大好きな白山。
その登山道を全部歩きたい。白山のいろいろな姿、表情を見てみたい。
去年satoさんと念願の北縦走路を歩いた。それで目的は達成されるはずだった。だが、長年通行止めだった釈迦新道が去年から通れるようになった。北縦走路を歩き終えて、来年は釈迦新道を歩きたいと思った。
釈迦新道は6月末のオオサクラソウの咲くころが人気だ。だが、周回しようとすると、上部にはまだ残雪が多いだろう。雪が消える梅雨明けの頃に行こうと思った。
登山口の市ノ瀬は標高830m、御前峰は2702m、標高差1900m。距離も長い。私の体力では日帰りは無理なので、室堂泊りにしよう。
登るか、下るか。あれこれ考えて、別当出合から観光新道を登って室堂に泊まり、翌日釈迦新道を下ることにした。土日は混むだろうが、月曜の午前中もシャトルバスがある。火曜は下山のみシャトルバスがある。
7月22,23日で行くことにした。天気予報では22日も24日もお天気はイマイチだが、23日は晴れ予報だ。さらにsatoさんが23日に日帰りで白山に登ると言う。どこかで会えるかな。
【 日 付 】7月22,23日
【 山 域 】白山
【メンバー】tsubo
【 天 候 】曇り
【 ルート 】22日 別当出合ー観光新道ー室堂 23日 室堂ー御前峰ー室堂ー砂防新道ー別当出合
市ノ瀬から越前禅定道を登ったことはある。この道は途中から観光新道と呼ばれている。だが、別当出合から別当坂分岐を経て観光新道を歩くのは初めてだ。
市ノ瀬を5時半のシャトルバスに乗って、別当出合から歩き出す。ガスがかかっている。別当坂分岐まではけっこう急な道だった。
殿ヶ池避難小屋に着くと、少し青空が見えてきた。だが、またすぐにガスに覆われた。見えるはずの白山釈迦岳はガスの中だった。
11時に室堂に着くが、ガスっていて何も見えない。自炊小屋の白山荘には13時にならないと入れない。食堂で本を読んだりして過ごす。その後も晴れないので、小屋でストレッチやツボ押しなどをして時間をつぶす。
夕方になって晴れてきた。夕日を見る。明日はご来光を見られるかな。
3時過ぎに起きたときは月が見えた。晴れていそうだ。
だが、御前峰に登りだすとガスってきた。山頂に着いても晴れなかった。寒い。
どうしようか。とりあえず七倉ノ辻まで行ってから考えようと思って歩き出したが、風が強くなってきた。
止めよう。
今日は釈迦新道は止めなさいと言うことなのだ。無理に行って転んだりしたら大変だ。
もう迷わない。
ゆっくりと花を愛でながら室堂に戻った。
お天気は良くなかったが、花は最盛期。クロユリ、ハクサンコザクラ、ニッコウキスゲ・・・見たい花が全部咲いていた。
8時に室堂を出て、砂防新道で別当出合に下る。下るにつれて晴れてきて暑くなった。シャトルバスで市ノ瀬に戻った。バスがある日でよかった。
市ノ瀬で日帰りで白山に登ったsatoさんと会い、勝山の道の駅で少しおしゃべりをした。
この日はお天気は良くなかったが、お花が真っ盛り、まさに百花繚乱だった。satoさんもたくさんの花に出会えて満足そうだった。
秋に山に行く約束をして別れた。
帰りの車を運転しながらあれこれ考える。釈迦新道、いつ行こうか。
ロングコースだから、日の長い夏場がいい。
登りがいいか下りがいいか。今回は下りにしようと思って歩けなかった。やっぱり登りにしよう。ご来光を見てから下ると遅くなる。暑い時間に標高の低い所を下るのはばてそうだ。
疲れて転んで怪我をするかもしれない。登りで転ぶことは滅多にない。
そして、何よりも私は下りよりも登りが好きだ。
できたら今年行きたい。よし、8月初めに行こう。
【 日 付 】8月5,6日
【 山 域 】白山
【メンバー】tsubo
【 天 候 】曇り時々晴れ
【 ルート 】5日 市ノ瀬ー白山釈迦岳ー七倉ノ辻ー室堂 6日 室堂ー御前峰ー室堂ー観光新道ー別当出合
午前3時17分、真っ暗な中をヘッデンをつけて歩き出す。
市ノ瀬の駐車場から橋を渡るが、スズメバチに注意の張り紙がしてあった。こんな夜中には活動しないだろう。少し車道を歩いてから登山道に入る。しばらくは越前禅定道と重なる。やがてまた車道に出る。ここから越前禅定道は山道を行くが、釈迦新道はしばらく車道を歩く。5時前に釈迦岳登山口に着く。
釈迦新道はあまり急登がなく登りやすい道だ。
1時間ほどで水場に着く。水場が2ヶ所あって、どちらもしっかりと水が出ていることがヤマレコに出ていたので、今回は飲料は2リットルにした。ここまでで500mlほど飲んでいたので、水を足す。
休んでいると、話し声が聞こえてきた。5人組のトレランの人たちだった。4時半に市ノ瀬を出たそうだ。もう追いつかれてしまった。日帰りで周回するそうだ。熊が心配だったが、彼らが賑やかに歩いてくれれば熊も逃げるかな。
水場を過ぎてしばらく行くと別山が見えてきた。
やがて釈迦岳前峰に着く。ここは展望がいいらしいが、ガスがかかっていた。
白山釈迦岳は登山道から外れていて踏み跡をたどると書いてあった。まだかなと思いながら歩くと左下に小さな池があった。池を過ぎたところで、あれ?と思い、スマホで確認すると行き過ぎていることがわかる。踏み跡がないか気を付けながら少し戻る。
「市ノ瀬→ 室堂←」の標柱の後ろに踏み跡があった。
その先を登って行くと三角点があった。
木につけられたテープに「白山釈迦岳」と書いてあるが、他には山名板もない。藪の中の展望のない山頂だからといって、これではかわいそうだなと思った。そのうち誰かが立派な山名板をつけてくれるだろうか。
ガスの中に白山の主稜線が見え隠れしている。この見え隠れしているところがいい雰囲気だ。500m以上の高度差があるから、そびえている様に見える。どんな姿なんだろうと期待感が湧いてくる。
花が多くなってくる。湯ノ谷乗越の水場に下る。ほとんど登り一辺倒の登山道で貴重な(笑)下りだ。水場で10分ほど休んでまた登りだす。
ここからがきつかった。急登ではないが疲れが出てきた。出発してから6時間、標高差1100mを登ってきた。普通ならこのあたりで山頂に着いてあとは下るだけだが、まだ登りは続く。
すると小さな花が目に飛び込んできた。ミネウスユキソウだ!
