【日 付】 2013年2月3日(日)
【天 候】 曇り後晴れ
【山 域】 鈴鹿中部
【メンバー】 クロオ、ふ~さん、kasaya、I・M、kitayama-walk
【コース】 駐車地-熊野神社-(林道)-林道終点-文三ハゲ-綿向山-竜王山分岐-イハイガ岳-綿向山-P992-
塩の道峠-東山橋-熊野神社-駐車地
http://kitayamawa.exblog.jp/19742744/
鈴鹿中部にあり、鈴鹿山脈の中心から滋賀県側に大きく張り出している尾根には雨乞岳を筆頭に、清水の頭、イハイガ岳、綿向山などの
1000m級の山がある。綿向山にはこれまで何度も登っているが、①表参道、②大峠からイハイガ岳経由、③南尾根であり、熊野神社から文
三ハゲあるいは水無山経由で登ったことはない。そこで、今回は熊野神社を起点とし、大ガレ地の文三ハゲを登り、綿向山に至り、そこから
イハイガ岳までスノーシューハイクをし、ピストンして綿向山に戻り、下山は南尾根を下り、P992と塩の道峠を経由して、熊野神社に戻ってく
るという周回コースを設定した。前日の4月上旬の気温と雨のため、雪がないのではないかと心配したが、綿向山山頂付近では小さいなが
らも樹氷が見られ、雪もそこそこあってスノーシューもできた。午前中は雲が多く今ひとつはっきりしない天気であったが、午後からは青空が
広がる好天となった。
- GPS軌跡図
綿向山には今年1月6日にも登ったのであるが、天気に恵まれず眺望も得られなかったので、もう一度チャレンジしてみることにした。以前
から熊野神社から文三ハゲを登るというコースを登ってみたいと思っていたところ、ヤブこぎメンバーに声をかけてみたところ、クロオさん、ふ
~さん、kasayaさんとその友人のI氏が集まって5人で登山することになった。集合は新名神土山ICを下り国道1号線との交差点にあるコンビ
ニに6:30だ。予定時間に全員が集合し、熊野神社をめざして、いざ出発。天気の回復が遅れているのか、綿向山方面はまだ雲が取れていな
いが、そのうちに取れるだろうと楽観的観測だ。鈴鹿スカイラインの登り口(冬期閉鎖中)の国民宿舎かもしか荘前を通過し、平子峠を越えて、
平子集落を過ぎたところから「グリム冒険の森」に向けて入る。熊野神社手前のバス停付近に駐車地があったが、もう少し進むと熊野神社の
少し手前に大きな駐車場があったので、ここに駐めさせてもらうことにした。
身支度を整えて7:30に出発。すぐに熊野神社の鳥居の前にやってきた。鳥居は最近造り替えたようで真新しい。案内には「中世期、熊野の
村とこの神社は、神体山綿向山を中心に活躍した修験道者達の拠点地となり、都の公卿の参詣もあった。」と記されていた。つまり、綿向山の
修験道の山伏達により、紀州熊野より勧請されたものである。境内にある杉の古木は立派なもので、「タコ杉」と呼ばれる最も大きなものは樹
齢数百年と思われる。神社の駐車場の奥にある林道に「熊野の滝」と標識があるので、これに従って林道に入っていく。林道には雪はなく、し
ばらくは味気ない林道歩きが続く。樹林の切れ間から、前方に下りに使うことになる綿向山の南尾根が見える。林道終点近くになってようやく
林道にも雪が出てきた。前方には文三ハゲが見えてきて、その上部の樹林は白くなっていて樹氷がついている。ちょっとうれしくなってきた。
林道終点手前で堰堤が出てきたが、ここで林道は左に大きく迂回しているので、ショートカットして堰堤左側の斜面を直登していく。ここから文
三ハゲに突入することになる。私は、以前は「三文(さんもん)」ハゲとばかり思い込んでいたのだが、「文三(ぶんぞう)」ハゲであった。しかし、
その名の由来はよくわからない。地元の綿向山林生産組合のHPを見たところ、文三ハゲの由来は「・・・・・。」と記されているだけで不明である。
ガレ場の中央にあるひな壇のような鉄柵の左側をほぼ直登していく。雪は少ないが、雨で固まった状態でキックステップを効かせるとサクサク
と快適に登っていける。20分足らずで稜線鞍部に到達した。ここは、表参道の八合目付近から水無山への登山道となっている地点であり、そ
の標識がある。鞍部からは文三ハゲの上部稜線に沿って直登していく。稜線にある樹林には、小さいながらも樹氷がついている。稜線上部か
ら文三ハゲを見下ろすと斑状態の雪があり、その向こうには水無山(南峰・北峰)がどっかりと座っている。稜線の道は雪が少なく凍結してい
て滑りやすい。右端の雪のない部分を歩くとアイゼンまでは不要であった。程なく樹林を抜けると、綿向山山頂の南側に出てきて、青年の塔の
ケルンに到着した(9:10)。
- 文三ハゲから水無山を望む
綿向山は、樹氷を見たいという思いから、早朝から登ってくる登山者が少なくないが、今日は二人連れの登山者だけであった。しばらくすると
3、4人の登山者が登ってきた。未だ雲が多いものの、仙ヶ岳、鎌ヶ岳、雨乞岳、イブネ、御池岳などの山並みが見える。これからイハイガ岳ま
でピストンするが、稜線にはどれくらい雪があるのか不安であったが、小休止を兼ねてスノーシューを装着することにした。冬期ルートの分岐
点を過ぎると、右手の眺望が開けてきて、鎌ヶ岳と雨乞岳が見えてくる。特に雨乞岳の図体の大きさが目立つ。竜王山分岐点までの途中に、
幸福のブナ(変珍木)があるのは有名だが、そこで記念撮影だ。竜王山分岐点を過ぎて、綿向山北峰と呼ばれるピークからは、北は霊仙山か
