
- 雪渓から見た四塚山
白山は私のふるさとの山である。私の郷里は石川県の能登であるが、今でも本籍は石川県に残してあるので、半分は石川県人といってもいいかもしれない。その後、仕事の関係で長い間福井市に住んでいたので、人生の約半分は白山の周辺で暮らしていたことになる。その割には白山に登った回数はそれほど多くはないのだが、南の方の主要な稜線は昨年までにほぼ歩いた。北には全く足を踏み入れたことがないので、今年は白山北部を重点的に歩いてみようかと思っている。とりあえずは加賀禅定道から四塚山を経由して楽々新道を新岩間温泉までグルリップすることにする。
【 日 付 】2012年6月2~3日
【 山 域 】白山 加賀禅定道
【 地 図 】
http://watchizu.gsi.go.jp/watchizu.html ... 3680685712
【メンバー】単独
【 天 候 】1日目 晴れ; 2日目 晴れ一時雷雨
【 ルート 】1日目 駐車地 6:10―6:25 はらい谷登山口―9:00 水場―9:40 しかり場分岐―10:20 口長倉山 11:10―12:20 奥長倉避難小屋(泊)
2日目 5:00 避難小屋―5:45 美女坂の頭―7:15 油池―9:05 四塚山 9:40―10:30 油池―12:10奥長倉避難小屋 12:50―14:10 しかり場分岐―15:35 はらい谷登山口―15:50 駐車地
(1日目)
最後は新岩間温泉から2時間の林道歩きになるので、いつものように愛車を車に積む。念のためアイゼンとピッケルをザックに入れると総重量15キロになった。一泊のテン泊装備としては重た目だが、まあこんなもんだろう。2日目の事を考えると最低でも天池までは行っておきたい。できれば油池でテントが張れれば御の字だろう。
6月1日、午後5時過ぎにさっさと職場を後にし、イオンで買い出し、家で夕食を食べて7時半に出発。鯖江北PAで仮眠する。3時起床、福井北インターで降り、国道157号線を白峰へ抜ける。ここはかつて通いなれた道だ。一里野を抜けて新岩間温泉への林道入り口に来ると林道が閉鎖されている

冬期閉鎖ということだが、もう初夏なのになんで冬期閉鎖なんだ。まあ、文句を言っても始まらない。よく調べもせずにくる自分が悪いのだ。
林道入り口で登山準備をしている二人連れの男性に聞くと、はらい谷登山口まで1キロで、15分くらいで行けるので問題ないよとのこと。岩間道はまだ雪がかなり残っていて、迷いやすいので勧めないのこと。GPSを持っていれば大丈夫だろうということだったが、なにせGPSを持っていても道迷いするのが私なのだ。なにより、最後の林道歩きはしたくないので、あっさりピストンに変更する。朝食を食べている間に単独の男性が到着し、出かけていく。いずれも山慣れた雰囲気の人たちで、まあ、こんな時期にこのコースに山ガは来ないだろうなと思う。
今日は朝から暖かくて、風がないので、登り始めてすぐに半袖になる。さすがに白山だけあって道はよく整備されており、歩きやすい。鈴鹿よりははるかに植相が豊富で、道々、花が目を楽しませてくれる。目に付いた花を挙げてみると、まずウワミズザクラ。どこの山でもよく見る木だが、花を見るのはなぜか数年ぶりだ。サンカヨウ、カタクリ、オオカメノキ、ミヤマキンポウゲ、ムラサキヤシオ、シャクナゲ、イワカガミ、ショウジョウバカマ、ミヤマキンポウゲ、バイカオウレン、コブシ、ミネザクラなどなど。一つ一つ写真を撮りながら歩いていると、疲れも感じない。

- ウワミズザクラの花
御仏供水で水を補充し、檜新宮で山行の無事を祈る。檜新宮を過ぎると登山道にぼちぼち雪が現れ始める。しかり場分岐まで3時間半。まあまあのペースだろう。口長倉山で昼食がてら休憩をとる。風もなく、半袖でも全く寒さを感じない。いい登山日和だ。今日の昼食はイオンで買った和風弁当。賞味期限は夜12時に過ぎているが、まあ大丈夫だろう。休憩していると白髪の単独男性に会う。70歳くらいだろうか。お国訛りが懐かしい。夕方は雨の予報だという。そういえば、だんだん雲が多くなってきている。
この後は、前方に四塚山への稜線を見ながらの稜線歩きだ。お腹がいっぱいになったせいか、眠くなってくる。ちょっと寝不足かもしれない。奥長倉避難小屋につくと、朝会った男性二人が休んでいる。もう天池まで行っての帰り道らしい。避難小屋から上の登山道の情報を仕入れる。天気予報はやはり夕方一時雨とのこと。そういえばいやな雲が上空にある。あっさり避難小屋泊まりに切り替える。きれいで過ごしやすそうな小屋だ。

