9日朝、出かける前に少し時間があったので、やぶこぎネットをチェックするとzippさんの書き込みが。「明日からの滋賀県側からの御池テン泊は止めといたほうが良さそうだね。駐車地に着いたら車が出られなくなるかもよ。入るのなら三重県側だよね。」確かに私もそれを心配していたのだ。今、愛車は修理中で、代車がぼろぼろの軽自動車。幸い真新しいスタッドレスタイヤを履いているものの、スタックしたらどうしようもないだろう。一応雪の様子を見てから決めることにして運転しながら鈴鹿の山を見ると、全体が雲に覆われている。あっさり、三重県側からの入山に変更する。
【 日 付 】2013年2月9日(土)~10日(日)
【 山 域 】鈴鹿・御池岳近辺
【メンバー】単独
【 天 候 】1日目 曇り時々雪; 2日目 晴れ時々曇り,頂上はガス
【 ルート 】
1日目 R306冬期ゲート 10:20 --- 12:00 コグルミ谷登山口 --- 14:00 カタクリ峠(泊)
2日目 カタクリ峠テン泊地 7:30 --- 9:25 ボタンブチ --- 10:35 カタクリ峠テン泊地12:20 --- 13:40 木和田尾分岐 --- 15:00 木和田尾登山口 --- 15:20 R306冬期ゲート
(1日目)
R306冬期ゲート前には名古屋ナンバーの車が一台。単独の足跡がゲートを越えて続いている。準備をして歩き始める。今日のザックは久しぶりのグレゴリーの80リットルだ。確か昨年5月の鈴鹿縦走以来の登場。このザックはザック自体の重量が3キロ近くあるが、荷重が腰にぴったりと集中してさすがにグレゴリーという感じで担ぎやすい。今日は冬山フル装備で約20キロの重量。身体にドスンとくるこの感じがなつかしい。
道は新雪が積もり、先週とはずいぶん違う。1時間半でコグルミ谷登山口手前の鉄製はしごに到着。はしごの上はわりばしさんの言う通り、尾根まで急斜面だ。20キロの荷物をしょってこの新雪つきの急斜面を登るのはかなりきつい。これだったら先週の階段からの道の方がよかったなと心の中でぶつくさ言いながら、ロープにすがってなんとか尾根に上がる。
- コグルミ谷右岸尾根にあがる鉄はしご
そのあとも冬山テン泊装備をしょっての登りはきつい。途中でスノーシューを履き、ぜいぜいはあはあ言いながら午後2時にカタクリ峠着。やっぱテン泊装備だったらここが限界だわ。こんな重い荷物をしょって1日で御池まで登るやつの気が知れんわ・・・などと思いながらテントを張る。
テントを張っているうちに単独と二人づれの若者のテン泊者が通りかかる。3連休だけあってテン泊装備が多いね。彼らはもう少し上でテントを張るという。やっぱ、若者は体力があるわ。
さあ、これからがお楽しみだ。まずは暖かいミルクティーとパンで昼食。雪を溶かして水を作った後は、寝袋に潜り込んで小説を読む。今日は船戸与一のハードボイルドだ。ストーリーにちょっと無理があるが、現代中国のかかえる民族問題が的確に描かれていて結構面白い。
- My テント(下山時に撮影)
5時半から夕食の準備。今日のメニューは当然鍋だ。イオンに合鴨が売っていたので鴨鍋にする。材料は鴨肉の他に,タラ,ホタテ,マイタケ,シイタケ,白菜,ネギなど.飲み物はもち日本酒の熱燗.外は寒くてもテントの中は鍋の熱気でむんむんだ.食事のあとは熱湯の入ったプラティパスを保冷バッグに入れて寝袋に放り込んでおく.実はこれが今日の目玉なのだ.自宅で一度リハーサルをしてきたのだが,実戦で使うのは今日が初めて.冬用寝袋は‐25℃対応でそのままでも全く問題ないのだが,寝袋に入ったときのこの暖かさのなんと幸せなことか.ちなみにこの湯たんぽは朝まで暖かかった.8時就寝.
(2日目)
朝4時頃に目が覚めるが,暖かい寝袋から出るのがおっくうでうつらうつらして過ごす.6時過ぎ,外が明るくなってきたので起き始める.今日の朝食は昨日余った鍋の材料を使ってやっぱり鍋だ.暖かい鍋はおいしい.
サブザックに必要最小限の荷物をつめて,7時半ころ出発.葉の落ちた木々の間から朝日が差し込んで気持ちの良い朝だ.スノーシューが気持ちよく雪面に食い込む.8合目の県境稜線にあがるとテントふた張り.昨日の若者たちだ.単独の若者はもうテントをたたんでしまって,昨日体力を使い果たしたので今日はこのまま下山するという.なんという軟弱な.
