【比良】 扉を開けて 雪が積もった比良のお山へ

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Re: 【比良】 扉を開けて 雪が積もった比良のお山へ

by sato » 2025年1月05日(日) 16:32

宮指路さま

あけましておめでとうございます。
先月は、風邪をこじらせてしまってしまったとのこと。でも完治し御池岳を楽しんでいらっしゃったのだろうなぁ、と想像しています。
私の自己満足の山旅記が、宮指路さんの雪山へ向かう気持ちと重なってくださりうれしいです。

そう、雪山に登りたくても、登山口まで行けるかどうか、車を置ける場所があるかどうか、不安になります。
一度ツルツルのまっ白なアイスバーンの坂道を登る途中で止まってしまい、にっちもさっちもいかなくなり、
お湯を沸かしてタイヤの周辺の氷を溶かし、ピッケルで砕き、何とか脱出ということもありました。
この日は、一面霧氷の素晴らしい朝だったのですが、
脱出騒ぎに時間を取られ、疲れ切ってしまったので、予定のお山は諦め、他の低山に変更しました。

そう、そう。ひとりで山に分け入っていると、何だか漫画みたいと思って、笑ってしまうことがあります。
つい、うつくしい物語や、怖い物語を描いてしまうので、あれっ?ちがう、と(笑)。

霧氷は、お山の女神さまからのプレゼントだと思っています。雨や雪の日の翌日だと期待してしまいますが。
出会えると、ありがとうございますの気持ちで包まれます。

私は、怖いけれど、トレースの無い山を、ふぅふぅ、ドキドキしながら歩くのに、こころが惹きつけられてしまうのですね。
ヤブ尾根は、しっかりとヤブが埋まっていたらいいのですが、根雪がないところに新雪がどかっと積もった状態だと、
ズボズボ潜り踏み抜きも多く、辛抱の歩きになってしまいます。でも、この状態がまた漫画のようで可笑しくもあり・・・。
歩いたことのない大きな山だと、こんな悠長な気持ちにはなりませんが。

武奈ヶ岳は、人が多くて嫌という方もいらっしゃるでしょうが、ほんとうにいいお山です。
山頂からの眺めも素晴らしいです。人気があるのは当然ですね。
釣瓶岳、蛇谷ヶ峰とその周辺も味わい深い山域です。
蛇谷ヶ峰は、28日に柏から登りました。山頂こそ踏み跡だらけでしたが、登りも下りも踏み跡無し。あるのは動物の足跡だけ。
お山とわたしのいとおしい時間を味わいました。

釣瓶岳の「白い魔女」は、怖くて冷たくてやさしいお方です。
今日の午前中もお話をしに出かけてしまいました(笑)。
この冬も、こうして愛するお山で遊ばせていただけるしあわせを噛みしめています。

宮指路さん、コメントありがとうございました!
今年も、お互い、ゆたかな山旅を重ねていけますように。

sato

Re: 【比良】 扉を開けて 雪が積もった比良のお山へ

by 宮指路 » 2025年1月03日(金) 18:02

satoさん、あけましておめでとうございます。
 玄関の扉を開けると、今晩満月を迎えるおおきなお月さまと目が合った。愛車は霜で覆われ、月の光を浴びて白く浮かんでいる。
昨日の雨もすっかりと止んだ。今朝はピリッと冷え込んでいる。プレゼントは期待するのではなく楽しみにするもの、と思っていても、
夜明け前の青灰色の空を従えて煌々と輝くお月さまを見上げ、大いに期待してしまう。

雪山に向かう気持ちがよく分かりついつい文章に見入ってしまいました。
しかしながら私はこの1か月くらい風邪をこじらせてろくに山に行けていないので、そろそろ初登りをしないとと思っています。


