週末はどこに行こうか?最近北部台高が続いたので久しぶりにちがうところに目を向けてみる。
台高の縦走路繋ぎで残ってる区間が有る、父ケ谷高から振子辻の間にあるP1094から御座嵓の間が未踏破なのだ。この間はアプローチが悪く日帰りで行くとなると奈良県側から上がるしかないと後回しになっていたのだ。
最近歩かなかった日でも膝が痛いときが多く、数年前と比べるとやはり体力的にも落ちてきてるのを感じるこの頃、そんな中この縦走路繋ぎも完結せず終わってしまうのではないだろうかの思いがあった。
幸い今週は三連休、疲れても十分休養は取れそうだし、少しくらい下山は遅くなっても大丈夫だし、天気もいい予報なのでこれはチャンスだと決行することにした。どうせやるなら三重県民、登山口までが近い三重県側からのアプローチでやってみよう宮川大杉から回るルートを選択。このルートは以前から構想を持っていたのだがなにぶん時間がかかりそうなのがネックとなっていた。
今まで一日で歩いた自己の最高記録では伊勢の神宮の山をぐるっと取り囲むコース(通称天空界道)が総延長38kmで13時間掛かっている、それを参考に同縮尺でカシミールに表示させて比較してみると、最遠点間距離はおなじ位だが範囲は狭くなっているので何とかいけそうだ、ただ標高差は今回の方が大きそうなのは配慮が必要だろう。
エアリアのコースタイムを含めて考えた自分の予想タイムは15時間、どう考えても闇下歩きは必至である。早朝に登り始め歩きやすい所を通過しておくことにした。今回は未明の出発になるので家族に迷惑をかけないよう前夜は車中泊をする事にして、夜8時「明日は遅くなるかも」と告げて家を出た。
往来の少ない田舎道、運転してると眠気がさしてくる、緊張感を高めないよう安全運転、これなら到着してすぐに寝られるだろうか・・・。宮川地区では先の台風でも被害が有ったようで途中迂回路や路肩の崩れなども有るが大杉の集落までは難なく到着、問題はこの奥第三発電所まで入れるかどうかだ、もし通行止めなら今回の計画は中止するつもりだったのだ。しかし多少の落石の散らばりは有るものの被害崩落などは無く無事第一乗船場の駐車
地に着いた。
到着が10時半、朝は3時起床のアラームをセットして持ってきた布団にもぐりこんだ。がしかし・・・林道運転の緊張感で目がさえたのと寝床のシートのでこぼこの寝心地の悪さでまったく寝られず時間が経っていく。テントもダメ、車中泊もダメなんて損な体質なのだろう。すでに1時半を過ぎてしまった。掛け布団を下にひきでこぼこを少なくする、持ってきた安物シュラフを掛け布団代わりにしてみたら少し寝心地がよくなった。
【 日 付 】2011年10月8日(土)
【 山 域 】台高
【メンバー】単独
【 天 候 】晴れ、夕方曇り
【 ルート 】宮川ダム第一乗船場P3:20―送水管上端架線場4:30―P1143(ホウノ木平)5:35―△点1203(中井高)6:30―父ケ谷高7:45―杉又高9:10―振子辻9:40―御座嵓11:25~11:40―添谷山12:00―大台林道狸峠12:10―不動谷ダム順視路入口13:00―不動谷ダム13:30―P1150α14:35―P1143(ホウノ木平)15:05―送水管上端架線場15:55―宮川ダム第一乗船場P16:45
午前3時アラームで起こされる、記憶がなかったから少しは寝られたのだろう。3時20分準備を済ませ外に出ると星がすごくきれいに瞬いている、今日は最高の天気の予感。思ったほど寒くはなく長袖のシャツだけで歩き出した。。
送水管までの山道のジグザグでは道を外れそうになったりするが何度も歩いたところなので迷い込む事もなく送水管に出た。ここからは歩きやすい、周りも暗くて景色も無いので黙々と歩く、急階段はかえって怖さを感じないのでいいのかもしれない。
架線場に出て休憩、ここから送水管は地下トンネルに入っていくのだ。ここからは日浦杉への稜線がよく見えるのだが今日はシルエットだけしか見えないのだ。
再び山道になりホウノ木平へと向かうやがて白み始めた空、東側に浮かぶシルエットの平頂に見える峰は仙千代ケ峰だろうか?暁に照らされてくる景色を眺めながらホウノ木平に到着。これだけ登ってくるとさすがに風も冷たく、風をよけて休憩、ジャンバーも着こんだ。すでにヘッデンも不要になりザックにしまう、朝日を撮影したいがまだ日の出時間までは間が有るようだ。何時間後にここに戻ってこられるのだろうかと思いながらホウノ木平を後にして中井高に向かう。
