最近のToowoombaは最高気温約18度,最低気温約7度程度の比較的穏やかな天気が続いている.空気が乾燥しているせいで日差しは強く,日中,日なたにいると暑いくらいだ.それでも日陰に入るとひんやりする感じ.
このところ,毎週末レベンテ一家と近くの国立公園へハイキングに行き,その後,夕食をご馳走になることが続いている.レベンテは常勤の大学教員で平日は忙しく,標本採集に行くことができるのは週末に限られるが,西洋では週末に家族をほっといて一人でどこかへ行くと,十分に離婚理由になる.まあ,さしづめ,やぶメンは全員離婚予備軍である.そういうことで,レベンテは毎週,家族サービスと実益を兼ねて国立公園にハイキングに出かけることになる.
【 日 付 】2018年5月23日(土)
【 山 域 】オーストラリア・クイーンズランド州南東部
【メンバー】レベンテ、クリスタ、コーネル、ロッティ(以上、レベンテ一家)、シュークリーム
【 天 候 】快晴
【 ルート 】自宅 11:30 --- 12:30 クロウズ・ネスト国立公園駐車場(昼食)13:30 --- 14:45 コーニン展望台 --- 16:00 駐車場 --- 16:30 クレス・ブルック湖 17:00
クロウズ・ネスト (Crows Nest) はそのまま直訳すると「カラスの巣」という意味になるが,「カラスの巣国立公園」というのは国立公園の名称としては奇異である.Crows Nestには船の見張り台という意味もあるようなので,この辺りの地形から考えて後者の意味で使われているのだろう.
- バーベキューの準備
11時半に自宅まで迎えに来てもらい,そのまま北へ向かいクロウズ・ネスト国立公園をめざす.1時間ほどで公園の駐車場着.土曜日ということで,すでに何組かが到着してバーベキューの準備をしている.私たちもまずはバーベキューの準備.ソーセージを焼いて,ホットドッグにして食べる.流石に農業の国だけあって,ソーセージや肉類,乳製品は新鮮で安くて美味しい.
- 末娘のロッティ
オーストラリアの人たちは週末にはこのように自然の中でバーベキューなどして過ごすのが一般的なのだという.確かに建国してまだ300年しかたっていないので,歴史的なものはほとんどなく,代わりに有り余るほどの豊富な自然がある.
このような国立公園の駐車場近くには必ずと言っていいほど,バーベキュー設備がある.これは電気やガスを使ってバーベキューをするための設備で,空いてさえいれば予約なしに誰でも使え,燃料費もタダなのだという.ただ,使った後はもちろん綺麗に後片付けするのがマナーである.ハンガリー人であるレベンテたちは「こんなのハンガリーでやるとすぐに壊されてしまうよねえ」と言って,オーストラリア人の民度の高さに感心している.それにしても,オーストラリア政府,太っ腹だねえ.
バーベキューをしているすぐ隣にワライカワセミがやってきて餌をついばんでいる.ワライカワセミは人の姿を見てもあまり動じる気配がない.悪さをされていないのだろう.
- ワライカワセミ
バーベキューの後は標本採集を兼ねてハイキング.ここ1ヶ月間ほとんど雨が降っていないので,地面や植物は乾ききっている.こんな環境下では私が扱っているカビも出て来ようがなく,すぐに採集は諦める.ハイキングコースのすぐ横には川があるのだが,川も干上がっており,ところどころ水たまりがある程度だ.
- 岸辺で
- 鏡面のような水たまり
コースの周囲はほぼユーカリの純林だ.こちらに来るまではユーカリはコアラの主食程度にしか認識していなかったのだが,クイーンズランドの林はほぼユーカリで占有されており,乾燥した大地でもユーカリだけは緑の葉を茂らせている.ユーカリはオーストラリアに分布する樹木で,約500種もあるという.オーストラリアの環境に良く適応した樹木なのだろう.
- 山火事のあと
まず第一の特徴は,根を地中深くまで伸ばし,地下水を吸い上げる力が強いので,乾燥したところでも平気で生きられるらしい.しかも,葉や樹皮に油分を含んでいるので,暑くて乾燥したところで,自然発火しすい.燃えても,樹皮が剥がれやすいので,樹皮だけが燃えて,本体は大丈夫なのだそうだ.確かにコースの周囲には山火事で黒く燃えたあとのあるユーカリがたくさんあるが,本体は平気で葉を茂らせている.また,ユーカリの種は山火事のあとの方がよく発芽するという.つまり自分で山火事を発生させて他の植物を燃やしたあとに,自分だけが素早く再生して繁栄するという凄まじい進化をとげた植物なのだ.
