おじさん4人が、身の程知らずにもロングコース&やぶこぎルートを一日掛けて、歩いてきました
【日 付】 2015年5月10日(日)
【天 候】 早朝ガスっていましたが、後は快晴
【山 域】 鈴鹿
【メンバー】 kitayama-walk、クロオ、kasaya、sakakibara
【コース】 6:01佐目子谷登山口-7:52カクレグラ8:01-9:13タイジョウ9:35-10:15アゲンギョ-10:31イブネ10:41-11:12銚子12:01-12:27舟窪12:38-12:52深谷山-13:03大峠-13:37銚子ヶ口本峰(中峰)-13:57東峰14:05-14:12本峰(中峰)-15:46黒尾山15:53-16:57庭戸山17:06-17:18丸山17:24-18:04蓼畑

- GPSデータ
9、10日の週末は、GWの白馬岳敗退の雪辱で再び大雪渓に向かうか、鈴鹿辺りのロングコースにしようか、はたまた17日のマラソンレースに向けての練習にするか迷っていたところ、浅野さんから鈴鹿のロングコース周回のお誘いを頂いた。
コースは、佐目子谷登山口からカクレグラ、タイジョウ、イブネから銚子ヶ口へ至り登山道を杠葉尾へ下りるというものであった。私は以前、大滝神社から黒尾山、銚子ヶ口、イブネからタイジョウ、カクレグラへのほぼ逆コースを歩いたことがあったので、銚子ヶ口から黒尾山へ至り、更に未踏の庭戸山、丸山を辿り、蓼畑へ下りるのはどうかとお願いしたところ、4時までに銚子ヶ口を通過したら検討しましょうということだった。
過去のデータを元に想定時間を考えてみたところ、朝の6時に佐目子谷口を出発して、2時間でカクレグラ(AM8:00)、2時間でタイジョウ(AM10:00)、1時間で杉峠の頭北西端(アゲンギョ?)(11:00)、1時間で銚子(12:00)、2時間で銚子ヶ口(14:00)、2時間で黒尾山(16:00)、2時間で蓼畑下山(18:00)で十分に歩けるだろう。また、休憩や食事時間も十分に捻出できるだろうと踏んだ。しかし、そうそう余裕のあるスケジュールではなかったと知らされることになる。
ところが、せっかく楽しみな山行き予定が決まったところ前日の土曜日に、2週間前に痛めた骨膜炎から久しぶりに走りに行ったところ、12km過ぎから痛みが再発し、あとは歩き走りでやっと戻ってきた。翌朝には回復するのを願っていたのだが、更に痛みは増し普通に歩いても痛い。正直とても山は無理だと思った。しかし、自分からお願いしたコースでもあり、止めるにしても現地集合場所まで行って説明しなければいけないと思い、約束の蓼畑5時半に向かった。
集合場所へは5時には到着したが、kasayaさんがすでに来ており、クロオさんも間もなく来られた。用意してきた地図を渡したが、さすがにみなさん自分での準備万端である。ちょっと事情をお話ししたが、とても初めから歩かないとは言えない感じで、後追いゆっくりでも何とかカクレグラまで向かってみようと決めた。
今日は、状況によりどんな下山になるかわからないようであったので、4人4台の車を、一台は当初の想定通り歩いたとして下りてくるここ蓼畑に置き、次の一台は銚子ヶ口から登山道を下った場合を考え杠葉尾に置く、さらに黒尾山から大滝神社に下りることも想定して大滝神社登山口にも置くことにした。そして、佐目子谷登山口に戻る可能性が高い私の車で、最後みんなそろって登山口へと向かった。

- 佐目子谷登山口からカクレグラ
6時、佐目子谷登山口(ca.270m)を出発。しかし、登山口周辺は工事中のため予定していた送電線巡視路ルートがわからない。捜してみるが結局わからず、斜面も何とか登れないこともないので、直登で最初の鉄塔へと向かう。いきなり汗が噴き出し、あえぎながら上がって行く。しかし、不思議なことに普通に歩いても痛かった脚が何とか動いてくれる。傾斜はきついが、動きはゆっくりなのと、走るのとは使う筋肉が違うせいだろうか。少なくともみんなと一緒にカクレグラまでは行けそうであるようで、ちょっと安心した。
第1番目の鉄塔(ca.440m)に着くと、やはり巡視路は左から緩やかに登ってきているようだ。2番目の鉄塔(ca.570m)へは、巡視路通りの道あとを辿る。その先から巡視路は、トラバース気味に620mの鉄塔へ向かっているのだが、ここは尾根沿いに上がって行き、直接740mの標高点へ向かうことにする。
7時1分、標高点740m。1時間で500m近く上がってきたことになる。健脚揃いの4人は、まずまずのペースだ。脚もさほどの痛みも感じることなく、動いてくれる。助かる。850m辺りから植林帯を抜け、気持ちのよい自然林になる。以前は、この辺りから真っ白いイワカガミがみられたのだが、今日は見当たらない。相当白っぽい花はあっても、真っ白はないのだ。これはいったいどういうことだろう。同じ株が、気候とかの条件で出たり出なかったりするのだろうか。どちらにしても残念であった。