この辺りは不動谷側は植林だがウグイ谷側は気持ちのいい自然林となっている、ウグイ高への分岐の手前で朝日が昇り雑木林を黄金色に染めた、後ろにはモルゲンに照らされたウグイ谷高も見えている、しかし朝焼けの空は雲がなさ過ぎて面白味のないものであった。

- 奥が鯎谷高
暗いうちに到達したかった中井高、ここからは朝日に輝く熊野灘が見えた。この先父ケ谷高までは岩場も有り闇下では歩きたくないところで有ったが思ったより時間がかかったのでもう少し早く出発してもよかったかも。

- 輝く熊野灘
父ケ谷高の手前には展望のいいピークがありここで休憩、眼下には不動谷が深く入り込み対岸には今から向かう大台林道も見えている、崩落が無いか心配したがこちらから見る限り法面の崩れは有るが大きな抜けなどは無いようで安心、もしもあそこまで行って通れなかって往路を帰るとなると完全ビバークとなってしまうだろう。振子辻へは入りこんだ不動谷源頭部を回っているのでここから見てもはるか先になる。

- 振子辻方面の眺め
少し進むと父ケ谷高、。ここが台高の縦走路、県境である、実際ピークではないが県境上の高みを指して呼ぶのだろうか?、ここへ来るのは3度めになる。エアリアによるここから添谷山迄の標準タイムは5時間となっている。先を考えると帰れるのだろうかと不安になってくるすでにここまで4時間経過だ。
ここから振子辻に向かう稜線には2つP1094が有る、三発から南のP1094までピストンしたことが有ったが日帰りではここまでが限度であった。この稜線からは奈良県側の展望は開けている、三之公の奥になるのだろうこの辺りは伐採されたままの放置林なのだろうあまり感動する景色ではないのがざんねんだ。巨樹が多くなってくると南のP1094に到着見覚えの有る場所だ、ここから先は未踏のルートになる。小ピークを過ぎて少し高いピークに登り返しを心配するがピークには上がらず肩を巻いていく様だ、ここに杉又高の表示が有った本当のピークは東に30m程上がらないといけないようだが、父ケ谷と同様にここを杉又高としてるのだろうか?県境もピークを通ってないようである。ピークにも寄りたいが時間も無いのでパス。
杉又高を過ぎるとスズタケも出て来る、人のレポを見ていると笹こぎ部分があるようだがそれも衰退したのか枯れているところも多い、この辺りも三重県側は植林が多く稜線には御料林を示す杭が続いている。手持ちのエアリアに振子辻の印の辺りにやってきたがそれらしきところは無い、地図を見たときに辻なのに交わるべき道が無い所に印が有るのでおかしなとは思っていたのだ、植林地を登り奈良県側、屏風岳からの尾根と合流するところ、「コ」の字の底辺のクランク部分に振子辻は有った、奈良県側の尾根に入ると北側の見晴らしの良さそうな所も見えていたが、今まで見ながら歩いてきた景色とそう変わらないかなと先を急ぐ。
雑木のブッシュ帯や、植林帯もあり台高らしくないところである、それもそのはず標高も1000mを少し超えるだけと、台高山脈中では低標高地帯なのであるが、どちらに降りるにしても人里は遠く遭難したくない場所で有ることにちがいはない。
時折稜線にはミズナラやブナ、トガサワラの巨樹が残る所もある、不動谷の支谷が稜線近くまで上がっている所が「引き水迫」だここはミズナラが多くマイタケでも無いかと探すが残念ながら見つけられず源頭部の谷に沿って上がると見えていてなかなか辿りつけなかった御座嵓への登りとなり谷は苔むす岩の急な岩肌に何時の間にか収束していた。岩の多い急斜面を登っていくと、古いフィックスロープが有る、ここが以前大台ケ原の川上辻から来た時の折り返し点である。到着時間11時15分台高山脈縦走路【局ケ岳~三峰山~高見山~明神平~池木屋山~馬之鞍峰~日出ケ岳~尾鷲道(栃山経由)】が繋がった記念すべき瞬間となった。記念写真を撮って御座嵓に上がる、日差しも温かくなり何時しか半袖一枚になっていた。展望岩の
