2011年10月16日(日) 晴れ 飛騨 荒城川・柳谷右俣 沢歩き
とっちゃん 兎夢
6:50 木地屋林道車止め → 8:35 柳橋 → 10:40 15m大滝 → 11:30~13:05 遡行終了地点 → 14:45 柳橋 → 16:25 車止め
自分としては久し振りに遠出の山行となった。時には慣れた山域を離れるのもリフレッシュできていいものだ。
わいわいと秋の沢を楽しみたいと思っていたが計画が具体的に煮詰まったのがいかんせん遅かった。何人かに声かけはしたものの何れも空振りと終わって結局二人での山行となった。
とっちゃんと乗り合わせて大垣を出る頃にはまだ雨がぱらついていた。天気予報では6時頃から回復傾向。それを信じての出発。
高山経由で丹生川町折敷地に向かう。荒城川沿いの旧道は通行止めになっており迂回してトヤ峠経由でダム建設現場に出る。そこにはかなり大きなダムが既に出来上がっていた。堪水が始まったら一体どの辺りまで埋まってしまうのだろう。荒城川もかなりの部分が埋まるのだろうか。
ダム建設現場から荒城川沿いの意外と状態のいい林道を進んでいくとがっちりした車止めのゲートがあり施錠もされていた。その手前の広場に車を停めて様子を見る。
事前にネットで読んだ幾つかのレポートの中にはこの辺りから遡渓を始めたものもあった。しかし脇を流れる荒城川は昨日から夜にかけて降った雨が意外と雨量が多かったようで濁流となりとても遡渓はできそうもない。とりあえず林道を歩いて柳橋まで行ってみようという事なった。
遡渓のメインは柳橋を渡って右俣に入ってから。そこまで行ってダメそうなら今盛りを迎えているらしい紅葉を楽しもう。
出発前に沢に下りて流れを見ているととっちゃんが後ろで「熊!」と叫んだ。その声につられて上流に目をやると流れを渡ろうとした熊が体勢を崩し仰向けになって濁流に流されるところだった。熊は危うく体勢を立て直し対岸へ逃げていったが出発前からすごいものを見てしまった。
この辺りは熊の目撃情報が多いところのようだがまさにそれを裏付けるかのような出来事だった。十分気をつけねばと肝に銘じて出発した。
左右の紅葉を楽しみながら林道を30分ほど歩いていくと最初の二俣に出る。ここは広々と整備されていて脇にしっかりした小屋が二つ建っている。下山時に確認したところその中には木地師にまつわる資料が納められているようだ。
林道の脇には途中で追い越していった軽ワンボックスが停まっており草刈り機を何台か出して準備していた。下草刈り業者のようだ。きっとゲートの鍵を持っているのだろう。
天気は予報に違わず次第に良くなってきて色づいた木々の彩りも鮮やかさを増していく。いい感じだ。
途中、林道脇に「歩道→」と書かれて沢の方を指している道標が立っていた。矢印の方に行ってみると丸太橋がかかっている。しかしどこへ行くための「歩道」なのかさっぱり分からない。対岸を進むだけなら林道で事足りると思うのだが。
更に進んで林道のカーブを抜けると前方でイノシシの親子が路面をつついていた。こちらに気付いてあわてて逃げていったが逃げ遅れたウリボウ一匹がアタフタと後を追いかける姿がかわいらしかった。
出発から1時間45分、ようやく柳橋に辿り着いた。ここから谷の名前は柳谷となるらしい。その名の通りこの谷には柳が多いようだ。
橋を渡らず林道を進むと左俣。すぐに堰堤がある。こちらも面白いようだが今日は橋を渡って右俣に進んでいく。
使われていない林道は想像していたよりも歩きやすい。少し先で脇の流れを見ると流量は落ち着き水流も澄んで遡渓が可能な感じだ。早速沢スタイルに変身して流れに下りる。これで単なる紅葉狩りに終わらずにすんだ。
入渓してからしばらくはこれといって特徴がない沢が続く。正直言ってここまできてこれかという感じだ。後で聞いたらとっちゃんも同じように感じていたようだ。しかし奥に進むにつれて徐々にその片鱗を見せてきてやがて左岸に簾滝が現れた。