- 奥長倉避難小屋
小屋泊りと決まれば時間はたっぷりある。ワインをちびちび飲みながら、雪を融かして水を作る。お恥かしながら、私は雪中テン泊は何度か経験があるのだが、雪を融かして水を作った事がないのだ。いつも水をかつぎあげている。ためしに、小屋の横の雪渓をピッケルで掘ってみると、きれいな雪が出てくる。本で覚えた手順で雪を融かすとあっさり2リットルの水が得られた。なんだ、こんな簡単なんだったら初めからこうすればよかった。
結局、この日は小屋泊まりは私一人だった。のんびりできたような、寂しいような。雪中テン泊のつもりだったので、防寒具をそれなりに持ってきたのだが、避難小屋でそれらをつけると暑いくらいだった。まだ明るいうちから就寝する。
(2日目)
朝3時半起床。朝食を食べている間に明るくなってくる。快晴だ!天気予報は曇り一時雨だったのだが、天気予報が外れたようだ。檜新宮でいっぱい拝んだおかげだろうか。帰りにお礼を言わなければ。5時出発。四塚山まで4時間のコースタイム。9時ころには着くだろう。

- 美女坂
まずは今日の唯一の難所、美女坂。いったいどこが美女なんだろうかと考えながら歩いているうちに、あっさり美女坂の頭に到着。しばらく行くと百四丈滝の展望台だ。写真でしか見たことがない滝。よく見ようと知らないうちに雪渓のすぐ端にまで来てしまう。危ない危ない。こんなところで滑落したら目も当てられない。

- 百四丈の滝
ここでアイゼンを履き、四塚山まで快適稜線歩きだ。南には四塚山が壮大な姿を見せ、東には岩間道が通っている稜線が一望だ。当然のことながら見渡す限り誰も歩いていない。この素晴らしい展望を今自分が独占しているのだ。風はなく暖かく、しかも快晴だ。今年2月に硫黄岳から赤岳展望荘まで縦走しようとした時も、見渡す限り誰もいない雪の稜線が広がっていた。しかし、その時は身体ごと吹き飛ばされるかと思うほどの強風と、厳寒の中での山行だった。結局、横岳を目の前にした難所で撤退せざるを得なかったのだが、その時とはなんという違いだろうか。
目の前に見える岩間道はところどころ夏道が見えているが、確かに巻き道が多いようで、稜線伝いに通っている加賀禅定道と比べると迷いやすい道のようだ。9時、四塚山着。四塚山の山頂ははっきりしなくて、結局、3つのピークの中で一番低いピークが四塚山だった。お腹がすいたので、頂上でインスタントラーメンを作って食べる。食べている間に、西からガスがあがってくる。雲も多くなってきているので、適当に切り上げて下山することにする。
下山中にいやな感じの黒い雲が近づいてくる。百四丈滝展望台の付近で雨が降り出し、雷が鳴り始める。土砂降りになりそうな予感がするので、急いで雨具をつける。幸い雷はそれほど近くではなさそうなので、まだ大丈夫だろう。避難小屋まであと1時間ほどもあれば着くだろうから、とりあえず避難小屋まで行って雨をやり過ごそう。幸い、雷はそれほど近くには来なかった。
テントや寝袋などはすべて小屋に置いておいたので、濡れずに無事だった。小屋に着いてしばらくして雷は行ってしまったようだ。雲も行ってしまったようで、外は明るくなっているが、雨は降り続けている。しばらく待って、雨が小降りになってから出発する。歩いているうちに雨はやんだが、道はぬかるんで5,6回以上もすべって転んだだろうか。
林道へあと30分ほどになって足が動かなくなる。どうも、シャリばてのようだ。朝4時に朝食を食べて、その後9時に四塚山でインスタントラーメンを食べた後、何も食べていないのだから当然かもしれない。それでも最後はゆっくりとしたペースで林道に降り立ち、ほとんど惰性で駐車地まで戻る。さて、次は中宮道から岩間道のグルリップだろうな。2泊3日あれば大丈夫だろう
