【 日 付 】2012年4月21日(土)
【山 域】白山北方稜線
【天 候】晴
【メンバー】ふ~さん、たんぽぽ
【コース】であい橋先ゲート5:20---開津橋6:25---デブリフォール(750m)8:30---二俣9:20---11:50奈良岳13:00
---見越山13:45---二俣14:50---デブリフォール(750m)15:25---開津橋16:40---であい橋先ゲート17:50
もう今年はダメかもしれないと半ば諦めていた奈良岳リベンジ。
ところが週末の北陸は晴れるという、すぐさま山日和さん、ふ~さんに声をかけた。
残念ながら山日和さんは先約があるというので、久々のふ~たん編隊での出動となった。
先週の反省からスタート時間を1時間早めて奈良岳登頂を12時半、余裕を持って7時間半で攻略という目論見を立てた。

- 奈良岳東面攻略ルート (オゾウゾ山より)
ゲート前に立つと除雪はすでに始まっていた。
どこまで除雪されているかわからないので、今回もチャリンコは車に積んだままで歩き出すことにした。
南から帰ってきたばかりのオオルリの歌声が響き渡る林道はどこまでも除雪されていて歩きやすい。
上空にはイヌワシも現れてなかなか幸先がいいではないか。
打越トンネルを抜けると遥か向こうのダム近くに黄色い除雪車、なんと全線除雪されてるらしい。
快適なアプローチを終えると本日最大の難所?かもしれない恐怖林道に入る。
第二の難所とも言える雪の切れた堰堤登りを終えたところでアイピケ装束を解いてスノーシューに履き替えた。
雪解けで水量は多いものの心配していた渡渉もなく順調にゴルジュ帯までやって来た。
ゴルジュはいきなり魚留滝が埋まっていると思われるデブリフォールではじまる。
デブリの角がとれて先週より優しい表情はしているものの、やはりすごいねとふたりで呟きながらシャッターを切りはじめる。
デブリフォールを登っていくと岩陰の向こうに動く白いものが見えた。
「雪崩や!ふ~さん雪崩や~!」
幸い雪崩は上流側へ流れていき、我々の足元へ届くことはなかった。
慎重派のふ~さんは危険なので前進を止めようと言い出すのではないかと心配したが、そんな様子は微塵もない。
ヤル気満々なのだ、と言ってもふ~さんは自分の10m以上後方にいたのでその凄まじい雪崩の様子は現認していない。

- ゴルジュ帯に現れた三段滝、左が本谷
雪崩れたばかりのデブリブロックの前に立ち、その凄まじさに見入っていると前方でまた雪崩が二度立て続けに起きる。
両側の岩盤の上には分厚い雪の座布団を被っていて、それが陽射しを浴びて落ちてくるのだ。
左右の上部を見上げて注意しながら前進していく谷は、先週よりもデブリの堆積が多くなっている。
ゴルジュの中ほどまで来ると左岸に立派な三段の滝が現れて二人で見入ってしまう。
雪渓でその姿の半分は隠されているであろうこの滝に名前はあるのだろうか。
左右から押し寄せるデブリを避けながら歩き、前方に目指す奈良岳が見えてくるとゴルジュ帯も終了となる。
本流に現れた滝を回避するため一旦支流沢へ入り、二俣の横にある眺めのいい台地で休憩とした。
正面には真っ白な奈良岳東面がな屏風の如く立ちはだかり、手左には涙を呑んで撤退したコルと仙人岩が大きく望める。
振り返れば歩いてきたゴルジュ帯は何度もカーブしてるので振見通すことはできないが、その上には人形山が聳えている。
ここはデブリランドとは対照的な純白のパラダイス、いつまでのこのパノラマを楽しんでいたい気分になる。
奈良岳への登頂ルートは厄介そうな二本の尾根を避けて北側に広がる無木立の斜面を登る計画だ。
傾斜は比較的緩く、途中には馬蹄形をしたブナ林もあることから雪崩の危険性は低いと判断。
まずは1,400m地点にある馬蹄ブナ林を目指すとしよう。

