
- 地獄谷 下の大滝
室生山地にはあまり人に知られていない滝が多く存在する。これらの滝の多くは集水域が狭いので,水量が少なく,雨が多く降った後のみに現れる滝もある。今回は,梅雨初期に3日間降り続いた雨の後を狙って,このような幻の滝を探訪することにした。
いつも参考にさせてもらっている「tanukiの滝巡り」
https://ameblo.jp/ytanuki/ というブログに,最近,室生の宇野川流域で新規の大滝が見つかったという記事が載た。写真を見る限り,私の好物であるナメの大滝のようだ。これは一度行かずばなるまい。大雨の後を狙って行ってみることにした。ちなみに室生山地にはヒルはいない(らしい)ので,雨後でも安心だ。
【 日 付 】2025年6月12日(木)
【メンバー】単独
【 天 候 】曇り一時雨
【 ルート】室生下田口駐車地 7:52 --- 8:26 落合橋 --- 9:17 下の大滝 9:30 --- 9:39 上の大滝 10:00 --- 10:17 下の大滝 --- 10:49 落合橋 --- 11:15 駐車地
いつもの室生下田口の県道脇の空き地に車を止める。初見の谷なので,ロープやハーネスなどの登攀具を持っていくかどうか迷ったが,結局,易きに流されて持っていかないことにした。tanukiさんのブログではアプローチは簡単ということなので,信じることにしよう。それにしても,大滝の場所が地獄谷というのが気にかかる。前回も別の地獄谷へ行ったのだが,大概「地獄谷」というのは一度入ると生きて出てこられないような険悪な谷であることが多い。まあ,険悪な谷であるからこそこのような大滝があるのだろうが。
林道宇野川線を東に歩いていく。途中,2台のトラックに追い越される。林業作業のトラックのようだ。軽トラックの荷台に二人の若者が乗っている。三重県を舞台にした三浦シモンの小説「神去なあなあ日常」の世界に入りこんだようだ。斜陽産業となって久しい林業だが,この世界で働いている若者もいるんだねえ。
林道脇にはこの時期の花が咲いて目を楽しませてくれる。ツツジ類が終わってこの時期の花は白が多い。鮮やかに目立つ白はマタタビだ。この時期のマタタビの新葉は白くなり,花が咲いたように白く輝いている。ウツギもこの時期の花で,どこにでもあるので無視されがちだが,美しい花だ。そのほか,ガクアジサイ,コアジサイが咲いている。
この林道,車でも通れないことはないのだが,昨日までの雨で未舗装の路面はぬかるんで水が流れており,やっぱり車を置いてきてよかったと思った。30分ほどで落合橋着。まっすぐ行くと,前回行った南松の滝,熊が滝,布引滝などの滝群があるのだが,今回は右折して小屋の谷の林道に入っていく。
少し歩くと,さっき追い越して行ったトラックが停めてあり,ここで間伐作業をするらしい。通行止めということだったが,歩いて通り過ぎるだけということで通してもらう。
トラックの先も林道は続いているが,長いこと使われていないようで,廃林道と化している。tanukiさんの地図を参考に,P773を目指して谷を遡っていく。最終的に林道が消えたすぐ上が「下の大滝」(仮称)だった。高さ20mほどのナメ滝だ。途中にテラスがある幅広の2段滝で,水量も十分で,迫力がある。こんな滝がほとんど知られずに残っていたなんて。tanukiさんによれば古文書でも確認できないらしい。林業作業の方も知らないようだったので,おそらく地元でももう知る人はほとんどいないのではないか。

- 地獄谷 上の大滝

- 上の大滝下のナメ斜滝
しばらく滝を愛でたのち,右岸を巻き登ることにする。植林なので,巻きは難しくはない。巻き登ると「下の大滝」の落ち口に出た。すぐ上が「上の大滝」で,二つの滝の間はナメでつながっている。「上の大滝」もナメ滝で,高さ15〜20m程度。1条の滝で,水量も十分あって,美しい。

- 地獄谷 下の大滝

- 地獄谷 下の大滝

- 地獄谷 上の大滝

- 地獄谷 上の大滝
落ち口の上は開けているようで,明るい。上はどうなっているのだろうか。沢屋の血が騒いで,上に登りたくなってしまう。左岸は絶壁で,無理。右岸も上が見えないが,少なくとも植林地は登れるだろう。右岸を登ってみることにする。落ち口の少し下あたりまで登ると植林がつき,岩が露出している。木が生えているので,木を掴みながら登ることはできるだろうが,こんなところで命をかけてもつまらない。撤退することにする。単独でなければロープを使って登ることはできるだろうが。
地図を見ると上には実線道が通っているので,おそらく頂上台地になっているのだろう。もし機会があれば,上からアプローチしても良いかもしれない。
元の道を下って行くと林業作業の若者二人が木の伐採作業中だった。せっかくなので見学させてもらう。太い杉の木をわずか数分で切り倒してしまう。手馴れたものだ。
今回は梅雨初期の豪雨の後を狙って行ったのだが,おそらくいつもは見られないような豪快な滝を見ることができて幸運だった。こんな滝が今でもほとんど人に知られずに残っているなんて。滝屋さんの探索能力は素晴らしい。