2013年1月20日(日) 晴れ時々曇り 白尾山 山スキー
とっちゃん 兔夢
8:10 白尾スキー場リフト乗場 → 8:45 スキー場トップ → 9:45 カワズ洞国有林 → 11:10 白尾山 → 12:30~13:50 吊り尾根休憩 → 15:25 白尾山 → 16:50 スキー場トップ → 17:10 リフト乗場
山間を縫う早暁のハイウェイはスキー場へと向かうテールランプの列。様々なときめきを載せて銀世界へと走る。その中に混じって僕らも山を目指す。
薄らと雪のついた田舎道をあがっていくと小さなスキー場。時代から忘れ去られたような佇まいだけどそれでも次から次へとスタッフに導かれて車が入ってくる。あちらこちらで飛び交う若い声に心が華やぐ。
リフト券売場で「山頂まで」と言えば「スキーはお持ちですか?」の問い返し。どうやらスキーを持たない登山者はノーサンキューのようだ。ゲレンデも歩けないらしい。
今じゃ滅多に見られない古いタイプのペアリフトに乗ってゲレンデ上部に向かう。ザックを背負って腰掛ければ椅子からずり落ちそうだ。二人で乗るにはちょっと窮屈で次ぎのリフトからは一人ずつ乗った。
上部のゲレンデはもうたくさんのスキーヤーやボーダーが朝の柔らかい日差しを浴びて滑りを楽しんでいる。きっと素敵な思い出がたくさん刻まれるんだろう。雪面に刻まれていくシュプールのように。
ゲレンデ最頂部の広場からは白尾山が見えるけど頂上が雲で隠れている。でも天気はきっと良くなるはずだ。とっちゃんは晴れ女。僕は晴れ男。
「木の間を気持ち良く滑りたい」っていうとっちゃんのリクエストに選んだのは奥美濃白鳥の白尾山。今までに2度訪れた事がある。登りも下りも難しいところは特にない。長い距離ではないがなだらかで広い尾根の樹林を縫うように滑るのは気持ちいい。
とっちゃんは今シーズンに入って泊まり込みのスキーレッスンを2回受けたらしい。その成果を早く試したくてしょうがないようだ。それがやっとかなう。ゲレンデを一歩出ればそこは待ちに待った山スキーの世界だ。
当たり前だけど山スキーは歩きから始まる。ゲレンデから出てすぐシールを貼る。とっちゃんもなれない手つきでシールを貼って歩き始める。
すぐの鞍部には以前はなかった林道が右側の谷からあがってきていた。どうやらこのまま鞍部を越えて山腹を伸びていくようだ。無雪期にはここから山頂に向かえるようになりそうだ。
新しい雪が柔らかく積もっている。想像していたよりずっといい雪だ。こんな雪を踏みしめていくとテンションがあがってくる。
最初の急斜面をキックターンを使ってジグザクにあがっていくとブナまじりの樹林帯。だがまだ樹間が密でここを滑るのは苦労しそうだ。
「カワズ洞国有林」の看板が立っているところからはブナ主体の感じの良い森が続く。のどかで優しく心が洗われる。
尾根はだんだん広くなっていって落ち着いた雰囲気になる。とっちゃんはここなら私でも滑れると嬉しそう。さっきの細尾根では下りられないんじゃないかと心細かったらしい。
更に登っていくと周りの木々の枝が白くなってきた。霧氷だ。白く縁取られた木々が折り重なり美しい。その中を歩くとまるでおとぎ話の世界にいるみたいだ。
雪の斜面がだんだん斜度を増していく。直登するのが大変なところも出てきた。「そこ登れないかもしれない」ととっちゃんに告げたが「のぼる!」の返事。その強気に気圧されて次の句が継げず少し進んだところで待った。しかしなかなか姿を現さない。あんまり遅いんで引き返した。「大丈夫?」ズルズルしながら悪戦苦闘していてもニコニコしている。こっちから回った方がいいよって言ったけど最後には僕のつけたトレースのすぐ横を登ってきてドヤ顔。良かったね。
