春分の日に覚醒して以来、いまだ3回の山行にとどまっている。
昨年までは週一ペースが当たり前だったのに。
生来の無精、臆病、軟弱の3拍子が幅を利かせている。
ここらで闘魂注入するには、あのコースしかない。
過去片手で足りないほど通っているにもかかわらず、一度も完璧なルートどりができない長距離コース。
ということで、伊吹山登山のプライベートコースの紹介です。
【 日 付 】5月8日(火)
【 山 域 】伊吹山地
【メンバー】単独
【 天 候 】晴れ
【 ルート 】AM4:35菩提山ハイキングコース登山口130→竹中半兵衛居城跡(菩提山)、三角点401.1→逆さ杉→AM6:15杖立明神(明神山)、三角点658.8→岩手峠→三角点781.8→AM8:00三角点(点標 藤川村)905.5→播隆上人修行屋敷跡→AM9:00ドライブウェイ横断→東南一次尾根→展望広場、三角点(点標 展望台899.0)→東南最終尾根→AM10:35テーブルランド東端(Ca1343)→AM10:45伊吹山頂(日本武尊像)→三角点(点標 伊吹山1377.3)AM11:35まで休憩→PM5:15登山口着
歩数49,000歩(40~50cm/歩と仮定すると約20~24km)、往路6時間10分、復路5時間40分
いざ。
(夜明け前の薄明かりの中、気持ちは白装束、鉢巻き、たすき姿。心残りは、辞世の句を詠み忘れたことか。)
ドックン、ドックン。導入部はハイキングの楽なコースのはずなのに、この動悸は何だ?
1 寄る歳波 2 気の遠くなる行程に不安でいっぱい 3 気の遠くなる行程に胸が高鳴る
菩提山着。半兵衛公にお目通りかなう。
半公「よくぞ、参られた。習いある道行きとは存ずるが、くれぐれも油断めさるな。なかんずく、道半ばにて、雉打ちする際は、地、風、獣に留意し、末代までの恥となるような姿で発見されぬようご注意なさるが肝要。」
私「御意。」
いよいよフィールド・アキレチックなコースへと踏み出す。
天気、体調ともにグー、歩コウ♪、歩コウ♪、僕ラハ元気―♪
自らの透き通る歌声に酔い、孤高の山旅に酔う。
なぜこんな所に鳥居が?山の中腹に単独で立っている。ここから伊吹山頂までの稜線伝いの距離、アップダウンともに半端ないため、里の人々は伊吹の方角に向かいこの鳥居からお参りしたのか。
新緑に包まれた森に柔らかな朝の光が差し込んでいる。若葉萌ゆるプロムナードを揺蕩い歩く。清々しい空間を独り占め、贅沢な時間。
標識発見。さかさ杉。うーん、そう言われればそのように見えんでもないか。
明神山の杖立神社着。本日2か所目の三角点。1時間40分経過。往路の1/3ぐらいは来ただろうか。ペースとしては悪くないか。
岩手峠から少し旧道を歩き、ルートに乗る前に、雉発見。御館様のお言葉通り、地の利、風向きを考え、神経を背後に傾けながら、一発で撃ち落とす。今日も快腸。
ここから先は、植林地を進む。
あれっ、確か鞍部だった所が、林道に変わってしまっている、魔法をかけられたみたいに。鞍林、魔(アンリ、マー)。
程なく、鉄塔台地。人工物に違和感残るものの、いざという時の目印になる。いとしこいし、じゃなかった、痛し痒し。
遠くに伊吹がかすんで見える。まだまだ先は長い。
しばらく進むと、かすかに沢音が。
よし、命の泉ゲット。中性脂肪、コレステロール、血糖値三拍子そろった我が身にとって最も恐ろしいのが、脱水症状に伴う血液どろどろ、心筋梗塞、脳血栓。
特に、汗(油汗、冷汗含めて)をかく機会が人より多い私にとって水分補給は喫緊の課題。
おそらく、今日のような天候でこのような長時間勤行では、2Lの携帯飲料では足りない。
帰りにはルートを間違えさえしなければ、ここで補給でき、行き倒れにならなくて済むだろう。
修験名物のささヤブによる波状攻撃始まる。
こんな時は、山の住民(獣たち)の生活路を水先案内に。
しかし、頼り切って進みすぎると自分の位置確認ができるポイント(3番目の三角点781.8)を通り過ぎてしまう。
それとなくヤブへご機嫌伺いを繰り返しながら、ポイントチェックを済ませ、次なるポイントを目指す。
この辺りからルートがペキぺキと折れ曲がっているため、左右に折れ曲がる方向を間違えてはならない。ちょっとした時間ロスが累積し、最終闇下に繋がる恐れがあるのだ。
往路はまだよいが、復路で失敗し、過去闇下1回、闇下もどき2回、あとはどうにかこうにか。いまでこそ、感覚を掴み、日没までに若干の余裕を持って帰ってこられるようになったのだが。
途中一部稜線上の林道を歩き、目指す点標 藤川村まであとわずか。
進路を右に取る個所、木の幹が一部白く見える。
オー、クマ、重信公の爪跡?