コースの横は深いゴルジュの谷になっており,展望がいい.途中の展望台は落差20mほどの垂直な崖になっており,下が自然のプールになっている.以前,二十歳の青年がここからダイビングして死んだという.青年の写真入りで,そのようなことをしないようにという注意書きがあった.
- 展望台から
コーニン展望台でしばらく遊んだあと元の道を戻る.末娘のロッティが遊歩道を走っていき,そのうち視界から消えた.追いかけたほうがいいのではないかと思ったが,母親のクリスタは私と一緒に歩いていて遠慮したのかそのまま一緒に歩いている.父親のレベンテは息子のコーネルと一緒に後ろのほうを歩いている.
駐車場近くに来てもロッティの姿が見えない.クリスタもさすがに心配になったのか,口数が少なくなってきた.山ではちょっと目を離した隙に子供がいなくなってしまうことが起こるので,私も少々心配になってきた.駐車場に戻ってもロッティの姿が見えない.おそらく途中で脇道に入ってしまったのだろう.
レベンテ,クリスタと私の3人で探しに行く.そのうち,レベンテが見つけたようだ.やはり,途中で川のほうに行く脇道に入ってしまったらしい.比較的早く見つかってほっと一息.まあ,何事もなくてよかった.
帰りに途中にある湖を見てこようというので寄り道をすることにする.30分ほどでクレス・ブルック湖という大きな湖に着く.おそらく人造の貯水ダムなのだろう.モーターボートで遊んでいた人たちが,車にボートを積んで帰っていく.岸の向こう側ではキャンプの人たちのキャンプファイアーの煙がたなびき,岸辺にはカンガルーが3匹.あるいはワラビーだろうか.
- クレスブルック湖
確かにハンガリーよりも生活水準がずっといいというレベンテ一家の感想もわかる気がする.一方で,ヘッドハンティングされたとはいえ,短期間で成果を求められるオーストラリアの大学教員としての厳しさもレベンテから聞いているので,なるべく早くオーストラリアの生活に馴染んで,たまにはのんびりした生活をしてもらいたいと思ったりする.レベンテももう52歳.もう無理のきく年齢ではなくなってきている.初めて出逢ってからもう20年.お互いに年をとったものだ.
最近のToowoombaは最高気温約18度,最低気温約7度程度の比較的穏やかな天気が続いている.空気が乾燥しているせいで日差しは強く,日中,日なたにいると暑いくらいだ.それでも日陰に入るとひんやりする感じ.
このところ,毎週末レベンテ一家と近くの国立公園へハイキングに行き,その後,夕食をご馳走になることが続いている.レベンテは常勤の大学教員で平日は忙しく,標本採集に行くことができるのは週末に限られるが,西洋では週末に家族をほっといて一人でどこかへ行くと,十分に離婚理由になる.まあ,さしづめ,やぶメンは全員離婚予備軍である.そういうことで,レベンテは毎週,家族サービスと実益を兼ねて国立公園にハイキングに出かけることになる.
【 日 付 】2018年5月23日(土)
【 山 域 】オーストラリア・クイーンズランド州南東部
【メンバー】レベンテ、クリスタ、コーネル、ロッティ(以上、レベンテ一家)、シュークリーム
【 天 候 】快晴
【 ルート 】自宅 11:30 --- 12:30 クロウズ・ネスト国立公園駐車場(昼食)13:30 --- 14:45 コーニン展望台 --- 16:00 駐車場 --- 16:30 クレス・ブルック湖 17:00
クロウズ・ネスト (Crows Nest) はそのまま直訳すると「カラスの巣」という意味になるが,「カラスの巣国立公園」というのは国立公園の名称としては奇異である.Crows Nestには船の見張り台という意味もあるようなので,この辺りの地形から考えて後者の意味で使われているのだろう.
[attachment=7]P6230026.jpg[/attachment]
11時半に自宅まで迎えに来てもらい,そのまま北へ向かいクロウズ・ネスト国立公園をめざす.1時間ほどで公園の駐車場着.土曜日ということで,すでに何組かが到着してバーベキューの準備をしている.私たちもまずはバーベキューの準備.ソーセージを焼いて,ホットドッグにして食べる.流石に農業の国だけあって,ソーセージや肉類,乳製品は新鮮で安くて美味しい.
[attachment=6]P6230028.jpg[/attachment]
オーストラリアの人たちは週末にはこのように自然の中でバーベキューなどして過ごすのが一般的なのだという.確かに建国してまだ300年しかたっていないので,歴史的なものはほとんどなく,代わりに有り余るほどの豊富な自然がある.
