カレンダーをふと見る。10月後半から休み全部どこかの山に行ってるなぁ。先週は我らのオフ会、にぎやかな一日。今週は静かな山で寝るとするか。一泊二日、自分の歩いたルートが見えるところがいいなぁ。ぐるりと周回。我が飯高町。決まった。江馬小屋から入って、水越越えて池木屋へ、千秋訪ねてナメラ山まで。よく見るとナメラ山から太良羅(たろら)谷出会いまで昔の道があるではないか。これを使えば停めた車まで一直線だ。
前夜は青田で久々にジロニィと一献。薪ストーブの暖かさが身に染みる、もう11月だ。今年はヘコズ(カメムシ)が多いらしい。兎夢さんの話だとカメムシが多い年は大雪とのこと。はてさて。
【日付】2019年11月16~17日(土日)
【山域】台高
【メンバー】あめちゃん(単独)
【天候】快晴~晴れ
【ルート】『1日目』江馬小屋谷林道入り口(P)6:40~ナンノキ平9:10~野江股ノ頭9:45~合流10:30~池木屋13:50~奥の平谷源頭泊適地16:15
『2日目』泊適地8:15~笹ヶ峰水場付近9:30~檜塚奥峰11:10~ナメラ山13:50~林道15:40~P15:50~合流16:55
江馬小屋谷入り口に車を止め少々の林道歩き。川を渡って取りつくが、右が滝見尾根コース。今日は素直にナンノキ平経由あっさりコースを選択。
ナンノキのバックは雲一つない青空。
- ナンノキ。葉っぱがあるときに来ればナンノキかすぐわかります
約3時間で野江股ノ頭着。何も考えずに歩いていたら滝見尾根へ向かう気持ちのいい尾根道を歩いていた。反省しながら戻って、見覚えのあるケルンから水越へ向かってダイブだ。その前に頂上から本日一回目の雄たけび(咆哮)(先日のオフ会で遠くから聞こえてきたかと思います。呼応してくれた数名の方、ありがとうございました)。かえってくるのは自分のコダマ。激下りはルートを外しているような合ってるような、まあ、下に行けばいいか。もう少し降りたところで展望台のような小さな岩峰が。眼下には見えないけど水越、眼前にはデンと構える池木屋東尾根。
- 眼前には東尾根、ドーン
ここで2発目の雄たけび
『ひよょおぉぉ~~~ん~』
谷中に響く。
そっと耳を澄ますと、谷の下からの風に乗って、可愛い雌(め)たけびがかすかに、しかし確かにオレの耳に届いた
『・・・・・うぉぉ~ん・・・・・』
あきんちょだ!ハナタレ隊隊長だ!
『ひょおぉ~ん♬』
『うぉお~ん♬』
意味のない、イヤ意味のある、しかし中身はない原始的な交信が続く。
早いなぁ。オレの目論見では水越を登り返す辺りですれ違うと思ってたけど・・・。
実は彼女はすでにきのうから歩いている、大又から、しかも公共交通機関で。
合流。平らな場所を見つけて小休止。持ちよったスィーツを披露。モチロン中身は互いに秘密だ。あきんちょは和スイーツ、みたらし団子。うまい、ここでこんなものが食えるなんて。和もいいなぁ。オレは洋で攻める、シュークリームだ、ダブルクリームの。ヒルメシ前のスイーツを食べながらこの先の情報をもらう。
オレ「思ったより早かったね」
隊長「きのうは18時まで歩きました(※筆者注:日没は16:45)(ちなみに今朝は6時半から歩いてます)」
オレ「はっ?」
隊長「月は夜の8時ころ上るので、18時から20時までは暗いです」
オレ「イヤ、その情報、オレに必要ないし。夕方にはテント張るし」
・・・なんだかんだでどちらも先は長い。天井桟敷に寄って迷岳を目指す隊長とはしばしの別れである、長居は無用だ・・・
立ち上がった隊長の座っていたふかふか落ち葉の座布団、隊長のおしりの形にきれいに窪んでる。
「ふふ、この先はこんな感じの気持ちのいい森が続いておるぞよ」
隊長「では副隊長、気をつけてゆくのじゃ」
オレ「ハッ、隊長も楽しんで」
- ハナタレ隊隊長「副隊長、おまえもがんばれよ」
水越の水場で水も補給した隊長がユックリユックリと、オレが駆け降りてきた坂を登っていく。さっ、オレも急ごう。