- カクレグラ山頂
カクレグラ山頂 - DSC04225.JPG (91.8 KiB) 閲覧された回数 5484 回
新緑の気持ちのよい2次林が緩やかに続くようになるとカクレグラの山頂も間もなくだ。7時52分、標高990.3mのカクレグラ山頂到着。展望があるわけではないが、小広い山頂には真ん中に三角点が鎮座している。何とかここまで辿り着いたら、ここから入道ヶ原を回って下りようと思っていたが、どうやら今日一日何とか歩けそうな気もする。元々私自身が歩きたいコースでも有るので、更にタイジョウまで行ってみることにする。みんなには、「やっぱり行くんでしょ。」と冷やかされながらも、少しでもみんなと一緒に行きたいばかりだ。

- カクレグラからタイジョウ
想定通りの8時に山頂出発。しばらく行くと、左側にガレ場が有り、今日の後半予定の銚子ヶ口から黒尾山の稜線が見渡せる。果たして、予定通りに歩けるのかどうか。
天候も晴れあがってきて、ますます新緑の緑が鮮やかだ。本当にきれいだ。原始林ではない森だが、この2次林の森、特に新緑のこの時期は、最高に美しい。
稜線を辿ってタイジョウへ向かうのだが、カクレグラから向かうと山頂直下は絶壁となっている。初めてここを辿った時は、直登してずいぶん難儀をした。そこで、絶壁の手前で左の北の尾根にトラバースし、その尾根を辿って山頂へ向かう。
タイジョウ(1061m)、9時13分。ここは三角点もないく、上がり着くまでが急峻であった割には山頂は平坦で広い。ちょっと長めの休息を取ったが、それでも9時35分には出発。30分近くの余裕が出来、お昼までには、お昼休みの時間も確保できそうだ。

