ザワワ♪ザワワ♪沢ワー♪美濃のー奥のー山♪千回沢ー♪
森山直太朗のお母さんの美しい旋律に乗って、戦慄の山へ行って参りました
センリツ腺もキリツって感じ。
万が一、千の風になってしまったら、百十(獣)の王も一文の価値もなくなる。
【 日 付 】8月27日(月)なけなしの夏休み
【 山 名 】千回沢山
【メンバー】単独
【 天 候 】曇りのち晴れ
【 ルート 】4:55ホハレ峠→黒谷下降→6:10門入→林道(西谷川→入谷→蔵ヶ谷出会い)→7:00千回沢遡行開始→ルートミス、10:15南尾根へ→11:10三角点11:30→アッ→ウッ・・・

→沢遊び→15:25蔵ヶ谷出会い→16:20西谷川橋→18:15シリハレ(尻腫れ)峠
千回沢山は、尾根専ハイカーが日帰りで訪れること叶わぬ奥深いヤブ山ゆえ、長い間お蔵入りになっていたが、不動山落城をきっかけに、蔵出し作業に入った。
候補のコースは次の3案。
① 若丸山でお馴染みの塚から赤谷を渡渉し、イチン谷右岸尾根の激ヤブ5kmをピストン
② 今回のコース
③ 名にし負うokuルートを参考に、ロボピークから励谷を下り、ゴヨクラ谷出会い後、例のルートで不動山へ登頂し、千回沢山までピストン
① は激ヤブ内の進行速度1.5h/kmとすると、往復15時間・・・時間切れ。
③は励谷の状況、不動山・千回沢山間稜線のヤブ具合が未知ゆえ、時間が読めない。
確実な日帰り行程を考えると、消去法で②に決定。
イチン、タンド、中ノ又谷のようなキョーレツな滝はなさそうだから、上級滝職人の兎夢さん、ふーさん、山日和さん、たろーさん(順不同)には食指が動かないルートと思われるが、谷素人の私にとっては幸い。
なんといっても、沢装備(ザイル、シュリンゲ、ハーネス、カラビナ、ハーケンなど)を携帯する必要がなさそうな沢は有難い。(って、そもそも持っていないし・・・。しかし、ザルソバ、シュリンプ、ウェハース、カラアゲ、ハーゲンダッツは好物

)
また、谷遡行はニイタカヤマノボレ(真の谷)で経験済みだし、三点支持密教は身体が覚えているはず。
しかし、いくら渓相穏やかとはいえ未登の山を沢素人が未踏の沢で攻めるため、念には念を入れ、長靴、合羽、ヘルメット、ストックと完全装備にする。
長靴といえば、台高の貴公子zippさんの十八番。今日の私は千回沢の奇行師で傾奇いてみようか
ホハレ峠。前泊は気合が入ってる証拠。
一方で、月曜に遭難したら、次の週末まで発見されない
というか、次にいつ人がくるか分からない山域。
気を引き締めてかからねば・・・と思っていた矢先、1台また1台。
どうやら、沢遊びの人たちのようだ。
目的は違えど何かあった時、助け合える人が同じ山域にいるのは心強い。
といっても、入る沢はてんでばらばら、また、彼らは午前で店じまいということを考えるとあてにはできないが。
一人はAM4時前、もう一人は私と相前後して5時前に出発。
薄明かりとはいえ、急斜面の山腹道を下るのは滑落の危険が高いため、ヘッデンで足元をしっかり照らしながら3本足(ストックもいれて)で黒谷左岸をたどる。
最後大きな堰堤手前(過去このあたりでワグマさん目撃レポあり)で広幅員の河原を横切り、門入に続く林道歩きになる。
スタートから1時間15分で西谷川にかかる橋を通過後、村の中を進むと犬の鳴き声。
ということは、人が住んでいるということ(野犬でない限り)。
ということは、いざとなった時、這いずってでも村に戻ってくれば助けを呼んでもらえる・・・かもしれない。
たいへん心強い。
しかも、入谷へ向かって林道を進むと、ヘリポートまで整備されているではないか。
実際運ばれる身になることは無いだろうが、心細い不慣れな単独沢登りには、心の応援団になる。
蔵ヶ谷出会い付近に到着。目印となる鉱山小屋は草に埋もれつつあるが対岸辺りに発見。
河原に降り立つ。7時。
さあいよいよ始まるぞ。目を覚ませ、剣心。(最近まで映画館で楽しんでますたー

