【日 付】 2013年8月8日(木)
【天 候】 晴れ後曇り
【山 域】 奥秩父
【メンバー】kitayama-walk(単独行)
【コース】 西沢渓谷入口-近丸新道登山口-戸渡尾根出合(P1869)-主稜線出合-▲木賊山-甲武信小屋-甲武信岳
(2475m)-甲武信小屋-木賊山-戸渡尾根分岐-徳ちゃん新道分岐-西沢山荘(徳ちゃん新道登山口)-西沢渓谷入口
http://kitayamawa.exblog.jp/20935131/
奥秩父の百名山の最後は甲武信岳だ。甲武信岳は、本州の中央分水嶺にあり、甲斐・武蔵・信濃の三国境にあること
から名づけられた山である。 以前は、「拳」という字が当てられていたこともあるという。深田久弥は、コブシという名前の
よさ-歯切れのよい、 何か颯爽とした山を思わせると書いている。それに、千曲川(信濃川)、荒川、笛吹川(富士川)と
いう大きな河川の最初の一滴がこの山から生み出されているというのもいい。
奥秩父の主稜線を縦走するという壮大な登山もあるが、日程的なことを考えると日帰りにしたい。その場合、毛木平か
ら信濃川の源流を遡って山頂に立つのが最も登りやすいが、 アプローチが遠いのが難点である。そこで、アプローチの
よい中央本線沿いから西沢渓谷入口に行き、 登りは近丸新道、下りは徳ちゃん新道を利用するという若干の変化を加
えたピストンコースを選択することにした(標高差1375m、標準コースタイム9時間20分)。
「頂上に祠もなければ、三角点もない。奥秩父でも、甲武信より高い峰に国師や朝日があり、山容から言ってもすぐ北
の三宝山の方が堂々としている。甲武信は決して目立った山ではない。にもかかわらず、奥秩父の山では、金峰の次に
甲武信をあげたくなるのはどういうわけだろうか。おそらくそれはコブシという名前のよさ-歯切れのよい、何か颯爽とし
た山を思わせるような名前のせいかもしれない。(中略)甲武信岳から、千曲川、荒川、笛吹川、三つの川の源流が出て
いる。その点から言っても、甲武信は奥秩父のヘソと言いたい山である。頂上に降った一滴は、千曲川に落ちて信濃川
になり日本海に入る。他の一滴は荒川に落ちて大東京を貫流し東京湾に注ぐ。さらに次の一滴は笛吹川に落ちて富士
川となり太平洋のものとなる。」(深田久弥「日本百名山」より)
前回の大菩薩嶺に続き、東京出張の翌日を利用して奥秩父の百名山最後の甲武信岳に登山することにした。日帰り
登山とするためには、前日に山梨市内のビジネスホテルに泊まり、レンタカーを利用することにした。適当な時間の公共
交通機関がないためだ。午前5時に起きてホテルを出発し、山梨駅前のコンビニで水・食糧を調達し、笛吹川沿いにR140
を北上する。この道は秩父往還(雁坂みち)で、雁坂トンネルを越えると三峰山に至る。 昨年雲取山に登ったときの登山
口である。雁坂トンネル手前には広瀬湖というダム湖があり、 ここから甲武信岳を眺望できる。 とはいっても見えるのは
手前の木賊山であろう。木賊山に向かって鶏冠尾根と戸渡尾根が延びているのが見える。 道の駅「みとみ」(三富)にも
大きな駐車場があったが、さらに少し入ったところに西沢渓谷の入口(東沢山荘)があり、少し下ったところに登山者用の
無料駐車場があったのでここに車を駐めることにした。雁坂トンネルに至る国道が大きくカーブした橋(西沢大橋)の下で
ある。

- 広瀬ダムから甲武信岳(木賊山)を望む
歩き始めるとすぐに西沢渓谷の入口ゲートがある(標高1100m)。右手にナレイ滝を見ながらナレイ沢橋を渡って進むと
西沢渓谷への周回路分岐点に立派な休憩舎とトイレがあった。 さらに進むと、甲武信岳登山道入口(戸渡尾根コース)と
書かれた大きな看板が立っていた。ここが近丸新道の入口である。この登山道を拓いた日原近丸氏に因んで名づけられ
たそうである。 この登山道は左手にヌク沢を見下ろしながら、 ヌク沢左岸をトラバースしながら進むことになる。登山道を
進んでいくと、何やらレールのようなものが出てきた。これは鉱石運搬軌道が通じていたもののようだ。歪んだレールや埋
もれた枕木が往時を思い起こさせる。途中で崩壊地があることから、登山道は一旦登った後、再び下がってきて軌道跡に
戻ると、行く手に大きな堰堤が見えてきた。この堰堤の手前でヌク沢に下りて、渡渉して右岸に渡る。

