【 日 付 】2012年11月27日(日)
【 山 域 】霊仙山南面
【メンバー】アイアン、ハヌル、通風山、他、総勢7名
【 天 候 】晴れときどき曇り
【 ルート 】権現谷~行者谷出合9:50~11:35小屋跡12:40~破線水平道~13:35ナガサコ~14:25笹峠~15:15今畑
今年最後の紅葉を楽しもうと霊仙山の山すそに出かけることにした。
霊仙山の北側の尾根は静謐の尾根とか、昼坂峠道とか楽しめる尾根がある。
今回はかつて昭和中期に林業がさかんだったころの面影の残る南側の行者谷に狙いをつけてみた。
河内風穴から南に伸びる権現谷林道はマニアに知られる、まさに鈴鹿の秘境を行く林道である。
バラバラと落ちている鋭利な角のある石を避けながら車を走らせる。石灰岩の上を滑っていく権現谷の川の水がなんともいえないうす青色に色づいて、川の水を眺めているだけでも飽きないのだ。
奥に行くにつれて両脇の岩が立ってくる。対岸になる左岸の巨岩の下から水が噴出している。上部の伏流水が一気に噴いているのだろう。まさに秘境の様相となってきた。
この権現谷林道行者谷の出会いにはそそり立つ岩の裂け目に「河内元行者窟」がある。ここに車を駐車して、もう一台は今畑へ置き車した。
入山前に行者窟に入ってみた。鎖やロープがあり厳しい登りの先には役の行者などの像が祀ってある。

- 行者窟
秘境の行場は人を寄せ付けない雰囲気で、いかにも霊験あらたかな気分になり、今日の安全登山を手を合わせ祈った。
行者谷の出合は「鈴鹿の山と谷」によれば伐採された木の集積場だったようではあるが、今となってはそんな広大な場所は見当たらず、当時をしのばせるのは権現谷から行者谷へと向かう、朽ちかけているのか、しっかりしているのかよくわからない、雑草の生えた橋と、平らなコンクリートのかたまりのみである。
かつてはトラックも渡ったのではないかと思われる橋ではあるが、いかにも年月の立っている橋は丈夫なのか、危ないのかと、足元を確かめながら渡る。
行者谷は石灰岩の谷で出合は伏流の谷であった。
谷をふさぐ石灰岩は水の流れに溶けてしまったように、面白い造型のオブジェで立ちはだかっている。
滑落しないように軽いフリクションを楽しみながら、時としてロープを出しながら谷を詰めていく。

- 石灰岩の谷
左岸の崩れた斜面からカラカラと分刻みほどの間隔で落石がある。そそくさと右岸寄りに行くのだが、こちらの斜面も万全ではない。
権現谷林道もそうであったように、落石の多い地形なのだろう。
ところどころで往時をしのぶ林業関係であろう道型が現れては消え、大きな二股の右股にはコザト方面に向かうであろうしっかりした道に驚く。
いったいこの谷筋につけられた道は・・・・・・・。不思議な気分に右股へとの思いが強くなってくる。またの機会に入ってみよう。
両岸の景色が紅葉の二次林から植林帯変わってくると、谷には古いものの立派なコンクリート製の橋が現れた。
いったいぜんたい、下流の石灰岩の様相から道の線が頭の中で引けないでしまっていた。

- なぜか現れる朽ちた橋
橋の奥には作業小屋が朽ち果てていた。ここがこの谷界隈の林業の基地だったのであろう。
この場所から上流を詰めれば回りこんでくる白谷林道に飛び出すだろう。予定外で少しばかり遊びで詰めてみたが、どんどん藪っぽくなってきてしまった。
作業小屋跡あたりまで引き返し、陽だまりでランチとする。紅葉は黄色が主体だ。もう今日で今年の紅葉も終わりだろう。
道型の推測や石灰岩の造型美談義に花が咲く。
さて、作業小屋から南西に伸びる地形図の破線に乗ってみようか。
歩き出せば道幅も広く、まさに紅葉の山中を行く高速道路だ。そしてP598まで1km以上も高低差が無いのである。不思議な道だ・・・・。
そうだ「鈴鹿の水平道」とでも名づけておこうか。
そして地形図に無い小谷を越えるところにはこれまた立派な石積みの橋げたが残る。
ところどころ崩壊もあるが気分はハイキングとなってきた。

- 鈴鹿の水平道<仮称(笑)>
P598はナガサコと呼ばれるピークでまたここがすばらしい場所であった。
広いピークに太いブナが何本も生えていて、石灰岩の苔むしたカレンフェルトそして眼前には聳え立つ霊仙山西南尾根の勇姿が覆いかぶさってくるようだ。
ブナの太いのをロープで測ってみたが、ハリマオ氏のランキング圏内であった。
植林の多い霊仙山に残された楽園と言っても過言ではないであろう。

- ナガサコ598m
景色や雰囲気を堪能してここから笹峠に向かうわけだが、すこし道型が続いていたのでそちらの方向に足を進めることにした。
ここで思わぬ遺物を発見するのである。そこにはトロッコのレールが放置されていた。なるほどこれで水平道の理由がわかったのだ。
霊仙山にレールがあったんだ。
さらにレールが何本も姿を現す頃、突然道が終わる。見ればその先は行者谷へ落ちていく急な谷となっている。
おそらくここから切り出した木を落としたのだろう。そして行者谷と権現谷の出合の集積場へと思いがつながる。
ここから笹峠へは寄り道した分バリエーションとなってしまった。ナガサコからきちんと破線をいけばいいのだが、道型にひかれて西に振ってしまった。
そのぶんレールは見えたのでよしとしておこう。
笹峠に向かえば向かうほど霊仙山西南尾根がどんどん立ってくる。ここから見る霊仙山は名峰だ。
ふりかえるとナガサコが下のほうにはっきりと判る。そこは、まるで三国岳のミニダイラのような姿だ。
笹峠から廃村今畑を越え林道に降り立てば、風は凛とした冬の気配を運んできていた。
帰路に甲頭倉入り口の古い民家が取り壊されているのに気がついた。
ここの家のおじいさんと数年前に話をしたことがあった。遠足で汗拭き峠を越えて醒ヶ井の養鱒場までいった話など、いろいろ話してくれた。
まるで廃村甲頭倉の入り口の門番のようなおじいさんだったが・・・・・。一抹の寂しさも覚えたのだった。

- 地図
通風山