)
無事この場所に戻ってこれるだろうか。
まあ、死ぬ時は死ぬし、生かされる時は生かされる。
人事を尽くして天命を待てばよいのだ。
(谷装備携帯せず、GPSなし、単独で見ず知らずの沢に向かうこと自体、人事を尽くしているのかと言われたら・・・。)
とはいえ、イメージの世界では、問題なく登頂成功している。
現実をイメージの世界へ近づければ何とかなるだろう
遡行開始。
往路は渓相、流れ、淵、岩表面、浮石、川底の状態など様子を見ながら慎重に進む。
やがて、最初の関門2本の小滝(落差3mぐらい?)が現れる。
この程度の落差なら、鮎は流芯を跳び上るのだろう。あゆ(浜崎あゆみ)は嫌いじゃないが鮎になれない私はこぶ巻きじゃなく高巻き。
勾配も緩やか、渓相も穏やか、ほど良い流量で快適な遡行が楽しめる。
ずーーと、流れの中だけをたどるのも悪くないが、ピークハントの目的達成までは、余分な時間はできるだけハショリたい。
夏目漱石(ボッチャーン)、シンデレラ(バシャバシャ)、笑点(ザッブー(トー)ン・・・ちょっと苦しい)は帰りの楽しみにとっておき、岸や流れの最短距離、エネルギーロス最小ルートを、進んでいく。
次の関門小滝パート2(落差5mぐらい?)が現れる。
山日和さんなら、滝壺を泳ぎ、滝芯をシャワークライミングだろう。
無防水カメラが借り物ゆえ、私はやらない。(できない理由をカメラのせいにしとこ

)
どんどん進むと2段の小滝。ここは左岸の岩へつり。
ああ、沢登も素人向けのこのような沢なら暑い夏のさなかにはもってこいの避暑になる。
シュークリームさんの気持ちがわかってきたような気がする
遡行開始1時間半で大栃の木に到着。(Ca676のちょい上流辺りかな。)
この辺りはテン泊地としてよく知られている。
帰りも無事な姿でこの栃を眺めたいものだ。
しばらく行くと水流が2本に割れ、滑り台のように流れ落ちている。
これを滑り床というのかな?そういうことにし床。
帰りはこの流れの中をいこーっと。
遡行開始2時間を経過するあたりから、勾配がきつくなってきた。
フフフッ。いよいよ本物の沢登の楽しみを味わわせてくれそうだ
(ブルブルブルッ。あかん、こんなきつい勾配、険しい渓相では私のような軽装には血相を変えて帰(けえ)そうとしているとしか思えん

)
とはいえ、キョーレツな落差のある滝があるわけではないので、持ち前の根性と怖いもの見たさで突き進む。
所々、二股の出会いが出てくるが、基本、水量の多い方を千回沢本流と信じ込み進んでいく。
(この思い込みが後でとんでもないことにつながるとは、この時点で思いもしなかった。)
もちろん、コンパスで確認しながらであるが。
選択の難しい二股が現れた。9時45分。
水量はそんなに大きく変わらないが本流は若干左もちかな、沢相、幅から見ても左。
現在地を800m辺りとするとコンパスの方角的(北西)にも正しい。
(旅の後で地図を確認すると、すでに850~900m辺りまで来ていたようで、正解は右(方向は北)。)
しばらく登りながら、方位がしきりと西を指すので、間違ったかなと思いながらも位置エネルギーを手放したくないので、急峻な細筋を張り付くように登ってゆく。
ここが尾根専ハイカーの悲しい性。
尾根登りではピーク一点に収束していくから問題ないが、沢登りでは一筋間違えればどんどん目標地点と乖離していく。
頭の中で理解していたつもりでも、実戦は別物。
この角度、まるでロッククライミングをしているような感覚になってきた。(やったことはないが)
最後はオーバーハング状態で前進不能に陥る。
左右の取り付きも厳しく絶体絶命のピンチ
落ち着け、剣心。
以前、藤原岳のあの善右エ門谷でもピンチを切り抜けたではないか。
必ず弱点はあるはず
こういう時は、お茶を飲み、一呼吸置いて、冷静さを取り戻すことが大切。
あかん、急勾配すぎてそれさえもできん
若干下って、急ではあるが枝、草付を利用し這い上がれば尾根筋にたどり着けそうな箇所を見つける。
枝折れ、草剥離による滑落の危険は無きにしもあらずだが、掴んでみた感じでは比較的しっかりしている。
よしっ、勾配はきついが樹林の尾根に這い上がれたぞ。
あとは、樹木を利用し、ずんずん登坂すると稜線(千回沢山から南へ伸びる稜線)に出た。10時15分。ここで、長靴からトレッキングシューズに。
ピークまでどれくらいあるのか見当がつかないが、北へ向かってひたすらこの激ヤブを漕ぎ、潅木ジャングルを突き抜ければ11時頃にはたどり着けるのではないか。
(自宅で地図を見た感じでは、おそらく標高1100~1150m、ピークまで1kmまではない辺りに出たと思われるが、実際は激ヤブを漕いで1時間弱要した。)
漕いでー漕いでー漕いでーーー♪、潜ってー潜ってー潜るーーーーー♪
小椋佳のリズムに乗って進む
前方上空に青空が広がるのを見てピークが近いのを感じる。
11時10分ついに三角点に到着。
山名板もない、わずかな切り開きだが、この質素な佇まいが地味な山屋には似つかわしい。(ジミー大西な山屋ではない。)
南から西の方角に見えているのは(おそらく)蕎麦粒、烏帽子、高丸、三周、すぐ近くに不動など奥美濃のヤブ山を代表する山々のはず・・・。
少しヤブをこぎ北を望めば冠、若丸が・・・。(こちらは間違いないだろう)
基本、ワタスの脳みそには山座同定アプリが組み込まれていない
念じても必ずしも叶うとは限らないが、諦めずに思いを継続すればいつかは・・・を実感した瞬間であった。
一方で、私の中では奥美濃ヤブ屋としての最終目標を不動山・千回沢山としていたので、達成のうれしさ半分、目標を失った寂しさ半分、複雑な気持ち
こんなー辛いー旅ーなんかもういやだ♪旅を終わろう♪汽車に乗ろう♪
メロディが頭の中を流れ始めたので、至福の地をあとにする。
往路は失敗したが、復路は地図どおり真南に谷筋を降下してゆき、登ってきた沢ルートに合流すれば、その後の谷筋の状況は掴んでいるから、無事完遂できる・・・との油断があったことは間違いない。
順調に下っていたが、高さ5mほどの落差が出現。