 
道が凍っているかもしれない。雪も出てくるかも。付け替えたばかりのスタッドレスタイヤでの運転。
はやる気持ちを抑え、そろそろと車を走らせる。
 朽木に入った辺りから路肩に雪が現れた。どのくらい増えるのだろうと思ったが、駐車地の細川休憩所は薄っすら白くなっているだけだった。
安心して置かせていただくことができてホッとする。
登山口の雪量は気になりますね。無理して突っ込むとスタックしてJAFを呼ぶ羽目になります。

 
八幡谷に沿った道を少し進み、お社の奥から尾根に取り付く。植林の急こう配の尾根。
落ち葉と雪で足元が安定せず、ズルズルと滑り、かえって時間を取るのに、期待で胸が躍り、上へ上へとからだが向かってしまう。
雪が積もったばかりだとよくあるパターンです。

 
標高650mあたりで、スノーシューを履く。潜るのは、ふくらはぎの下ぐらいで足運びは順調。
綿帽子雪の木々に囲まれ、おとぎ話の世界に踏み込んだような気分になる。わぁ、なんて素敵なの。
目を見開き、わぁ、わぁ、とひとりごち。
思ったより素敵な景色に出会えるとそうなりますね
でも次第に、はぁ、というため息に変わっていった。あれよあれよという間に雪が深くなっていたのだ。

漫画の世界ですね。
今シーズン初ラッセル。まだ足が慣れていない。膝下ぐらいまで潜り、はぁ、はぁ、と息を吐きながら、
木立の向こうのまっ白に凍った北稜が、だんだんと低くなっていくのを励みに、空気をたっぷりと含んだ積もりたての雪に一歩を刻んでいく。
 青と白の眩い光が目を射った。あぁ稜線だ。
よたよたと辿り着いた1040mの小ピークからは、吸い込まれていきそうな青い空と、一面の霧氷の世界が広がっていた。
大いに期待し、胸を躍らせ、その通り、いやそれ以上の夢のような光景を目の当たりにして、ふぅと力が抜けてしまう。
あ~あ、いいな~(^^♪  明日は御池岳にも行ってみようかな  行っても途中敗退かな


 
わたしの立つぽてっとした生クリームのような雪を盛られたピークの奥に佇む「白い魔女」のスギが並ぶ釣瓶岳を、
これから進む煌めく霧氷の海の先にそびえ立つどこまでも白き武奈ヶ岳を、ごくりと息を呑み仰ぎ見る。
 キリリと冷たくピリッと熱い風に頬をたたかれ、我に返ったように、胸がトクトクと波打ち始めた。
霧氷の世界は見ようとしてなかなか見れないのでラッキーとしか言いようがないですね


 
記憶はより光を放ち蘇り、目の前の現実を戸惑わせる。
さぁ、行こう。まっさらな雪をほおばり、霧氷の海に足を踏み入れるが、あれっ?と立ち止まってしまう。
 武奈ヶ岳から延びる純白のひと筋の道はどこにあるのだろう。左に目を向けるが灌木で覆われている。
木の間を通り抜けようとして、吹き溜まりにはまり、どてっと転び、あっ、と気づく。
まだ灌木のヤブが埋まり雪庇が出来るほど、雪が積もっていないのだ。
ヤブルートは慣れていないと怖いですし、ましてやトレースがないとなると突っ込むのに勇気が要りますね
まあsatoさんなら大丈夫ですね
 そうかぁ。夢のような光景を前に、さらに夢のような物語を描いているわたし。
現実は、そう夢のようにはいかない。だから面白かったりする。よし、と立ち上がり、
ふんわりやさし気に見えて、しんとして非情な軟雪に、膝まで潜り、時に踏み抜き転びながら、足跡を残していく。
こういう場面は一人だと怖いですね

 
武奈ヶ岳山頂には、登山者が数人いて、それぞれ絶景を楽しんでいた。
ほんとうに素晴らしいとしか言いようがない風景が繰り広げられていた。
一昔前に残雪の武奈ヶ岳に登ったことがありますが、武奈ヶ岳から眺める冬の展望は本当に素晴らしいと思います。

