【 日 付 】2013年10月27~29日
【 山 域 】中央アルプス
【メンバー】夫婦
【 天 候 】快晴、最終日にみぞれ、雨
【 ルート 】(初日)伊那スキーリゾート 午後2時発 ~ 権現山午後4時着
(第2日)権現山午前6時発~5合目アルプス展望 午前9時~八丁立 午後1時 ~ 西駒山荘 午後3時着
(第3日)西駒山荘から将棊頭山往復 ~ ふらふらになって下山 午後4時

- 将棊頭山から木曽駒方向をみる
この夏、ふ~さんが権現づるねを歩いています。この静かな森歩きを、
非力な自分もしてみんとてすなり、というわけで、9月末頃にでも行こ
うと思ったのですが、この時期になってしまいました。
朝早く大阪を出ましたが、結局到着は昼過ぎ。道は細々と、スキーリ
ゾートの最上部まで続いていました。茂る草の勢いに窒息しそうな細い道
路でしたが、最後まで舗装されていて、ゲレンデ最上部の駐車スペースには、
7~8台の車が駐まっていました。実はこの日、里の春近地区公民館主催で
権現山集団登山があったようなのです。
もう午後で秋の日は傾きかけていましたが、この登山口で既に標高1160m、
伊那谷と乾いた秋空にはさまれて、南アルプスの山並みがくっきり見えます。
南アルプスにはよく行くのですが、遠くからその全貌をみることは長くなか
ったようにおもいます。「アア、ノコギリ、カイコマ、キタダケ、アイノダケ、
ノウトリ、シオミ…」と指呼する昼食は当然時間を食い、それに重い水、秋の
陽の釣瓶落とし、この三位一体とくれば、ヘッデンのお世話がちらつきます。
でも道はよかった。さすが学校登山の山です。過度の急坂にならないようステ
ップがきられ、階段道にまでロープが添えられています。紅や黄色の照る山紅葉
が体中をつつみ、最後に頂上直下の急登を凌げば、なんとか明るいうちに山頂に
つきました。1749.3m、イナヨクミエルとはよくいったものです。空は快晴で、東
側が大きく切り開かれており、西日を浴びた南アルプスが赤く染まりはじめてい
ました。
さて夜の闇が忍び寄ると、驚いたことにこれまで薄いもやの中に沈んでいた伊
那谷が突然主役に躍り出ました。それは夜景です。多分眼下は伊那市と駒ケ根市
だろうとおもいますが、伊那谷ってこんなに大都会だったの? 天竜川にまといつ
く光の粒が山裾を這いあがり、あふれそうです。関西出身の私は、夜景といえば神
戸が頭に浮かびます。若い頃六甲山で彼女とその夜景をみた人はもちろん、私のよう
にそうでない人も、不思議なことに関西人は六甲山からの100万ドルの夜景というの
は、イメージできることになっています。しかし権現山からの伊那谷の夜景も十分70
万ドルくらいの値打ちはありそうです。特に頂上付近には地元の方々が自分の名前を書
いた木片をたくさん突き刺しており、夜はまるで卒塔婆状況。来年の夏、カノジョと行
けば盛り上がること必定ですよ。
閑話休題。翌朝も快晴です。午前6時過ぎ、南アルプスから朝の最初の光が射しこみ
ました。

- 朝陽のなかの甲斐駒
いくつかのブログでは、この先しばらくヤブ道になるという記述がありましたが、
今回は見事に刈り払いされていて驚くほど広い登山道が2100mあたりまで続きます。ゆ
るく登ったり平坦になったりの繰り返しです。権現づるねの「づるね」は吊り尾根という
意味のようですが、このあたりがそうなのでしょうね。落葉松が見事に黄葉しています。
指導標はほとんどありません。、もちろん人には会いませんから、自分がどのあたりをすす
んでいるか分かりにくいのですが、そのうち左に方向転換すると、間もなく5合目に着き
ました。ここもアルプス展望地です。刈り払いされていて、南アルプスの全景と、その左手
に八ヶ岳がつづき蓼科山まで全部みえます。

- 黄葉する落葉松と南アルプス連山
この先、登山道は細いダケカンバ林を縫い、うっそうとしたしらびその森を行きます。空気が
冷えてきました。日射しがとどく草地に着くとホッとします。そうしてこんな静かな森では、
思い出したように聞き知らぬ鳥の声が響くだけです。この季節ですから花はあまりありませ
ん。ただ林床にイチイの幼苗が赤い実をつけていました。標高2200mあたりで八丁立手前の
急登に耐え、疲れた身体をもちあげていくと、樹高が低くなり空がおおきくなってきました。
そのうち登山道はハイマツ帯にはいり、無線アンテナが立つ将棊乃頭で一気に視界が広がり
ます。南に伊那前岳、宝剣、木曽駒、右手北側には茶臼山方面の山々が、そして前方に今日の
目的地、西駒山荘が見えます。
稜線はもう晩秋でした。色どりは少なく、色あせたウラシマツツジの鈍い紅が点在していま
す。巨岩を縫い、はやくも影が伸びだした山道を気持ちよく歩いて、西駒山荘に着きました。
ここは建替えのため、今年度は閉鎖されています。隣接する新屋は、基礎工事だけが終わって
来春までの長い眠りについていました。旧小屋はそのまま残っていましたが、窓は板が打たれ、
扉にも南京錠がかかっています。幸い水場は生きていたので、小屋近くの岩陰に
テントを張りました。しばらくすると近づく闇の気配とともに風がおさまり、ま
とわりついていた雲が下に沈むと、再び山々が望めるようになってきました。南
アルプスがまるで船のようです。伊那谷の雲海の上に、その全貌をさらしていま
す。背後には北アルプスがみえます。御岳山は将棊頭山に隠れてみえませんが、
乗鞍、笠ヶ岳、穂高、槍とはっきり視認でき、北部稜線は既に雪がついていまし
た。

- 浮かぶ北アルプス
夜は満天の星空でした。写真に撮る技術がないのが残念です。ときどき突風が吹
きました。長く勤務していた職場を10月いっぱいで退職することや、12月から
起業することなどが話題になり、本当にうまくいくのか、山はどうなるのか、な
どと心細い話をしているうちに、酔って寝てしまいました。
翌朝、暗いうちに起きました。天気予報は下り坂を予報しています。2日前まで
は好天のはずだったのですが…。とにかく起きて将棊頭山にでかけました。歩きだ
してすぐ、南アルプスから陽が昇りました。まだ良い天気で、青空がひろがり、
遠くの山々もよくみえます。主稜線から右に折れ、水が凍った天水岩を過ぎ、さらに
稜線を行くと、標高2730m、将棊頭山に到着です。360°の大展望、ま西に西駒から
みえなかった御岳山の巨体があり、ちょうど頂稜部が朝陽を浴びはじめています。南
の駒ケ岳も手まねきしているようにみえました。できるものなら、ここからの楽しい
稜線歩きをしたいものです。しかし天気は下り坂です。明日は仕事で、停滞もできま
せん。下ることにしました。

- 晩秋の稜線
森林体に入る手前、将棊乃頭で、権現山を視認できました。はるか遠くにかすんでい
ます。そのうちミゾレが降ってきました。ミゾレは下るにつれて雨となって降り続き、
たまたま山靴のソールがツルツルになってきていたこともあって、しょっちゅう足を
すべらせては転び、体力を消耗しました。権現山からはもう膝が笑い、ペースが落ち
るなか、だましだましなんとか下山しました。妻は元気で、中央アルプスが気にいっ
たらしく、また行くようなことを言っています。
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