稜線を越えて真の谷出会い方面にトラバース.丸山の北尾根からあがることにする.昨日積もったばかりのまっさらな新雪にトレースをつけていくのは気持ちいいが,一人ラッセルはやっぱきびしい.頂上付近で二人の若者に会う.昨日8合目でテン泊していた人たちだ.足元はつぼ足だ.こんな新雪の山につぼ足で登るなんて無謀な.
- ホワイトアウトの奥の平
テーブルランドはホワイトアウトだった.丸山あたりはまだ多少は視界があるが,奥の平付近の視界は20m以下.せめてボタンブチまでと思い進むが,足もとの傾斜さえわからない.感を頼りになんとかボタンブチにたどりつく.昨年Nさんが亡くなったあたりに向かって合掌.
- ボタンブチ
- 頂上付近の樹氷
こんな状態でテーブルランドを歩いても危険なだけなので,自分のトレースをたどってテントに戻る.鍋の残り汁に「佐藤のごはん」を入れて温め,最後に卵を入れて昼食にする.これで鍋に使った食材はすべてお腹に収め,環境汚染はゼロ(・・・に近い(^_^;).
I村氏,再び現る!
テントを片付けていると,コグルミ谷右岸尾根方面から10数人の集団がわらわらと現れる.聞くと,コグルミ谷登山口あたりでテントを張っているという.最後尾にはスキーを担いだちょび髭のおじさんが・・・.どこかで見た顔だと思ったら,それもそのはず先週車で拾ってもらったI村さんだった.2週続けて山で会うなんて.どうもこの人とは縁があるのかもしれない.
まだ時間も早いので木和田尾経由で帰ることにする.消費した食材やお酒の分だけ荷物が軽くなっているはずなのだが,実際の感覚は昨日より重い.さらに,容積も昨日より確実に増えているのだ.白船峠までこんなに登るんだったっけと思いながら,相変わらずぜいぜいはあはあ言いながら重い足を引きずる.そのあとの木和田尾の長いこと長いこと.3時頃に木和田尾の登山口に降りたら,8合目にテン泊していた若者二人組とばったり.御池から下りる途中で道に迷って,また丸山まで登り返したという.危ない危ない.
久しぶりの雪中テン泊.雪山でまったり,快適に過ごす方法がだんだんわかってきて,今回は快適なテン泊だった.また今度どこかで雪中テン泊したいね.でも,重い荷物をしょって歩く時間は最小限にしたいけど.
9日朝、出かける前に少し時間があったので、やぶこぎネットをチェックするとzippさんの書き込みが。「明日からの滋賀県側からの御池テン泊は止めといたほうが良さそうだね。駐車地に着いたら車が出られなくなるかもよ。入るのなら三重県側だよね。」確かに私もそれを心配していたのだ。今、愛車は修理中で、代車がぼろぼろの軽自動車。幸い真新しいスタッドレスタイヤを履いているものの、スタックしたらどうしようもないだろう。一応雪の様子を見てから決めることにして運転しながら鈴鹿の山を見ると、全体が雲に覆われている。あっさり、三重県側からの入山に変更する。
【 日 付 】2013年2月9日(土)~10日(日)
【 山 域 】鈴鹿・御池岳近辺
【メンバー】単独
【 天 候 】1日目 曇り時々雪; 2日目 晴れ時々曇り,頂上はガス
【 ルート 】
1日目 R306冬期ゲート 10:20 --- 12:00 コグルミ谷登山口 --- 14:00 カタクリ峠(泊)
2日目 カタクリ峠テン泊地 7:30 --- 9:25 ボタンブチ --- 10:35 カタクリ峠テン泊地12:20 --- 13:40 木和田尾分岐 --- 15:00 木和田尾登山口 --- 15:20 R306冬期ゲート
(1日目)
R306冬期ゲート前には名古屋ナンバーの車が一台。単独の足跡がゲートを越えて続いている。準備をして歩き始める。今日のザックは久しぶりのグレゴリーの80リットルだ。確か昨年5月の鈴鹿縦走以来の登場。このザックはザック自体の重量が3キロ近くあるが、荷重が腰にぴったりと集中してさすがにグレゴリーという感じで担ぎやすい。今日は冬山フル装備で約20キロの重量。身体にドスンとくるこの感じがなつかしい。
道は新雪が積もり、先週とはずいぶん違う。1時間半でコグルミ谷登山口手前の鉄製はしごに到着。はしごの上はわりばしさんの言う通り、尾根まで急斜面だ。20キロの荷物をしょってこの新雪つきの急斜面を登るのはかなりきつい。これだったら先週の階段からの道の方がよかったなと心の中でぶつくさ言いながら、ロープにすがってなんとか尾根に上がる。
[attachment=4]P1010922_1.jpg[/attachment]