*釣瓶岳 白い魔女に会いに*
玄関の扉を開けると、またおおきなお月さまと目が合った。
今朝は二日前ほど冷え込んでいない。愛車もフロントガラスに霜が降りているくらい。
ふあぁ、とあくびをして車に乗る。今日は、はやる気持ちもなく、のんびりと栃生まで車を走らせる。
自宅の近くから雪山を楽しめるなんてイイですね
 「登山道」の標識に従い山中に入ると、記憶に残る足にやさしい緩やかな道が続いていた。
 この道は、栃生と鹿ケ瀬を結んだ峠道。途中で枝分かれして地蔵峠、笹峠、イクワタ峠へと延びていく。
地蔵峠道はコメカイ道と呼ばれ、朽木の人びとが、高島へ米を買いに行く時に行き来し、
ササ峠道は、木炭、杉皮、杭などを運んだ歴史が残っている。
いかにもわりばしさんが好みそうなワードが沢山出てきます。

 
斜面をゆるゆると縫い、ピークは巻き、地形にすぅっと溶け込みながらゆったりと高度を上げていく道の造形のうつくしさに酔いしれる。
雪に残された登山者の足跡に、わたしが生まれる前にこの地に生きた誰かの足跡が重なって見える。
想像力の逞しさに頭が下がります。


DSC_0951 (2).JPG

 
標高750mあたりから雪が多くなった。今日は心置きなく歩ける。トレースを外れ気の向くままに登っていく。
840mの平たくなった地点からは展望が開け、蛇谷ヶ峰のやさしいお姿を眺めながら進んでいく。
 霧氷は無く、陽射しもやわらか。見渡す山やまもみな穏やかだ。
 のんびり気分で歩みを重ねているうちに、お気に入りのブナの木に着き、もこもこと雪を纏ったスギの木立の下に立っていた。

蛇年にあやかって、蛇谷ヶ峰に寄らなかったのですね


 
時間はまだ早い。くるりと旅して戻ってきてからご飯にしよう。スゲ原へと下っていく。
8つの淵と大小20以上の滝をかけ日本の滝百選にも選ばれている名渓、八池谷の源頭は、
核心部の豪快な風景とは一転し、伸びやかな地形が広がり、ゆらゆらと彷徨いながら歩くのに魅了されている。
 どっちに行こうか。ゆらゆら、くるくる。
地形を知り尽くしているのですね

あんまり遊びすぎると登り返すのがしんどくなるので、太陽が雲に隠れたのを機に、ナガオへと登っていく。
ひょろりとした木が並ぶ尾根を北上し、かくっと左に曲がると、「白い魔女」のスギ木立だ。
「白い魔女」をいっぺん見てみたいものですが、魔女に飲み込まれてしまいそうです


 
やはりここは、雪が深くてやわらかく膝まで潜る。
「今日は、穴に落ちないよ」
父は見ているだろうか。あの日と同じように、ぷっ、と頬を膨らませて見せる。
一人なら落ちたら大変なことになりかねないですよ


 
下りは、ハタケ谷左岸尾根。眺望が開けた爽快な斜面は、踏み跡ひとつない。
わぁっ、とうれしくなり、一直線に駆け下りていく。
「ねぇ、見て、見て」と、どこかに向かって、こころの中で叫びながら。
真っ白な雪面を駆け抜けるのは気持ちがイイですね。

                                          宮指路

Re: 【比良】 扉を開けて 雪が積もった比良のお山へ

by sato » 2024年12月28日(土) 20:20

びわ爺さま

こんばんは。
こちらこそ23日「南伊勢海岸物語」(素敵な旅物語!)をご一緒出来てうれしかったです。
びわ爺さんの前向きな笑顔に力をいただきました。

全くの「わたしの世界」を投稿してしまいましたが、読んでくださり、コメントまで書いてくださりありがとうございます。
霧氷の釣瓶岳のお写真まで探してくださったのですね。
そう、釣瓶岳は、武奈ヶ岳の前衛のような存在、おまけに山頂はスギに覆われていて、今ひとつと思う方もいらっしゃると思います。
でも、私にとっては得別のお山であり、お姿も、我が家の近くから仰ぎ見ると、北稜から山頂にかけてのラインがほんとうにうつくしく、
思わずこころの中で手を合わせています。

