こんばんは、山日和さん。
スノーシューを着けるタイミングを見計らっていた。Ca500m付近でひざ近くまで潜りだしたので装着。くるぶし程度の沈
みに楽勝ムードが漂った。山頂まで4時間半と見ていたが、これなら楽に到達できそうである。
ところが意外と雪に粘り気があり、雪を蹴散らして歩くという感じではない。左側が自然林、右が植林という植生だが、植
林の中の方が雪がよく締まっているので、ふだんとは逆に植林の中を歩く。
「山頂までこのまま植林の方が楽やな。」と軽口も飛び出した。
パウダーはパウダーなりに、重い雪は重い雪なりに手強いね。
一見伐採地のような無木立の雪原に出た。雪原というにはゴツゴツし過ぎているが、何気なく前進していると前を歩く
ふ~さんの足元が急に沈み込んだ。どうやら大岩がゴロゴロしている地帯のようだ。落ち込まないよう慎重にルートを選
ぶ。
このあたりはかなりコース取りに気をつかいましたね。大岩にかぶった雪のギャップを越えるのは大仕事でした。胸高の雪と格闘することもしばしば。足場になるはずのステップが刻めず、岩と岩の隙間に足を絡め取られたりも。(^_^;)
しかし晴れているというのはいいものだ。今日にしてよかったと笑い合う。予想より重い雪を交代しながらラッセルして
行く。右手の高地谷の奥には雷倉からタンポへの尾根が連なる。
快哉を叫びたくなるような青空。これがなかったら、ただひたすら苦行のラッセルだったでしょう。
すぐそこに思えた花房~小津権現の稜線は、にせピーク状の突起に幾度も裏切られてなかなか到達しない。それでも
青空へ向かって一歩ずつ高度を上げていくのは痛快である。
稜線の側面に堆積した夥しい量の雪の塊が間近に迫った。いよいよ待望の稜線だ。
雪原となったCa1050mピークからは、叫び出したくなるほどの広がりを見せる奥美濃の山々が惜しげもなくその姿を曝
け出した。
「叫びたくなるような・・・」ですか。実際、我々は感動に身を任せて叫んでいたのかも知れませんね。
花房へ伸びる雪稜は優美な曲線を描いて誘いを掛ける。その山頂付近、東前の谷の平らかな源流とそれを取り巻く尾根
の造形は秀逸という他ない。ふ~さんはそれを「蜜壷」と形容したが、まさに意味不明である。
えっ!?彼はそんなこと言ってたんですか?私は、ふ~さんとはそれほど親しく親交があるわけではありませんが、彼ほどの真面目な人の口から、そんなお下劣な言葉が出るはずないのでは?おそらく、この言葉は山日和さんの発言であったと推察されます。
そして屏風山から能郷白山、磯倉、若丸、冠、ミノマタ、蕎麦粒、黒津、天狗といった山々がオールスターキャストで迎え
てくれた。風もなく、ランチ場としては最高のシチュエーションだがここで落ち着くわけにはいかない。
小津権現の山頂がずいぶん遠く見えた。無雪期なら30分ばかりの行程だが、この雪ではどれぐらい掛かるのだろう。
このパノラマは素晴らしかった。やはり、日頃から善行は積んでおくものですね。
稜線上は雪質がさらに悪く、スノーシューのデッキに乗った雪がやたら重たい。まるで鉛の錘を付けられた囚人さなが
らである。西側の樹林寄りにルートを取れば若干はマシだが、胸のすくような展望と引き換えなので胸中複雑だ。
遅々として進みませんでした。山頂までの遠いこと、遠いこと。
ここでかなり足にきてしまい、小津権現山頂への最後の登りはふ~さんに頼ってしまった。
基部から見上げるとまともに登れそうもない。ジグザグを切りながら蝸牛のごとくジワジワと高度を稼ぐ。
切り立った正面の雪壁を避けて右手の杉林に回り込むと、やっと高いところがなくなった。出発から既に6時間が経過して
いた。
豪雪の去年より雪は多いかもしれない。山頂の祠は完全に雪の中にその姿を没していた。
ふ~さんとガッチリ握手&ハイタッチで決めた。
ほんと、お疲れさまでした。単独ならば、とっくに心が折れていたかもしれません。
風を避けて斜面でランチとする。予定より1時間ばかり遅れているが、ランチタイムの省略などあり得ない。ガスストーブ
でいつも通りのランチと、文明堂のしるこで仕上げとした。もちろんビールで乾杯は欠かせない。
気が付けば2時40分。ノートレースの雪山でのんびりしている時間ではないが、自分たちのトレースを辿って戻る気はさら
さらない。予定通り西尾根を下りよう。西尾根の登山口である横山ダムにはふ~さんの車をデポしてあるのだ。
それにこの尾根は勝手知ったるルート、今回で4度目である。
ただ不安は足の状態だ。下りとはいえラッセルは必定。なんとか闇下回避できる時間に下りられるだろうか。
西尾根は秘かに狙っていたルートですが、それを4度とは心強い。ピストンを含めると6度目ってのは比類なき小津マニア(^^;)・・・それにしても、晴れてて恵まれましたね。コース取りに不安はありませんでした。
鍋倉から貝月、伊吹、金糞といった南部の大観を楽しみながら、西尾根最上部の雪原地帯を行く。ここには二重山稜
状の地形があり、右の尾根は雪壁となり小さいながらも雪庇ができているのが面白い。4度目とは言いながら、晴れて
いる時に歩くのは今回が初めてで、目に映る風景もすべてが新鮮である。
藤原岳も遠くに見えてましたね。濃尾平野の前衛の低山群も見えてましたね。飯盛山とか外津汲とか塔の倉。大立とか谷汲山とかの「小観」の山々。わざわざ歩くにはどうかなって感じかもしれませんけど、歩いた山々が見えてるってのはどこか嬉しいよね。
どんよりとしたモノトーンの世界しか知らなかったこの尾根が、光を浴びるとこんなにも華やかに輝きを放つのだ。
山日和さんて、さりげなく女性の心をくすぐるセリフが言えるんですね。あやかりたい。
左足の付け根が痛み出した。かろうじてふ~さんに付いて行く。さっき足が攣りかけたので、秘薬は服用済みだ。
重たい雪は相変わらずだが、ふ~さんは確実にトレースを刻んでいる。
P999mからは急降下である。足を投げ出せば前に進めるのでここでトップ交代。ちょうど横位置から小津権現、前衛峰、
高屋山をと並ぶ尾根を望むいいところだ。はるか下には揖斐川の流れと国道が見える。
しばらくは調子よく歩けたが、電波塔のあたりから痛みがひどくなってきた。足を上げるのも辛いといった状態だ。軽くス
トレッチと水分補給をしたら少し楽になった。
ふじはし観音への急斜面が懸念材料だったが、雪がしっかり積もっていて苦労することなく下りる。
かなり足に負担を強いる山行でしたね。よくぞ二人して歩いたと思います。
最後はふ~さんの車の真横にスノーシューを履いたまま到着だ。こういうシーンも珍しいだろう。
かなり薄暗くなったがなんとか闇下は回避。なんせ今年は「脱・闇下宣言」の年なのである。(ホントか?)
ここで再び握手&ハイタッチ。小津権現山オールラッセル横断ルートの完成だ。
笑顔に満足感が漂う。山行の充実度は消費したエネルギーに比例するのである。
山日和
最後は自然科学の法則が飛び出しそうな締めの言葉ですね。理知的な言葉がさらりと出るところが女性の心をくすぐるのでしょうか。
ふ~さん