【日 付】 2012年6月24日(日曜)
【天 候】 曇り時々晴れ
【山 域】 江越美国境
【メンバー】 biwaco、kitayama-walk
【コース】 6:50岩谷登山口 7:15第一渡渉点 7:20トチの巨木 7:50池まで1000m地点 8:30夜叉ヶ池8:45 9:00夜叉丸
9:30P1206 10:35鞍部(水場) 11:10三国岳(昼食)11:45 (左千方途中引き返す) 12:40三国岳(昼寝)13:50
15:55P1206 16:30夜叉丸 16:45夜叉ヶ池17:00 17:35トチの巨木 18:00岩谷登山口
梅雨入りで週末も雨日和が続き、このところ山に行けていない。今週末は梅雨の中休みとなりそうと思っていたところに、biwacoさんから
山行のお誘いメールが届いた。夜叉ヶ池から黒壁(高丸・1316.3m)か三国岳へ「ヤブこぎ」に行きませんかと。夜叉ヶ池には過去2回来た
ことがある。最初は2008/6/14で、福井県側の岩谷登山口から夜叉ヶ池に登り、三周ヶ岳(1292m)までピストンした。2回目は2009/6/14
で、今度は岐阜県側の池ノ又登山口から夜叉ヶ池に登り、まず三国岳までピストン氏、次いで三周ヶ岳までピストンした。黒壁(高丸)は、
三周ヶ岳への稜線上のP1252から東へ2キロ余りあるが、相当なヤブが予想されるのでパスした。三国岳(1209m)までのヤブこぎは経験
済みだが、さらに未踏の左千方(1196.8m)への約1キロの激ヤブこぎに挑戦してみたいと思った。biwacoさんは、昨年8月ビバークしなが
ら左千方&三国岳を「制覇」した強者で、今年4月残雪期にも奥川並から谷山経由で左千方を落としている。未踏の左千方は私には憧れ
の山頂とも言ってよい。何でも6月24日(日)はbiwacoさんの誕生日だとか。それなら左千方山頂で祝杯を挙げようということになった。
2011年4月に刊行された草川啓三氏の「琵琶湖の北に連なる山」(ナカニシヤ出版)の案内によると、「三国岳から左千方までは藪こぎで
約1時間」と書かれていた。そこで、登山計画を立ててみた。7:00岩谷登山口-8:30夜叉ヶ池-10:30三国岳-11:30左千方12:30-13:30
三国岳-15:30夜叉ヶ池-16:30岩谷登山口というコースタイム。休憩時間を入れると下山は17時までと楽勝であったが・・・。
4時過ぎに京都の自宅を出発し、4時30分京都東ICから名神高速に乗り、米原JCTから北陸道に入り、今庄ICで降り、biwacoさんとの待
ち合わせ場所(4/8の上谷山のときと同じ)のファミマ今庄店に6時前に到着。コンビニで水・食料を調達して、広野ダムに向かう。ダムから
岩谷林道に入り、約4.7キロ走ると夜叉龍神社の鳥居前にある登山口に到着した。ここにはトイレと10台ほど駐車場があり、夜叉龍神社の
ご神木とも言ってよい樹齢400年のカツラの巨樹が出迎えてくれる。今年は林道崩壊などで山開きが遅れ、今日24日に山開きを行うという
ことで、地元の方々(今庄観光協会)が安全祈願祭の準備にやってきていた。鳥居の前に祭壇を設え、テントを張って、山開きの神事を執り
行うのだ。登山者代表として玉串を奉納してもらえないかと打診されたが、神事は8時からというので待ち時間がなく丁重にお断りした。鳥居
の脇に「幽幻伝説 夜叉ヶ池」の石碑があり、「花は人の目を誘ふ 水は人の心を引く 君も夜叉ヶ池を見に来たと云ふ」という泉鏡花の小説
の一文が刻まれていた。
山開きの準備をしている地元の人々を尻目に、鳥居をくぐり、岩谷川に架けられた橋を渡り、左手の登山道に入る。大きなトチの木を左手に
見送りながら、右手に付けられた樹林の中の登山道をゆっくりと登っていく。登山道の脇にはコアジザイやササユリの花が咲いていて早くも目
を楽しませてくれる。10分ほどで登りが終わると、今度は渓谷沿いに水平歩道が付けられている。山腹をうまく利用した登山道は危険箇所も
なく快適に歩くことができる。左手下を見ると100mほどもあろうかと思われる崖下に谷があり、やがて夜叉ヶ滝と呼ばれる滝が見えてきた。
滝下に降りることができないかと下降路を探したが、見つからなかった。
水平歩道はさらに続き、やがて沢がせり上がってくると、沢に架かった橋を渡る。渡ったところに「池まで2000m」という最初の標識があった。
この標識は、これから1500m、1000m、500m、200mと続いている。すぐに2つ目の橋があり、これを渡ると、「岩谷のトチノキ 樹齢300年、
樹高35m、幹周10m」と書かれた銘板があり、2本の大トチがあった。よく見ると、奥にあるトチの木の傍まで行ける道が付けられていたので
登ってみた。樹齢400年、幹回り7.3m、樹高20mと書かれていたので、銘板に書かれていたのはもう1本のトチの木のようだ。