じき水越鞍部についた。ここからは池木屋までひたすら登っていく。東尾根で振り返れば遠くには天井桟敷が。隊長あそこでまたスイーツ食ってんだろうなぁ。頑張って池木屋着。ここからは快適なスカイラインだ。霧降、千里夆、赤嵓山、右手には明日歩く稜線が見える。けっこう遠いなぁ・・。
泊の第一目標は笹ヶ峰水場。ケド、もひとつ気になっていたのは奥の平谷源頭の水場横のおひとり様用泊適地。ムカシ、奥の平谷を沢登りで詰めあがったときはこの源頭(チョイ下の方)で、別の機会に数名で縦走したときはやはり源頭チョイ下の草原の片隅で泊をしているおなじみの場所だ。今回気になっていたのは千石山直下の、源頭、おひとり様用の水道完備のあの場所。コチラも第一目標。どちらも未泊。まあ時間が決めてくれるだろう。
- ブナの森が淡く浮かびあがる
16:15頃奥の平谷源頭おひとり様用泊適地着。水の音の誘惑に負けた。しかも風裏。テント設営。
(あとから隊長に、「あの場所はほんの少し傾斜してる。いつもの副隊長なら却下物件では?」と言われたが、まあまあ、住めば都です)
水を汲んでいると、夕陽で周りのブナたちが赤く染まる。泊の特権だ。
- 赤く染まる。一秒ごとに表情が変わる
いつものコメからご飯を炊いて、オチャケでノンビリ。ラジオではWBC。我がドラゴンズの大野投手がピンチ、オレのほうもピンチ、そのまま爆睡してた。
翌朝、源頭部の草原を散歩しながら日の出を迎える。ムカシは大木がうっそうと茂っていたんだろうなぁ。ヒトが手を入れてしまうと一瞬で風景は変わってしまう。天然更新にはまだまだ時間がかかりそうだ。
千石山への登り道は朝からいきなりの目覚まし行為。
ピークから派生するシャッポ山方面の小ピークへ。今日歩く桧塚奥峰からナメラ山へ続くスカイラインが見える・・遠い・・・。
気を取り直して出発だ。この辺から風景が変わってくる。大きなブナやらミズナラやらが目立つようになる。じき瀬戸越。いわゆる古道だ。現在は稜線との交差点すら定かではない廃道であるが、蓮の横井藤兵衛さん(故人)にムカシここを越えて瀬戸方面まで歩いた話を聞いた。瀬戸の方で仕事があったそうだ。夜の2時ころ出発したそうだ。
ますます風景が変化してくる。落葉しきった広葉樹の森は、光の差し込む方向とオレが歩くことで風景を無限に変化させる。ときには紅く、ときには白く、ときには黒く、ときには光り・・・。ブナの森でオレ貸し切りのプロジェクションマッピングが繰り広げられていく。笹ヶ峰の水場の辺りで興奮がクライマックスになる。なんていいところなんだろう。光線も落ち着いてきて、落ち葉の絨毯と立木と空と。ある意味モノトーンの落ち着いた色合い。足取りも軽くなる。軽く登り返したところも別世界、滑らかな台地が続く。ああ、これはどこかでスイーツ食わないと。フラフラ歩いて、テキトーなベンチに腰掛けノンビリマーブルケーキ。隊長曰く『なんでこの辺あんまり人が来ないんだろう?』。それは価値観なんだろう、タブン。ここでゆっくりするよりも、近くには有名な山が沢山ある。そのピークを踏むことが楽しくて優先してるんだろう、多くの人は。けれどそのおかげでオレは誰とも会うことなくノンビリお茶ができる。さっ、行くか。念のため地図で確認すると、ありゃ、全然違う方向に歩いてた。ルートはさっきのピークから北に行くのね。この東へと続く台地を引き返す。穂高明神へはあえて行かず手前からケモノ道をトラバース。ここからはテキトーにあっちフラフラこっちフラフラフラ・・、桧塚奥峰へ。残念なことだけど、ここは天下の千秋銀座。ここで土日で人に会わないのは至難の業だろう。先客がいなくなってから山頂に行きヒトリ歩いてきたルートとこれから歩くルートをノンビリ堪能。誰か来たので千秋へと向かうことに。途中でマナコ谷から登って来た人とすれ違う。
- 水越の向こうに見えるは仙千代が峰ちゃんかな
千秋越えてここからはまた雰囲気の違う静かな尾根歩き、と思っていたら前方から誰か登ってくる。にぎやかな二人連れだ。
