前の週に、白山麓にある町の白峰から「鳴谷山」への山行記録がアップされた。
さすがに白山域、数々のお花にも満足して五月の最後の週だがまだ残雪もあったらしい。本峰周辺域にしか目の行っていなかったワタシにはついぞ聞いたことの無い山、登山道の存在も知らなかった。登山地図を広げると、もちろん登山道が記載されていたが、意外と近い釈迦新道に私の目は釘付けとなった。
白峰といえばいわば白山の表玄関だ、白山への車道はここからゲートで冬季閉鎖される。白峰から直接白山本峰を目指せたら・・・白山をホームグラウンドとする私にはとても魅力的なプランに思えた。登山道のある鳴谷山から十キロ程のバリエーションルートを残雪に助けられて釈迦新道まで抜けたら、あとは山頂までこの時期も何度か歩いている道だ。
また昨年に買った自転車をそれなりに練習してきた自信(?)から、今までの自分の山経験や常識にとらわれない周回山行計画として、なにか新しいルートに挑戦したいと考えていた。最後に自転車を使うことになる鳴谷山への林道は、疲労した身体にはとても大きな試練となるだろう。
ただ、生憎まもなく梅雨入りとなるのでこのプランは来年への宿題だな~と思っていたら、梅雨はどこへやら直前予報では晴れとなり、急遽の山行実行とあいなった。
でももう六月では時期を逸しているかな? え~いとりあえず行ってしまえ~~。
【 日 付 】 2013年6月2(日)
【 山 域 】 白山/鳴谷山から本峰を目指した
【メンバー】単独
【 天 候 】 曇り一時小雨
【 ルート 】 駐車地(4:30)-(6:47)鳴谷山(7:08)-(9:03)P1535-(11:27)P1727-(14:10)釈迦新道(14:25)-(15:10)絶壁激藪-(16:48)室堂上部(17:09)-(17:41)甚之助小屋-(18:40)別当出合・チャリ・/食堂/(21:55)駐車地

- 二本のバリエーションルートをつないでの白山、結果的にはあとわずかでピークを逃したというカタチに納まってくれた
十キロのやぶこぎ区間を考え出発は暗い時間にしたかったのだが、なんのかんので結局ヘッデンの要らない時間となってしまった。 しかし昨夜は星空だったはずなのに空は雲に覆われていて、歩きに支障の出るほどではないが樹林帯ではまだ薄暗かった。
ウワサ通りの素晴らしい水芭蕉やリュウキンカ、ザゼンソウやホンシャクナゲに満足しながら鳴谷山を目指す。雪も出てきた頃からぽつぽつと小雨が降り始め、山頂では霧雨状態の上に風も吹き始めてきて寒くなったので、しぶしぶアウターを羽織る。
お花を愛でながらの登山道歩きはここで終了となる。
雨まで降っている割には見通しは良く、雪山としては目前の白山山系はもちろん、大笠山から赤兎山のあたりまでの大パノラマが一望できた。

- イヤ~やっぱり六月だね、ここから先の稜線には残雪、見えないな~。(^^ゞ
ま、雨中行軍ということで撤退の言い訳も出来たし・・・とにかくイケるところまでは行ってみようってコトかな。
よし、あの特徴的なドーム型の大汝峰と右にちょびっと見えている御前峰目指してイザ、やぶの中へ突撃~~。
突撃三十秒後にはイキナリ、シャクナゲの木に身体が絡まった空中浮揚の技を繰り出していた。咲いているお花はとてもきれいなのだが揺れている身体ではあまり楽しめるものではない。(^^ゞ
山頂から三十mも離れていない鞍部状の藪々の地面になぜか一輪の水芭蕉。あやうく踏んでしまうところだった。
すぐに消えてしまった獣道(だったと思う)やわずかな残雪を見つけては喜んだり落胆したりしながらも、モゾモゾと尾根や稜線直下のやぶこぎを続けて行くと、小雨はしばらくで止んでくれた。暑くなってきたアウターも仕舞えてホッとする。
稜線をたどっていくと、直下からはるか下まで続いている雪の詰まった谷を何本も横切る。谷の両側の深緑と言って良いようなぶなのコントラストは素晴らしい。雪の底からは人の目に触れることはまず無いと思われる水芭蕉やリュウキンカが雪圧から開放されてうれしそうに身を起こしにかかる。
そして圧巻が、ぶなの林を横切る時だ。

- 残雪の雪面とぶなの新緑の対比は、そのアンバランス感が絶妙で感動モノだ。
ヤブに突撃してから二時間が経過、元々巨大だった白山は少しくらい近くなっても実感が分かりにくいが、振り返ってみると鳴谷山はずいぶん小さく見える。にんまりしてGPSと地図で確認するとまだ釈迦新道までの十分の一、愕然とするがあと一時間進んでから先のことを考えるぞ!!
一時間後、少し残雪歩きも増えてきてなんとか目処も立ってきたので、本峰を目指せるはずも無いがこのまま釈迦新道合流点までは突き進むことにする。
基本的には高みへ高みへと進むだけなので、GPSの出番はさほど無いのだが、時計代わりに取り出すこともある。
そして・・・・・「あれっ?無い」
落とし込み式の、胸に下げたポシェットの中にあったはずのGPSがなくなっている・・・。(泣)
いままでポシェットから飛び出したことは無かったから大丈夫とは限らない・・・よ~く分かりました。分かりましたがさて困った、ガスも巻いてきているし・・・。(困)
GPSなくしては藪地獄のなかを引き返すことは不可能!このまま高みへ高みへと進んで釈迦新道へと合流して、登山道を下るのがベストだろう。しかしこのガスが深くなってホワイトアウト状態にまでなったら、雪面に隠れている登山道を下るよりも、まず間違いなくトレースの期待できる山頂部まで向かうと言う選択肢もある・・・ま、今考えても仕方が無い、まずはこのやぶ道を終わらせるコトにしよう。
ずいぶん標高も上がり残雪歩きも多くなってくると順調に進めた分、藪こぎ部分が出現するとがっかりとなってしまう。標高で藪の木の種類も代わってくるが、やぶこぎが大変なのには変わりは無い。
やっと釈迦岳の姿も近くなってきた。幸いにしてガスがこれ以上深くなることは無かった。
エスケープルートとしての釈迦新道を下るのには不安はなくなったということだ。不安要素がひとつなくなって一安心と言うところ。
やっと、ずっと先まで雪に覆われた尾根道が続くようになってくれて、本当に白山の眺めを楽しむ余裕も出てきた。