そのあとも冬山テン泊装備をしょっての登りはきつい。途中でスノーシューを履き、ぜいぜいはあはあ言いながら午後2時にカタクリ峠着。やっぱテン泊装備だったらここが限界だわ。こんな重い荷物をしょって1日で御池まで登るやつの気が知れんわ・・・などと思いながらテントを張る。
テントを張っているうちに単独と二人づれの若者のテン泊者が通りかかる。3連休だけあってテン泊装備が多いね。彼らはもう少し上でテントを張るという。やっぱ、若者は体力があるわ。
さあ、これからがお楽しみだ。まずは暖かいミルクティーとパンで昼食。雪を溶かして水を作った後は、寝袋に潜り込んで小説を読む。今日は船戸与一のハードボイルドだ。ストーリーにちょっと無理があるが、現代中国のかかえる民族問題が的確に描かれていて結構面白い。
[attachment=0]P1010963_1.jpg[/attachment]
5時半から夕食の準備。今日のメニューは当然鍋だ。イオンに合鴨が売っていたので鴨鍋にする。材料は鴨肉の他に,タラ,ホタテ,マイタケ,シイタケ,白菜,ネギなど.飲み物はもち日本酒の熱燗.外は寒くてもテントの中は鍋の熱気でむんむんだ.食事のあとは熱湯の入ったプラティパスを保冷バッグに入れて寝袋に放り込んでおく.実はこれが今日の目玉なのだ.自宅で一度リハーサルをしてきたのだが,実戦で使うのは今日が初めて.冬用寝袋は‐25℃対応でそのままでも全く問題ないのだが,寝袋に入ったときのこの暖かさのなんと幸せなことか.ちなみにこの湯たんぽは朝まで暖かかった.8時就寝.
(2日目)
朝4時頃に目が覚めるが,暖かい寝袋から出るのがおっくうでうつらうつらして過ごす.6時過ぎ,外が明るくなってきたので起き始める.今日の朝食は昨日余った鍋の材料を使ってやっぱり鍋だ.暖かい鍋はおいしい.
サブザックに必要最小限の荷物をつめて,7時半ころ出発.葉の落ちた木々の間から朝日が差し込んで気持ちの良い朝だ.スノーシューが気持ちよく雪面に食い込む.8合目の県境稜線にあがるとテントふた張り.昨日の若者たちだ.単独の若者はもうテントをたたんでしまって,昨日体力を使い果たしたので今日はこのまま下山するという.なんという軟弱な.
稜線を越えて真の谷出会い方面にトラバース.丸山の北尾根からあがることにする.昨日積もったばかりのまっさらな新雪にトレースをつけていくのは気持ちいいが,一人ラッセルはやっぱきびしい.頂上付近で二人の若者に会う.昨日8合目でテン泊していた人たちだ.足元はつぼ足だ.こんな新雪の山につぼ足で登るなんて無謀な.
[attachment=3]P1010942_1.jpg[/attachment]
テーブルランドはホワイトアウトだった.丸山あたりはまだ多少は視界があるが,奥の平付近の視界は20m以下.せめてボタンブチまでと思い進むが,足もとの傾斜さえわからない.感を頼りになんとかボタンブチにたどりつく.昨年Nさんが亡くなったあたりに向かって合掌.
[attachment=2]P1010948_1.jpg[/attachment]
[attachment=1]P1010952_1.jpg[/attachment]
こんな状態でテーブルランドを歩いても危険なだけなので,自分のトレースをたどってテントに戻る.鍋の残り汁に「佐藤のごはん」を入れて温め,最後に卵を入れて昼食にする.これで鍋に使った食材はすべてお腹に収め,環境汚染はゼロ(・・・に近い(^_^;).
I村氏,再び現る!
テントを片付けていると,コグルミ谷右岸尾根方面から10数人の集団がわらわらと現れる.聞くと,コグルミ谷登山口あたりでテントを張っているという.最後尾にはスキーを担いだちょび髭のおじさんが・・・.どこかで見た顔だと思ったら,それもそのはず先週車で拾ってもらったI村さんだった.2週続けて山で会うなんて.どうもこの人とは縁があるのかもしれない.
まだ時間も早いので木和田尾経由で帰ることにする.消費した食材やお酒の分だけ荷物が軽くなっているはずなのだが,実際の感覚は昨日より重い.さらに,容積も昨日より確実に増えているのだ.白船峠までこんなに登るんだったっけと思いながら,相変わらずぜいぜいはあはあ言いながら重い足を引きずる.そのあとの木和田尾の長いこと長いこと.3時頃に木和田尾の登山口に降りたら,8合目にテン泊していた若者二人組とばったり.御池から下りる途中で道に迷って,また丸山まで登り返したという.危ない危ない.
久しぶりの雪中テン泊.雪山でまったり,快適に過ごす方法がだんだんわかってきて,今回は快適なテン泊だった.また今度どこかで雪中テン泊したいね.でも,重い荷物をしょって歩く時間は最小限にしたいけど.