高島から朽木へは、入部谷越え、横谷トンネルは通りませんよ、というより、冬はもちろん夏も入部谷越えの道は不通だと思います。
皆さま安曇川に沿った道を通ります。
細川の休憩所は、ちょっと分かりにくいかもしれませんね。
「花ひさ」という鯖寿司屋さんの南にあります。集落の方々のゴミ集積所も兼ねています。

びわ爺さんは、15年前の新雪の日に栃生の地蔵峠道を登り、釣瓶岳を越えて武奈ヶ岳まで縦走され、細川尾根を下られたのですね。
60歳ちょっと手前の頃ですね。
すごいですね。私は、新雪の武奈ヶ岳北稜を何度か登っていますが、毎回膝ぐらい潜り、山頂が近く見えてもなかなか進まずという感じでした。
今回は、ヤブが埋まっていなくて、もこもこの雪で、太ももまで何度も踏み抜き、がまんの登りでした。
細川尾根も、ノートレースでよかった、と思ったものの、登りの尾根より雪が深くて、倒木も多く、ルンルンとは下れませんでした。
でも、新雪ラッセルは、ふぅふぅ言いながらも、お山とわたしの時間をより濃く感じて大好きです。

そう、そう、釣瓶岳では蛇谷ヶ峰と、武奈ヶ岳では釣瓶岳とお話しています。
あんなににぎやかな武奈ヶ岳山頂でも、少し下って東にそれたらお山とわたしだけの静謐な世界。
ぽつぽつと内緒話をしていました(笑)。

コヤマノ岳は、この日は人が通って落ち着かなかったので、後日あらためてイン谷から訪れました。
新たに積もった雪で、トレースもきれいに消えていて、まっさらな雪に足跡を刻みながら、
コヤマノ岳山頂の大きなブナの木に会いに行くことが出来ました。
誰もいない、誰も通らない霧氷のブナの木に寄りかかって座り、お昼ご飯を食べたりコーヒーを飲んだりまったりとした時間を過ごしました。
食後は東の尾根を下り、谷の源頭をトラバースして覗いて遊んでいたのですが、膝上まで潜ったりしていましたので疲れました。

ゆらゆらと遊ぶのは、スゲ原も楽しいです。傍から見ると変な人ですが。誰にも会わないから大丈夫か(笑)。

口の深谷の左岸尾根もいい尾根ですね。・1121も落ち着いていて好きです。
この尾根と西南稜で武奈ヶ岳を周回できますね。
私は、ノートレースの西南稜を歩いたことがないので、いつか機会に恵まれることを夢見ています。

イクワタ峠道は、自然と調和した峠道の造形美を感じる素晴らしい道です。
でも、コメカイ道は、ヒジキ滝周辺の足場があまりよくないので、びわ爺さん、踏み込まない方がいいです。
イクワタ峠道、なつかしの地蔵峠道でしたら、春になって、ご連絡くださればご一緒いたします!

年末寒波で、比良のお山の雪も増えそうです。
お正月、実家に帰って戻ってきたら、まっ白になっているかなぁ。
はい。白い魔女に溺れ取られぬよう気をつけて遊ばせていただきます!

いよいよ今年もあとわずかですね。
どうぞおからだにはお気をつけて、よいお年をお迎えくださいませ。

sato

Re: 【比良】 扉を開けて 雪が積もった比良のお山へ

by biwaco » 2024年12月26日(木) 21:22

satoさん、南伊勢の海岸物語、お世話になりました。(^^♪
その前週は釣瓶へ雪見散歩でしたか。このレポ、読んでいなくて南国では頓珍漢な話になってしまい、申し訳ありません。