「やぁ、ここで誰かに会うとは思ってませんでしたわ」
「私もそうです」
地図もしっかり準備して、蛍光ラインで線も引いて。頼もしいなぁ。
「どこから上がられました?」
「青田発電所に車停めてそこから」
「そこ、ワタシの別荘です・・・倉庫みたいなホウですけど」
「ところでヤブコギ知ってます?」
「きのうも読んでましてん、先週オフ会やったみたいで」
「なんと、とりあえず今回のレポ、アップしてください、お待ちしてます」
まあ、『おまえが上から目線で言うなよ』と誰かに言われそうだが宣伝してお別れ。
Yamaneko0922さんが歩いた尾根やら、自分が歩いた尾根を左手に見ながら緩やかに降りいくと緩やかに登り返しが。ここからは四ツコブラクダの背中のような感じだが案外足にきている。途中には見慣れたマーク、○の中にカタカナのス。ザイソウの山だ。春に山改めをしている。ノブチャンの所属している会社でもあるのであとで聞いたら春に森林組合が実施したらしい。
- 振り返ると、千秋から歩いてきたスカイラインが見えた
遠くから見ると鋭峰に見えたナメラ山も最後はあっさりと。
今回のルートで、未踏はここから先のルートのみ。尾根を歩きときには尾根を外し、とにかく降りる感じ。せっかくだから忠実に歩いてみましょ。最初の標高差40mほどは自信がなかったけど、そこからは明瞭な尾根に、そして植林に。
前日ノブチャンに相談したら『植林やから杣道は結構あるで』とアドバイズを。しばらく行くと尾根を外れて、右の急斜面へと点線は続く。そうなのだ。この辺を歩いていると時々あるのだが、尾根では無く外れた急斜面に「けいかい(境界)」があったりする。これは予備知識がないとなぞれないだろう。歩きながら、『なんで?なんで?』の感覚になる。滑り落ちるように降りると小さな尾根へと続いている。co760だったかな、ここからまた尾根を外れる。左へと降りると鹿除けネットが出てきた。ラッキーと思い辿っていたら、点線が鹿除けネットの向こうに続いている。?と思い鹿除けネットの壊れているところをくぐると何となく道がうっすら見える。こんなんわかるかいっ、トラップやな。しばらく行くとモノレールが出てきた。こんなとこまでよく引いたなぁ。横を歩く。しばらく行くとモノレールは左に、点線は右に。ハイハイ、忠実に行きますよ、モノレールよサバラ。右手に行くととんでもないところに出た。崖だ、かろうじて立木のある崖だ。
『折れるなよ、折れるなよ』
持った木がポッキリと折れた
『ほらぁ~』
まあ、折れそうだったんだけど。
とにかく木をつかんで下に進む。
ズルッと両足がすべる。木を持ったまま宙ぶらりんになること2回。
折れないと思ってた木が折れる。さすがにこのときは悲鳴をあげた。
そりゃ、モノレールもつくるわなぁ。これは道ではない。
小さな尾根に乗った。点線は尾根を外し右へ太良羅谷を渡っている。
『ムリムリ、ゼッタイムリ。このまま尾根降りる』
だれにいうことなく声にする。
フト下を見ると・・・おお、林道だ。
『あめちゃん、あれがパリの燈だ』
砂防堰堤工事用だろう 、よかったぁ。しかぁし、最後の最後で林道に降りれない。丁度作っている最中なのか、5mほど垂直に切れている。
- ああっ、文明がすぐそこに見えているのに
- 林道.jpg (102.18 KiB) 閲覧された回数 2842 回
何とかトラバースすれば。都合よくロープも渡してあるしって、これは単なるビニールヒモ、緊張の最後だった。自分にとってナメラ山からのルートが今回の一番のオボコンべ(後述しますね)だった。
車に戻ってそのままスメールへ。日没は16:45。
それから待つこと10分、ハナタレ隊隊長あきんちょ迷岳から無事合流。
オレ「けっこう遅かったですね」
隊長「そう?ふつうじゃね?」
二人で温泉につかり(男女別々ですよ)、互いの成果を共有した。
こんな変則集中山行もたまにはありかもね。
あめちゃん