- トチの巨木
トチの木を過ぎると、登山道は沢を離れて、ジグザグの登りとなり、ここからが本格的な登りとなる。ジグザグの登りが終わると、尾根に出て
くる。このあたりから地形図に書かれている登山道と外れることになる。ブナやナラの自然林の中に付けられた登山道は適当な傾斜になって
いて、池まで1500m、1000mと標識があり、実に心地のよい快適な登りとなっている。池まで200mの標識を過ぎ、落石を跨ぐと、傾斜がなく
なり、正面に三周ヶ岳を見ながら灌木の中を行くと、木道が出てきて夜叉ヶ池に着いた。夜叉ヶ池の標高は1099mで、池畔には夜叉龍神社
の奥宮の祠がある。池の周囲には木道・ロープが設置してあり、池の縁に降りていけなくなっていた。池面は静かで、まさに別天地の様相で
ある。この時期はモリアオガエルの産卵期であり、池周辺の楓や榛の木には白い泡の卵がたくさんぶら下がっていた。
右手に夜叉ヶ池を半周すると、夜叉峠に出た。東側斜面(岐阜県側)は崖になっていて、ニッコウキスゲが斜面一面に咲き誇っていた。北に
向かうと三周ヶ岳であるが、今回は県境稜線を南に向かい、ニッコウキスゲ、アザミ、イブキトラノオの咲く岩稜を急登して行く。途中で後ろを
振り返ると、三周ヶ岳と貝殻のような形の夜叉ヶ池がよく見えるようになる。稜線の左手に何やら立っているものがあることに気づいたが、これ
はライブカメラであった。15分ほどで夜叉丸(1212m)に着いたが、ここは夜叉ヶ池山とも呼ばれている(なお、新分県登山ガイド「福井県の山」
では、もう少し先のP1206が夜叉ヶ池山として紹介されている)。夜叉丸からの展望はよく、北方向には三周ヶ岳と高丸(黒壁)が鎮座し、その
間には能郷白山とイソクラ(磯倉)が見える。東方向には、雷倉、蕎麦粒山、花房山、天狗山、小津権現山、鍋倉山などの山々が見える。

- 夜叉丸手前から三周ヶ岳と夜叉ヶ池を眺望する
さて、夜叉丸から先はヤブこぎに突入することから、ここで長袖シャツに着替えし、虫除けのムヒを顔面、首筋にたんと塗布し、ヤブこぎに備え
た。すぐに背丈ほどの笹ヤブになるが、まずめざすのはP1206である。夜叉丸からは下りになっているが、右手にはP1206から三国岳に続く稜
線がはっきりと見渡せる。ヤブこぎになってはいるが、足下には踏み跡がはっきりしている。平泳ぎの恰好でササ漕ぎをしながら、一旦鞍部に
下ってから登り返しとなるが、次第にヤブが少なくなり、P1206に着いた。ここは眺望もなく単なる通過点であるが、よく見ると境界標(石標)が
ある。