- デブリランドの向こうに奈良岳が見える
雨が降った様子がなく腐った雪面は登りにくい、スノーシューが何度もスリップし体力を消耗する。
汗を拭きながら山頂を仰げば今日も上空に日輪が現れた。
阿弥陀さまに導かれるようにして登り、撤退したコルが低く見えるようになると馬蹄ブナ林に到着した。
大きなブナが10本ほど並ぶ斜面で最後の休憩をして呼吸を整えれば最終アタックとなる。
見上げれば稜線はもうすぐそこで、乗越すのに難儀する雪庇もなさそうだ、ラッキー!
稜線直下でもライトニングアッセントで十分に登れる斜度だが、Evoを使っているふ~さんは辛いらしく来シーズンはライトニングアッセントにしようと呟いている。
仙人岩をずっと眼下に見下ろすようになると山頂はもうすぐだ。
あれが山頂かと目指して登るが騙しピークに裏切られること数回、最後はヘロヘロ状態で奈良岳山頂に到達した。
11時50分リベンジ成功の瞬間だ。
ゲートから6時間半という短時間で到達できたのは、開津谷を登りに使うというふ~さんの奇抜な発想のおかげだ。
今日は時間に余裕があることがわかっていたので居酒屋を広げた。
ネギマにビールでリベンジ成功にカンパ~イ!
大笠に白山、奥三方山も美味いつまみになる。
まだ時間があるので見越山も踏もうということになった。
見越山に近づくにつれて息を呑むような奈良岳の雄大な東斜面が広がってくる。
ジャンクションピークへの最後の登りに夏道を使うと北の空に見越山が現れた。
こちらも奈良岳に劣らないすばらしいピークだ。
残り時間が少ないので10分間限定で眺望を楽しむと見越山を後にした。

- 奈良岳と大笠山、左端が仙人岩
奈良岳とのコルまで戻れば無木立の大斜面へドロップだ。
数年前にオゾウゾ山頂から初めて奈良岳東面を眺めた時は、恐ろしいほどの神々しさを持った斜面だと思った。
そして今、自分がそこにトレースを刻んでるかと思えば感慨もひとしおだ。
小白山の俵谷源頭を思い出させるような斜面だが、こちらの方がひと回りスケールが大きい。
存分に斜面を楽しんだ後は二俣横の台地でひと休み。
雪のパラダイスにここでお別れし、デブリランドへと戻っていく。
15時ともなれば雪崩の危険性も低いので周囲を気にせずに歩いていける。
デブリフォールを通過し穏やかな開津谷に戻ると人が歩いたトレースを見つけた。
自分たちのことを棚にあげて「開津谷に入るヤツがいるのか?」とふ~さんと口を揃える。
そのトレースはツボ足で何かを引きずっているらしい。
そう言えば稜線で発砲音を幾度と耳にした、すぐに猟師が獲物を運んだのだと想像がついた。
やがて行く手に群がるトビの姿があり、案の定大型獣の内臓が捨てられていた。
それにしてもカンジキやアイゼンも使わずに歩き回る猟師のタフさには感心する。

- デブリ帯を行くF氏
桂湖まで戻ると開津谷の奥に聳える奈良岳に別れを告げて林道歩きとなる。
今週もフキノトウ採りに興じているとキクザキイチゲの花を見つけた。
花の名前も覚えないと山ガにモテないよとふ~さんにその名を伝授する。
鈴鹿組の皆さんには笑われそうだが、雪山ばかり歩くので今年初めて愛でる花に感激してしまった。
この辺りではカタクリでも開花はGW過ぎなのだ。
ゲートまで歩けばもう足は棒のようになり、見上げる芦倉山には天候の急変を告げる雲が流れていた。