上からは筏場方面が眺められ、三津河内の稜線ももう近い、岩場の上にはゴヨウマツやシンパク(?)コウヤマキが育ち日差しを浴びて輝く緑がまぶしいくらいだ、赤い実を付けるのはソヨゴ、シャクナゲ、ツツジもありシーズンには楽しめそう。良い雰囲気にしばらく昼寝でもしたいくらいだがそうはいくまいと重い腰をあげた。

- 御座嵓
プレート沢山の添谷山にはジャスト12時着、ここからは不動谷に降り登り返すという最短距離で帰る訳だがすでに9時間近く歩いてきてるのでどれだけの所用時間で帰れるのだろうと心配が先に立つ、脚力が持つかどうかも心配、七ツ釜高行きで起こったようなハプニング(つまずきによるふくらはぎの故障)は気をつけなければならない。ここから東の稜線に入る、かなりの年代の桧(杉だったかな?)の古木やミズナラの多い雰囲気のいい尾根を下ると大台林道の切り通し部分に出る、降りた所が「狸峠」だ反対側の尾根を進むと七ツ釜高に至るが今日は林道を歩いて不動谷方向に下っていく事になる。
林道は一部完全に抜け落ちているところも有ったが山側斜面を登って巻いた、落石で覆われ埋まる所は何か所も有るが歩行通過は問題なしで有った。林道がヘアピンで方向を変える先端部分に不動谷ダムへの巡視路が有るだろうの予想であるが、長い林道歩きで疲れる足に輪をかける歩きにくい路面、それに睡眠不足で眠くなって来るし、暑い日差しで疲れも絶頂のようだ。
何とかヘアピン部分にたどり着く、もしも巡視路がなかったらとどうしようかと思ったが、予想した通りの場所に看板が有り安心する。プラ階段の整備された道だ、大台林道が使えたときはこちらから出向いて管理をしていたのであろう、復旧工事の進まない林道は使えないので今は送水管の尾根から上がりダムに降りているのか数年前からホウノ木平から不動谷ダムに至るルートにおびただしいピンクテープが付いたのだった。順視路を下って行くと道はみぎに進むのに看板の矢印は下を向いている右に行きかけたが戻り表示に従い降りるが今までの様な階段も見当たらず間違っていることを感じたが広い谷の斜面なのでそのうち道にもどるだろうの予想、下ると手すりにロープの有る道が近づいてきて合流、どうもショートカットをしたようだ。そしてそこはもう見覚えの有る所、ここまでは不動ダムから一度来ているのだ。これでもう安心、ここからならヘッデン頼りでも帰る自信は持てるところであるが時間は意外に早かった。
下っていくとブルーの湖水が見えてきた、ここの水は本当にきれいだ深くても底がはっきりと見えている。ここは、第三発電所の取水口の有るダムで、大杉谷本谷の堂倉谷からの取水も合わせてここから送水管に送っているのだ。ダム上を渡り対岸へ、ここからは先に書いたテープ道を上がっていく、少し上がると飯場跡、これはダム工事の時のものだろうか?その上には林鉄の線路跡尾根に上がると有る広場は索道の基地跡だったのだろうか広場がある、林鉄跡で休憩を取ってあとは最後300mの登り返しだ、途中に有るのは索道のプーリーや搬器、ワイヤーなど碍子なども豊富だ、搬器ダム資材の運搬というよりトンネルの掘削土砂を搬出に使ったのだろう。いろいろ考えながら登りきると日浦杉山に至る稜線のピークに出た。添谷山からは2時間半予想した以上に早い到着だ、ここからホウノ木平にはひと鞍部を超えるだけ、見晴らしの良いこのピークで少し休憩して行こうの気になった。
風ひとつ吹かず穏やかだ、音もまったくなく静かな山頂、あれから9時間以上が経ったもうすぐ再び訪れるホウノ木平を眺め一日を振り返っていた。闇から闇への歩きになりそうだったが明るいうちに下れそうだ、別に慌てて下る必要もないのに日帰り専のサガだろうかしばらくの休憩で腰をあげた。結局今日は昼も含めて5~15分位の休憩を何回かとっただけであった。
ホウノ木平を下り始める岩場には朝は暗くて気づかなかったジンジソウが沢山咲いていた、日が傾き曇りはじめ薄暗くなりゆく送水パイプに沿って転落しないように気を付けながらゆっくり下って駐車地に降り立った、もちろん停まってたのは私の車だけ、大杉谷は今どうなっているのだろう入山者いるのだろうか気になった。
帰ってGPSのログを確認すると歩行距離は22.2KM、累積上昇高度は2465mで有った、ちなみに天空界道の累積上昇高度は1845m、距離ははるかに短いが疲れ度★★★★★のコースでした。おしまい。