- 激ヤブこぎ-P1206からの下り
P1206からは右手に下りになっているが、踏み跡は薄く不鮮明になっている。所々にある赤や黄のテープを頼りにヤブこぎをする。何だか稜
線を左に外していると思ったところ、biwacoさんが注意した。よく見ると、ササの上にマムシがとぐろを巻いているではないか。気づかなかった
ら足下を噛みつかれたのではないかと思うとぞっとした。不鮮明な尾根筋を確認しながら鞍部に下ると、そこには水場があり、煮沸すれば飲料
用にもなると思われた。登り返しはさほどのヤブではなく、快調に進んでいく。やがて、左手に小さな岩穴があった。biwacoさん曰く、「去年の
8月、左千方~三国岳から下りで時間切れとなり、ここでビバークした」と。biwacoさんの顔を見ると、忌まわしいというより「懐かしい」感じであ
った。さらにヤブこぎを続けると、次第に灌木もなくなってきて、ササ原になり、ポンと切り開きに飛び出した。おお、ここが懐かしい3年ぶりの三
国岳山頂であった。時刻は11時10分、夜叉丸から約2時間、予定より40分遅れているが、まずます予定どおりの歩きとなっている。

- ササが刈り込まれた三国岳山頂

- 左千方が見える(三国岳山頂から)
2時間余りのヤブこぎと、昼時間に近いこともあり、三国岳山頂にてランチタイムとした。まずは保冷剤で冷やしたアワワで、biwacoさんの誕
生日を祝って乾杯だ! 今日のランチはコンビニで調達した助六すしと冷し中華(小)である。天気はまずまずの晴れ模様、雨の心配はない。
暫し至福のときを過ごしたが、憧れの左千方に行かなければならない。三国岳山頂からは尾根伝いに左千方が近くに見える。わずかな距離
だが、激ヤブこぎになることは承知の助である。草川氏によると左千方まで1時間だが、13時まで行動し、無理なら途中で引き返すことにして、
11:45三国岳を出発した。三国岳山頂は円形に刈り込まれているが、来たところと反対側にある踏み分に入ると、少し下ったところで踏み跡が
なくなっていた。方向を確認すると左千方に続く尾根はもっと右にあることが分かる。尾根筋に戻るべく、そのまま右手に灌木とヤブをかき分け
ながら進むが、ジャングルそのものである。今度は尾根筋から右手に外れてしまい、再び軌道修正をする。そうこうしているうちに尾根筋に戻っ
たものの、かなり時間が経過してしまったため、このジャングルのような激ヤブを漕いでいく意欲がすっ飛んでしまった。biwacoさんと相談の上、
やむなく左千方はあきらめることとし、三国岳に引き返した。
引き返してわかったことだが、三国岳の山頂は県境稜線より少し東南に出っ張っていることから、左千方に行くには、山頂から少し戻ってから
右手の笹ヤブに突入することになっていたのだ。しかし、後の祭り、時刻は12:45、もう左千方まで行くことができないので、疲れを癒すため、三
国岳山頂で昼寝をすることにした。薄い日差しの下、タオルをかぶって横になると、忽ち寝入ってしまった。biwacoさんも同じだったようで、目が
覚めるともう1時間近く経過してしまっていた。13:50下山にかかる。帰りは勝手知った道と思っていたら、そうでもなかった。やはりP1206に登る
ところが不鮮明で、マムシの恐怖に怯えながら再びヤブこぎを強いられた。何とかP1206まで帰ってきたと思ったら、もう4時前だ。再び鞍部に下
り、夜叉丸に登り返し、夜叉ヶ池に着いたから5時前になっていた。急いで下山しよう。下山は実に楽であった。この登山道は傾斜がきつくなく、
適度になっているので、どんどんと早足で下ることができた。登山口にはちょうど1時間で下ることができ、まだまだ明るい6時に到着したが、残
っていた車は私たちの車だけであった。
帰りは、国道365号線で走り、栃ノ木峠を経て、木之本に下り、それからあねがわ温泉まで行き、天ざるそばでbiwacoさんの誕生日を再び祝
った。温泉は照明を落としてあり、暗がりの中でのんびりと1時間あまり浸かっていた。今日は激ヤブこぎで疲れ、目標の左千方に行けなかった
ものの、よい一日であった。左千方登頂は次回までのお預けとなった。