このような国立公園の駐車場近くには必ずと言っていいほど,バーベキュー設備がある.これは電気やガスを使ってバーベキューをするための設備で,空いてさえいれば予約なしに誰でも使え,燃料費もタダなのだという.ただ,使った後はもちろん綺麗に後片付けするのがマナーである.ハンガリー人であるレベンテたちは「こんなのハンガリーでやるとすぐに壊されてしまうよねえ」と言って,オーストラリア人の民度の高さに感心している.それにしても,オーストラリア政府,太っ腹だねえ.
バーベキューをしているすぐ隣にワライカワセミがやってきて餌をついばんでいる.ワライカワセミは人の姿を見てもあまり動じる気配がない.悪さをされていないのだろう.
[attachment=5]P6230032.jpg[/attachment]
バーベキューの後は標本採集を兼ねてハイキング.ここ1ヶ月間ほとんど雨が降っていないので,地面や植物は乾ききっている.こんな環境下では私が扱っているカビも出て来ようがなく,すぐに採集は諦める.ハイキングコースのすぐ横には川があるのだが,川も干上がっており,ところどころ水たまりがある程度だ.
[attachment=4]P6230038.jpg[/attachment]
[attachment=3]P6230040.jpg[/attachment]
コースの周囲はほぼユーカリの純林だ.こちらに来るまではユーカリはコアラの主食程度にしか認識していなかったのだが,クイーンズランドの林はほぼユーカリで占有されており,乾燥した大地でもユーカリだけは緑の葉を茂らせている.ユーカリはオーストラリアに分布する樹木で,約500種もあるという.オーストラリアの環境に良く適応した樹木なのだろう.
[attachment=2]P6230048.jpg[/attachment]
まず第一の特徴は,根を地中深くまで伸ばし,地下水を吸い上げる力が強いので,乾燥したところでも平気で生きられるらしい.しかも,葉や樹皮に油分を含んでいるので,暑くて乾燥したところで,自然発火しすい.燃えても,樹皮が剥がれやすいので,樹皮だけが燃えて,本体は大丈夫なのだそうだ.確かにコースの周囲には山火事で黒く燃えたあとのあるユーカリがたくさんあるが,本体は平気で葉を茂らせている.また,ユーカリの種は山火事のあとの方がよく発芽するという.つまり自分で山火事を発生させて他の植物を燃やしたあとに,自分だけが素早く再生して繁栄するという凄まじい進化をとげた植物なのだ.
コースの横は深いゴルジュの谷になっており,展望がいい.途中の展望台は落差20mほどの垂直な崖になっており,下が自然のプールになっている.以前,二十歳の青年がここからダイビングして死んだという.青年の写真入りで,そのようなことをしないようにという注意書きがあった.
[attachment=1]P6230052.jpg[/attachment]
コーニン展望台でしばらく遊んだあと元の道を戻る.末娘のロッティが遊歩道を走っていき,そのうち視界から消えた.追いかけたほうがいいのではないかと思ったが,母親のクリスタは私と一緒に歩いていて遠慮したのかそのまま一緒に歩いている.父親のレベンテは息子のコーネルと一緒に後ろのほうを歩いている.
駐車場近くに来てもロッティの姿が見えない.クリスタもさすがに心配になったのか,口数が少なくなってきた.山ではちょっと目を離した隙に子供がいなくなってしまうことが起こるので,私も少々心配になってきた.駐車場に戻ってもロッティの姿が見えない.おそらく途中で脇道に入ってしまったのだろう.
レベンテ,クリスタと私の3人で探しに行く.そのうち,レベンテが見つけたようだ.やはり,途中で川のほうに行く脇道に入ってしまったらしい.比較的早く見つかってほっと一息.まあ,何事もなくてよかった.
帰りに途中にある湖を見てこようというので寄り道をすることにする.30分ほどでクレス・ブルック湖という大きな湖に着く.おそらく人造の貯水ダムなのだろう.モーターボートで遊んでいた人たちが,車にボートを積んで帰っていく.岸の向こう側ではキャンプの人たちのキャンプファイアーの煙がたなびき,岸辺にはカンガルーが3匹.あるいはワラビーだろうか.
[attachment=0]P6230058.jpg[/attachment]
確かにハンガリーよりも生活水準がずっといいというレベンテ一家の感想もわかる気がする.一方で,ヘッドハンティングされたとはいえ,短期間で成果を求められるオーストラリアの大学教員としての厳しさもレベンテから聞いているので,なるべく早くオーストラリアの生活に馴染んで,たまにはのんびりした生活をしてもらいたいと思ったりする.レベンテももう52歳.もう無理のきく年齢ではなくなってきている.初めて出逢ってからもう20年.お互いに年をとったものだ.