- 中央ピークが大汝峰、釈迦新道を見下ろす。
時間も午後二時を過ぎてしまうし、体力的に見てもさすがにあの釈迦新道を登るのはもうムリだな~。
しゃあないけどココからエスケープか・・・・ん?ちょっと待てよ、よく見ると・・・
谷を登れば大汝峰まで、釈迦新道みたいなアップダウンは、全然無し・・だな? これなら時間的にもイケるか?
もちろん雪面の下には流れ(湯の谷川)があるから踏み抜いたらアウトは確実、シュルントだの午後の緩んだ雪面だの無音の落石だの・・・・ん~・・・・とにかく細心の注意を払ってのスピード通過・・・だな~。
結局、釈迦新道エスケープではなく、大汝峰を湯の谷から目指すことにする。

- 目前にした谷はやはりおどろおどろしく、断続的に落石の音も聞こえてくる。
十分な休憩を挟んでから、覚悟を決めて谷へと突入する。
落石は左の崖からのモノがほとんどのようだ。右側は草も生えており比較的安定して見える。
湯の谷川の流れの位置が分からず、雪面下の水面上の巨大な空洞をイメージしながらやや右上の雪面を歩く。
シュルントも恐いので無音の落石に注意しながら露出している壁面とも距離を置くようにした。
しかしやたら落石の音がする、遠くからだが・・・。
一歩一歩を踏み締めながらの登り、考えていたようなスピード通過はできそうもなかった。全然大丈夫そうな雪面だけど次の瞬間には薄くなった水面上の大ホールを踏み抜いて真っ逆さま・・・なんて可能性を考えてしまうととても早歩きなどはできない。
谷歩きの初心者の悲しさで、結局は比較的安全と思われた右からの落石にびびってしまい、大汝峰まで雪面が続いているはずの谷歩きを続けることが出来なかった。谷を進むのをあきらめ、安全そうな右の急斜面を登っていくことにした。しかしやはり雪面が続いたりはせず・・・待ち構えていたハイマツに近い低いシラビソなどの激やぶに突入していくことになる。側方のやぶに明るい空間を見つけて、てっきり雪面だと思って身を乗り出したら大絶壁に肝を潰すこともあった。
が、時間はかかったがついに連続した雪面歩きができるようになった。振り返ると四塚と七倉が見送ってくれ、大汝峰と御前峰を直接目指して行ける雪面がとてもありがたかった。
もう体力も限界に近いのだ。緩斜面の雪面歩きなのに小休止も増えてくる。
体力的にも時間的にも白山ピークを諦めざるを得なかったのは残念だが、ついに室堂を視認できるところまで来た。安心感に倒れこんでしまった・・・。
そして十分な休憩を取ったら下山開始だ。とっくに五時を回っているけど・・・。だが雪山の下山は早い、黒ボコ岩までも十分とはかからない。
ありゃ、りゃ? トレースをたどったら、いままで通ったことの無い変な道を進んでしまったぞ。予想はできた堰堤の工事現場へと出てしまったので、トンネルから登山道へと復帰できた。
ふぃ~、なんとか明るい内に下山できた~。
別当出合ではチャリが朝からずっと待っていてくれた。
ここから市ノ瀬までをチャリで下るのは初めてだった。いままで足の痛みに耐えながら市ノ瀬までの車道を何度歩いたことだろう?快適、爽快なんて言葉では言い現せない位の幸福感だ。(って、大袈裟かな?)
疲労しきった身体では少しの距離でも初めは漕ぐのが大変だったが、徐々にチャリモードにカラダが切り替わっていく。残存体力の問題はあるが実は白峰で体力への特効薬を考えていた。
夜の帳に包まれていく白峰の町をチャリでゆっくりと走りながら特効薬を探していく。日曜日だと難しいのかな?
諦めかけた頃、ついに開いている『食堂』を発見!!(笑)
チャーハン定食で体力回復~。
鳴谷山への舗装林道を根性で登るが、朦朧としてきた意識で分岐の砂利道を間違えてしまう。だいぶ進んでしまってから間違いに気がつく。おかげで緊張の糸も切れ掛かってきたのか残りの舗装路では、チャリの押し歩き部分も出てくる。そして最終の分岐砂利道からはタイヤの空転ロスで疲弊しまくりとなり、何度チャリとザックを置いて行こうとしたか・・・。
最終的に車への到着は十時近くとなってしまった。
自転車を含めた本日の行動時間は過去最悪記録・・・・うっへ~~。
PS: GPSの喪失によって、沢歩き必須の越美国境歩きに黄色信号が点灯、善後策を検討中です。