4月14日
外が明るくなる前に起床。夜具を片付け食事。kitayama-walkさんのパーティがまず出発。それを追うように単独登山者さん。この方はワカンで僕らと同じルートをトレースしていくようだ。
鍋の片付けやらで手間取っているうちにとっちゃんも準備完了。結局僕がどん尻になった。「予定より8分遅れた」ととっちゃん。当初は6時出発だったのだが天候が不安というとっちゃんの提案で5時半に出ようと夕べ打ち合わせていたのだ。
早朝のしまった雪を想定してスキーにはクトーを装着して出発。小屋からわずかに登ると広く穏やかな稜線。薄靄のかかる東空に朝陽が浮かぶ。左手には陽光を受けた別山から南白山へと続く稜線。こういった景色を眺めながらの歩行ができれば楽しいがそれらはすぐにガスに隠された。
尾根が細くなり急登になればその先に母御石を見えるはずだが前方は乳白色のベール。足下のトレースを頼りに進んで行く。
おぼろげながら母御岩が見えてきた。しかしその前の斜面がいやらしい。クトーを利かせて階段登高。とっちゃんにもクトーを利かせるよう指示。
母御岩を越えて斜面は緩やかになった。ホッと胸を撫で下ろし進んでいけば広々とした稜線。しかし先は濃いガス。
晴れていればいい眺めなんだろうなあと思いながら歩いていくと前方より登山者が下りてきた。今朝避難小屋から出発された方だ。どうかしましたかと尋ねると「いくら待ってもガスが晴れないから下ります。」残念な事だ。GPSは持っておられないのだろうか。
これ以上登りがないところでGPSを確認。そこが銚子ケ峰の山頂だった。しかし何も見えない。
銚子ケ峰からは痩せ尾根を下って行く。右手側が雪庇になっているので注意が必要だ。
ここから下降予定地点は一つピークを越えたところだ。その手前の鞍部で昨日のものらしいスキーのトレースが左へドロップしていた。一瞬そちらに誘われたが先が分からない。予定通りピークを登った。
ピークから下降予定地点までは比較的広い尾根。そこをシールで下降。とっちゃんが颯爽と下っていく。不図その足下を見ればヒールアップしたまま…
滑降予定地点に着くとガスが晴れて来た。滑降予定の斜面はもちろんの事、三ノ峰、別山の姿も現れた。感激の一瞬だった。

- ガスが晴れ姿を現した別山
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すばらしい景色をひとしきり楽しんで滑降開始。今回の山行で初めての本格的滑降にとっちゃんは感覚がすぐには戻らず戸惑ったようだ。固い雪面だから尚更だろう。しかし少し滑れば感覚も戻り楽しい滑降。振り返れば銚子ケ峰が青空の下にデンと横たわっていた。
滑降時になって奇跡的にガスが晴れたが進行方向の尾根筋には今だ濃いガスが速いスピードで流れている。やむなくその中に突入。再び何も見えなくなる。しかも今度は強風のおまけ付き。
昨日のものと思われるワカンとスキーのトレースがあるのが助かる。それが効率のいいルートを進んでいるのかどうかは分からないが辿っていけばいいというのは精神的に楽だ。
二つ目のピークでトレースは左山腹へ巻いていた。そんなはずはないだろうとしばらく登っていったが先に見えたピークは登るのがきつそう。トレースが正解だった。そこからは左手山腹をトラバース。結果的にはロスなくピークを巻く事ができた。
相変わらずのガスと強風。稜線の右側は風がなく暖かだがそこばかりを進むわけにはいかない。
願教寺山ピーク下に至るもガスは相変わらず。風も強い。これはピークを諦めて下る事を考えた方がいいかもしれない。とっちゃんにも同意を得てシールを剥がし滑降の準備を始めた。とその時、わかにガスが晴れピークが現れた。それを見た途端「私、登ってこようかな。」