釣瓶岳は何度か通過しましたが1100ⅿ近くもあるのに、すぐ近くにある武奈ヶ岳が100ⅿ以上高いため、登山者はみんな引き返してしまいますね。
ずっと前になりますが、村井から北稜に出て武奈ヶ岳を目指したとき、イクワタ北pあたりから武奈ヶ岳の前衛のように重なる真っ白の釣瓶岳を眺めて、「ああ、もうあそこまで行けたら十分や」と充足感に包まれました。
釣瓶岳
釣瓶岳
その時は釣瓶岳山頂付近で風を避けてうどん鍋をいただいたのですが、なんと先日のとっちゃんと同じで出汁を忘れてガックリ(泣)。生卵ときざみアゲの出汁で我慢して健康薄味うどんを完食しました。

高島からだとR367号にはどこから回り込むのでしょう?やはり入部谷越えでスキー場から朽木に入るんでしょうね。畑集落から横谷トンネル野道は冬季閉鎖でしょうか? 湖東からは琵琶湖大橋を渡り湖西道路か途中越からR367号に出るかです。栃生まで2時間見れば大丈夫ですが、北稜までは急登だし上部の雪は深いし、武奈ヶ岳まで行くのは大変です。

細川休憩所はどのあたりかな? 前の時は八幡谷の橋のところに自転車をデポして、村井の釣り池への途中まで車で入りました。
モンスター
モンスター
>標高650mあたりで、スノーシューを履く。潜るのは、ふくらはぎの下ぐらいで足運びは順調。
>綿帽子雪の木々に囲まれ、おとぎ話の世界に踏み込んだような気分になる。わぁ、なんて素敵なの。
>目を見開き、わぁ、わぁ、とひとりごち。
>でも次第に、はぁ、というため息に変わっていった。あれよあれよという間に雪が深くなっていたのだ。


たぶん私が下った尾根だと思う。北稜はヒザ越えの新雪でしたが・713ピークあたりで積雪10㎝くらいになったのでワカンを脱いでいます。短いけれど登るには結構急な尾根ですね。

北稜に出てから釣瓶岳と武奈ヶ岳を仰いでから「さあ、行こう!」と気合を入れなおしましたね(笑)

 >どのくらい経ったのだろう。眩いばかりの白雪の雪面が現れた。
足裏に力が入る。一歩を踏みしめながら青と白の境に向かっていく。
 >武奈ヶ岳山頂には、登山者が数人いて、それぞれ絶景を楽しんでいた。
ほんとうに素晴らしいとしか言いようがない風景が繰り広げられていた。


ついに踏んだ山頂。無雪期とは違う達成感があります。
こんなの読まされたら再挑戦したくなるなア

 >みなさまが作ってくれた道に戻り、黙々とコヤマノ岳を目指す。

スキー場が閉鎖されて久しい今、コヤマノ岳へは金糞峠経由で登ってくるんでしょうか? 以前、牛木場手前から口の深谷左岸尾根でコヤマノ岳に出たことがあります。無雪期ですがいい尾根の印象が残っています。

 >やっぱりわたしは、釣瓶岳とお話したかったのだ。
>白雪にいだかれ、白い雲がたなびく青い空と、まっすぐな光を放つ太陽と、白縹色に煌めく山やまとの、
せつなくいとおしい時間がやさしく過ぎていく。


武奈ヶ岳の温かい胸に抱かれて釣瓶岳とどんなお話をされたのかなあ?そこからなら蛇谷ヶ峰の白い頭も望めたんでは?

 >下りは、細川尾根と呼ばれる八幡谷左岸尾根へ。尾根に入ると、稜線より冷たく強い風に襲われた。

あれ? 勘違いでした。satoさんのこの日の登りは八幡谷右岸尾根でしたね。15年前の私もこの左岸尾根を細川へ下ったのでした。

17日の栃生からのコメカイ道は行こうと思いながら未踏のままです。笹峠への古道、イクワタ北峰への登山路といろんなルートがありますね。栃生~ホトラ山~イクワタ峠~地蔵山~コメカイ道~栃生の周回だけならできるかな?と地図を眺めています。