カレンダーをふと見る。10月後半から休み全部どこかの山に行ってるなぁ。先週は我らのオフ会、にぎやかな一日。今週は静かな山で寝るとするか。一泊二日、自分の歩いたルートが見えるところがいいなぁ。ぐるりと周回。我が飯高町。決まった。江馬小屋から入って、水越越えて池木屋へ、千秋訪ねてナメラ山まで。よく見るとナメラ山から太良羅(たろら)谷出会いまで昔の道があるではないか。これを使えば停めた車まで一直線だ。
前夜は青田で久々にジロニィと一献。薪ストーブの暖かさが身に染みる、もう11月だ。今年はヘコズ(カメムシ)が多いらしい。兎夢さんの話だとカメムシが多い年は大雪とのこと。はてさて。
【日付】2019年11月16~17日(土日)
【山域】台高
【メンバー】あめちゃん(単独)
【天候】快晴~晴れ
【ルート】『1日目』江馬小屋谷林道入り口(P)6:40~ナンノキ平9:10~野江股ノ頭9:45~合流10:30~池木屋13:50~奥の平谷源頭泊適地16:15
『2日目』泊適地8:15~笹ヶ峰水場付近9:30~檜塚奥峰11:10~ナメラ山13:50~林道15:40~P15:50~合流16:55
江馬小屋谷入り口に車を止め少々の林道歩き。川を渡って取りつくが、右が滝見尾根コース。今日は素直にナンノキ平経由あっさりコースを選択。
ナンノキのバックは雲一つない青空。
[attachment=7]ナンノキ.jpg[/attachment]
約3時間で野江股ノ頭着。何も考えずに歩いていたら滝見尾根へ向かう気持ちのいい尾根道を歩いていた。反省しながら戻って、見覚えのあるケルンから水越へ向かってダイブだ。その前に頂上から本日一回目の雄たけび(咆哮)(先日のオフ会で遠くから聞こえてきたかと思います。呼応してくれた数名の方、ありがとうございました)。かえってくるのは自分のコダマ。激下りはルートを外しているような合ってるような、まあ、下に行けばいいか。もう少し降りたところで展望台のような小さな岩峰が。眼下には見えないけど水越、眼前にはデンと構える池木屋東尾根。
[attachment=4]東尾根.jpg[/attachment]
ここで2発目の雄たけび
『ひよょおぉぉ~~~ん~』
谷中に響く。
そっと耳を澄ますと、谷の下からの風に乗って、可愛い雌(め)たけびがかすかに、しかし確かにオレの耳に届いた
『・・・・・うぉぉ~ん・・・・・』
あきんちょだ!ハナタレ隊隊長だ!
『ひょおぉ~ん♬』
『うぉお~ん♬』
意味のない、イヤ意味のある、しかし中身はない原始的な交信が続く。
早いなぁ。オレの目論見では水越を登り返す辺りですれ違うと思ってたけど・・・。
実は彼女はすでにきのうから歩いている、大又から、しかも公共交通機関で。
合流。平らな場所を見つけて小休止。持ちよったスィーツを披露。モチロン中身は互いに秘密だ。あきんちょは和スイーツ、みたらし団子。うまい、ここでこんなものが食えるなんて。和もいいなぁ。オレは洋で攻める、シュークリームだ、ダブルクリームの。ヒルメシ前のスイーツを食べながらこの先の情報をもらう。
オレ「思ったより早かったね」
隊長「きのうは18時まで歩きました(※筆者注:日没は16:45)(ちなみに今朝は6時半から歩いてます)」
オレ「はっ?」
隊長「月は夜の8時ころ上るので、18時から20時までは暗いです」
オレ「イヤ、その情報、オレに必要ないし。夕方にはテント張るし」
・・・なんだかんだでどちらも先は長い。天井桟敷に寄って迷岳を目指す隊長とはしばしの別れである、長居は無用だ・・・
立ち上がった隊長の座っていたふかふか落ち葉の座布団、隊長のおしりの形にきれいに窪んでる。
「ふふ、この先はこんな感じの気持ちのいい森が続いておるぞよ」
隊長「では副隊長、気をつけてゆくのじゃ」
オレ「ハッ、隊長も楽しんで」
[attachment=6]あみんちょ.jpg[/attachment]
水越の水場で水も補給した隊長がユックリユックリと、オレが駆け降りてきた坂を登っていく。さっ、オレも急ごう。