ら南は仙ヶ岳あたりまでの大展望が広がっていた。ここはいつ来てもいいところだ。向こうには、これから辿るイハイガ岳までの稜線が見えて
いる。この稜線は無雪期には笹原になっているが、積雪期には白い雪面になっている。ところが、今日はどうだ。雪で白いところと笹原が見え
ているところが斑になっていて笹原には1本の白い雪道がついている。これはスノーシューで笹漕ぎしなければならないかなと思いながら進む。
まずは綿向山北峰から急斜面を滑るように下り、しばらくは雪のついた斜面を歩くと、笹原の1本道に入る。ここが最も雪が少なかったが、何
とかスノーシューを外すまでもなく通過することができた。後は、少ないながらも雪面を歩き通し、最後はイハイガ岳直下の鞍部からの30mほど
の急登に苦労しながらも目標である山頂に到達した(10:10)。 イハイガ岳の山頂の展望はどうかというと、 標識の立っているところからは、綿
向山の北峰と本峰が正面に見え、左手に雨乞岳が何とか見える。三角点のある位置(今は雪に埋まって見えない)は灌木の中で眺望がない。
しかし、もう少し先(大峠方向)に進むと、 正面に清水頭から雨乞岳がデンと座り、イブネが脇に控えている眺望が得られるのだ。 イハイガ岳ま
ではやってきたが、この大展望を見逃している登山者は多いのではなかろうか。この展望地は、風を受けることがなく、日差しを浴びて、なかな
か暖かく気持ちがよいので、しばしここで歓談してしまうほどであった。
- イハイガ岳から綿向山を望む
さて、あまり長居しても仕方がないので、綿向山に向かって引き返すことにした(10:40)。風の当たらない適当なところを見つけてランチタイム
にすることにした。少し戻ったところに東側斜面に風の当たらない場所があったので、ここでランチタイムである(11:05)。鍋、カップ麺などお昼
ごはんはいろいろ。今日は山日和さん主催のスノー衆ではないのでカップ麺も御法度ではない。私は今日もコンビニのちゃんこ鍋に追加の豚
肉+野菜を持参した。実は、今日は私の誕生日なのである。ワインの瓶を1本持ってきたのだ。もちろんビールも忘れない。皆さんでご笑味い
ただくことにした。次第に青空が増えていく空に気持ちよくなって、ワイワイと団らんとなり、いつの間にか時間が過ぎてしまった。正午前にラン
チタイムを切り上げて出発した。イハイガ岳の最低鞍部からの登り返しは180mほどあるが、一気に駆け上り、綿向山山頂に戻った(12:35)。
山頂は、先ほどと打って変わって、たくさんの登山者で賑わっていた。ちょうどお昼時だったこともあって、青年の塔の周辺は混雑していた。し
かし、午前中にあった樹氷はすでになくなってしまっていた。
- イハイガ岳から綿向山への雪の稜線を行く
綿向山山頂では休憩することもなく、南尾根に突入することにした。山頂南端でランチしていた登山者たちが怪訝な顔をする。 トレースはと
いうと、今日のものと思われるツボ足跡がひとつだけある。ふ~さんを先頭に急斜面を滑るように下っていく。 途中で左手にはイブネ、雨乞
岳、鎌ヶ岳の揃い踏み、 右手には水無山の端麗な山容を見ることができる。 と思うと、ブナの樹林の中に突入し、 ここがブナの木平だ。
いい感じのところで、テント泊もできる。そのまま通過するには惜しい気もした。P992までは平坦な尾根歩きになったが、以降は急降下になる
ので、ここでスノーシューを外すことにした。ここから雪がなくなり、急斜面を少し下ると、左手に大きなガレ場があった。この稜線歩きがちょっ
といやらしいところで、転落しないように注意しながら歩を進める。左手には鎌ヶ岳以南の鈴鹿山脈の眺望はきれいに見える。ガレ場の難所
を通過すると、あとは尾根伝いに歩くことになるが、一部尾根が広がっているところがあり注意を要する。
- ガレ場から鎌ヶ岳以南の鈴鹿山脈の眺望
小さなアップダウンを経て、鞍部である塩の道峠にやってきた。右手を見ると古道が下っているのがわかる。この峠は、西尾寿一氏の「鈴
鹿の山と谷5」にB峠(仮)として紹介されている。「この地点(B峠)から811独標に向かってよい道があり奥草山と政子に至っている。 利用
価値の高い道である。B峠から植林の中を西に下ると熊野へ下ることができる。一部怪しくなるところもあるが、立派に使える。昔から相当
使い込まれた道のように思われた。」(328頁)と記されている。この塩の道峠から西に下ってもよいと思われたが、もうひと登りした小ピーク
から西に下ることにした。このルートは比較的歩かれているらしくテープの目印があった。途中から作業道(杣道)になり、左手に大きく旋回
した後、谷を渡るとはっきりとした林道になった。程なく堰堤に出てきて、その先の東山橋を渡ると舗装道路になり、道なりに歩くと熊野神社
に戻ってきた(14:30)。熊野神社の手前に国定天然記念物に指定されている「ヒダリマキガヤ」という樹木があった。
<コースタイム>
7:30駐車地-7:35熊野神社-(林道)-8:25林道終点-8:50文三ハゲ-9:10綿向山9:30-9:40竜王山分岐-10:10イハイガ岳10:40-11:05ラン
チ場11:55-12:35綿向山-12:50P992-13:00ブナの木平-13:45塩の道峠-14:25東山橋-14:30熊野神社-14:35駐車地