【日程】2016年4月30日(土) 単独
【山域】鈴鹿/高室山818m付近
【天候】快晴、微風
高室山へ行ってきた。とはいっても、自分の足ではなくクルマでだから、登山ではないか。
不整脈のアブレーション治療(手術)を4月20日にやってもらった。これで3度目。退院したものの、心臓の調子はイマイチだ。ちょっと負荷がかかると脈拍が上がり息苦しくなる。まだ術後1カ月もたっていないのだから仕方ないんだろう…と思うことにする。
そんなわけで今年のGWは山ともアワワとも絶縁…いや、自粛やむなしなんである。どうせ「サンデー毎日」の身なんだから…とはいえ、それでも世間では山だ、花見だ、宴会だ~と大騒ぎのGWとくれば、どっかへ行きたくもなる。自分の足で登れないなら補助具を…というわけで、クルマで行けそうな高室山がターゲットになった。
鈴鹿最北端の霊仙山の南、鍋尻山と並ぶ800mチョイの山。この一帯へはまだ行ったことがない。霊仙山には今畑から何度か行ってるので、多賀からのアクセスは分っている。と思って走っていたら、河内風穴の入り口まで来てしまった。ハッピ姿のおじさんたちが待ち構えておられる。風穴観光のクルマを駐車場へ案内(引っ張り込んで)されているのだ。
「あ、ボクは違うんです。ちょっと間違えました、ゴメンナサイ…」
あたふた、Uターンして、来た道を引き返す。地図を確認すると、国道分岐からちょっと入った調宮神社の橋を渡って杉峠への林道に入らねばならない。入ってみれば予想通りの険路。一応舗装してあるが荒れたままで地道と変わらない。しかも狭くて急こう配。対向車が来たら避けようがない。
ここだけでもう心臓が震え出しそうだ。冷汗を背中に感じながらなんとか峠の大杉まで登りきる。祠の右下の谷筋から立派な大杉がそそり立つ。謂れを記したプレートが立つ。
峠から平坦地まで下ると、廃村杉集落の廃屋が並ぶ。人気のない静寂の中、二輪草の白い花が春を告げている。
少しクルマを進めると、高室山への林道分岐。どこまで入れるのか分からないが、進入してみる。
室ノ谷に沿う林道は4WDでなくてもなんとか登れる。一番怖いのは礫石によるパンクなので、石を避けながら慎重に登って行く。山頂への分岐を左に見てもう少し進んでみる。付近のダイラ状の一帯は一面杉の植林地だ。林道はその先で終わっている。
軽4車両が1台停まって、2,3人の年配男女が何かしている。地元の林業関係者か?と思ったが、どうやらワラビ採りのみなさんのようだ。
「大漁ですか~、いい天気でいいですね」
声をかけるが、なんだかノリが良くない。逆に、山菜採りを咎めるジモターかと警戒されているのかな?
「私もちょっともらっていきますわ」
車から出て、先客の採り残したワラビを摘む。すぐに軟らかそうなワラビが手にいっぱいになる。
しかし、お土産に…といっても、我が家の家族は山菜は好まない。秋のナメコも、春先のフキノトウも、ワラビや破竹のタケノコも、持って帰って調理するのも食べるのも私一人。なので、多くは要らない。
屈みこんでワラビを摘むだけの繰り返しだけなのに、やはり胸が苦しくなる。鼓動が速い。頭がクラッとして眩暈のような症状。不安になるが少し休むと回復する。
もうとっくに昼時を過ぎている。エネルギー切れかも? 杉の切り株に腰かけてランチにする。麓のスーパーで買ってきた天丼とお好み焼きのパック。アワワが欲しいところだが、今日はお茶で我慢だ。
カラスがおこぼれをねだるように鳴いている。杉の植林地なので見晴らしは良くないが、疎林なので明るい。日差しが暑いくらいだ。
- 山頂まであと少しなのに…
ランチ後、標識と入山届BOXがある分岐から、高室山へ林道を進む。登山口のプレートを通り過ぎクルマ行き止まりの右手からが山頂への最短距離だろう。
様子を確認してみよう。ゆっくり歩くが、すぐ息苦しくなる。これではやっぱり山頂までは無理やな…。
斜面を少し登ると平坦になり正面に高室山の山頂が現れる。初めて見る山。樹木はなく、鈴鹿の鈴北岳か入道ヶ岳のような山容。見晴らし良好とガイド地図にあるが、その通りだろう。
体調さえよければ山頂まで30分もかからないだろう。標高差は50~60m。ヤブも危険個所もない禿山…。なのに進めない。今日もやはりピークは踏めなかった。
帰路、廃村保月の入り口で鍋尻山への登山口を確認。クマに注意の看板が新しい。
五僧集落へ向かう県道を地蔵峠へ。ここの4本の大杉は杉峠の大杉よりド迫力ものだ。
アサハギ橋の突き当たりはどっちへ行けば? 五僧は右だが、谷に沿って下る権現谷林道を下ったほうが遠回りしないで済む。落石が多いのが難。避けながら慎重に下り、妛原から風穴の河内を経て多賀へ出る。
クルマでなく自分の足で山頂まで行けるのはいつの日かなあ…。
~春なのに~胸が震えるbiwa爺