じき水越鞍部についた。ここからは池木屋までひたすら登っていく。東尾根で振り返れば遠くには天井桟敷が。隊長あそこでまたスイーツ食ってんだろうなぁ。頑張って池木屋着。ここからは快適なスカイラインだ。霧降、千里夆、赤嵓山、右手には明日歩く稜線が見える。けっこう遠いなぁ・・。
泊の第一目標は笹ヶ峰水場。ケド、もひとつ気になっていたのは奥の平谷源頭の水場横のおひとり様用泊適地。ムカシ、奥の平谷を沢登りで詰めあがったときはこの源頭(チョイ下の方)で、別の機会に数名で縦走したときはやはり源頭チョイ下の草原の片隅で泊をしているおなじみの場所だ。今回気になっていたのは千石山直下の、源頭、おひとり様用の水道完備のあの場所。コチラも第一目標。どちらも未泊。まあ時間が決めてくれるだろう。
[attachment=0]ブナの森.jpg[/attachment]
16:15頃奥の平谷源頭おひとり様用泊適地着。水の音の誘惑に負けた。しかも風裏。テント設営。
(あとから隊長に、「あの場所はほんの少し傾斜してる。いつもの副隊長なら却下物件では?」と言われたが、まあまあ、住めば都です)
水を汲んでいると、夕陽で周りのブナたちが赤く染まる。泊の特権だ。
[attachment=5]夕日.jpg[/attachment]
いつものコメからご飯を炊いて、オチャケでノンビリ。ラジオではWBC。我がドラゴンズの大野投手がピンチ、オレのほうもピンチ、そのまま爆睡してた。
翌朝、源頭部の草原を散歩しながら日の出を迎える。ムカシは大木がうっそうと茂っていたんだろうなぁ。ヒトが手を入れてしまうと一瞬で風景は変わってしまう。天然更新にはまだまだ時間がかかりそうだ。
千石山への登り道は朝からいきなりの目覚まし行為。
ピークから派生するシャッポ山方面の小ピークへ。今日歩く桧塚奥峰からナメラ山へ続くスカイラインが見える・・遠い・・・。
気を取り直して出発だ。この辺から風景が変わってくる。大きなブナやらミズナラやらが目立つようになる。じき瀬戸越。いわゆる古道だ。現在は稜線との交差点すら定かではない廃道であるが、蓮の横井藤兵衛さん(故人)にムカシここを越えて瀬戸方面まで歩いた話を聞いた。瀬戸の方で仕事があったそうだ。夜の2時ころ出発したそうだ。
ますます風景が変化してくる。落葉しきった広葉樹の森は、光の差し込む方向とオレが歩くことで風景を無限に変化させる。ときには紅く、ときには白く、ときには黒く、ときには光り・・・。ブナの森でオレ貸し切りのプロジェクションマッピングが繰り広げられていく。笹ヶ峰の水場の辺りで興奮がクライマックスになる。なんていいところなんだろう。光線も落ち着いてきて、落ち葉の絨毯と立木と空と。ある意味モノトーンの落ち着いた色合い。足取りも軽くなる。軽く登り返したところも別世界、滑らかな台地が続く。ああ、これはどこかでスイーツ食わないと。フラフラ歩いて、テキトーなベンチに腰掛けノンビリマーブルケーキ。隊長曰く『なんでこの辺あんまり人が来ないんだろう?』。それは価値観なんだろう、タブン。ここでゆっくりするよりも、近くには有名な山が沢山ある。そのピークを踏むことが楽しくて優先してるんだろう、多くの人は。けれどそのおかげでオレは誰とも会うことなくノンビリお茶ができる。さっ、行くか。念のため地図で確認すると、ありゃ、全然違う方向に歩いてた。ルートはさっきのピークから北に行くのね。この東へと続く台地を引き返す。穂高明神へはあえて行かず手前からケモノ道をトラバース。ここからはテキトーにあっちフラフラこっちフラフラフラ・・、桧塚奥峰へ。残念なことだけど、ここは天下の千秋銀座。ここで土日で人に会わないのは至難の業だろう。先客がいなくなってから山頂に行きヒトリ歩いてきたルートとこれから歩くルートをノンビリ堪能。誰か来たので千秋へと向かうことに。途中でマナコ谷から登って来た人とすれ違う。
[attachment=1]水越 センチよ.jpg[/attachment]
