【日付】2020年2月2日(日)
【山域】湖北・奥土倉谷~猫ケ洞
【メンバー】Tさん、Kちゃん、アオバ*ト
【天候】晴れ
【ルート】
奥土倉谷出合7:50、奥の二俣(尾根取付)8:50、稜線12:30、猫ケ洞13:20、ランチ場13:30~14:20、奥の二俣16:50、駐車地17:40
奥土倉谷出合の少し手前の路肩の広くなっているところに駐車して、車から降りて沢を眺める。
今週は雨がたくさん降って、暖かい日も続いて先に積もった雪も解けたろうから、水量は多いだろうなと思っていた。
稜線の雪はきのう一尺ばかりも積もっただろうか。とにかく先週より沢水も多いし、きっと稜線の雪も多いだろう。
「先週」というのは、実はTさんとわたしは先週もここに来たのだった。
Kちゃんと、登山靴で行くか長靴で行くか作戦会議する。沢で泣くか、稜線に上がってから泣くか、どうする?
迷った挙句、女子ふたりは長靴で行くことにした。上で難儀したら引き返してきたらいいさ。
Tさんはこのあいだの夜叉ケ池での長靴ワカンに懲りたのか、今日は登山靴。
三人で嬉々として堰堤を越えて沢沿いの道に入って行く。少しばかり雪の積もった谷は、なかなか絵になる美しさ。
堰堤越えてしばらく進むと右岸の土手から黄土色に染まった湧水がゴボゴボとすごい勢いで湧いていた。
先週初めて見たときは、一瞬、温泉が湧いているのかと間抜けなことを思ったが、湧いているのはお湯ではなく生ぬるい水だった。
そのすぐ下には、「杉野川」と彫られた石の標があった。
5,6回渡渉しただろうか。Tさんはよく登山靴で飛び石で渡れるね~。わたしたちには真似できないよ~と感心しながら、
女子二人はわざと深いところを選んで、長靴ぎりぎりまで浸かって水と戯れて、あっという間に奥の二俣に着いた。
右股のこの先の先週取り付いた土蔵岳への最短植林尾根は末端が岩っぽくて難儀したけど、今日使う猫ケ洞への尾根は取り付き易かった。
この尾根は12月に山日和さんとsatoさんが下りに使われていたことを思い出し、もう一度レポを拝読、
稜線直下にシャクナゲジャングルありと確認してきた。今日は雪で隠れているんじゃないかと淡い期待を抱きつつ。
登り始めの多少のヤブは許容範囲。Kちゃんが、なんで二週も続けて来る気になったのかと聞いてきた。
なんかさ、下では沢歩いて、上ではスノーシューって楽しくない?
それにさ、シャクナゲのヤブを突破した先にすばらしい場所が広がっていたりしたら、なんか嬉しくない?
そんなことを話しながら、Tさんの後を追いかけた。だんだん地面が雪混じりになり、急傾斜になり、アイゼン付けたいなと思いながらも、
もうちょっと登ると緩くなるからとTさんに騙され続けて、木の枝を掴んで四駆で登る。
ユズリハのヤブを潜り抜けてブナ林に包まれた頃、スノーシューをはいた。
やっぱり長靴にスノーシューは機動性に欠ける。ストラップを締め付けすぎると血流が止まりそうで、緩すぎると外れるし、
乱暴に歩くと上から雪が入るし、もどかしいこと極まりない。
しかしながら、午前中は曇り予報だったのに、もう青空が広がっている。ブナの枝の先にぼんぼりのような雪の花がいっぱい付いて、
こんなことは予想していなかった。霧氷もいいけど、こんなのも可愛い。
いいね、いいねを繰り返して登っていくと、半ば雪に覆われた大きなグラが現れた。なかなかカッコいいじゃん。
左から巻いて、稜線はもうすぐだと嬉しくなるが、いよいよシャクナゲの要塞が立ちはだかった。
雪でうまい具合に覆われているのではとの淡い期待もはかなく、雪はうわべだけで踏み抜き地獄が待っていた。
Tさんから左から巻けないかとの指令が飛ぶが、巻ける感じがしない。もうこれは、真ん中から突っ込みますよ!
切り込み隊長アオバ*ト行きます。やみくもに行くと踏み抜いて足を取られる。勘を働かせて枝から枝へ渡り歩く。
ジャングルの先にたおやかな稜線の広がりを見た瞬間の爽快感といったら半端なかった。
先週、土蔵岳から廻ってきたときは、シャクナゲジャングルを二つ越えて猫に来た。今日は猫の直下の稜線に上がって来たから、
その二つとも通過しなくても済むと錯覚していたところに、再び巨大なシャクナゲジャングル。
いくら突破したら爽快感があるとはいえ、こんなのは一つあったら十分だ。一瞬、もう帰ろっかと言いたかったが、
しかしここで帰ったらレポも書けない。仕方なく再び突っ込んでいった。
先週はほとんど感じられなかった猫ケ洞の直下の壁のようだという斜面は、今日は少し形成されつつあった。
スノーシューを蹴りこんでも、新雪の雪は崩れ落ちるばかりで、すでに登るのに難儀した。
猫ケ洞のピークは、雪がまだまだ少ないからなのか、難儀してここまで来た割にはあまりパッとしなかった。
にわかに風が吹いてきて、山名板が高いところでブラブラと揺らいでいた。
少し戻って、ぽかぽか陽の当たるところでお昼にした。暖かすぎて、上から雪のぼんぼりがたくさん落ちてきて首筋を濡らした。
長靴の中に敷き詰めた使い捨てカイロは歩いているときは温かみを感じないのに、歩みを止めて休んでいると、ジンジンと熱がわいてきた。
帰り道、シャクナゲがたくさん蕾を付けていることに気付く。いっぱい踏みつけてごめん。
春になって人知れずけなげに稜線を美しく紅く彩る君たちのことを思い浮かべる。その頃会いには来られないけれど、
たくさん花を咲かせておくれ。
立ち止まって、ひとしきり美濃の山々を眺めて、二人の後を追う。知らない山ばかりだけど、美しかった。
ツララもすっかり解けて、カッコよさの半減したグラを巻いて、最後の小場でひと休みしたら、
あとはKちゃんとキャッキャ叫びながら、転がり落ちるように、Tさんを追いかけて、来た道を下った。
アオバ*ト