 >時間はまだ早い。くるりと旅して戻ってきてからご飯にしよう。スゲ原へと下っていく。
>8つの淵と大小20以上の滝をかけ日本の滝百選にも選ばれている名渓、八池谷の源頭は、核心部の豪快な風景とは一転し、伸びやかな地形が広がり、ゆらゆらと彷徨いながら歩くのに魅了されている。


この一帯、satoさんの「推しエリア」ですね。私は稜線を歩くだけで本当の山の懐に入っていないのかもしれません。
でも、油断してると「白い杉の魔女」に搦め取られてしまいますよ(笑)

銀世界の雪中行に続いて小春日和の海岸岸壁…お疲れでませんように(^_-)-☆

          ~びわ爺

【比良】 扉を開けて 雪が積もった比良のお山へ

by sato » 2024年12月21日(土) 16:00

【日付】  2024年12月15日、12月17日
【山域】  比良 武奈ヶ岳、釣瓶岳周辺
【天候】  15日 晴れ   16日 晴れのち曇り
【コース】 12月15日 細川~八幡谷右岸尾根~北稜~武奈ヶ岳~コヤマノ岳~武奈ヶ岳~八幡谷左岸尾根(細川尾根)~P
      12月17日 栃生~イクワタ峠道~イクワタ峠~釣瓶岳~スゲ原~ナガオ~釣瓶岳~ハタケ谷左岸尾根~P


 * 武奈ヶ岳 うつくしき白縹色の世界に出会う *

 玄関の扉を開けると、今晩満月を迎えるおおきなお月さまと目が合った。愛車は霜で覆われ、月の光を浴びて白く浮かんでいる。
昨日の雨もすっかりと止んだ。今朝はピリッと冷え込んでいる。プレゼントは期待するのではなく楽しみにするもの、と思っていても、
夜明け前の青灰色の空を従えて煌々と輝くお月さまを見上げ、大いに期待してしまう。

 道が凍っているかもしれない。雪も出てくるかも。付け替えたばかりのスタッドレスタイヤでの運転。
はやる気持ちを抑え、そろそろと車を走らせる。
 朽木に入った辺りから路肩に雪が現れた。どのくらい増えるのだろうと思ったが、駐車地の細川休憩所は薄っすら白くなっているだけだった。
安心して置かせていただくことができてホッとする。

 八幡谷に沿った道を少し進み、お社の奥から尾根に取り付く。植林の急こう配の尾根。
落ち葉と雪で足元が安定せず、ズルズルと滑り、かえって時間を取るのに、期待で胸が躍り、上へ上へとからだが向かってしまう。

 標高650mあたりで、スノーシューを履く。潜るのは、ふくらはぎの下ぐらいで足運びは順調。
綿帽子雪の木々に囲まれ、おとぎ話の世界に踏み込んだような気分になる。わぁ、なんて素敵なの。
目を見開き、わぁ、わぁ、とひとりごち。
でも次第に、はぁ、というため息に変わっていった。あれよあれよという間に雪が深くなっていたのだ。

 今シーズン初ラッセル。まだ足が慣れていない。膝下ぐらいまで潜り、はぁ、はぁ、と息を吐きながら、
木立の向こうのまっ白に凍った北稜が、だんだんと低くなっていくのを励みに、空気をたっぷりと含んだ積もりたての雪に一歩を刻んでいく。

 青と白の眩い光が目を射った。あぁ稜線だ。
よたよたと辿り着いた1040mの小ピークからは、吸い込まれていきそうな青い空と、一面の霧氷の世界が広がっていた。
大いに期待し、胸を躍らせ、その通り、いやそれ以上の夢のような光景を目の当たりにして、ふぅと力が抜けてしまう。
DSC_0932 (2).JPG
 わたしの立つぽてっとした生クリームのような雪を盛られたピークの奥に佇む「白い魔女」のスギが並ぶ釣瓶岳を、
これから進む煌めく霧氷の海の先にそびえ立つどこまでも白き武奈ヶ岳を、ごくりと息を呑み仰ぎ見る。
 キリリと冷たくピリッと熱い風に頬をたたかれ、我に返ったように、胸がトクトクと波打ち始めた。