- タイジョウからイブネ、銚子ヶ口
まずは、杉峠の頭北西端に向かう。そこまでも新緑に輝く気持ちのよい森が続く。この辺りはずっと下草もなく、本当に素晴らしい天然公園だ。こんなところを歩いていると、人が作った人工の公園や森にお金を掛けて行くのは実にバカバカしいことのように思える。
シャクナゲの花もチラホラ見かけるが、今年はどうも少ないようだ。時期もまだのようであるが、花芽自体が少ないから、この後もあまり期待できないだろう。
佐目子谷を隔て向こう側の深谷山(1087m)が、舟窪の下のガレと共にその全貌を見せている。1084mの標高点を過ぎ、傾斜が揺るかになるといよいよ杉峠の頭北西端だ。この辺りを「アゲンギョ」と言うらしい。クロオさんやkasayaさんが言うようにキャンプでもするのには、最適なところかもしれない。
北西端を左に曲がり、佐目峠へ向かう。この辺りから先は、笹が50,60年おきに起こるという笹の総枯れの時期を迎えて、すっかり枯れてしまいまったく姿を消してしまった。その後はまだまともに草も茂らず、イブネ、クラシへ向けて広大な原っぱとなっている。あのギッシリつまった笹ヤブでまともに身動きが出来なかった世界がウソのようだ。おそらく、その状況を知らない人には想像も付かないだろう。今はまったく気持ちのよいところだが、あの世界を思うとちょっぴり寂しい気もするが、また何十年か先には、そんな姿に戻っていて、ある意味今の姿の方が鈴鹿の歴史の中においては珍しい一時期なんだろう。
イブネの最高点は、標高点があるところよりもその北東の方が少し高いように思うが、はっきりとした差はない。茫々とした笹ヤブもすっかり枯れて全く印象が変わってしまい、広々として明るい鈴鹿の北西高原とでも呼びたくなるような雰囲気に変わってしまった。笹が一番元気で繁茂していた頃は、イブネ北端からクラシまで微かな道あとを辿って40分も掛かったものだが、今や3,4分といったところだ。しかし、枯れてからかれこれ10年近くの年月が経つが、未だ再び笹が生えてくる様子はない。60年前の御池岳では、笹の総枯れのあと広大なススキ原となったが、御池岳もここもその様子はない。 いったいこの後どうなるのだろう。その興味は尽きない楽しみなところだ。
クラシの北東端に浅野さんお手製の標識を付けに行った後、銚子に11:12には着いた。銚子出発予定より50分近くの余裕が出来たので、ここでちょっとゆっくりとしたランチタイムとなった。ここからの風景もずいぶん変わってしまった。笹原だったところが、全部枯れてしまい、少し黒っぽく禿げてしまっているため、まるで火事の跡のようだ。ここ銚子から眺める「イブネ、クラシ劇場」も火事跡現場では、今ひとつだ。
12時に銚子を出発して、銚子ヶ口へ向かう。この途中には、舟窪、深谷山、大峠などがあり、鈴鹿全体でまだまだ笹が十分に元気だった頃から下草のない気持ちのよい2次林の森が続いていた。この稜線もまた、カクレグラから杉峠の頭へ至る稜線同様、鈴鹿有数の美しい自然林の森と言えよう。今では鈴鹿の至る所に広がる意味のない植林から生き残った素晴らしい2次林の自然を、どうかこのまま残してもらいたいものだと心から願う。
舟窪は、17,8年前に崖側のブナ数本が倒れてしまい、昔の景観は失われてしまったが、それでも同じような森が続く中にひとつのアクセントを持たせてくれている。倒れたブナの1本は倒れながらもまだ生きていて、その生命力を見せてくれている。
稜線から少し東に離れた深谷山(1087m)の山頂のそばを過ぎ、大峠に下りて行く。ここも下草や笹も枯れてなくなり、その後にアセビが幅をきかせている。少し風情が失われたように感じるが、人が手を付けなくても、自然は少しずつ変わって行くんだなあと思わされる。昔は稜線から水舟の池も眺められたが、今は周りの植林が育ってしまい、その姿を見ることは出来ない。これは明らかに人が壊した景観だ。自然林だった頃は、水舟の池もその名が表すような、ちょっと神秘的な素敵な池ではなかったろうか。その失われた姿を見てみたかったものだ。
13:27、銚子ヶ口西峰(ca.1060m~1070m未満)に到着。ここがすでに広い銚子ヶ口の山頂部の一端だ。銚子ヶ口は、似たような高さを持つ、いくつものピークがあり、厳密にはどのピークが一番高いのか判然としない。ルートは西峰から中峰(本峰)(ca.1070m~1080m未満)へ至り、そのまま北の黒尾山へ向かったらよいのだが、今日は三角点峰(1076.3m)、そして鈴鹿有数の展望を誇る東峰(ca.1070m~1080m未満)へも足を伸ばすことになった。私は、少々時間が気になったので、「東峰まで行って、時間が無くなったから庭戸山は止めだよとはならないよう、お願いしますよ。」と巨頭お三方の大先輩にしっかりとお願いをして置いた。
東峰からは、北は霊仙岳、御池岳から南は鎌ヶ岳、雨乞岳が見渡せる。まさに鈴鹿北部の山勢揃いだ。素晴らしい景観だ。ここも昔はちょっとした秘峰で、訪れる登山者も少なかったが、今や人気のある一座となってしまった。われわれが到着する少し前にも大勢の登山者がけっこうな団体で訪れていたようだ。

- 銚子ヶ口から黒尾山
中峰(本峰)まで戻り、黒尾山目指して14:12出発。ちょっと遅れたが、だいたい想定通りだ。しかし、ここからはだんだんと道アトが怪しくなる。また、特に黒尾山から庭戸山、丸山はほぼ未知数で、ほとんど「探検の域」に入ることになる。
黒尾山、銚子ヶ口間は二度ほど歩いたことがあるはずなのだが、ほとんど印象がない。登山者の数はぐっと減るので、ヤブっぽいところも多く、また道アトが途絶えているところもある。その上、この間の最低鞍部(ca.860m)の少し手前から標高点971mに登り上がる少し手前までは、ヤセ尾根岩峰のナイフリッジが続き、緊張を強いられる。ちょっと短い「蟻ノ戸渡り」がいくつも続くような感じだ。ちょっとした恐がりさんなら大渋滞を引き起こしてしまうだろう。疲れも貯まって来ており、ここは慎重に進む。
標高点971mの少し前で、ようやくヤセ尾根を抜けると、平坦な自然林の森が続く。黒尾山の手前で少し下り、登り返して黒尾山(948.7m)に到着する。
ここもまた、15年くらい前の時とはずいぶん雰囲気が変わった。今は、日差しが差し込むちょっと小広い感じの山頂となっているが、当時は木々に覆われ薄暗い感じの山頂だった。ここもまた、アセビの元気がよい。この辺りのアセビの伸張は、気候の変化と関連があるのだろうか。しかし、訪れる人の少なそうな人擦れのしない雰囲気はそのままのようだ。