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落差10m以上はありそうなこの滝は糸を引くような水流が美しい。ひょっとしたら雨後でなければこの美しさはないのかもしれない。
簾滝からわずかで堰堤が出現。この堰堤の手前に滑があり堰堤と滑とまわりの紅葉のバランスが絶妙だ。
左岸側に踏跡がありこれを辿って簡単に堰堤を巻き上がると右岸にスラブの斜面が露出していた。この沢には所々にこういうところがある。薄い土の下はすべて岩盤なのだろう。
流れをわずかに進んでいくと柳が覆い被さった渕が現れた。そして淵の向こうには見事な滑。ここからがいよいよこの沢の本領発揮といったところか。
淵を右から越えて少し斜度のある滑を歩いていく。岩質が軽石を圧縮したような感じでザラザラしておりフリクションが利いて水流があっても歩いていける。と調子に乗っていたらズズズズっと滑って後戻り。気をつけて歩いていこう。
滑は様々に表情を変えながら続いていて飽きさせない。色づいた木々と相まってみごとな眺めが次々に現れる。それらに目を奪われてなかなか足が進まない。振り返ればとっちゃんも足を止めては前後左右にカメラを向けている。その顔がほころんでこぼれそうだった。

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今シーズンは国見岳の上岩井谷やブンゲンの矢谷ですばらしい滑に出会いわざわざ遠くに行かなくてもいい所があると思っていたがやはり有名どころはスケールが違う。上岩井谷や矢谷のレベルの滑は林道途中で見かけた枝沢に幾つもあった。
15m大滝が現れるまでは滝といったものはなくわずかな淵と段差が時折現れアクセントになっている。途中、流れが細くなるところがあるがこれもいいアクセントといったところ。
いつまでこの滑は続くのだろうと思ったところで前方が狭まってきてその奥に滝が見えた。15m大滝だ。
ネットの写真で見た限りでは直登可能そうな滝に見えた。実際直登したというレポもあったが今日は水量が多く難しそうだ。右岸側の斜面を登り落ち口までトラバースしていく。
大滝の上も錦繍の中に美しい滑が続く。水流が滑の上にみごとな文様を描きながら落ちていてそれを立ち止まって見とれているとまるで自分が動いているような不思議な感覚にとらわれる。
左岸に高さのある滝が現れた。見上げても落ち口が見えないほど高い。この滝の水流も滑らかな岩肌に幾つかの筋を描いて美しかった。
わずかに進むと4mほどの巾広の滝が現れたがここも今日は直登はむずかしく左岸から巻いた。

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振り返れば沢の色づいた木々に陽が差して輝いている。一旦は諦めかけていた今日の遡行だったが諦めずここまできて正解だった。

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すばらしい遡行もいよいよフィナーレを迎える。最後は6m程のひな壇状の滝。ここも写真で見たものより水量が多く直登は無理そうだ。素直に右岸の林道にあがる。
林道上に休憩にもってこいの広場があった。時間的にもちょうど昼でここで荷物を広げてくつろいだ。秋の陽が冷えた身体に心地よい。
最後の滝より上は林道が近づいている事もあってかゴーロが続くようで面白みがなくなる。で遡渓はここまでとして下山する事にした。
下山は林道跡を下っていく。ネットで読んだレポートは何れもこの林道は悪いというように書かれていて心配していたが実際歩いてみるとそれほどでもなく快適なくらいだった。ところどころ岩が崩れていたり道が抜けていたり笹が覆っていたりするが歩みを妨げるという程のものではなかった。
この林道沿いの木々はすばらしい色づきをしていた。特にモミジの赤が鮮やかだ。それに目を奪われて足がちっとも進まない。
また林道からは左岸にかかっていた大滝の上部を見る事ができた。一筋の滝と周りの木々が織りなす風景。それはまるで絵画のようで錦秋の沢旅を締めくくるのに相応しい眺めだった。

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