 記憶はより光を放ち蘇り、目の前の現実を戸惑わせる。
さぁ、行こう。まっさらな雪をほおばり、霧氷の海に足を踏み入れるが、あれっ?と立ち止まってしまう。
 武奈ヶ岳から延びる純白のひと筋の道はどこにあるのだろう。左に目を向けるが灌木で覆われている。
木の間を通り抜けようとして、吹き溜まりにはまり、どてっと転び、あっ、と気づく。
まだ灌木のヤブが埋まり雪庇が出来るほど、雪が積もっていないのだ。

 そうかぁ。夢のような光景を前に、さらに夢のような物語を描いているわたし。
現実は、そう夢のようにはいかない。だから面白かったりする。よし、と立ち上がり、
ふんわりやさし気に見えて、しんとして非情な軟雪に、膝まで潜り、時に踏み抜き転びながら、足跡を残していく。

 どのくらい経ったのだろう。眩いばかりの白雪の雪面が現れた。
足裏に力が入る。一歩を踏みしめながら青と白の境に向かっていく。

 武奈ヶ岳山頂には、登山者が数人いて、それぞれ絶景を楽しんでいた。
ほんとうに素晴らしいとしか言いようがない風景が繰り広げられていた。
DSC_0934 (3).JPG
 風景との出会いは一期一会。
 休みの日が降雪直後の晴れの日で、地元となった地の愛する比良のお山に向かい、
今シーズン初のスノーシューを履き、ひとりラッセルをして、うつくしい霧氷の海を渡り、てっぺんに立ち、この風景に出会えたのだ。
青い空の下に連なる白縹色に輝く山やまを眺めながら、深い感慨に包まれる。
 登らせていただきありがとうございます。山とうみを感じるこの地に住まわせていただきありがとうございます。
感謝の気持ちでいっぱいになる。

 時間を確認すると、10時10分過ぎ。もっと時間がかかったと思ったがそうでもなかった。
コマヤノ岳の霧氷のブナの森の散策もしたい。よし、行こう。

 山頂からは、しっかりとしたトレースが出来ていた。人生、道から外れたり、寄り道してばかりのわたし。
こんな時もつい道を外して歩いてしまうが、次々と登って来る人達の目線が気になって落ち着かない。
若者グループの弾んだ声を聞いているうちに、なんだかさみしくもなる。ひとりの時より孤独を感じてしまう。
 みなさまが作ってくれた道に戻り、黙々とコヤマノ岳を目指す。
武奈ヶ岳山頂は風が冷たかったので、コヤマノ岳のあの大きなブナの木の下でお昼ご飯を食べようと思ったのだが、
落ち着かず、ご挨拶だけして戻る。
DSC_0938 (1).JPG
 戻った山頂は、多くの人で賑わっていた。登ってきた雪原を下っていくと、西からの冷たい風を遮り、
釣瓶岳を真正面に拝めるちいさなへこみを見つけた。まさにお山の女神さまが用意してくださったかのような特等席。
登山者の姿は見えず、声も聞こえない。

 やっぱりわたしは、釣瓶岳とお話したかったのだ。
白雪にいだかれ、白い雲がたなびく青い空と、まっすぐな光を放つ太陽と、白縹色に煌めく山やまとの、
せつなくいとおしい時間がやさしく過ぎていく。

 下りは、細川尾根と呼ばれる八幡谷左岸尾根へ。尾根に入ると、稜線より冷たく強い風に襲われた。
雪も深い。そして圧巻の霧氷。寒さと感動でガタガタと震え、動きたくても動けない。
キリキリと痛む指先を合わせ、今、ここにいる、しあわせなわたしを噛みしめる。
 霧氷の森は、標高1000mを切っても続いた。