くわばたおはら、じゃなくて、くわばらくわばら。神経を研ぎ澄ませる。
第4の三角点905.5到着。3時間25分経過。やっと過半を過ぎたようだ。
ここでやらかした。チェックポイントの確認で安心してしまい、進む方向を間違え西に進むべきところ北へ向かってしまった。間もなく違和感(掘道の状況、木立ち越しの伊吹山の位置関係)を感じ、トラバースにより進路修正。
若干のヤブを漕ぎ、自然林を楽しみながら進むと、播隆上人が忽然と現われた。
上人「喝――――っ。何をチンタラ歩いておるかー。修験の道は駈けるのじゃ。スピードを上げることで下らん思考と決別し、行三昧になれるのじゃ。1日50㎞、1000日回峰せいっ。」
私「はいっ、この山行記を、一日千秋の思いでヤブの会報に載せますっ。」
上人「?・・・意味が判らん。・・・叱る気にもなれんわ。」
上人の叱咤激励を背に、癒しのブナ空間のアップ&ダウンを繰り返し、ベースキャンプ(ドライブウェイ横断部)まであとわずか。
どこからか、歌声が。
いくつもの山を越えて~♪たどり着いたー今がある~♪だからもう迷わずに進めばいいー♪栄光の・・
おー、ゆずが応援に来てくれてるー。
ベース着、4時間25分経過。
右手に見える第一次東南尾根へアタック開始まで高地順応を行う(取り付きまでウェイを横断し5分歩いただけ)。
頃はよし、アタック。
最前線のキャンプ地(展望台広場)到着。
再度高地順応を。(広場からウェイ沿いに10分歩いただけ。)
さあ、泣くも笑うもファイナルアタック。テーブルランドはこの尾根の直上。
ここからは、単独無酸素登頂となり、誰のアシストも期待できない。(いつもそうだが・・・。)
「あいや、待たれい。」
その声は、芭蕉翁。
翁「そのままよ 月もたのまし 伊吹山。 如何に。」
私「?・・・如何に、と言われても。・・・対の句をお求めか。えーい、ままよ。
ひそやかに 我も楽しむ 伊吹草。どないでっしゃろ。」
翁「まだまだ。」
私「素養のない私に向かって、ソのヨウなご無理ご無体を・・・。うーん、出てこん、破れかぶれじゃ。
そのまんま 東の次は 橋下ぞ。」
翁「秀句じゃ、進まれよ。」
尾根上の一輪の気品のある、そして、凛とした佇まいの純白のこの花は?
のど元まで出てるのに・・・(本当は、花を全く知らない。)
分らぬなら 名づけてみよう 勝手でしょ
『一人静御前』 よしっ、いいネーミングだ。(どっかで聞いたような・・)
紫のこの花は、「カラクリの花」。確か、高山の人形にも同じなまえが・・・。お千代さんの有名な歌にも・・・。
花の山と言われるだけあり、黄、紫をはじめ、色とりどりの花々が歌いだす。
負けないでー♪、もうー少しー♪、最後まで登りぬいて~♪
ZARDがエールをゴール真近で。マジカよ。
ついに、テーブルランド到達。ちょうど6時間経過。
んー?北にひょっこりひょうたん島がつながっているが?あー、そうか、国見峠から伊吹に続く北尾根稜線か。
日本武尊(ヤマトタケルノミコト)に無事到着の挨拶に伺う。
私「ご先祖様、只今馳せ参じました。」
武尊「大儀であった。ゆっくりして参られよ。ところで、そこもとの名は?」
私「拙者、御飯可炊見事(ウマクゴハンタケルノミゴト)と申す。」
復路は、完璧なコースどりにて(2度ほど支尾根迷い込みをしながら)余裕を持って(ひざ痛で階段を真っすぐ降りられず)満願を遂げたようです。めでたし、めでたし。
以上、ときどき空耳ツアー体験記でした。
カッチャン
追伸 「素晴らしいコース。ぜひ、わが社のツアーに」なんて、話が来たらどうしよう。
ルート設定をした本人でさえ、繰り返し訪れていながらいまだに道迷いしてるのに・・・。