【日 時】 9月22日(土)
【地 図】
http://watchizu.gsi.go.jp/watchizu.html ... 9670622269
【同行者】 単独
【天 候】 晴れ~曇り
【ルート】 P(9:08)~黒河山(10:01)~笹山北峰(10:43)~笹山南峰(10:57)~入山(12:33)~撤退地点(12:54)~入山(13:15)~笹山南峰(14:45)~P(15:20/29)~二児山西峰(16:32/38)~二児山東峰(16:54/17:05)~P(18:00)
何を勘違いしたか、松川ICで降りればいいものを、てっきり伊那で降りるのだと固く信じていた。思いこみとは恐ろしい。
やむなく、高遠から秋葉街道をわざわざ南下する。美和湖を経て分杭峠越えの道。早朝にもかかわらず「ゼロ磁場」の恩恵に預かろうという方の車が数台。ここから大鹿村に入っていく。

- 入山に続く笹尾根
さて、儀内路の林道中峰黒川線の分岐に至って一大事が判明。路肩崩落による通行止めだ。それでも、柳島から回り込むという奥の手があり、ほっと胸をなで下ろす。
うねうね走り込んでチロル風に展開する入沢井の不思議な集落を通り過ぎる。青いケシ云々の農場をやり過ごして、ようやく黒川牧場の入口だ。ゲートが開いていて安堵する。
ちょっぴり緊張しながら駐車地まで車を上げる。準備のさなか、軽トラおじさんが降りてきた。林道の整備の帰りらしく、倒木を処理したり、落石を動かしてきた様子。こちらから何も聞かないうち、おっちゃんは「駐車地はこの南側にもあるけど、普通の車はそこから先へは入れない」ことをしきりに強調されていた。「気をつけて」の一言を頂いて別れる。
しかし、時すでに9時だ。家を出る時間も遅ければ、伊那回りも応えたし、林道崩落も応えた。これでは、とても計画通りには歩けない。二児山から小黒山までなんて到底不可能。
取りあえず黒河山から歩けるだけ歩こうという腹。車に戻って時間があれば二児山まで歩けるし、状況によっては明朝、二児山まで歩くのも良し。
駐車地には「遊歩道案内図」の看板があるが、位置関係がよくわからない。ともあれ「目の前の林道の行き先を確認すべぇ」とばかりに歩き始めるが、どう考えても黒河山から離れていく。やむを得ず林道を捨てて尾根通しに歩くと、一旦下ってから笹の斜面を登って稜線上に出た。

- 笹山へ
樹林の歩きとなる。樹間を透かして塩見岳。割れた湯飲みや一升瓶などもある。山仕事の痕跡か。メボソムシクイのさえずりが耳に優しい。
錆びた一斗缶がなければ通り過ごしていた黒河山のひっそりとした山頂。森の雰囲気にまったり包まれたいところだが、先を思えばのんびりできない。
南に踏み出すと、倒木の原。障害物を乗り越え乗り越え、前進前進。再び苔むした樹林帯に飲み込まれる。右下に林道が見える。
何もない笹山西峰の切り拓き。やがて避難小屋を目にして偵察に降りる。中は比較的きれいに保たれている。ここから笹山東峰に向かって登り返す。明るく開放的な山頂に古ぼけた標がかかっている。
ここからは楽しい小笹の尾根歩き。伸びやかな尾根。しかし、倒木や岩に注意だ。仙丈ヶ岳や白峰三山が至近。進行方向真正面、笹尾根の奥には、次なる目的地の入山がそびえている。
さらなる奥には樺山。左に塩見の雄峰。まだまだ先は長い。時間的には限りがあるが、歩けるだけ歩いておこう。
浮き立つ心で明るい笹原の起伏を辿る。足元の緑と頭上の青白のコンビネーションが印象派の絵画のようで、浮き立つ高揚感がある。

- 苔むした樹林帯
眼下には山肌に張り付くような入沢井の集落。こんな高山なのに、集落のキンコンカンコンが聞こえてくるから面白い。
目線の奥に入山がそびえ、見上げれば空高く雲がぽっかり浮かぶ。平坦な遠近感の日常に暮らす私にとっては、3D映画に遊ぶような立体感が嬉しい。
最後の急登を前にひと息つく。ここを登り切れば樹木に覆われた入山の狭い山頂であった。三角点がひっそりと埋まり、その傍には獣の糞がある。「入山」を示す古い木札と「’81夏合宿」と書かれた錆びた金属プレート。
すでに12時半である。樺山まで足を伸ばすと時間に余裕もなくなる。まして小黒山まで足を伸ばせば闇に巻かれる。この先の二山を次回まわしとするならば、ここで切り上げたとしても十分な成果だったと言えるだろう。
それに、ここで戻れば二児山の山頂を踏むこともできるだろうし、次回は入山から先の二山に集中できる。
時計を見るとまだ余裕もあるので、13時を目処にこの先の稜線の偵察に入ろう。一旦高度を下げながら稜線を辿ってみる。途中でヤブに飲み込まれて針路を失いかける。難路の気配。だが、稜線の東にヤブと岩を回避できることがわかった。樺山の右奥に雲に覆われようとする小黒山が覗いている。くそ、今に見ていろ。

- 難路の気配
樺沢の源流のひとつがガレとなって這い上がるポイントで行動打ち切り。携帯のアンテナも立っている。家にメールを入れて、引き返す旨を伝えた。入山山頂を除けば、ここはすべての山頂で携帯も圏内というのが安心材料である。
こだわりたい気持ちに見切りをつけて戻りかえす。帰路となれば心も軽い。入山から笹山にかけての笹原歩きに心が洗われる。正面から二児山の双耳峰が誘いかける。白峰三山に見守られて笹山へとそぞろ歩く。
笹山の避難小屋からは林道を選んでみた。しかし、林道状況からすると朝の軽トラのおっちゃんの言葉通り、ここまで車でアプローチするのはどう考えても無理だった。
南の駐車地に着いた。さらに池のほとりのPまで歩いて車に帰還。日没までの時間を読みながら二児山に向かって朝の林道を歩き始める。ザックもデポせず、そのまま担いだ。八月のカナダ出張以来、もろもろ事情もあって、ろくに山登りも出来てない。足が重いのもむべなるかな。
林道上は倒木がチェーンソーで整理されたり、落石が移動されているのがわかる。おっちゃんの苦労がうかがえた。道は稜線に近づいたり、切り返して標高を稼いだりしながら避難小屋に到着。ここから山道になる。小沢を二本跨いで東西峰のコルに向かって踏跡を辿ると、二児山西峰に導くテープを確認。ひと頑張りで樹林の山頂。
あとは二児山東峰だけだ。先ほどの分岐に下る。東峰への登路は北から回り込むようにしてルートが付けてある。それを辿ると、いよいよ二児山東峰山頂だ!分杭峠方面が切り開かれていて、美和湖や戸倉山も確認できる。

- 白峰三山
目的達成の達成感に包まれる。鹿笛が聞こえる。さあ、帰ろう。南に稜線を辿り、最後は林道に合流。鹿が音もなく逃げていく。日没に余裕を持って車に帰還。これで入山以北の稜線はすべて踏査ということにしておこう。
ひとり小宴を催すうち、雨がぱらつき始めた。雨は次第に強まり、一向に止む気配を見せない。だが、狭い車の中は快適なシェルターだ。雨は降り続いた。疲れのせいか、ほどなくして深い眠りについたが、夜半、鹿が挨拶に来たことだけは覚えている。
ふ~さん