- 鉱石運搬用機動跡が残る登山道
ヌク沢の渡渉点の手前で沢が分岐していて、 その間の尾根を登ることになる。 渡渉点までは、緩やかなトラバース道で
あったが、ここからは突然急登が待っていた。樹林帯の中に続く木の根の階段のような道をどんどんと登っていく。太陽が
昇ってくると気温が上がってきて、次第に暑くなり、玉のような汗が噴き出てくる。先行していた男性2名の登山者を追い越
して進むと、左手の樹間から端正な山が見えた。おそらく乾徳山(2031m二百名山)の尾根伝いにある黒金山(2231.6m)
であろう。 ふうふう言いながら急登を進むと、やがて道が平坦になったかと思うと、戸渡尾根に出合った(8:00)。ここから
徳ちゃん新道が分岐している地点である。ここの標高は1869mであるから、すでに半分以上登ってきたことになる。ここで
下山してきた登山者と話をすると、今朝は山頂付近から富士山も眺望できたとのことであった。

- 戸渡尾根出合-左手から徳ちゃん新道が合流する
戸渡尾根出合からは樹林の中を進むと、前方に主稜線が見えてきて、木賊山が望める。あそこまで登るのだと思うと気
合いが入る。 少し下るとすぐに登山道の両サイドはシャクナゲが出てきた。5月から6月にかけての時期だと花がたくさん
咲いていることだろう。そんなことを思いながらどんどん登っていくと、いつの間にかシャクナゲの樹木は消えてしまい、周
囲は針葉樹の樹林の中だ。P2111は小さな広場になっていて、下山してきた親子が休憩していた。ここからは木の根の階
段がある急登の登山道が続いている。喘登しながら登っていくと、ぱっと視界の広がったガレ場に出てきた。ここからは富
士山や広瀬ダムが見渡せるということだったが、 すでにガスが登ってきていて眺望がなかった。休みこともなく、緩やかに
なった登山道を進むと、奥秩父主稜線縦走路に出てきた。右に辿ると破風山に至るが、左にとって樹林の中を緩やかに登
っていくと、鶏冠尾根の分岐があった。 しかし、通行止めと書かれていた。登山地図には「鶏冠尾根を下らないこと 岩稜
多く危険」とあったので、 下りが禁止されているのだろう。さらに進むと木賊山の山頂に到達した。小さな広場に三角点が
ぽつんとあるだけで眺望はない。

- 木賊山山頂は三角点があるが、眺望はない
木賊山山頂からは少し下降していくが、やがて樹林から抜け出ると、ガレ場に出てきて、前方に甲武信岳のピラミダルな
山容が飛び込んできた。 さすがに百名山とされただけの品格がある。 再び樹林の中に入り、トラバース気味に進むと、甲
武信小屋に着いた(9:50)。まだ10時前なので、そのまま甲武信岳山頂に向かうことにした。 樹林の中をジグザグを切りな
がら15分ほどの登りで山頂に到達した。 すでにガスが出てきていたので富士山の眺望は得られなかったが、 大きな山名
標柱がデンと立っていた。 ここから得られるはずの金峰山などの眺望もガスのため見えなかったが、 すぐ近くの三宝山
(2483.3m)だけは大きく見えた。山頂で休憩していると、若い山ガールがトレランの恰好で登ってきた。 毛木平から登って
きたそうで、下山は西沢渓谷に降りるという。眺望がなかったため、甲武信小屋まで降りてランチタイムにした。

- 木賊山直下のガレ場から甲武信岳を望む
甲武信小屋前のベンチで30分あまりのランチタイムを過ごした後、ピストンで下山することにした。木賊山直下のガレ場
に戻ったが、ガスで靄っている。木賊山へ登り返して、戸渡尾根分岐から戸渡尾根に入る(11:45)。樹林の中の登山道を
ひたすら下っていくと、徳ちゃん新道の分岐点まで戻ってきた(12:35)。下りは徳ちゃん新道を降りることにしたが、この登
山道は甲武信小屋の主人である山中徳治氏が拓いたことからそう呼ばれているそうである。尾根道であるだけに比較的
明るい登山道が続いている。右手に鶏冠尾根を見ながら下っていく。途中で尾根から左手に別れる箇所があり、これを見
落とさないようにする必要がある。徳ちゃん新道は単調である。どんどん下っていくと、西沢山荘(休業中)に降りてきた。
ここが徳ちゃん新道の入口になっている。あとは林道を歩くと、近丸新道入口を通過して、西沢渓谷の入口まで戻ってきた。
<コースタイム>
6:15西沢渓谷入口-6:30近丸新道登山口-7:05ヌク沢渡渉点-8:00戸渡尾根出合(P1869)-9:30主稜線出合-9:35
▲木賊山-9:50甲武信小屋-10:05甲武信岳(2475m)10:40-10:50甲武信小屋(昼食)11:25-11:40木賊山-11:45
戸渡尾根分岐-12:35徳ちゃん新道分岐-13:30西沢山荘(徳ちゃん新道登山口)-13:50西沢渓谷入口