- 剣心、不覚・・・。深く反省のポイント。
いまから考えるとどうしてそんな危険な行為に走ったのか。
通常なら高巻いて安全を期すのだが、達成感の余韻のひずみで冷静さを欠いていたのか、すぐ横の草つきの急斜面にそのまま取り付いて最短距離で降下するルート取りをしてしまった。
アッ
というか、あっという間もなく下の岩に打ちつけられ、臀部にキョーレツな衝撃が走った。
うっ・・・
臀中でござる・・・。
迂闊に足だけで着地しておれば、捻挫、靭帯損傷、骨折いずれかの可能性もあったか・・・。
無意識とはいえ、両足、臀部、左手がほぼ同時に体を支えたため、致命傷を受けず、その後の行程にきわめて深刻な影響を与える(ビバークとか)までには至らなかった。
ただ、臀部の打撲は、最後のホハレ峠への黒谷遡行に若干暗い影を落としたことは事実。
登りではお尻の筋肉を使っていることを学んだ
それにしても、ほんとに痛いときは、「痛い」という言葉も出てこない。
しばし息が出来ない時が流れる。
すぐに肺呼吸から皮膚呼吸に切り替え

、事なきを得たが、危なかった。
人間万事塞翁が馬というが、1ヶ月間の食っちゃ寝の干し物男状態で、無駄に付いた臀部の贅肉がわが身を守ることになるとは・・・。
このような事態を無意識に想定して1ヶ月間食っちゃ寝をしていたとすると、ワタスの野生の予知能力も捨てたもんじゃない。
(そもそも予知能力があれば落ちんか

)
どうやら三点支持教の弱点、両方の手がそれぞれ掴んでいた草が同時に剥離して3~4mほど落下。
時を越え、ニュートンを実証
滑落による損害は、臀部打撲以外に左手親指突き指、同 生爪、左肩打撲、腕時計紛失(後ほど気づくも戻る気になれず)、長靴かぎ裂きなど。
しかし、この瞬間から何かが吹っ切れて、後はずーーーと沢芯(主流)をたどり、滑り、淵、落差などウヒャヒャヒャヒャー

と沢遊びに興じながら下った。
(決して頭を打っておかしくなったわけではなく、自らを解放したくなっただけ。)
時計をなくしたおかげで時間に急かされること無く、無心に戯れて御座候。
まさに「るろうに童心」。
往路で確認した3箇所の小滝(3~5mの落差)でもザッブーーンをやりたかったが、少しは楽しみをとっとかニャーと言うことで、ニャンと空中三回転は傷が癒えてから・・・ということにしとこ

。
これにて一件落着。
めでたくもあり、目から火花を出したくもなし。
<追記>
渾身のレポアップのつもりが、あやうく昏睡でヘリ(コプターピック)アップの身になるところだった。
そこで教訓。
・おのが名忘るとも 沢ヘル忘れたまふことなかれ
・君落ちたまふことなかれ 山落せしとも
もひとつおまけにひつまぶし問題。
沈着冷静が服を着たような(と言われてみたい)私の心の隙によるとんでもない失態を通じて、○○○○○頂けたら。
○○にはいったい何が・・・。
①他山の石として ②ターザンの遺志と思って ③爺さんの意地を感じて
カッチャン