今まで白山でミネウスユキソウを見たことはあったかな。
元気をもらう。
七倉ノ辻までは2時間になっている。普通なら2ピッチで行けるところだが、無理せず2回休憩をとる。
四塚山がみえる。
大汝峰あたりの主稜線が見えてきた。
12時前に七倉ノ辻に着く。ここで今まで歩いて来た登山道とつながった。うれしい。私としてはここをゴールにしたい気持ちだ。
ここから先は何度か歩いた道だ。大体の様子はわかっている。一歩一歩ゆっくりと登って行く。
室堂までに大汝峰と御前峰の山頂があるが、どちらも巻き道がある。今日はもう登りたくない。どちらも巻き道で室堂に向かう。
14時過ぎ、歩き始めて11時間で室堂に着いた。予定通りだ。
受付で「どちらから登ってきましたか?」と聞かれた。
「釈迦新道からです。」
「この時間に着くなんて早いですね。」
「3時過ぎから登り始めました。」
「正解ですね。年配の方の中には7時過ぎに着く人もいるんですよ。」
青空の下で飲む生ビールがおいしい。今まで3回室堂に泊まったが、登っているときは汗をかいて室堂に着いたらビールを飲もうと思うのだが、室堂に着くと肌寒くてビールを飲む気になれなかった。だが、この日はそこそこ暑くてビールを飲みたいと思った。
2週間前はきれいな夕焼け空を見た。だが今日はもういい。早めに布団に入る。明日はご来光が見られるだろうか。
3時半過ぎに物音で目が覚める。3時40分に設定しておいたアラームを解除する。ザックに必要なものだけ入れて山頂に向かう。星が綺麗だった。
山頂に着くと、晴れてはいるが、東の空には雲が広がっていた。
宮司さんが登ってきた。結局この日はご来光を見ることはできなかった。見えない朝日に向かって万歳三唱を唱えた。
すっかり満足した気持ちになっていた。お池めぐりも大汝峰もパス!今回の目的は釈迦新道なんだから。
観光新道を下る。
殿ヶ池避難小屋からは前日歩いた釈迦新道から白山釈迦岳がよく見えた。あそこを歩いたんだな。下山を観光新道にしてよかった。
ふと、このまま越前禅定道を市ノ瀬まで歩こうかなんて欲が出てきた。だが、別当坂分岐に着くと、水が500mlしか残っていなかった。これでは足りないな。ちょっとホッとする。やっぱり別当出合からシャトルバスで帰ろう。
しかし、別当坂分岐からの下りが急だった。2週間前に登った時は早い時間だったし、登りは好きなのでそれほど急には感じなかったのだが。やっぱり私は下りが苦手だ。もし釈迦新道を下っていたら暑い中下らないといけない。きっとばてただろうな。やっぱり釈迦新道を登りにして正解だった。
別当出合からシャトルバスに乗って市ノ瀬に向かう。
市ノ瀬で永井旅館の温泉に入る。冷たいノンアルビールを飲む。
無事釈迦新道を歩き通せたことに感謝の気持ちでいっぱいだ。
越前禅定道、加賀禅定道、美濃禅定道、砂防新道、チブリ尾根、平瀬道、北縦走路、中宮道、楽々新道、釈迦新道。
現在歩ける白山への道をすべて歩いた。残りは岩間道だが、通行止めは解除されるのだろうか。歩けるようになったら楽々新道との分岐にある小桜平避難小屋まで歩いてみようか。それなら70代になっても歩けるかな。
私が白山にこんなに惹かれるのは、父が福井の生まれ、母の両親が福井と石川の人だからだろうか。私の中には福井と石川の血が流れている。
白山は越前の泰澄が開山した。廃藩置県で以前は福井県側だった白山一帯は石川県に帰属するようになったそうだ。
父は若いころ白山に登ったことがあると言っていた。越前禅定道だと思うが、どこから歩き出したのだろうか。ちゃんと話を聞かなかったことが悔やまれる。
いろいろな道を歩いて、白山の様々な姿、表情を見ることができた。そしてますますその魅力に取りつかれた。
6月末のオオサクラソウの咲く頃に白山釈迦岳を往復したい。
前回は雨だった越前禅定道を晴れた日に歩きたい。
細切れに繋がった美濃禅定道を石徹白から別山までちゃんと歩きたい。
トイレが綺麗になったという南竜ヶ馬場でテント泊がしたい。
白山への夢はまだまだ続く。
tsubo