に出た。小さな沢なので簡単に渡渉ができ、林道に降り立った。林道を少し行くと、建物が見えてきて、ここが廃村大河内であることが
わかった(17:25)。何とか「闇下」にならなくてすむ時刻である。 支沢に架かる小さな橋を渡り、 少し廃村の様子を窺った後、P413にある橋のたも
とでしばし小休止を取ることにした。後は二ツ屋導水施設まで林道を歩くだけだ。今の雪解け状態からすると恐怖の滑り台もあるまい。小さな祠と
日露戦争の記念碑を通過し、前谷の合流点を過ぎ、林道をどんどん歩いて、二ツ屋導水施設に戻ることができた(18:30)。 車に戻ると御池池守
さんからのメッセージが車のワイパーに挟んであった。雪の状態が悪いので笹ヶ峰から引き返して15:20に帰着したとのことであった。
今日の総行動時間12時間25分、実歩行時間11時間であったが、雪やヤブの状態からすると、まずまずのコースタイムであろう。今年は雪が少
なく、また雪解けも早い。日帰りでこのコースを歩くにはぎりぎりの時期といえよう。
<コースタイム>
6:05二ツ屋導水施設-6:20取付-8:00P912-9:00P1115-9:25▲美濃俣丸9:35-11:00大河内山11:15-11:40ロボットピーク-12:10夏小屋丸
-12:30▲笹ヶ峰13:15-14:30県境JCT-15:55▲天草山-16:35P711-17:25廃村大河内17:50-18:30二ツ屋導水施設