【 日 付 】2012年5月26日(土)
【山 域】白山
【天 候】晴
【コース】大白川5:15---曲り谷出合7:15---別山谷二俣8:40---箱谷左俣1,970m 10:10---11:40別山12:05
---箱谷左俣1,970m13:00---別山谷二俣14:00---曲り谷出合15:20---大白川17:20

- これが別山攻略ルートだ
もう何年前のことだろうか、初秋の別山山頂に立ち箱谷左俣を見下ろしていた。
山頂直下に広がる源頭が草紅葉に染まり、谷底にはポツリと取り残された残雪があった。
いつかここから頂に登ってみたい、どうすればこの谷から登ってこれるのだろうか。
そんな思いを実現させるべく動き出したのが5年程前のことになる。
何から手をつけていいやらわからないが、とにかく白水湖を越えなくてはならない。
闇雲にブナの林に突入してみたものの途中から前進がままならず撤退となった。
その後、湖岸のガレをトラバースしてバックウォーターに到達。
湯谷の偵察に入ることができ、別山へ向けての道筋がぼんやりと見えてきた。
湯谷から別山を攻めるにしてもたんぽぽの流儀というものがあった。
がむしゃらに別山を目指してしまうのは興ざめである。
まずは前衛の山々を攻略しつつ別山攻めの策を練っていった方が面白い。
そんな思いがあって二年前、ふ~さんと焼滑登頂を果たすことができた。
http://www.ejanaika.com/patio/read.cgi? ... ast&no=174
続いて昨年のとっちゃんとの南白山登頂、その頂から本丸攻略に向けて入念な偵察も目的のひとつだった。
viewtopic.php?f=4&t=304

- 湯谷から望む別山周辺の山々(別山は見えない)
最悪の谷と噂される箱谷はどんなバケモノが飛び出すかわからなくて入れない。
大きな雪渓があって魅力的な別山谷右俣は登るのに好都合だが、尾根に出ればハイマツ地獄に捕まる可能性が強い。
おまけに雪渓入り口にある地図の滝マークが気がかりだ。
そうなると別山東尾根2,324峰から北にのびる尾根上に登れる雪渓を探さなくてはならない。
南白山からは別山東面が丸見えで、ここからの偵察が別山攻略の鍵を握ると判断した。
幸いなことに標高点1,976mのすぐ南に突き上げる細長い雪渓を見つけることができた。
尾根を越えた先の様子はわからないが、この雪渓を利用し尾根を乗越して箱谷左俣から別山を目指すのが最速ルートに違いない。
別山まで8時間はかかるであろうとの読みからスタートは早朝4時とした。
ところが携帯アラームが鳴ってもなかなか起きれず、目覚めたのが4時半過ぎと大慌てでのスタートになった。
こんな遅いスタートで別山まで届くのだろうかとの不安に駆られ足早になってしまう。
地獄谷まで出ると白水湖は湖面がいつもより5mも低く、とても歩きやすいのに助けられる。
いつもは1時間要していた湖岸トラバースが半分の30分でクリア、これは正しく早割り特典だ。
湯谷に入っても脇目を降らずにすたこらさっさと進んで行くと早くも曲り谷出合で残雪が現れた。
ありがたい早割りW特典で残雪の上を行けば、徒渉回数も少なくなりかなりのスピードアップが図れる。

- 標高点1,976mから白水湖を見下ろす
箱谷出合の直前で雪渓末端に出たので、沢靴から山靴に履き替え沢装束はここにデポとした。
別山谷二俣に近づくとオオルリやキビタキに代わってルリビタキの歌声が谷に響き渡る。
二俣到着予定を9時としていたが、それより早い到着で断然意欲が湧いてくる。
“気合”と“青空”、この二つが何よりも背中を強く押してくれるのだ。
別山谷右俣に入るのは初めてなので地図を見ようと探すが、あろうことか出てこない。
どうやら車の中に忘れてしまったらしい、また今日もやってしまった。
1年前からイメージトレーニングしていたので晴天下に迷う心配はないが、地図を見ながら歩く楽しみがないのが残念だ。
右俣に入ると本谷は左へ急カーブして、地図の滝マークの通りに二段の滝が立ちはだかっていた。
その右側に小滝を持つ小さな間口が今回登る雪渓で、小滝を避けて左から巻いてクマザサ帯に突入した。
これくらいのヤブならいいが、尾根を乗越した先にどんなヤブが待ち受けているかが心配だ。
幅10mくらいの細長い雪渓をガシガシと登っていけば、背後には南白山の全容が大きく見えてくる。
昨年の偵察でこの雪渓上部で三俣に分かれるはずなのに、季節が早いので一面の雪渓となっている。
なるべく北寄りに登っていくと尾根上はいい感じに雪がついている、なんんだかいい予感がする。

- デブリを越えて別山へ
1時間半の急登で尾根に上がると視界が開けた、足元はもう箱谷左俣だ。
ラッキーなことに左俣への下降は雪が繋がっていて難なく降り立つことができる。
やったぜ!もう別山は手中に入ったも同然だ。
北には御前峰、更に東へ目を移せば奥三方岳や歩いてきた湯谷が一望だ。
悪沢で名高い箱谷左俣を覗いてみようと1,976mの標高点まで行ってみる。
赤茶けた岩肌がガラガラと音をたて、落石、クレバス、斜度どれをとっても一級品の渓相だ。
いつかはふ~たん編隊で突入なんて思っていたが手も足も出ないかもしれない。
穏やかなハーフパイプ状の左俣上部から険しい左俣出合の様子を覗いてみようと近づいてみる。
突然急降下する雪渓は斜度が急すぎて下が見えないが、それがかえって不気味さを煽り立てる。
箱谷左俣を進むとすぐ直角に曲がり、ダケカンバやオオシラビソといった樹木が姿を消す。
左岸尾根からの落雪でデブリブロックが谷を埋めている。
鳥の囀りはルリビタキからイワヒバリへと代わり高山帯に入ったことを知らせてくれる。
うねりながら進む雪の回廊は焼山北面台地の掘割に似た味わいがある。
前方にいい曲線を持ったピークが見えるが麗しの〇ッパイ山には程遠い。
山頂が近づいてくると前方は全て真っ白でどこを目指せばいいのか戸惑ってしまう。
ガスったら困る場面だろうが、晴天なので適当に高みを目指すと別山神社の祠の前に出ることができた。
早速、別山の神様へ長年の夢を叶えさせていただいたことを感謝して拍手を打つ。
湯谷三部作、焼滑、南白山そして別山が完遂した瞬間だった。

- 箱谷左俣源頭、とうとうこの谷を登ってきた。