 植林に入りスノーシューを外すと、たったかと勢いよく集落を目指し下っていった。
一度も振り返らず、止まらずに。
溢れてこぼれ落ちそうになる煌めく宝物を抱きしめながら、たったかと。


*釣瓶岳 白い魔女に会いに*

 玄関の扉を開けると、またおおきなお月さまと目が合った。
今朝は二日前ほど冷え込んでいない。愛車もフロントガラスに霜が降りているくらい。
ふあぁ、とあくびをして車に乗る。今日は、はやる気持ちもなく、のんびりと栃生まで車を走らせる。

 何年かぶりに訪れた集落の、林道上の民家のいくつかは取り壊されていて更地となっていた。
一軒の大きな家の前には「売地」の看板が立っている。裏山は伐採のための林道を作っているのか。
記憶の風景がなくなってしまったことに、しんとなる。

 「登山道」の標識に従い山中に入ると、記憶に残る足にやさしい緩やかな道が続いていた。
 この道は、栃生と鹿ケ瀬を結んだ峠道。途中で枝分かれして地蔵峠、笹峠、イクワタ峠へと延びていく。
地蔵峠道はコメカイ道と呼ばれ、朽木の人びとが、高島へ米を買いに行く時に行き来し、
ササ峠道は、木炭、杉皮、杭などを運んだ歴史が残っている。
 斜面をゆるゆると縫い、ピークは巻き、地形にすぅっと溶け込みながらゆったりと高度を上げていく道の造形のうつくしさに酔いしれる。
雪に残された登山者の足跡に、わたしが生まれる前にこの地に生きた誰かの足跡が重なって見える。
DSC_0951 (2).JPG
 標高750mあたりから雪が多くなった。今日は心置きなく歩ける。トレースを外れ気の向くままに登っていく。
840mの平たくなった地点からは展望が開け、蛇谷ヶ峰のやさしいお姿を眺めながら進んでいく。
 霧氷は無く、陽射しもやわらか。見渡す山やまもみな穏やかだ。
 のんびり気分で歩みを重ねているうちに、お気に入りのブナの木に着き、もこもこと雪を纏ったスギの木立の下に立っていた。

 まわりの木々はとっくに霧氷も雪も落としているのに、釣瓶岳山頂のスギは、たっぷりの雪で覆われていた。
 「お父さん、白い魔女だね」
 ぽわっと胸が熱くなる。
DSC_0954 (4).JPG
 時間はまだ早い。くるりと旅して戻ってきてからご飯にしよう。スゲ原へと下っていく。
8つの淵と大小20以上の滝をかけ日本の滝百選にも選ばれている名渓、八池谷の源頭は、
核心部の豪快な風景とは一転し、伸びやかな地形が広がり、ゆらゆらと彷徨いながら歩くのに魅了されている。
 どっちに行こうか。ゆらゆら、くるくる。
あんまり遊びすぎると登り返すのがしんどくなるので、太陽が雲に隠れたのを機に、ナガオへと登っていく。
ひょろりとした木が並ぶ尾根を北上し、かくっと左に曲がると、「白い魔女」のスギ木立だ。

 やはりここは、雪が深くてやわらかく膝まで潜る。
「今日は、穴に落ちないよ」
父は見ているだろうか。あの日と同じように、ぷっ、と頬を膨らませて見せる。

 わたしの足跡に合流して、「白い魔女」のすぐ下の「わたしの場所」に座り、
「わたしの風景」をゆっくりと味わいながら、パンをほおばる。
「白い魔女」の上から覗く太陽が、やさしく背中を温めてくれる。
じんわりとした温もりが、むかしむかしの温もりへと繋がっていく。

 ぽたりとひとつ涙がこぼれる。
 わたしは、これからも比良を旅していくのだな、と思う。

 下りは、ハタケ谷左岸尾根。眺望が開けた爽快な斜面は、踏み跡ひとつない。
わぁっ、とうれしくなり、一直線に駆け下りていく。
「ねぇ、見て、見て」と、どこかに向かって、こころの中で叫びながら。

sato

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