- 黒尾山から庭戸山
さて、いよいよ更に人跡の少ない稜線を辿り、庭戸山、丸山を目指す。出発は、15:53。正直、予想外の想定時間通りだ。しかし、ここから2時間、最大でも2時間半あれば蓼畑には到着するだろう。「6時半までに着けば、まだ十分に明るい。」の浅野さんの言葉を励みに、まずは庭戸山に向かって歩き出す。
しかし、ここはいきなり要注意だ。北の尾根に沿って歩き出すのだが、ca.900mくらいで北西の支尾根に乗らなければいけない。地形図、コンパス、GPSと状況観察。総動員でそのポイントを探る。もうこの辺りだろうというところで、支尾根の雰囲気を見つけ、乗り換える。ちょっと尾根らしくなったところで確信するのだが、すぐまた今度は二股尾根を右に乗らなければならないが、ここははっきりと分からないうちに想定通りの右尾根に乗っていた(ca.800m辺り)。
更にヤセ尾根の先で、右の尾根に移らないといけないのだが、ここは地形図上ca.700m辺りにあるちょっとした平坦地を目安頼りにして下りて行くのだが、見当たらない。その内にca.700mくらいまで下りてきてしまったが、そのような平坦地は見つからず、右に辿らなければいけない尾根が顕著になってくる。ここまで来るとその間違いがはっきりとしてきた。尾根を乗り換えなければいけない。
トラバースして行くのか、登り返して移るのか。すでに相当な疲労で、なかなか登り返す元気が出てこない。トラバースしなければいけない谷状のところは何も生えておらず、捕まるものもないようだ。どうするのか。
しかし、そこに微かな道アトのような雰囲気を感じる。それを頼りに辿ってみるとこれが意外にしっかりしていて、思った以上にちゃんと歩ける。助かった。やはり、ほとんど埋もれていた道アトだったのかもしれない。
それからは、はっきりとした尾根筋を辿って送電線鉄塔まで歩けばよい。その先の小ピークから少し右に振り、庭戸山へ向かう。
庭戸山(687m)、長年の宿題の山頂にようやく辿り着いた。ここにも鉄塔が建っていて、木々が刈り払われ岳、不老堂と水木野が目の前にある。その間、少し向に龍ヶ岳だ。尾根筋の反対側には、日本コバとはや夕日に輝く永源寺ダム湖が見えている。

- 庭戸山から蓼畑
ここから丸山までは、以前はヤブがひどくとても歩けなかったというクロオさんの話だったが、現在はたいしたヤブもなく、平坦な問題のない道アトが丸山まで続いていた。
丸山(676m)、17:18。ここから蓼畑(ca.300m)へは、18:00までに十分に余裕を持って下りられるだろうと思ったが、更に一難が待っていた。
出発して、しばらくしたら二分する尾根を右の尾根に辿り、その後で出て来た左の尾根に乗り換えればよいと地図を読んだのだが、それが間違いであった。歩きながらの地図読みで、微かな出っ張り(それはすでに尾根筋だった)が、もっと早い段階で発生していたことを見落としていたのだ。要するにca.600mの最初に尾根が二分するところで、この時すでに右ではなく左の尾根に乗らなくてはいけなかったのだ。しばらく行く内に、途中から乗り換えるはずだった左の尾根が、すでにずいぶん発達したものになっていることに気が付く。その目指す尾根が、疲れた身にはずいぶん遠くのものに感じる。
ヤブをかき分け少しでも密生の少ないところを辿り、その尾根にトラバースする。たかが5分あまりの時間なのだが、これが長い。やっと目的の尾根に乗った時には、長いひと苦難乗り越えてきたようにも感じてしまう。 後は、植林帯の緩かな尾根を辿るだけだった。最後の鉄塔からは、広い道幅が里へ導いてくれるようだった。どこに連れて行ってくれるのか分からなかったが、あとはお任せ、どこへでもどうぞの気持ちだったが、幸いkasaya号のところへドンピシャで下ろしてくれた。思わず、4人で握手を交わし、今日の完了を喜んだ。
本当に最後まで歩き通せるか分からない今日一日のスケジュールであったが、体力がそろい、それぞれに地図読みの能力があればこそ協力して大きく外すことなく歩くことが出来たと思う。今日ばかりは、4人のおっさんはただのおっさんではなく、ちょっと野生の感覚を取り戻した動物であったことでしょう。