山頂間近はそこそこのブナが立つ。それらが枝を白くして出迎えてくれる。その下をくぐるように抜けて辿り着いた広々とした雪原。その中に白い標柱が頭を出していた。
一昨年縦走した鷲ケ岳は雲の下に頭を隠している。その鷲ケ岳へ続く稜線の右側になだらかな尾根が見える。その上にはいい感じの樹林帯が広がっていて行ってみたくなる。とっちゃんもいい感じだねと言っている。それでは行ってみよう、と続く尾根を歩き出した。白尾山までの山行では少し物足りないと思っていたのだ。
すぐにコブがありこれを右から巻いてかわしたがこれがちょっと失敗。固い雪の上に新雪が積もったズレやすい急斜面のトラバースにひやひやした。
目的の尾根への分岐点は次の斜面を登りきったところ。しかしその手前で右側を見ると下に平が広がっている。そこに向かって落ちている斜面がいい感じだ。ここを下って登り返しても目的の尾根へ行ける。一滑りしよう。とっちゃんも異存はない。
準備を整え斜面を覗き込んでみると下部までオープンバーンが続いている。斜度もほどほどで思いもよらぬ滑降向きの斜面だ。テンションがあがる。それはとっちゃんも同じだったようで先に行っていいよの言葉に躊躇する事なく斜面に飛び込んでいった。
雪質もそこそこいいようだ。そこを滑っていくとっちゃんはレッスンの成果があらわれて以前よりうまい。と思ったら数ターンでこけてもがいていた。とっちゃんにはこのことがかなりのショックだったようで「一からやり直しだあ」とその後何度も言っていた。一からやり直す必要はないと思うけどこういう柔らかい雪を連続して滑っていくにはもう少し経験が必要かな。
こけたとっちゃんを見届けて僕もドロップ。ほどほどの深さの新雪の上を細かいターンで滑り落ちていく。お尻をくねらせるだけでターンできて楽しい。あっという間にとっちゃんを追い越してしまった。
平からの登り返しはほとんどなく水平に歩く感じで目的の尾根の上に出た。広々とした尾根はブナやミズナラの樹林帯が何処までも続きその中をスノーハイクするのが楽しい。
適当なところで荷物を降ろし休憩。日差しが雲に遮られているのと吹き過ぎるわずかな風の冷たさが気になったが落ち着いた休憩となった。しかしとっちゃんには寒さが応えたようだ。
休憩後は尾根を戻りそのまま分岐点まで登り返した。この分岐点までの登り返しに緩斜面のオープンバーンがあり二人とも滑りたくなった。
分岐点から滑降。わずかな樹林を抜けると巾広の緩やかな斜面に出る。雪質もいい。そこを二人思い思いにルートをとって滑り降りていく。あっという間だったがとても楽しい滑りができた。
何度も登り返して滑りたい気分だが時間が押している。次回来た時はこの辺りに腰を落ち着けて楽しもうと決めて白尾山に戻った。
いい斜面を滑った後だけに白尾山からの下りが物足りないかと思ったがこちらはこちらで十分楽しめた。特に巾広尾根の緩やかな樹林帯を縫って滑るのは何度やっても気持ちいい。
カワズ洞国有林の看板を越えた辺りからは尾根が細くなり樹間も密になって慎重な滑りになる。ただ今回は雪質がいいのでそんな中でもある程度楽しめた。後からくるとっちゃんは楽しむ余裕はなかっただろうが。
何時しか陽は西の空に傾き雪面をオレンジに染めはじめていた。ゲレンデに出れば雲間に落ちゆく夕陽が一日の終わりを告げる。さあ、あと一滑り。喧噪の去ったゲレンデをゆっくりと下りていこう、と思ったのだがここでとっちゃんが思わぬ技量を発揮。夕方のガリガリになったゲレンデを風のごとく滑り降りていった。僕はといえばやっかいな雪面にへとへとになりとっちゃんにかなりの遅れをとった。下についた時にはすでにとっちゃんは板を外してジュースを買う余裕。僕が「ゲレンデが今日の核心部やった。つかれた~」っていえば「ゲレンデは全然疲れなかった」一体どうなってんだろ?