- 姿を現した願教寺山
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後で聞けばこのままではただの徘徊に終わってしまいそうで嫌だったらしい。だから願教寺山のピークは登っておきたかったのだそうだ。
ピークまでは昨日のトレースが続いている。それを追ってキックステップ。急斜面だが問題なく登って山頂へ。わずかにガスが晴れて大長山、赤兎山が一瞬姿を現した。それは奇蹟的のように思えた。
ピークから戻っていよいよ滑降。山頂直下の沢筋を下る予定だ。先ほどまではガスに隠れて様子が分からなかったが薄ら見えてきた沢下部には大きな雪ブロックがゴロゴロしている。これは沢筋を下まで滑るのはきつそうだ。途中から右尾根にルートをとろう。
滑り初めの急斜面にとっちゃんの腰が引けているのが分かる。「難しいと思ったら斜滑降+キックターン、もしくは横滑りでいいからゆっくり下りて。」と言い残して先にドロップ。上部は笹が出ていてここを慎重に切り抜けるとその下はすばらしい斜面。気持ちよく滑る。このまま何処までも滑れたらと思うがそれを邪魔する雪ブロック。予定通り右手の尾根に逃げる。
とっちゃんもストレスなくついてきて尾根を跨いでよも太郎山側の沢に下りた。ここは穏やかで広々とした沢。青空も広がりのどかな雰囲気で少し下りたところで休憩をとる事にした。

- のどかな雪景色の中で
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うららかな春の日差しに包まれてのんびりと時間を過ごす、と言いたいのだが不図隣を見るとちょこちょこと忙しなく動くとっちゃん。その事を言うと「前にもいわれた事がある。」どうも休憩になっても落ち着いていられないらしい。まあ休憩の過ごし方は人それぞれだからいいけどね。
休憩後は日岸山への登高。二日目の行程で一番ネックかなあと思っていたところだ。
県境より一つ東の尾根に取り付く。昨年obaさん達が登って行くのを見かけた尾根だ。なるべく無理しないように早めに尾根筋へ出た。広々とした尾根で斜度はあるものの登りやすい。振り返れば願教寺山や銚子ケ峰が輝いている。すばらしい眺めだ。

- 願教寺山をバックに
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尾根の合流手前で斜度が増すものの雪が緩んでいて問題ない。とっちゃんは遅れ気味ながらもしっかりとついてくる。ストレスは感じない。むしろこちらのオーバーペースを押さえてくれるので助かる。
尾根合流後は緩やかな斜面となりここから日岸山の北にある小ピークの東斜面をトラバースし県境に出て日岸山に登頂。南に薙刀山、野伏ケ岳、小白山が重なって一つの山塊のように見える。
相変わらず強い風が吹く中でシールを剥がし薙刀山との鞍部に向かって滑降。稜線下の斜面をトラバース気味に滑り降りて行く。少し重い雪質だが難しさがなく鼻歌混じりの心地よい滑り。とっちゃんも気持ち良さそうなシュプールを残していた。
薙刀山の北斜面には多くのシュプールが残されていた。その中を登り返して行く。流石に長い行程で疲れたのかとっちゃんは立ち止まる事が多くなった。それでもここまでくれば後は問題ない。
薙刀山山頂は多くの踏み跡が残されていた。随分賑わっていたようだ。この中にOSKの面々の足跡もあるはずだ。

- 野伏ケ岳をバックに
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野伏ケ岳をみれば北斜面に幾つかのシュプール。何時か自分も滑ってみたいなあと思いながら薙刀山の大斜面を滑降。重雪で難しい滑りとなった。
推高谷の雪割れ状況が分からないままで下山のルートを何処にとるかが懸案だった。しかし、今見れば薙刀平を横切り推高谷方面へのトレースがある。これを信じて薙刀平を横切って行く。
トレースは予定していたところより上部の尾根に続いていたのでそこから更に東側へ下り予定していた地点に出て沢筋を下る。obaさんと下ったところだがなかなかいい感じで滑れる。とっちゃんもそれなりに滑って下りる。
推高谷につけばたくさんのトレース。そのどれもがすぐの対岸急斜面を登り上げている。しかしここより30mほど下流に上り下りしやすい斜面があるのだ。我々はトレースのないそちらから簡単にあがり林道跡に出た。
湿原まで下って振り返れば野伏ケ岳の上には雲が広がっていた。天候は下り坂のようだがなんとか下山までは持ってくれそうだ。
和田山牧場跡で石徹白の峰々を見渡す。「ありがとう!」感謝の言葉が思わず口に出る。昨日、今日と楽しい山歩きをさせてもらった。「また来るからよろしく!」
おまけ:
林道を下って駐車地につくと残り少なくなった車の傍らで話している人が三人。近づいてみるとなんととっちゃんの知り合いだった。しばらく四方山話に花が咲く。
ここまでくるとこのような予期しない出会いがあることもこの石徹白の魅力と言えるのではないかという気がしてきた。こういう出会いを積極的に求めて来るのもこの山域の楽しみ方かもしれない。