千秋越えてここからはまた雰囲気の違う静かな尾根歩き、と思っていたら前方から誰か登ってくる。にぎやかな二人連れだ。
「やぁ、ここで誰かに会うとは思ってませんでしたわ」
「私もそうです」
地図もしっかり準備して、蛍光ラインで線も引いて。頼もしいなぁ。
「どこから上がられました?」
「青田発電所に車停めてそこから」
「そこ、ワタシの別荘です・・・倉庫みたいなホウですけど」
「ところでヤブコギ知ってます?」
「きのうも読んでましてん、先週オフ会やったみたいで」
「なんと、とりあえず今回のレポ、アップしてください、お待ちしてます」
まあ、『おまえが上から目線で言うなよ』と誰かに言われそうだが宣伝してお別れ。
Yamaneko0922さんが歩いた尾根やら、自分が歩いた尾根を左手に見ながら緩やかに降りいくと緩やかに登り返しが。ここからは四ツコブラクダの背中のような感じだが案外足にきている。途中には見慣れたマーク、○の中にカタカナのス。ザイソウの山だ。春に山改めをしている。ノブチャンの所属している会社でもあるのであとで聞いたら春に森林組合が実施したらしい。
[attachment=3]こっち千秋からのスカイライン.jpg[/attachment]
遠くから見ると鋭峰に見えたナメラ山も最後はあっさりと。
今回のルートで、未踏はここから先のルートのみ。尾根を歩きときには尾根を外し、とにかく降りる感じ。せっかくだから忠実に歩いてみましょ。最初の標高差40mほどは自信がなかったけど、そこからは明瞭な尾根に、そして植林に。
前日ノブチャンに相談したら『植林やから杣道は結構あるで』とアドバイズを。しばらく行くと尾根を外れて、右の急斜面へと点線は続く。そうなのだ。この辺を歩いていると時々あるのだが、尾根では無く外れた急斜面に「けいかい(境界)」があったりする。これは予備知識がないとなぞれないだろう。歩きながら、『なんで?なんで?』の感覚になる。滑り落ちるように降りると小さな尾根へと続いている。co760だったかな、ここからまた尾根を外れる。左へと降りると鹿除けネットが出てきた。ラッキーと思い辿っていたら、点線が鹿除けネットの向こうに続いている。?と思い鹿除けネットの壊れているところをくぐると何となく道がうっすら見える。こんなんわかるかいっ、トラップやな。しばらく行くとモノレールが出てきた。こんなとこまでよく引いたなぁ。横を歩く。しばらく行くとモノレールは左に、点線は右に。ハイハイ、忠実に行きますよ、モノレールよサバラ。右手に行くととんでもないところに出た。崖だ、かろうじて立木のある崖だ。
『折れるなよ、折れるなよ』
持った木がポッキリと折れた
『ほらぁ~』
まあ、折れそうだったんだけど。
とにかく木をつかんで下に進む。
ズルッと両足がすべる。木を持ったまま宙ぶらりんになること2回。
折れないと思ってた木が折れる。さすがにこのときは悲鳴をあげた。
そりゃ、モノレールもつくるわなぁ。これは道ではない。
小さな尾根に乗った。点線は尾根を外し右へ太良羅谷を渡っている。
『ムリムリ、ゼッタイムリ。このまま尾根降りる』
だれにいうことなく声にする。
フト下を見ると・・・おお、林道だ。
『あめちゃん、あれがパリの燈だ』
砂防堰堤工事用だろう 、よかったぁ。しかぁし、最後の最後で林道に降りれない。丁度作っている最中なのか、5mほど垂直に切れている。
[attachment=2]林道.jpg[/attachment]
何とかトラバースすれば。都合よくロープも渡してあるしって、これは単なるビニールヒモ、緊張の最後だった。自分にとってナメラ山からのルートが今回の一番のオボコンべ(後述しますね)だった。
車に戻ってそのままスメールへ。日没は16:45。
それから待つこと10分、ハナタレ隊隊長あきんちょ迷岳から無事合流。
オレ「けっこう遅かったですね」
隊長「そう?ふつうじゃね?」
二人で温泉につかり(男女別々ですよ)、互いの成果を共有した。
こんな変則集中山行もたまにはありかもね。
あめちゃん